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ことのは いまむかし
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投稿者 あやみ 日時 2011 年 10 月 25 日 04:38:50: oZZpvrAh64sJM
 

ことのは いまむかし
つれづればな http://turezurebana2009.blog62.fc2.com/blog-entry-59.htmlより転載 
- 2011/10/25(Tue) -


大陸から漢字が伝わる前、わが国には表記文字がなかったと「されて」おり、学校の日本史でもそう習う。そしてそれを疑う余地はあまり残されていない。
現在、漢字以前からの「日本固有の古代文字」に関する研究が数多くなされ書物も出回っているがどれもトンデモ扱いを受けている。国費を投じての調査・研究どころかケンモホロロの門前払いだ。自国の古代史にここまで薄情な国も珍しい。
まるで古代文字があっては迷惑する連中がいるかのようであるが、しょせん行き着くところはその辺りではなかろうかと思う。

遠い昔、今の日本の地で交わされた言葉を「やまとことば」という。

表記文字が「なかった」以上は古代語がどのようなものであったかを予測し、検証するしかない。
今日つかう日本語の中で、漢字で書いたときに訓読みをする語彙すなわち「やまとことば」であればその語源を単純な動詞に見出すことができる。おもしろいので是非ためしていただきたい。

たとえば「恋」、もとは(恋ふ)という動詞であり(請ふ、乞ふ)さらに(媚ぶ)などと同源の語彙である。「愛」などは外来語で、「愛す」は(愛)に動詞(す)をくっつけた漢語動詞でしかない。わが国で「愛してる」などと言われると鳥肌が立つのは先祖の血が拒否しているにちがいない。外国人男性が日本女性をたぶらかす際には「アイシテル」はやめて「スキ」と言うのをお勧めしたい(あくまでも日本語を正しく使ってもらうために)。

動詞「ミル」は、見る、観る、視る、診る、看る、…といくつもの漢字を当てることができるが、すべて(目)のする仕事を表している。ながメル、こころミル、かへりミルなどは「ミル」からさらに生まれた動詞だ。メ(目)は映像を取り入れる器官、そして、家の中に戸外の眺望をもたらすマド(窓)はマ(目)のためのト(戸)と考えられた。

このように、やまとことばは決して難解ではなく、むしろ小さな子供がはじめて言葉をおぼえていく時の驚きや感動に似たものを与えてくれる。

それでは、わが国の古典がなぜにあれだけややこしいのか。好きでなければ古典などに誰も近づこうともしないだろう。

飛鳥、奈良時代を通して大陸からひっきりなしに文物が渡ってきた。詔勅や律令をはじめとする朝廷の公文書はすべて漢文で作られ、それどころか官職・法令すべてが大陸の制度に基づいて整えられた。万葉仮名をつかい日本語として書かれたものは和歌とその注釈が残るのみである。

これは何を意味するか。朝廷の貴族たちはみな漢語に長けてなければならなかったということになるが、逆にいえば日本語などできなくてよかった。日本語を知らない大陸人が朝廷の官職に就いても差障りなく、わがもの顔でいられたことにもなる。
万葉の時代、朝廷に「歌人」という職能者がいたことを思えば、漢詩はつくれても和歌のよめない貴人が多かったのではないだろうか。

ある時代を境に国家の中央での言語が大陸の言葉に席捲されてしまった。それが日本語の古典を複雑なものにしたのだ。

庶民たちはどうであったか。
おそらくは大陸の言葉などとは縁がなかったのではないかと考えられる。日本史に庶民の暮らしが見えてくるのはずっと後の時代である。武士がおこり、貴族たちから国の主権を奪う時代が来るまで古代のやまとことばを使い続けていたかと思われるが、やはり筆者の推察の域をでない。


このよをば わがよとぞおもふ もちづきの かけたることの なしとおもへば

藤原道長は己が世の栄華をみずからこう詠った。はたしてこの歌が日本人の心情に合うかどうか、筆者にはとてもそうは思えない。散りゆく花を、山の端からいづる月をめでた我々の先祖よりも、酒池肉林を好んだかと思えば嘆きのあまり白髪が三千丈も伸びる国の人々にふさわしくないだろうか。日本人であれは欠けぬ満月などを恐れこそすれありがたがりはしない。

