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「貯蓄から投資へ」は危険なシナリオ 〜「貯蓄」が映し出す日本経済の不安
http://www.asyura2.com/10/hasan69/msg/323.html
投稿者 gikou89 日時 2010 年 7 月 26 日 00:24:20: xbuVR8gI6Txyk
 

(回答先: ストレステスト 「審査が甘い」と批判噴出 投稿者 gikou89 日時 2010 年 7 月 26 日 00:19:38)

http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20100722/238005/

 前回は、日本の「貯蓄」の観点から見た日本経済の将来不安についてお話をしました。

 そこで浮かび上がったのは、日本の「家計貯蓄率」が世界最低水準にあるという事実でした。OECD(経済協力開発機構)の公表資料によれば、2009年の日本の家計貯蓄率は2.3%と、「消費大国」と呼ばれる米国(2.7%)をも下回り、主要先進国の中では最も低いレベルでした。

 その主な要因としては、経済の低成長に伴う個人所得の伸び悩みと高齢化の進展に伴う社会保障負担(年金、医療保険、介護保険など)の増大および高齢者の預貯金の取り崩しにある、と考えられます。

 とりわけ、高齢者による預貯金の取り崩しは日本の経済・財政に深刻な影響をもたらす恐れがあります。

日本と米国で対照的な家計の金融資産構成
 現状、日本の個人金融資産は1500兆円程度で、その半分程度が預貯金です。正確な数字は下のグラフと表を見てください。http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20100722/238005/

日本銀行の公表資料「資金循環統計(2010年第1四半期速報)」によれば、2009年度末の家計の金融資産は1453兆円で、そのうち現金・預金が798兆円と全体の54.9%を占めます。
この巨額の家計の現金・預金が銀行(ゆうちょ銀行を含む)など金融機関を通じて企業向け融資や国債購入などに充てられ、日本の経済・財政をいわば底辺で支えているのです。

そうした中、高齢者ら個人の預貯金の取り崩しが進めば、金融機関の企業向け融資や国債購入の余力が低下することが予想されます。そうなれば、企業や政府へのファイナンスに支障が生じ、日本の経済・財政が現在のようにはうまく機能しない恐れがあります。

 ならば、そうした問題にどう対処すればよいのか。今回はその点を考えることにしましょう。

 ところで一時、家計の金融資産について「貯蓄から投資へ」という標語が盛んに唱えられたことがありました。すなわち、家計の金融資産の重心を預貯金から株式・債券などにシフトさせるべきだ、という考え方です。

 確かに、前出の表(日銀の資金循環統計)を見ると、2009年度末の家計の金融資産1453兆円のうち、貯蓄に当たる「現金・預金」が798億円と全体の5割強を占めるのに対し、投資に当たる「株式・出資金」は103億円(全体の7.1%)、「投資信託」は55兆円(同3.8%)、「債券」は42兆円(同2.9%)と、「投資」が「貯蓄」に比べて大きく見劣りしている状況が読み取れます。

 また、米国の家計の資産構成と比較すると、その傾向がいっそう明らかになります。下のグラフを見てください。http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20100722/238005/?P=2

これも前出の表と同じく日銀の資金循環統計からの抜粋です。

 グラフを見て分かるように、2010年3月末時点の米国の家計の金融資産は、「現金・預金」が全体(総額45.5兆ドル)の14.2%、同じく「株式・出資金」が31.4%、「投資信託」が12.1%、「債券」が8.9%という構成になっています。日本とは対照的に、米国の家計の金融資産ではいわゆる「投資」が5割強に達するのに対し、「貯蓄」は1割強に過ぎません。

預貯金の振り替えの大部分は株式の「2次市場」へ
 こうした日本の家計の金融資産の構成をとらえて、一部の金融関係者や評論家、政治家らが米国の例を引きながら「貯蓄から投資へ」と唱え始めたのです。

 しかし私は、日本の経済・財政の現状を考慮すれば、この「貯蓄から投資へ」という考え方は極めて危険である、と断じざるを得ません。

 「貯蓄から投資へ」と主張する背景には、日本の家計の金融資産の半分程度が預貯金である状況を批判的に見る向きが多いのですが、私は逆に「日本の家計は極めて合理的な行動をとっている」からこそ今の比率になっていると考えています。

