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第2部
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投稿者 宮島鹿おやじ 日時 2011 年 6 月 26 日 18:53:02: NqHa.4ewCUAIk
 

(回答先: 名古屋大学 沢田昭二名誉教授 IWJインタビュー全文聞き起こし 〜国民必読 原子力問題の必修科目〜 投稿者 宮島鹿おやじ 日時 2011 年 6 月 26 日 18:49:31)

<きのこ雲の下から発想する 当事者性の問題> 00:51:52

沢田氏「ま、そういうことで、不思議な、僕は素粒子物理学という湯川先生などと同じ研究をやってきたわけですけど、ま、定年退職をしてさっきのような裁判にかかわるようになって、やっぱりそれは明らかにする責任があるなと思ったものですから、というのは、被爆者だ、というのもありまして、被爆者は『きのこ雲の下から発想する』わけです。他の科学者は『きのこ雲の上から考える』という、これは、パグウォッシュ会議などでも、これまで核兵器をなくそうと一緒に一生懸命議論してきた物理学者らなんかに、広島で1995年に初めてパグウォッシュ会議というのが開かれて、で、原爆資料館なんかに連れて行ったんですね。で、彼らは皆、資料館見て、頭を抱えているわけです。『自分たちは核兵器の禁止の問題を一生懸命議論してきたけども、原爆資料館行ってはじめて、きのこ雲の下でどういうことが具体的に起きたのかを初めてリアルに想像できるようになった。自分たちのイマジネーションの力が欠落していたことを今更ながら思い知った。やっぱり我々はあの原子雲の上からしか見ていなかった』だからああいう被曝の実情を見て、原子雲の下から発想しなければいけないと、口々に僕に感想を述べてくれたんですけど。やっぱり被爆者ははじめからあの原子雲の下にいたわけですから、そういう発想で考えるということですね。」

岩上氏「当事者性ということですよね。当事者性の欠落ということと、それから俯瞰する視点というのも、本来そんなものは加工された視点で、はるか天空から見下ろす視点なんて我々は持っているはずが無いのに、頭の中ででっち上げてしまうんですね、そういう視線のありかを。一番恐ろしいことです。」

沢田氏「放射線影響研究者も日本に沢山いて。もう、何十年間もそういう発想で、周りがそういう雰囲気ですから、それに毒されていたということで、せっかくある、いろんな調査結果があるんですけど、そこから引き出そうとする努力をしなかった。」

岩上氏「今、まさに福島第一原発の事故が起こって以降ですね。沢山の学者がテレビ・新聞に出てきて、私から見るとですね、とんでもない発言といいますか、おかしな発言をしている人たちがいっぱい出てきている。そのような人たち、まあ全員が放影研とは言いませんけど、放医研も含め、放影研は放医研の影響というのは非常に大きくて、ICRPのような国際機関と行ったり来たりしている人たちが沢山いる。そういう人たちこそ本当の専門家、オーソリティーと言われ、隣接する学問分野の人たちも、この放射線の影響というものに関しては、この人たちの意見に耳を傾けて影響を受ける、というような中で今回の事故の放射線の影響というものを、過少に、過少に評価しよう、小さく小さく見積もろうとするプロパガンダがですね、宣伝が、延々行われ続けているという印象があるんですね。そういう背景、歴史的な背景がある・・・。」

<シュミッツ=フォイエルヘーケ女史の論文> 00:55:02

沢田氏「はじめて放射線影響研究者が、遠距離の被爆者と、それから近距離の被爆者と、被爆者同士を比較して、ということをちゃんと論文に書いたのが、ブレーメン大学のインゲ・シュミッツ=ホイルへーケさんという女性の科学者が・・・彼女はブレーメン大学の物理学だけども放射線の影響も研究してきた世界的にもすごいすばらしい研究をしてきていろんな賞なんかももらっている人ですけど、今、ヨーロッパ放射線リスク委員会(ECRR)の会長をやってます。彼女がはじめて1980年代に、放射線影響研究所の研究が、被爆者同士を研究している、比べている、とりわけ、当時はまだ、1980年代の初め頃はですね、遠距離被爆者は初期放射線を浴びていないわけです、だから初期放射線をほとんど浴びていない被爆者と、それから入市被爆者を、もっと初期放射線を強く受けた被爆者と比較する研究をやっている。これではだめだということをですね、彼女が初めて、「遠距離被爆者と入市被爆者」を、「日本人平均」と比較したわけです。」

