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本澤二郎の「北京・天津友好の旅日記」(9) (「ジャーナリスト同盟」通信)
http://www.asyura2.com/10/senkyo100/msg/203.html
投稿者 五月晴郎 日時 2010 年 11 月 22 日 12:22:46: ulZUCBWYQe7Lk
 

(回答先: 本澤二郎の「北京・天津友好の旅日記」(8) (「ジャーナリスト同盟」通信) 投稿者 五月晴郎 日時 2010 年 11 月 21 日 09:48:13)

http://blog.livedoor.jp/jlj001/archives/51685007.html
『「ジャーナリスト同盟」通信』の本澤二郎の「北京・天津友好の旅日記」(9)2010年11月21日
から下記を転載投稿します。

=転載開始=

<ヤオ族学生と夕食会> 

 苑さんと学校に戻ると、院生2年の譚君が国際交流中心のロビーで待機していた。彼が夕食に誘ってくれたのだ。学生の招待に気恥ずかしい感じがするのだが、これも中国社会の変化を物語っているのかもしれない。確か2度目かも。しかし、一人から声がかかったことは初めてだ。

 彼は座談会形式の授業のさい、質問というよりも自分の意見を大声でとうとうと述べたあと、筆者に感想を求めてきた。その日本語力と日中関係分析は、他の学生を抜きん出ているような印象を周囲に与えた。彼の担当教授もそばにいたものだから、後で「これから私の通訳をしてくれ」と驚いて声をかけたという。一躍、彼は日本語を学ぶ学生の注目を受けることになった。
 東洋人は万事控え目を旨としているが、彼はむしろ自己主張に熱心な欧米の若者のようであった。目立つ存在である。だからといって強引という嫌味などない。素直な中国青年の一人である。

 彼は学校近くの小奇麗な食堂に案内した。午後5時過ぎだから客はまばらだったが、店を出るころは満席になっていた。彼は少数民族・ヤオ族といった。
ヤオ族という固有名詞を聞いているが、目の前で出会ったのは譚君が初めてだった。
 しかし、他の中国人と何も変わらない。母親は漢族だという。子供は父親の姓に従う中国だ。ともあれ、彼はヤオ族のエリート学生に違いなかった。「外交部試験に挑戦する」という。なんとか合格してもらいたい。彼の語学力なら全く問題ないだろう。ただし、入省枠は二人。250人の全国から選抜された学生が挑戦するというのだから、厳しい登竜門を潜り抜けなければならない。
 彼は湖南省の出身、父親は地方公務員、母親は教師だが、現在失職している。感じではエリート学生の多くの親は、公務員や教師が多い。日本もそうかもしれない。社会構造を熟知しているからだろう。筆者は農村・農家の生まれだ。勉強など無縁の生活環境で育った。大学教育など遠い彼方の世界でしかなかった。いわんや外国語を学んで、それを使用して生活するという思いは空想でしかなかった。
 やはり育ち・環境が、子弟の将来をかなり決定するものかもしれない。その点で譚君は恵まれていた。
 多数民族国家の中国は社会の安定確保のために小数民族を優遇している。その恩恵も受けた譚君なのかもしれない。「将来、結婚して子供が出来たらどうする?」と尋ねたら、彼は躊躇なく「ヤオ族ですよ」と言って笑った。
 彼の正義感がわかって安心した。「地方の役人の腐敗はひどいですよ。皆自分の懐に入れることばかり考え、行動している」といって怒りを露わにした。腐敗を憎む若者の登用を、この国の政府にもっと望みたい。

<中日関係史学会で講演> 

 料理をすっかり忘れてしまったが、隙を見てテーブル上の請求書を奪い取り、会計台に辿り着いたが、一瞬彼の方が先回りして支払いを済ませてしまった。なんとも律儀なことか、このときも驚いてしまった。帰国後、Eメールに見事な日本語の礼状が届いた。しかし、誰なのか?いたずらか、そう考えて写真送信を求めたら、なんと譚君からだと判明した。

 宿に戻ってくると、電話が鳴った。明日の中日関係史学会行きに、中部大学に1年交換留学した陶君が案内してくれるという。バスか地下鉄を利用した方が安全である。彼に任せることにした。タクシーだと渋滞時間だから約束時間に遅れる心配がある。
 睡眠時間にはまだ早かった。中国青年報の知り合い宅に電話をかけた。中国社会科学院日本研究所の王副所長にめぐり会ったことを伝えようとしたのだ。既に編集幹部で大活躍の主は留守だった。代わって夫人が電話に出た。大分日本語が上達し、仕事に子供の教育にと東奔西走している王さんである。
 彼女は「明日の講演会に行く。車でご一緒しましょう」と提案してきた。このうれしい提案に即座に賛成した。北京市民のハンドルであれば、時間通り到着するはずである。