道長から遡ることおよそ百年、藤原氏の増長に釘を刺し、さらに遣唐使の廃止を建白した菅原道真を失脚させたのは藤原時平であった。

さらに昔、道長や時平の直系の祖である藤原不比等は文武天皇に娘・宮子を嫁がせ聖武天皇を産ませている。文武天皇の乳母を勤めた橘三千代を妻にし、その口添えもあって朝廷内で頭角を現した。漢語や唐の律令制に明るい不比等は大宝律令の編纂に大きく関与している。さらにその三千代との娘の光明子を聖武天皇に嫁がせた。藤原家と天皇家との強固な外戚関係はここに始まった。

そして不比等の父親は、蘇我入鹿を倒した鎌足である。
息子の最後を知った蘇我蝦夷は自害、屋敷は焼き討ちに遭い、日本書紀・古事記よりも古い「国記」と「天皇記」は焼失してしまった。また、その時代の生き証人たるそのほかの書簡、宝物も灰となった。

学校日本史は大化の改新を評価して曰く蘇我氏の専横を粛清したとあるが、その評価のよりどころは藤原氏の都合で書かれた日本書紀にほかならない。蘇我馬子は遣隋使を通して大陸の不穏な情勢を察知し大陸外交に慎重になるよう聖徳太子とともに天皇に上奏していた。「国記」「天皇記」は聖徳太子と馬子によって編纂されたがその内容は全く不明である。ただ、藤原氏はその起源に陰をおとすようなことが書かれたものを残しはしなかったであろう。だからこそこの世に姿をとどめていない。
 
こうして日本の古代史や古代言語は深い闇の中に隠されてしまった。 
また、もしかすれば古代文字も時の権力者によって同じくその跡を消されたのかもしれない。


平安時代の遣唐使廃止によって事実上の鎖国をした日本には国風文化の花が咲いた。外国語である漢文も女房たちの手でひらがなに書き下され、漢語と融和した日本語として生まれ変わった。やまとことばの単純明快さはすでに失われたとしても日本人の心を描くに足る美しいことばが出来上がった。

また、徳川幕府が鎖国を布いた日本には江戸時代という奇跡の時代がやってくる。この国が政治、暮らし、そして言語のすべてにおいて最も成熟した時代である。

明治以降、モダンな外来語が流入し、また日本になかった西欧の価値観を輸入するために漢語由来の新語が次々と作られた。そして戦後はもはやどっちを向いてもカタカナだらけ、外来語抜きでは生活もままらなくってしまった。

日本語の変遷が日本の外交政策と深く関わっていたことはすでに書いたとおりである。外から常に負の影響を受けながらもそれを克服し昇華することに成功してきた。二度の鎖国のあとに日本語が独自の発達を遂げたことがそれを証明している。しかし三度目の鎖国はどう考えても無理であることから、日本語のこれ以上よくなることも無理だ、とつい悲観してしまうのは筆者だけであろうか。

たかがコトバと思わないでいただきたい。コトバとは「言の葉」であり「事の端」でもある。やまとことばの世界では(言と事)、(葉と端)はそれぞれ源を同じくする。つまり我々の口から出る事の葉は、我々が生み出す事象の写し絵であり、それは昔も今もこれからも決して変わらない。いまの日本語の味気なさと醜さは日本の味気なさと醜さである。

王族の陵墓か、三輪山の奥深くかは判らぬが、どこかに古代の日本の姿を伝えるものが息をひそめて待っているのかもしれない。それを目の当たりにした時、日本人はどう受け入れるか、それに微かな望みをかけたい。

 

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コメント
 
01. 2011年10月25日 21:34:57: KWEa32Be12
王族の陵墓では大陸的すぎる。やはり畿内の古墳期より先史時代の東日本でしょう。

02. あやみ 2011年10月26日 11:16:39: oZZpvrAh64sJM : GeevyYRmxg
朝廷に恭順しなかった者たちが日本中に散り、土蜘蛛などと呼ばれ恐れられましたね。

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