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政治と経済と武道について語る週末(内田樹の研究室、4.12)【鳩山首相、内田樹に会いに行く】
http://www.asyura2.com/10/senkyo84/msg/303.html
投稿者 南青山 日時 2010 年 4 月 12 日 20:52:16: ahR4ulk6JJ6HU
 

http://blog.tatsuru.com/2010/04/12_1259.php

(南青山コメント)
内田好きには苦にならないと思うが、この記事はなかなか長文で、しかも「鳩山首相、内田樹に会いに行く」の部分はだいたい本文の中ごろにようやく登場する(松井孝治内閣官房副長官と鈴木寛文部科学副大臣と、高橋源一郎も同席したようだ)。
なるほど、要人と会うのはこんな感じなのか、鳩山はいろいろ精力的に動き回っているんだな、内田樹の意見を拝聴するのは良い感覚だ、などいろいろ感想があると思う(最初に断っておくと、残念ながらどのようなことが話題になったかは明らかにされていない)。
まあ、鳩山が官邸で手持ちぶさたにブラブラしているだけでないことがわかっただけでも、この情報には意味があるのではと思うのだが、どんなものだろう。
私には、いまの時点で鳩山が内田の意見を聞くのは非常に懸命なことと評価したい。
同席したという高橋源一郎についてはいささか疑問無しとはしないが、内田先生は高く評価しているようなので(おべんちゃらを言う人ではないので)たぶん良い意見を表明してくれたのだろう。
また、この時期に鳩山が内田にわざわざ時間を作って会ったということについては、いろいろなことを考えさせてくれる。
直近の内田のブログ記事を側近の誰かが目にして、沖縄対策か、マスゴミ対策か、はたまた対米関係の見直しについて意見を求めたらどうかと具申したのだろうと想像しているのだが、あるいはたんに「日本辺境論」を読んだからかもしれない。
同書は、近頃出色の日本論であり日本人論である。
阿修羅でもいくつか内田の近々の代表的なブログ記事が紹介されているが、内田って誰という人はぜひ「日本辺境論」を読んでほしいし、何で鳩山が内田に会いに行ったのと思う人は、その代表的なブログ記事に目を通してから、本記事を読むと腑に落ちるのではないかと思う(文体が内田風になっている)。
最後に代表的なブログ記事って何?という人のために、アドレスを紹介しておこう。

定型と批評性(内田樹の研究室、4.5)【なぜ新聞がだめになったかについての核心を突く考察】
http://www.asyura2.com/10/senkyo83/msg/727.html
投稿者 南青山 日時 2010 年 4 月 05 日 16:17:31: ahR4ulk6JJ6HU

従者の復讐(内田樹の研究室、4.8)【政策すべてに失敗したにもかかわらず、なぜ小泉純一郎は国民的人気を保っているのか?】
http://www.asyura2.com/10/senkyo83/msg/902.html
投稿者 南青山 日時 2010 年 4 月 09 日 01:51:32: ahR4ulk6JJ6HU