 その理由を説明するために、まず、「貯蓄から投資へ」の代表例とも言える「預貯金から株式投資へ」という家計の資金シフトを考えてみましょう。

 実際、「貯蓄から投資へ」という人の多くは、直接金融(企業が株式市場などから資金を調達すること)の活性化による企業業績の向上とそれに伴う日本経済の発展を想定しているケースが多いと思われます。

 ただし、ここで注意しなければならないのは、株式市場には「プライマリー・マーケット」と「セカンダリー・マーケット」があるということです。

 企業が新たに株式を発行して資金を調達する市場をプライマリー・マーケットといい、既に発行された企業の株式が売買される市場をセカンダリー・マーケットといいます。

 そこで、「貯蓄から投資へ」の状況が進み、家計の預貯金が株式市場に流れた場合、どちらの市場が多いでしょうか? 恐らく預貯金の振り替えの大部分はセカンダリー・マーケットで起こると考えられます。

 ということは、たとえ預貯金から株式市場への資金の振り替えが起こったとしても、セカンダリー・マーケットがほとんどですから、お金が単に株を買った人から売った人のところに行くだけのことなので、企業の懐には1銭も入りません。つまり、企業の資金調達には直接のメリットがないわけです


株式投資が少ないのは株価が上がらないから
 もちろん、セカンダリー・マーケットが活性化されて株価も上がれば、企業にとってエクイティー・ファイナンス(新株発行による資金調達)がしやすくなるという間接的なメリットもあるでしょう。

 しかし、需給だけで株価を上げることには限界があります。やはり、企業の収益が上がって、その結果として株価が上がる、というのが本筋ではないでしょうか。要するに、単なる株式の売買だけで、言い換えれば、マネーゲームだけで株価が上がれば、企業のエクイティー・ファイナンスが容易になる、と考えるのは間違いですし、実力のない企業の株価は、一時的に上がったとしても下がることとなります。

 前回もお話したように、銀行の貸し出しが減少しているのは、企業などの資金需要が縮小しているからです(下表参照)。従って、仮に「貯蓄から投資へ」の動きが加速して、家計のお金が株式市場に流れたからといって、必ずしも企業がエクイティー・ファイナンスをするとは限りません。

 逆に、現状では自社株の買い入れに積極的な企業も少なくありません。昨今のような経済の低成長下では、新株発行による資金調達で業容拡大を目指すよりも、むしろ発行済み株式数を減らして株主還元をしようと考える企業も少なくないのです。

 そうした中で、「貯蓄から投資へ」の動きが加速すれば、余計に間接金融が縮小していくだけです。そして、間接金融の縮小は企業金融に大きな影響を与えると同時に、国債の4割程度を購入している金融機関(ゆうちょ銀行も含む)のファイナンスにも支障を来たす恐れがあるのです。

 また、「貯蓄から投資へ」ととなえる人の中には、「日本人は金融リテラシーに乏しいから、家計の資産が預貯金に偏っている」と言う人もいます。

 これも明らかな間違いです。下表の日経平均株価の推移を見ても分かるように、日本の株価が上がらないから、というより株価がずるずる下がっているから、一般的な日本人は株式より預貯金にお金を多く配分しているのです。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20100722/238005/?P=4


日本人は米国人より株式をまんべんなく保有
 「日本人の金融リテラシーの不足」を批判する際に、よく米国の家計の資産構成が引き合いに出されます。前出の日銀の資金循環統計などを例に、米国の家計では「株式・出資金」「投資信託」「債券」が全体の5割強も占める、と。

 そこで、私はその実態を調べてみました。

 すると、米国では富裕層が株式などを大量に保有していることが分かりました。すなわち、保有資産上位1%の人が株式の50%程度を保有しており、上位5%の人が同80%程度を保有しているのです。そのことが米国の家計の資産構成における株式などの保有割合を押し上げていると考えられるわけです。

 翻って、日本ではどうか。米国では上位5%が80%の株式を保有しているのに対し、日本では保有資産上位5%が株式の50%程度を保有している一方で、下位50%の人に限ってみれば、株式の保有金額は、米国の0.6%に対し、日本は9%と格段に高いことが分かったのです。上位から下位までならしてして見た場合、1株以上の株式を保有している人の比率は米国と日本ではそれほど変わりません。ですから、日本のほうが下位層も含めてまんべんなく株式を保有しているとも言えます(「証券アナリストジャーナル」2006年8月号、松浦克己広島大学大学院教授の論文を参考)。

