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BP事故が変える世界のエネルギー事情
http://www.asyura2.com/10/hasan69/msg/314.html
投稿者 gikou89 日時 2010 年 7 月 25 日 01:49:59: xbuVR8gI6Txyk
 

(回答先: 中国不動産は「崩壊直前」か、IMF前チーフエコノミストが警鐘 投稿者 gikou89 日時 2010 年 7 月 25 日 01:47:14)

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20100720-00000301-fsight-int

メキシコ湾で4月下旬に爆発事故が起きた海洋油田からは米政府の推定で70万キロリットルもの大量の原油が流出、米ルイジアナ州などの沿岸はどす黒い原油で汚染された。油田の操業者である英石油大手BPは、水深1500メートルの海底にある油井の噴出口をなんとか封鎖しようと様々な技術を動員したが、なかなかうまくいかず、7月中旬になってようやく原油流出が止まった。ただ、これも抜本的な解決策にはならないとの見方が多く、油井を完全に封印するまでは予断を許さない。
 今回の事故は世界の海洋油田の事故としては最悪の展開になったが、エネルギー業界関係者の中には「いつか、どこかでこんな事故が起きると思っていた」と事故をある程度、予見していた人もいる。深海油田の開発、原油生産はそもそも地上の油田ほど簡単ではなく、水深が増す毎に幾何級数的に難度が増すからだ。人間が潜ることのできない深海では、何かのトラブルが発生してもすべて遠隔操作で対処しなければならない。

■海洋油田の歴史と未熟な事故対策

 1990年代以降、世界では海洋油田の開発が急激に進んだが、事故防止策、事故対策の技術開発は海洋油田の増産ペースほどには進んでいない。開発案件や難度が拡大する傍らで、事故対策の技術開発はなおざりにされてきたといってよい。
 海洋油田の歴史は実は長い。19世紀末から20世紀前半にかけ、欧州の原油需要を賄ったアゼルバイジャン(当時はロシア)のバクー油田は陸上からカスピ海の沖合に広がる油田で、開発の初期から遠浅の海に原油掘削用のやぐらが立ち並んだ。水深は数メートルから20メートルほどだったため、当時の技術でも十分対応できていた。
 第2次大戦後、サウジアラビアなど中東産油国で生産が拡大するにつれ、ペルシャ湾の沖合で油田開発が本格化、300億バレルという巨大な埋蔵量を持つサファニア油田が発見され、サウジアラビアの埋蔵量、産油量を押し上げた。日本の石油開発の金字塔にもなっているカフジ油田も、実はこのサファニア油田の一部で海洋油田だ。といってもペルシャ湾内の水深は数十メートルに過ぎず、技術的には決して難しくはなかった。
 1960年代にオランダでフローニンゲン・ガス田が発見され、英国とノルウェーに挟まれた海域に広がる北海油田の開発が本格化した。北海は水深が200‐300メートル。巨大な掘削用リグ船が建造され、海底からみれば高さが300メートルほどもある生産用プラットフォームも建造された。北海油田は「アポロ計画に匹敵する技術的挑戦」と言われ、当時の様々な先端技術が投入された。
 80年代に入ると、メキシコ湾でも海洋油田の開発が始まった。メキシコ湾内は1000‐3000メートルの水深の部分が多く、海洋油田開発の技術は一段と進化した。
 ただ、そのあたりから海洋油田特有の危険性、リスクも認識されるようになった。海洋プラットフォームでの油井からの爆噴事故である。そのリスクを世界に知らしめたのは、北海油田の10%の原油を生産していたパイパー油田で1988年7月に起きた爆発事故だ。同油田の「アルファ・プラットフォーム」で爆発事故が起き、働いていた167人が亡くなる痛ましい事故だった

 数少ない生存者の中にはプラットフォーム上にある水面80メートルの高さのヘリコプター発着場から海に飛び込み、助かった人もいた。爆噴に対する備えが整っていなかっただけでなく、プラットフォームに火災などがあった場合、技術者、作業者たちをどう脱出させるかという避難策すらなかった。事故後、海洋プラットフォームの周辺では常時、脱出用の避難艇を待機させることが義務づけられた。

