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ハーヴェイ 『恐怖の足跡』(Carnival of Souls) 1961年 アメリカ
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/673.html
投稿者 中川隆 日時 2016 年 11 月 25 日 19:45:07: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: クローネンバーグ 『デッドゾーン The Dead Zone』 1983年 アメリカ 投稿者 中川隆 日時 2016 年 11 月 21 日 15:10:14)

ハーヴェイ 『恐怖の足跡』(Carnival of Souls) 1961年 アメリカ

恐怖の足跡 動画
https://www.youtube.com/watch?v=NJD1yYxFxu4
http://video.fc2.com/content/20131024X49LZ2dE/&tk=T0RNMk5qWTVOVGc9


監督 ハーク・ハーヴェイ

音楽 ジーン・ムーア

出演者

メリー・ヘンリー:キャンディス・ヒリゴス Candace Hilligoss
トーマス夫人:フランシス・フィースト Frances Feist
ジョン・リンデン:シドニー・ベルガー Sidney Berger
男:ハーク・ハーヴェイ Herk Harvey
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%81%90%E6%80%96%E3%81%AE%E8%B6%B3%E8%B7%A1

カルト・ホラー映画の元祖としてキング・オブ・カルトと称えられる、永遠の傑作。
「ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド」「シックス・センス」へ影響を与えたのは、あまりにも有名。


 激動の60年代に生まれた名作ホラー、『恐怖の足跡』です。

「え? 名作? そんな映画知らないよ」というあなた、あなたイケてませんねー。

この映画は、あのモダンホラーの代表作、ジョージ・A・ロメロの『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』に多大な影響を与えているんですよ(*ロメロ本人談)。

その他、近年のメガヒット作『********』の元ネタになったことでも知られています。アメリカでは、コダワリのラインナップとコダワリのクオリティーで知られるクライテリオンから豪華2枚組仕様のDVDが発売されています。これを見てなきゃ映画ファンとは言えないぜ!

 ・・・とか言いつつ私も最近まで見ていませんでした(^^; 
それと言うのも、日本におけるこの映画の認知度があまりに低く、「幻の名作」とも言われないほど“知られざる映画”だったからなのです。つい最近になるまでビデオもDVDも発売されていませんでした。

でも、そこは映画マニアな私。全然予備知識はなかったけど、輸入盤を取り扱っているお店で目に留めた「CLASSIC GHOST MOVEIS」という映画3本入りのDVDを購入して、一足先に見ておりました。英語字幕も付いてないし、画質も最低クラスだったけど、今思えばこの映画を予備知識なしに見れたことは幸運だったかも知れませんね。

というのもこの『恐怖の足跡』は、ラストのどんでん返しでも語り草になっている映画なのです。上の方でとある映画のタイトルを『********』と伏字にさせてもらったのも、このタイトルを出すとオチがバレてしまうからなのでありました。まあ、もう40年以上前の映画だし、最近では色々なところでバラされてるので、今更隠すまでもないとは思いますが・・・

 不幸な自動車事故からただ一人生還したメアリーは、新天地で新しい生活を始めるも、どうしても周囲にとけ込めずにいた。
そんな彼女に付きまとう不気味な男の影。彼は一体何者なのか? 
その真っ白な顔は生気を欠いていて、そう、まるで死人のようだ!!

 不気味な影は次第に数を増し、彼女の生活を侵食し始める。
追われるように、いや、誘われるようにして海辺の廃墟へ向かうメアリー。
彼女がそこで見たものは、Carnival of Souls・・・、死者たちのカーニバルだった・・・

 音楽に合わせて舞い踊る死者たち。その輪の中には“あの男”の姿もあった。
メアリーは彼のダンス・パートナーの顔を凝視する。そこには、生気を欠き、真っ白になった彼女自身の顔があった・・・

 あの不幸な事故から一週間が過ぎた頃、捜索隊は河に沈んだ車を発見した。
引き上げられた車の中を見て驚きの表情を浮かべる発見者たち。
そこには助かったはずのメアリーの亡骸が横たわっていた・・・。THE END

 「主人公は実は既に死んでいた」。

そう、もうお分かりですよね。この『恐怖の足跡』は、ナイト・シャマラン監督の『シックス・センス』(1999年米)の元ネタになったと言われているんです。
『シックス・センス』の元ネタは『ザ・サバイバー / ジャンボ・墜落』(1981年豪)だとする意見もありますが、その『ザ・サバイバー』自体がこの『恐怖の足跡』のパクリなので、どちらにしても本作の多大な影響下にあると言えます。