<うれしい再会> 

 かくして11月5日王さんは、お土産持参で筆者と陶君を軽自動車に乗せて、無時約束の時間前に学会ビルに送り届け、自らも講演を聞いてくれた。メモを取っていたからには、夫にも話の概要を伝えたにちがいない。
 例によって、徐事務局長が喜んで迎えてくれた。彼の部屋で茶をすすっていると、中国人民外交学会の黄星原秘書長が現れた。筆者を見ると、何度か会っているという。そういえば、そんな感じもしてきた。東京の大使館で仕事をしていた、という説明で思い出した。久しぶりの出会いだ。
 彼は大人(たいじん)の風格を感じさせる御仁である。「次回はうちで講演してもらいたい。事前に連絡してほしい」とのうれしいあいさつをプレゼントしてくれた。

 講演会場に入ると、そこでまた懐かしい人物と出会えた。雑誌「人民中国」の王衆一編集長だ。彼こそ正に巨漢である。彼と一度会えば、誰も生涯忘れることはないだろう。中国青年報編集長から政府要人になった幡岳氏との会見のさい、彼が通訳をしてくれたことから友人となった。日本語力抜群の、この雲をつかむような巨漢が「先生、お久しぶり」と声をかけてきたものだから、ますますうれしくなってしまった。
 「友よ、遠方より来る」という会場雰囲気に、講演をする前から嬉しくなってしまった。中日関係史学会の存在も高まるばかりで、この日は通訳もついた。

<丁民さん健在> 

 感動したのは、目の前の丁民さんが居眠りするどころか、必死でメモを取ってくれている。肖向前さん亡きあと中国外交部OB最長老である。王コウ賢夫人の先輩でもある。見事すぎる体格と風格の持ち主が、小さなノートに細いペンを走らせる姿は、話をする側にとって格別な感情を抱いてしまうものである。研さんの成果を評価してくれているのだ。そう思うと、やはり感激してしまう。訪日すると、必ず後藤田正晴と会見していた丁民さんである。

 後藤田が中曽根内閣官房長官をしている時、料亭での宴席だったが、筆者が「今からでも総理大臣を目指してはどうか」と声をかけた。彼は「もう年(とし)だよ。若ければなあ」と口惜しそうに言った言葉を思い出してしまった。そばに総理の中曽根がいた。「わしの目の黒いうちは改憲させない」という公約は守った。宇都宮徳馬の水戸高の後輩である護憲・後藤田の後継者は出るのか。筆者は中国には沢山いると信じている。

 才媛そのものという印象を与えるCRI日本語部の傳頴部長と今回初めて交流できた。彼女の活躍も楽しみだ。国務院発展研究中心の董永栽研究員、商務部国際貿易経済合作研究院中国対外貿易研究部の金拍松副主任とも名刺交換した。後者は米国の研究開発力を重視する見解を示した。筆者はそれには戦争から手を引く米国に、帝国主義的外交を止める米国政府という条件を乗り越えないと無理だろうという認識を持っている。

<「橋のない川」を紹介> 

 講演内容はここでも初めて、権力を握る官閥の日本が、明治以来今日まで継続しているという政治分析を紹介した。それに対抗した鳩山―小沢体制が官閥勢力に敗北したこと、後継内閣は松下政経塾の傀儡政権である、財閥と官閥の菅内閣であること、ワシントンに服従する政権であること、などの特徴を解説した。
 そして日本問題の根幹は天皇制にあるという事実にも言及した。「橋のない川」を読むと、真相が見えるので読んで欲しいと要請した。するとどうだろう、事務局の担当者がパソコンから「橋のない川」の紹介文をコピーして20人ほどの専門家に配布した。この手際のよい対応に驚かされてしまった。
 あとでこのコピー文をみてわかったのだが、そこでは単なる差別を取り上げた内容といった紹介である。表は確かに差別だ、しかし、裏は天皇制の恥部を暴いた見事な作品である。ここの部分をわかってもらいたい。そう念じたい。
 思えば徐事務局長とは長い付き合いになる。初めて出会った中国人が彼だった。今はどうか、昔は日本の友人を中国観光に連れて行ってくれた。雲南省のレストランでは山盛りのマツタケをご馳走になった。彼は筆者のために全く口に入れなかった。
 20余年前の開発目前の深センを見せてくれた。一人深センからものすごい数の人民の大移動の中にまぎれて、橋を渡り香港に出て、そこから電車に乗って九龍の空港に辿り着いた時は、まるで赤子が旅するかのようで心細かった。
 上海では72年の田中―大平一行が泊まった錦江飯店で疲れを癒した。彼の両親も上海で日本軍の被害を受けていたという事実を、目の前で語ってくれた時は大いにうろたえてしまった。其の時から、日本は中国人の多くに、それこそ耐えがたい大き過ぎる災いをもたらしたという、まぎれもない真実と向き合うようになったといっていい。
2010年11月21日13時20分記

=転載終了=
 

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