■急成長するニューフロンティア

 ではなぜ、これほど技術的な困難と手間のかかる海洋油田の開発が世界各地で次々に進むのか?
 米エクソンモービル、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルなど、かつて「セブンシスターズ」と呼ばれた世界の大手石油会社や準大手、中堅の石油会社は70年代以降、油田開発で厳しい局面に立たされてきた。中東産油国は73年の第1次石油危機後、油田の大部分を国有化し、新規の油田権益を外国企業に与えるケースは激減した。サウジアラムコなど産油国の国営石油会社全盛の時代がやってきた。最近ではイラク、リビアが鉱区を外国企業に開放、国際入札にかけたが、条件は厳しく、収益性で二の足を踏む石油会社が多かった。
 一方、外資が参加できるロシアや中央アジアの案件は北極圏など気象条件がきわめて厳しいか、輸出するために長距離のパイプラインを敷設しなければならないものが大半。技術的に難しいか、政治的なリスクを負わざるを得ない。
 「海洋油田は開発の自由度が高く、石油開発のニューフロンティア」。石油開発業界の関係者はこう指摘する。海洋油田は産油国の国営石油会社単独では開発が難しいため、外資の参入チャンスが大きいうえに、海上の油井周辺に貯蔵用のタンカーを配置し、係留設備を用意すれば、洋上からそのまま原油を出荷することもできる。海上であれば、アフリカなどに多い部族紛争やテロにも巻き込まれずに済むメリットもある。
 アンゴラ、ガボン、ナイジェリアなど西アフリカの産油国は沖合の油田が大半で、今はガーナなどにも海洋油田の開発が広がっている。メジャーや日本の商社などが出資する案件が目白押しだ。
 一方、今や産油量が日量200万バレルを超え、ベネズエラと並ぶ南米有数の産油国になったブラジルは海洋油田の成功で原油輸出国に転じた。国営石油会社のペトロブラスは70年代から沖合大陸棚で油田開発に取り組み、世界トップクラスの海洋石油開発の技術を蓄積した。今では、沖合200キロの水深5000メートル超の海底にある岩塩層の下に眠る油層「プレサル層」の開発を進めようとしている。

■今後、起きうる3つのシナリオ

 こうした海洋油田への流れは原油価格の上昇と並行している。海洋油田の開発、生産コストは高く、1バレルが50ドル以上でなければ採算が合わないものが大半だからだ。ブラジル沖合のプレサル層は70ドル超が目安との説もある。原油が暴落すれば、世界の海洋油田の開発計画は頓挫しかねないリスクをはらんでいる。そうしたなかで今回のBPの事故によって、安全対策の強化などが求められるようになれば、コストはさらに上昇せざるを得ない。世界の民間石油会社はフロンティアを失いかねない瀬戸際に立たされているのだ。
 今後、起きる可能性のあるシナリオは3つある。第1に、中東産油国への回帰だ。中東産油国の国営石油会社がますます力を高め、世界の石油会社はそこからの調達量を増やすしかなくなる。
 第2は、オイルサンドやオリノコタール(超重質油)など非在来型の石油やDMEのような天然ガスからつくる液体燃料の使用拡大だ。環境負荷やコストが高いが海洋油田のリスクと比較してメリットがあれば、メジャーなどは非在来型にシフトする可能性がある。
 第3に、石油業界のメガ再編の再来だ。今、BPは巨額賠償の懸念から株価が急落、資金不安からアブダビなど中東産油国に支援を求める一方、油田資産を売却し、キャッシュづくりに動いている。これがうまく行かなければ、他のメジャーがBP合併を狙う可能性もある。すでにエクソンモービルの名前などがあがっている。あるいはBPが分割され数社に吸収されると予測する関係者もいる。
 また、石油供給の別の環境リスクが注目されたことで、今後、液体燃料で石油からバイオエタノールなどへのシフトが進む可能性がある。電気自動車にも追い風となるだろう。
 いずれにせよ、BPのメキシコ湾の事故は単なる海洋油田の事故ではなく、世界の石油開発のあり方、業界構造を変える導火線になりつつある  

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