 まあ今となってはそれほど斬新なネタとは言えませんが、いかにも「怪談」という感じで趣があるでしょ。バリバリのホラー映画というのとは違うかも知れないけど、「怪奇映画」としてのムードは満点です。

でも・・・、でも、このオチの場面には致命的な欠陥が・・・! 
死体役の女性の一人が、露骨に“まばたき”をしているんです。
うわっ、酷いよ、目立ち過ぎだよ。初見の時から気になって気になって仕方ありませんでした。死んで直ぐなら痙攣もあるだろうけど、これは死後一週間は経過してる設定ですよ。どうやっても言い訳できません。全然死人に見えないので、「実は彼女は生きていた」というオチなのかと思ってしまったくらい。いや、話の脈絡から言ってそんなオチになるはずはないので、一応了解はしてるのですが・・・。

これが人がどんどん死ぬようなおバカなスプラッター映画とかだったらそんなに気にならなかったと思いますが、雰囲気で見せてる映画なだけにイタいです。最後の最後で台無しって感じ・・・・・

 そんなわけで初見の時の印象はあまり芳しくなかったのですが、比較的画質が良好な国内盤(*レビュー下、ソフトの欄を参照)が発売されたのを機に再見してみたら、意外なほどに引き込まれた。

なんなんだ、この詩情は!?

 たぶんオチを了解して見ていたからこそ感じられた詩情なのだと思います。
「彼女は既に死んでいる」。しかし彼女はその事実に気付かずに、必死に生きようとしている。生きようとする意志があるからこそ彼女は現世に留まったのでしょう。でも、彼女は拒絶されていく! 生者に、そして“生”そのもの拒絶されていく・・・

 無意識の内に、恐らく彼女は“死”に誘惑されてもいるのだと思う。海辺に見える廃墟は、彼女の心を捕らえて放さない。生者の世界で落ち着かない彼女は、そこに安らぎを見出しているようだ。まるで“死”に包まるようにして・・・

 これは孤独な魂の遍歴を綴った詩です。哀しい哀しい詩です。自分では生きることを望んでいるのに、心は徐々に死んでいく・・・。
「私たちも既に幽霊になっているのかも知れない」、そんなことを考えさせられました。

 なんか大袈裟なことを言ってるけど所詮ドライブンインシアター向けの低予算映画じゃないかと思われる人もいるでしょうが、いやホント、映像センスもなかなか卓越しているんですって。

ショック描写は大人し目で、観客をキャッと飛び上がらせるようなことはないかも知れませんが、背筋をゾッと寒くさせます。

河の流れに突き出た木の枝、まるで浜辺に立ちつくす人影のように見える木杭・・・。
丹念に積み重ねられた映像が、不吉な連想を誘います。
河も海も、本当に黄泉の世界とつながっているかのよう・・・。
不吉だが、どこか美しい・・・

 ロケーションも素晴らしいです。
物語の中で重要な役割を果たす海辺の建物なんて、点景として完璧です。
「廃墟になった遊園地」というだけで、“廃墟マニア”の人ならよだれものでしょう(笑)。

ドキュメンタリーを中心に活動していたハーク・ハーヴェイ監督には、人間を、そして風景を捉える独自の視点が備わっていたのだと思います。

 怪奇小説風の気の利いたストーリーと丁寧な演出。

『恐怖の足跡』は、ほとんど完璧な映画です。

“ほとんど”と言うのは、あのオチの場面でのNGがあるからなんですが(←考えれば考えるほど、あの安い女優のこらえ性の無さが許せない!)、それ以外は本当に完璧に見えます。

こういう優れた作品が、人知れず、無名のスタッフ、キャストによって生み出されているのですから、映画というものは本当に面白い! これぞ本物のカルト映画です。ホラー映画ファンはもちろん、それ以外の人も是非楽しんで下さいね。
http://www.h7.dion.ne.jp/~eiga-kan/Carnival%20of%20Souls.htm

『恐怖の足跡』(1961)ロメロやシャマランに多大な影響を与えた幽霊物のホラー。薄気味悪い…。
http://yojimbonoyoieiga.at.webry.info/201112/article_4.html

 『恐怖の足跡』ではブルース・ウィリス主演で話題になった『シックス・センス』のアイデアがすでに1960年代に示されていることを気づかせてくれます。あの映画が公開されたときに誰も見たことのないようなアッと驚く結末なので、見ていない人には言わないで欲しいとの予告が流れていました。