それでは本文をどうぞ。

(本文)
忙しい週末。
備忘のために、できごとを大急ぎ記しておく。
10日(土)。
早起きして、原稿書き。
『プレシャス』の映画評。
劇場用プログラムだから、ほめなければいけないのだが、ものすごく「変な」映画なので、びっくりして、「どうしてこんな『変な』映画をアメリカ人は作るのか、どうしてそれに集中豪雨的に映画賞を与えたのか」という映画史的文脈の中で考察を加える。
プログラム原稿だから「こんなこと書かれては困ります」とボツになる可能性もあるが、「そこまで『変だ』という映画なら、ひとつ見てみるか」という人もいるのではないだろうか。
「アメリカ映画史上(おそらく)最初のクールでリアルな『男性嫌悪』映画」。
それから、合気道のお稽古へ。
今週も数名の入会希望者がいる。
こんなペースで入会者が続いたら、どうしよう。
多田塾甲南合気会の会員は3月末時点で108人(煩悩の数だけ会員がいる)。
それが4月なかばですでに120人を超えた。
前年度までの入会ペースと退会者率に基づいて試算すると、2016年度には会員数380人と幹事会でタニオさんが報告してくれたが、ほんとにそうなるかもしれない。
道場の建設を急がねば。
難民キャンプ状態の稽古を終えて、家に戻り、大急ぎ上京。
学士会館にチェックインすると、すでに平川くん、140Bの中島社長が待っている。
どうして中島さんがいるの?と訊くと、なんとこの平川君とのラジオ対談「ほぼ月刊、話半分」を140Bで単行本化する計画があるのだそうである。
私も平川君も140Bの参与であるので、事業計画には全面的に協力せねばならず、否も応もない。
対談本はあまり売れないよ、と中島社長に一応言ってみる。
そのわりには「あまり売れない対談本」ばかり出しているのは、私がともだちと会っておしゃべりするのが好きだからである。
出版社が段取りしてくれて、場所も時間も決めてくれて、終わるとご飯なんか食べさせてくれるのだからこんな気楽なことはない。
本が売れないくらいのことは笑ってすまさねば。
ラジオの収録ネタは「死について」と「交換と贈与について」。
これは人類学的大ネタなので、一回では終わらない。
来月もたぶんこの話が続く(続かないかもしれない)。
平川くんがブログに『移行期的混乱』の一部を転載している。
「競争原理」と「共生原理」は別に排他的に対立するものではない(「共生原理」主義者が「共生原理に反対するものは出ていけ」というようなことを言ったら、共生にならないですからね)。
むしろ相補的な関係にあると私は思っている。
ストレスフルな競争一辺倒でも集団は保たないし、無原則な共生でも秩序は維持できない。二つの原理の葛藤のうちに人間の成熟と社会の健全は存する。
だから、刻下の危機を「競争原理の過剰」ととらえ、「共生原理のやや多めの服用」によってバランス回復をはかるのはソリューションとして正しい。
だが、それが行き過ぎて「競争はダメだ。差別はやめろ。格差解消。格付け反対」というふうに集団の均質化を綱領化してしまうと、やはり社会は生気を失う。
二つの原理が拮抗し、バランスよく葛藤していることが必要なのだ。
鳩山首相が掲げた「友愛」という政治原理は「弱肉強食優勝劣敗」という競争原理に対する補正として対抗価値として意味をもつのであり、それ「だけ」を取り上げて可否を論じてもはじまらない。
というようなことを平川くんも私も考えている。
いずれにせよ、人間社会の起源が「競争」ではなく「共生」から、「交換」ではなく「贈与」から始まったという「ことの順序」だけは忘れてはいけないと思う。
経済活動の起源にあるのは、沈黙交易であるが、これは「私は見知らぬ人から贈与を受けた」という自覚から始まる。
たぶん事実のレベルでいえば、それは贈与ではなかっただろうし、原理のレベルで言えば、贈与である必要はない。
たまたまそのへんに転がっていたものを「自分あての贈り物」と「勘違い」した人間の出現が経済活動の「最初の一撃」だったからである。
自分あての贈り物に対して反対給付の義務を感じたことによって親族も、言語も、経済活動も、すべては始まった。
だから、世界の起源にあるのは、厳密に言えば「贈与」ではなく、「贈与されたので反対給付しなければならない」という「負債」の感覚なのである。
主体は何よりもまず「他者に対して有責者として、『一度も現在になったことのない過去において負債を負ったものとして』、その存在を基礎づけられる」というのはレヴィナス老師のお言葉であるが、老師が述べられているのは、レヴィ=ストロースがコミュニケーションの起源について語っていることとそれほど違うわけではない。
贈与=被贈与の構造は信仰の起源でもある。
「神が世界を創造した」という説話は、被造物はまず「贈与の受け手」として登場したと教えている。
人間が神さまにむかって「世界を創造してくれませんか。創造してくれたら代価として『信仰』してみせます」と交渉して世界は始まったわけではない。
平川くんは「親子」を純粋贈与の一典型として示しているが、親族も、コミュニケーションも、経済活動も、およそ人間的活動のすべては「私が存在するために(私が存在し始めるに先んじて)受けた贈与に対する反対給付の義務」によって構造化されているのである。
というような話をふたりでわいわいする。
一段落して、平川くんと中島社長が帰ると入れ替わりに奥さんと光嶋くんが登場。