 日本人は決して金融リテラシーが乏しかったり、株式投資を嫌ったりしているから、金融機関に預貯金としてお金を多く預けているわけではありません。繰り返しますが、一般的な日本人は、株価が上がらないから、儲からないから、株式投資に慎重になっているだけなのです。

 こう言うと、こんな反論があるかもしれません。すなわち、「株式の長期投資は儲かるのに、日本人はその長期投資にも積極的ではないのはなぜか」と。

 この「株式の長期投資は儲かる」という考え方も基本的に間違っていると思います。要は、いつから長期投資をするかという「始点」と「終点」の問題です。

 なるほど、終戦直後から株式投資をしている人は非常に儲かっているかもしれません。しかし、たとえば1980年代後半のバブルのピークに長期投資の目的で株式を購入して現在もそれを保有している人は、恐らく今後よほどのことがない限り、元を取ることすらできないのではないでしょうか。何せバブルのピークの日経平均株価は3万8915円ですから、今の日本経済の実力を考えれば、残念ながら株価がそこまで戻るのは非常に困難だと思わざるを得ません(もちろん、購入・保有銘柄にもよることは言うまでもありません)。バブルのピークは、株価では1989年12月ですから、もう20年以上も経っているわけで、結構な長期です。

 「株式の長期投資は儲かる」というのは、適当な始点と終点を取った場合の傾向であって、それがどのような場合にも当てはまるというわけではありません(詳しくは、拙著『お金を知る技術 殖やす技術』(朝日新書)をご覧ください)。

企業業績の拡大に伴う個人所得の増加が重要
 むしろ、このデフレ下においては実質金利(表面金利−物価上昇率)がマイナスになっており、実質的な貨幣価値も上がっていることを考慮すれば、日本人が金融機関への預貯金を通じて「現金」を保有していることは「合理的な選択」だと考えられます。

 裏を返せば、「貯蓄から投資へ」の扇動に乗って日本人が預貯金を取り崩すのはむしろ「危険なシナリオ」と言わざるを得ません。冒頭に述べたように、個人金融資産の取り崩しが進めば、金融機関の企業向け融資余力や国債購入余力が低下し、日本の経済・財政に大きな混乱が生じかねません。

 従って、日本の経済・財政にとって家計貯蓄率を高めることが非常に重要なのです。

 ただ、この問題とも大きく関連しますが、長期的には、日本の財政はこれまで繰り返し述べてきたように、先進国中最悪の状況にあり、財政破綻懸念が起きれば、国内金融市場はパニックとなり、預貯金も国内株式、債券も総崩れとなるリスクがあり、そのリスクが徐々に高まっていることも否定できません。そうなりかければ、さらに預貯金が逃避するという悪循環となります。

 ならば、そのためにはどうすればよいのか。要するに、冒頭に挙げた家計貯蓄率低下の主因の逆の対策を取ればよいのです。すなわち、ひとつは企業が発展して個人の所得を増やすこと。いまひとつは少子高齢化の進行を止めて個人の社会保障負担を軽減すること。そして、先ほど述べたリスクの逆、すなわち財政赤字増加に歯止めをかけることが重要です。

 目下、日本企業の間では経済の先行き不安から雇用、なかんずく正規雇用を減らして、その労働力を非正規雇用で代替する動きが見られます。そして、非正規雇用が増えているからこそ、個人所得が減少し、少子化も進行している部分もあります。逆に言えば、企業の業績が拡大すれば、正規雇用が増えたり従業員の給与が上がったりして、個人の収入が安定・増加する可能性が高まります。そうなれば、若年層を中心に結婚・子づくりに対する意欲・余裕が生じ、少子化の進行にも歯止めをかけられるのではないでしょうか。

 さらには、財政破綻懸念を小さくすることも大切で、そのためには、確固とした財政健全化計画を策定、実行していかなければなりません。

 いずれにせよ、日本の家計貯蓄率を高める上でも、少子化対策と企業業績の拡大を通じた日本経済の発展が結局のところカギを握っているわけです。そして、その方策については、本コラムでたびたび述べてきましたし、これからも折に触れて考えていきたいと思います。


 

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