 あとになってこの『恐怖の足跡』を見たときに『シックス・センス』のシャマラン監督はオリジナルのアイデアを考え出したわけではなく、ここで使っていたアイデアを上手く再利用していただけなのだと分かる。

 すると、後々の彼の作品群を見ていても、『シックス・センス』のときのような煌めくセンスに出会えないことにも納得出来る。あれだけの閃きを映画化出来た彼がなぜその後の作品群で質的に落ちる作品しか残せないのかを理解できるでしょう。

 またジョージ・A・ロメロ監督の衝撃的だったホラー映画の金字塔『ナイト・オブ・ザ・リヴィング・デッド』のゾンビのメイクや撮影の仕方は明らかにこの映画のゴーストたちのメイクの影響を受けている。

 静かで不気味なあの映画でのゾンビの動きは異様に映っていましたが、『恐怖の足跡』ではその原型を見ることが出来る。バスに乗り込もうとしたヒロイン(キャンディス・ヒリゴス)に亡霊たちが追いすがろうとするシーンや遊園地で彼女を追いかけるシーンは『ゾンビ』でエレベーターから両手をかざしてウジャウジャ出てくるゾンビの元ネタでしょう。

 いろいろ類似点を書いていくとキリがありませんが、ジョークは新しいものを考えるのではなく、それを知らない人を探して言うのだというジョークを聞いたことがありますし、映画のネタもそれと同じなのかもしれない。

 デ・パルマ監督はそれをオマージュといい、『アンタッチャブル』では『戦艦ポチョムキン』を、そしてその他の多くの映画ではアルフレッド・ヒッチコックの手法をまるまる再利用しています。

 後世の作品に大きな影響を及ぼしたのは明らかです。いかにも幽霊が出てきそうな雰囲気を誘導するカットがそこかしこに散りばめられ不安感を募る。

 鏡や暗闇、雑踏の音やパイプ・オルガンの使い方が素晴らしく、お金は掛かっていませんが、ロケーションの選び方、特に廃墟となった遊園地の薄気味悪さは群を抜いて気味が悪い。

 ヨーロッパの宗教文化と歴史の象徴である教会のステンドグラスや大掛かりなパイプ・オルガンの威容の前で、人間の目には見えないものの、じつは幽霊たちが徘徊しており、成仏できないさまが異様に映る。

 建築物の幾何学的な模様を頻繁にカメラが捉えるのがとても冷たく映る。異様に建築物が冷たく見えるのです。エイゼンシュテインが幾何学模様を頻繁にカメラに切り取り、カットとカットのイメージの繋ぎに類似図形を使っていたように、ハーク・ハーヴェイ監督は前衛的な古典作品への憧れがあったのか円や四角形などのイメージを気に入っているようでした。

 夜の廃墟の遊園地で踊り続ける亡者たちのシークエンスはかなり気味が悪い。
サバトなのか、ムソルグスキーの『禿山の一夜』を思い出しますが、掛かっているのは大昔の遊園地らしいハープシコードのような明るい曲なので、余計に薄気味悪い。
本当にこの映画を形容するのに最もしっくりとくるのは薄気味悪いという言葉か、寒々しいという言葉でしょうか。

 事故で死亡してしまった自分の立場を理解できていないキャンディス・ヒルゴスの驚愕と絶望が徐々に明らかになってくるが、認めたくない彼女は自分の世界の住人である幽霊たちを本能的に怖がり、もといた世界、つまりこの世に残ろうともがくが少しずつ、あの世の時間が長くなっていく。その行き帰りの合図となるのが鏡の歪みと木々に留まる小鳥のさえずりです。

 死への恐怖が描かれている映画で、彼女がどうしても行きたかった遊園地はじつは地獄門であり、そこに入ったが最後、彼女はそこから抜け出せなくなってしまう。亡霊たちに追いかけられて、恐怖から逃げ出そうともがく彼女は数十人の亡霊から逃げ回った末、湖のほとりで捕らえられる。あたりには無数の足跡と彼女が転んでしまったときに付いた手形だけが残る。

 現場検証では警察、医師らが残された手形の前で立ち尽くしていて、彼女がどうなったのかについてあれこれ話しながら立ち去っていく。シーンは最初の事故現場に戻り、彼女たちが乗っていた車が泥の川から引き上げられる様子が映し出される。助手席にはヒロインが水死体の変わり果てた姿となっている。