晩御飯を食べながら、道場設計図の第二案を検討する。
だいぶ煮詰まってくる。
光嶋くんは斬新な、わくわくするようなデザインをご提案くださるのだが、こちらは「それでは収納スペースが足りない」とか「空調に金がかかりすぎる」とか「そんな高い窓は拭き掃除がたいへん」とか身も蓋もないことを言って、「夢の建物」がしだいに「現実的な建物」に変わってゆく。
光嶋くん、ごめんね。
奥さんと学士会館泊。
朝ごはんを食べてから、上野に仕事にゆく奥さんとお別れして、私はお向かいの如水会館へ。
会議室で松井孝治内閣官房副長官と鈴木寛文部科学副大臣と、高橋源一郎さんと4人でお茶しながら、「民主党の政権運営について忌憚のないご意見」なるものを具申する。
こんなに「忌憚なくて」よろしいのかしら・・・と思いながら、源ちゃんと2人であれこれと言いたいことを申し上げる。
それにしても高橋源一郎の政治感覚は鋭いなあ・・・と横で話を聞きながら感心。
1時間ほどお話したあとに赤坂中華料理屋へ。
こんどは鳩山由紀夫総理を囲んで、秘書官も加えた6人でお昼ごはんをいただきながらおしゃべり。
総理は全身から「いいところのおぼっちゃん」オーラをばりばり発信していた。
自分から「オレがオレが」と自己主張しなくてもよい環境で育ってきた人に特有の余裕がある(私や源ちゃんにはそれがない)。
だから、総理はまことにすぐれた「ホスト」であった。
にこにこおいしそうにご飯を食べて、人の話をふんふんとうなずきながら聴いて、問いかけられ、意見を求められない限り、自分からはあまり発言しない。
そう言えば、ついに一度も他人の発言を遮って言葉を発するということがなかった。
『朝生』とか『TVタックル』とかに出演したら、なかなか発言機会がないのではないかと懸念されるのだが、政治家がみな自己主張の強い人間である必要はない。
とくにそれは宰相の必要条件ではないと私は思う。
友愛的東アジア共同体と領土問題というたいへんデリケートな論点についての総理の「腹案」をうかがう。
たいへん健全な見解だと私は思ったが、むろん詳細についてはこんなところで申し上げるわけにはゆかない。
たちまち二時間が経つ。
話が佳境に入ったところだったので、「この続きは『Sight』でやりましょう」ということになる(勝手に決めてごめんね、渋谷くん)。
次回のセッションにゲストで総理においでいただきましょうということで話がまとまる。
大学生を聴衆にしてゼミ形式でやるのはどうかという案も出て、高橋さんのお勤めの明治学院大学で一度やってみましょうという話になる。
だったら、神戸女学院大学でもやりましょうよと申し上げるが、「神戸はちょっと遠いので・・・」という懸念が事務方から表明されて却下。
そういえば、総理の移動は護衛といっしょの大編成の車列を組んでなされるのであった。
総理を送り出したあとレストランを出ると、総理番の番記者たちが10人ほど待ち構えている。
「副長官、今日は何のお話だったんですか?」と松井さんが訊かれている。
同行の高橋さんには気付いた記者もいたが、私には誰も気づかなかった。
黒いジャケットを着た背の高い、ごつい男が政治家ふたりとゲストの作家の横に立っているのだから、きっと護衛官だと思ったのであろう。
テレビに出ていないとこういうときに便利である。
そのまま若松町の本部道場へ。
2時から6時まで多田先生のお稽古。
なんと100畳に150人。
予約が必要な講習会だったのに、うちのメンバーは3人とも(ウッキーとヨハンナも)予約を忘れていた。坪井さん、ごめんなさい。
稽古のあと、多田先生にご挨拶して、道場の土地を取得したこと、いま設計中であり、来秋には完成予定であることなどをご報告する。道場開きのために、来年の10月11月くらいの先生の週末予定をお聞きする。
そのまま走って矢来町の新潮クラブへ。
こんどは『新潮45』のための対談。
お相手は東京理科大教授で剣道家の小澤博先生。
『日本辺境論』を読んで、私の武道論に共感され、同僚の菅野賢治さんに「もしかしてウチダさんてご存じですか?」とお訊きになったのである。「もちろんです」と旧知の菅野さんが仲立ちをしてくれてお会いする運びとなった。
せっかく会ってお話するなら、その話をどこかの雑誌に載せましょうということになり、じゃあ野木さんに頼んでみますということで『新潮45』にセッティングをお願いした。
講習会が延びて遅刻してしまったが、駆けつけるとすぐに現代武道の諸問題について小澤先生とお話を始める。
ほとんどの点で、小澤先生と意見が一致し、楽しくなってどんどん語り、「聴き役」の足立さん、立教大学の加藤千恵先生(道教の研究家)といっしょにそのまま神楽坂のイタリアン・レストランに移動してもなお熱く語り続けて、気がつけば5時間近く話していた。
現代の競技武道の問題点について、ふたりともたいへん率直な意見を述べたので、「ここはカットね」というところが全体の半分近かった。
さて、雑誌にはどこまで掲載されるでしょうか。
小澤先生、お相手ありがとうございました。またお会いしたいです。
学士会館に帰ると12時。
ふう。忙しい週末だった。
月曜は朝一で神戸に帰って、まっすぐ大学へ行って、会議と杖道のお稽古である。  

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