岩上氏「なぜ、この比較の仕方ではだめなんでしょうか。」

沢田氏「というのはですね、遠距離被爆者は・・・、彼女はなぜだめかということを論文に書いたわけです。それは本当に被曝していないのは日本人平均ですよね。被曝していない人と比べないと。」

岩上氏「対照群としてそれはちゃんとした研究にならないと。」

沢田氏「はい。疫学研究という放射線の影響を調べようという疫学研究の場合は、全く放射線を浴びてない人と、放射線を浴びた人がどう違うかということで癌が発症する率がどう変わるかとか、癌による死亡率が変わるかとか、そういうことを研究しないと、研究にならないわけですね。ところが、遠距離の被爆者は放射性降下物の影響を受けている可能性があるわけです。だから、本当はそういう人じゃなくて、全く被曝のない人たちと比べなくてはいけないのに、そういう、まず、放射線影響研究所が比べる対象にしている「遠距離被曝者」を「日本人平均」と比べたわけです。そうすると遠距離被爆者がちゃんと被曝をしている、ということを彼女は見つけたわけです。入市被爆者も早く入市したひとは白血病の発症率が高い、日本人の平均に比べて2倍以上高いということも彼女は見つけているわけですね。それを論文に書いて出そうとしたんですけど、そういう論文は掲載されないんですよ。

岩上氏「どこに掲載されないんですか。」

沢田氏「いろいろな科学雑誌。放射線の影響を発表する論文を何度も投稿したんだけど、拒否されて、仕方が無いから、彼女は『レター』という形、レターという形だとそれは審査なしに載っかるんですね。ということで、初めて彼女は論文をレターで出すことができた。ということが世界中で行われているのです。」

岩上氏「圧力が、日本でも、そういう、非常に、科学というのはニュートラルで中立的なものかと思ったら、実は、政治的な影響を受け、そのパラダイムの中で枠組みの中で研究する、歪められているんですね。でも、世界の中でもそれがあった、アメリカの影響・・・。」

沢田氏「イギリスでもアメリカでも核兵器を持っている国の政府は、『そういう科学者』には、お金を出すけども、そうでない科学者にはお金を出さないということで、結局、世界的に、主に、研究しているのは、そういう核兵器を持っている国の科学者のほうが多いですから、そういう国の科学者もそういうふうになっているわけです。だから世界的に日本だけじゃないんです。だから、国際放射線防護委員会(ICRP)も、そういう、政府に御用が、お声がかかるような学者がだいたい集まっているわけですよね。日本も、放射線防護委員会に推薦されるというのは、厚生労働省が多分推薦しているんだと思います。