 すべて彼女の幻想か幽体離脱した彼女があちこちに立ち寄っているだけだったのです。このへんのくだりは『シックス・センス』でも使用されていました。

 音楽が観客に訴える力が特徴でもある映画でした。ヒロイン(キャンディス・ヒルゴス)が勤める教会の礼拝堂の壁一面に聳え立つパイプオルガンの作り出す音の深刻さは弾き手の心の状態によっては猥雑で、澄んだ心を持つ聴き手を不安にさせ、不快な気分にさせるほどの強い力を持つ。

 不協和音を奏でるパイプオルガンは観客の精神状態をもマイナスの方向へ導いていく。アメリカのホラーとしては珍しい幽霊物であるこの映画は黄金の50年代を過ぎ、社会的な孤独を抱えて生きていく人々が増えたアメリカ社会を語るための寓話なのだろうか。

 モノクロ画面が原因ではないのでしょうが、フィルムに捉えられた登場人物すべてが寒々しく、血が通っている感じがまるでない。ヒロインも他人との接触を極力避けて、社会の片隅で生きている。彼女の姿は事故に遭う前から、すでに他者からは見えていなかったとも言える。

 あまり積極的に人生を送ってきたとは言い難い彼女ではありましたが、いざとなったときには死にたくないと思った彼女は亡霊たちから逃れるためにもがき続ける。命を絶たれようとしていた、まさにそのときのみ、彼女は生きていたのかもしれない。

 何はともあれ、この映画が次世代の映画製作者たちに与えた影響は非常に強く、ジョージ・A・ロメロは『ナイト・オブ・ザ・リヴィング・デッド』でこの映画のヴィジュアル的な要素を取り込んでいます。またシャマラン監督は『シックス・センス』で肝になるアイデアを再利用しています。


 この映画はこのようにクリエーターからの支持を集めているにもかかわらず、日本でなぜこんなに知られていないのが残念です。それでも知名度が低くとも質が高い作品がまだまだ多く存在しているのは嬉しい。

 上映時間は90分弱ですが、最後にこの映画はヒロインが事故で死ぬ刹那に見た夢であることが分かり、彼女は溺死していく運命にある。死ぬ前に人間は走馬灯のように人生をプレイバックしてから息を引き取ると言われますが、まさにそれに近く、彼女の場合は生き残った場合の未来を夢見ていたということになるのでしょう。

 その夢の世界でも、生活に上手く順応できていないというのがさらに哀れみを誘います。友人もおらず、恋人もおらず、ただ一人で死んでゆくのはかなりの恐怖です。繰り返し出てくるゴーストは死へ誘う使いなのかもしれません。不気味な幽霊はハーヴェイ自身が演じていたようです。この役柄のイメージは『霊魂の不滅』での使者を運ぶ馬車を思い出しました。

 監督を務めたのは教育映画を製作していたハーク・ハーヴェイでしたが、彼は他には商業映画は製作していないようです。気味の悪いパイプ・オルガンをフューチャーした音楽はジーン・ムーアによるものでした。不気味なパイプ・オルガンの音色とモノクロ映像が調和していて、雰囲気を盛り上げていきます。

 映画の出来自体は素晴らしく、制作費が 30000ドルとかなり少ない自主制作映画でも納得のいくまでこだわったのであろう映像美と廃墟の遊園地の異様な迫力もあり、他に類を見ない存在感があります。

 どちらかというとヨーロッパ的な雰囲気を持つ作品でしたが、ハーヴェイ自身が観て、好んでいた映画の作風、やってみたかった映画表現を出し切ったのがこの『恐怖の足跡』だったのかもしれません。その後、彼は一本も商業映画を製作していません。彼も早すぎたクリエーターなのでしょう。これから再評価されるべき映画人です。

 マイナスポイントとしては前述したように、すべての登場人物に感情移入できない点に尽きる。肩入れすべきヒロインのヒルゴスも人間嫌いというキャラクターで、気づかないながらも心霊ということなので、空虚なイメージで演じ切るために観客の気持ちは誰に向けていいのかが分かりません。そこが映画を劇場で観る上ではマイナスに働きます。もし深夜に自宅で DVD鑑賞をするのであれば、独特の感性に惹きつけられることでしょう。
http://yojimbonoyoieiga.at.webry.info/201112/article_4.html

 

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