http://www.asyura2.com/10/senkyo89/msg/108.html
| Tweet |
http://opinion.infoseek.co.jp/article/907
わかりやすい国会の話［第16回］昭和時代の議会政治（3）
2010年06月21日 11時00分
平野貞夫
■戦時体制と議会
昭和11年12月24日、完成したばかりの議事堂に第70回議会が召集された。休会開けの翌12年1月21日、衆院本会議の代表質問で、浜田国松議員が激しく軍部の政治関与を攻撃したのが「腹切り問答」であった。政党と軍部の正面衝突となり、これが原因で同月23日広田内閣は総辞職する。
後継に林銑十郎陸軍大将が就任した。陸軍内部を統制するねらいがあったが、国民から「軍部ロボット内閣」と呼ばれ、議会を解散した。総選挙の結果は反政府勢力が圧勝し、わずか4ヶ月で総辞職することになる。
昭和12年6月1日、組閣の大命は貴族院議長・近衛文麿に降下する。近衛首相の出現に、軍部も政党も、右翼も左翼も歓迎した。近衛内閣は国民の期待に応え、次々と新施策を打ち出し、国民の政治情勢が安定しかけた7月7日夜、中国北京郊外の「蘆溝橋」で日本軍と中国軍の衝突事件が起こった。自体は予想を超えて拡大し、「北支事変」は9月2日には「支那事変」と呼称することになり、宣戦布告なき戦争へ向かっていく。
戦況が拡大する中で、独の仲介で和平の動きもあったが、昭和13年1月16日、近衛首相が「国民政府をを相手にせず」の声明により国際社会の批判を浴び、戦争への道を加速させた。事態を悪化させたのは、軍部の政治干渉であったが、政党側にも問題があった。
生命を賭けて軍部と戦った政治家もいたが、進んで軍部に迎合していった政党人もいた。問題は無産政党にもあった。社会大衆党が次第に右旋回し、国家社会主義的傾向を強める軍部に協調するようになる。また、反戦を主張する合法左翼や自由主義者に対する弾圧が行われた。
この時期、議会の機能が劣化していたことを証明する話がある。非常時体制に対処するため、第73回議会に「国会総動員法案」や「電力管理法案」などが提出された。政府が国民生活を強く統制するもので、憲法に違反し、立法事項を勅令に委任するという立法史上異例のものであった。
国家総動員法案を審議する特別委員会で、陸軍中佐・佐藤賢了が特別委員に「だまれ!!」と暴言を吐き問題となった。佐藤の身分が議論となり、委員長が「説明員だ」と発言し、以後、議会で各省の課長クラスが発言できる慣行となった。この時期から新聞報道も劣化し、政府や軍部への批判力を失っていく。
支那事変の和平への道が閉ざされていくなか、昭和14年1月4日、近衛首相は突然に総辞職の決意を発表する。その理由は、軍部を抑えるには既成政党と異なった国民組織が必要ということであった。近衛内閣の後継は、それまで避けてきた右翼の首領平沼騏一郎が就任、日独伊同盟に進んでいく。
ところが8月に独ソ不可侵条約が締結され、狼狽した平沼首相は総辞職する。後継に阿部信行陸軍大将が9月1日に就任するが、翌々日英仏が対独宣戦を布告して第二次世界大戦が勃発する。欧州戦争による物価の騰貴、対米交渉に失敗し翌15年1月には阿部内閣は総辞職する。1月16日米内光政元海相が後継となるが、独との同盟を進める陸軍により総辞職に追い込まれる。
7月22日、第二次近衛内閣が成立し、新体制「大政翼賛会」を発足させる。各政党は先を争って解党して参加する。政友会の鳩山派ほか一部がこれに参加しなかった。その中で9月27日、日独伊同盟条約が調印される。
11月29日には、帝国議会開設50年記念式典が行われた。12月には近衛新体制で第76回議会が召集される。大政翼賛会に参加した衆院議員435名で「衆院議員倶楽部」が結成された。不参加議員が7名いた。欠員24名で98％が参加した。一国一党である。日本での議会政治は姿を消すことになる。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます（表示まで20秒程度時間がかかります。）
- 平野貞夫：わかりやすい国会の話［第1４、第１５回］昭和時代の議会政治（１）（２）（Infoseek 内憂外患） クマのプーさん 2010/6/22 10:06:59
(0)
▲このページのＴＯＰへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・ＮＨＫ89掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。