岩上氏「なるほど。」

沢田氏「科学者団体が推薦しているんじゃない形になっているわけですね。」

岩上氏「なるほど、本当に、制度的にそういう仕組みになってしまっているわけですね。」

沢田氏「だから、彼女のような研究をやっても、なかなかそれが論文として掲載されない。という彼女のことから僕は・・・。」

岩上氏「これは何年ですか。」

沢田氏「85〜86年だったと思います。この論文は。」

岩上氏「これは、チェルノブイリの影響下で生まれたわけではなく、時期的には極めて近接しているけども、もっと、その前から・・・。」

沢田氏「彼女の動機は『DS86』という、1986年に初期放射線のコンピューターで計算したのが、初めて出来たんですよね。で、広島についての初期放射線の影響についての研究結果が出されるであろうということを予測して、で、そういうことにあわせて、それだけじゃなくって、他の影響もちゃんと考えなくてはいけないよと、気がついたもんだから、それで、初期放射線の影響を受けていない、そういう人たちの放射線影響研究所の研究はどうなっているかと疑問を感じたんですね。それで、そういう、放射線影響研究所の比較する、その、コントロールというんですが、被曝をしてないとして、それと被爆をしている人たちと比べる、そのコントロール自身が被曝をしているということに彼女が気がついて、そのコントロールを本当の被曝をしていない日本人、平均と比較するということを彼女はやったわけですね。そして、死亡率、いろんな癌の種類によって、死亡率はちょっと高い程度なんですけど、発症率がはるかに高い、ということを見つけたわけです。それから、全体の死亡率はですね、そういうコントロールの人たちは、日本人平均より死亡率が低い、ということを彼女は見つけているんですね。それはなぜかというと、コントロールの人たちも原爆手帳をもらっているわけです。そうすると毎年検診があるわけです。癌なんか早く見つかるわけですね。だから死亡率は低くなっている。ということで彼女はそういうことを指摘したわけですね。これは、だから、原爆症認定集団訴訟というのが、2003年から始まるわけです。で、僕は、その集団訴訟が始まるということなもんですから、より放射性降下物の影響をちゃんと調べる必要があると、ということで、先ほど言った、沢山の急性症状の発症率というのがデータ沢山ありますから、でも、その中でも国側が否定できないのが、放射線影響研究所がもっているABCCが1950年前後に調査した結果があるわけですね。その脱毛発症率、を元にして、ほぼ同心円状に影響の区分の・・・ですから、あるだろうと仮定して、研究したわけですね。そして、調べた結果がすごく深刻だということがわかったんですけど。」

<沢田先生の裁判資料 > 01:02:35

(沢田氏、手持ちの資料から「広島急性症状発症率」のグラフを提示)

(沢田氏、『もっと簡単な』別の資料を提示)

沢田氏「これは、放射線影響研究所の前身である、ABCCが、1950年頃にですね、ABCCがこれから調査しようという被爆者集団を、どんな被曝をしているか予め調べておこうということで、脱毛の発症率というのを調べたんですね。爆心地からの距離ごとに、赤い四角が脱毛の発症率です。で、彼らが調べたのを見てもですね、初期放射線というのは2kmでほとんどゼロになるんですけど、それよりも遠いところで脱毛の発症が起こっているわけですね。だけど、放射線影響研究所の人たちは、この四角から遠距離のほうは、これは、『わけのわからない影響』で髪の毛が抜けたと考えて、初期放射線の影響だけ引っ張り出す研究をやっているもんですから、1990年代にストラムと水野という研究者がわざわざこの四角のデータから初期放射線だけ引っ張り出すということをやっているわけです。それが所の方針ですから。で、遠距離のほうはこれは放射線の影響かどうかわからない。と、やっているわけですね。だけど、日本中・・・彼らは遠距離の脱毛は、髪の毛が抜けたのは、精神的なショックで抜けたんではないかという説明をするんですけど、日本の都市という都市が、空襲で焼け野原になっていますよね。ところが、広島・長崎以外では、脱毛という現象が爆心地からの距離とともに段階的に減っていくような、系統的に減っていくようなことは全然見つかっていないわけです。と、するとこれは放射線の影響以外に考えられないですね。で、遠距離だとすると、放射性降下物の影響しか考えられないわけです。だから、これから逆算して、この発症率から降下物による被曝を引っ張り出す必要がある、と、気がついたわけです。で、同じ、放射線影響研究所にいた人、今はもういないんですけど・・・。」

(沢田氏、別の資料を提示)

沢田氏「マウスによる実験をしているんです。この白い小さなマルが、脱毛の発症率ですね。彼らはマウスを使って脱毛の発症率を求めたんです。これも放射線影響研究所がちゃんとやっているわけです。で、これが、正規分布になるというのが、だいたい、常識なもんですから、正規分布でやると、この赤いカーブになるんですが、発症率がわかれば、発症率が10%だったら、被曝線量がイチ、テン、ナニ、シーベルトというのがわかるわけですね。て、ことで、さっきの資料を逆算して調べるわけです。そうすると求めることができて、その結果がですね、」

(沢田氏、別の資料を提示)

沢田氏「爆心地に近い1km以内はですね、もう、沢山の人が死んでしまっているので、あんまりデータがよくないだろうということで、さっきから求めるとこういうカーブが出てくるんですね。これは、近いところは、もろ初期放射線の影響を受けているからすごい推定被曝線量が大きくなるんですけど、4グレイ、グレイとシーベルトは大体同じと考えていいんですけど、4シーベルト浴びると半分の人が亡くなってしまう。」

岩上氏「この間、福島第一原発で4000ミリシーベルト、つまり4シーベルトですね。」

沢田氏「はい、4000ミリシーベルト浴びたら急性症状を起こしますし、半分の方が亡くなるという線量です。」

岩上氏「とてつもない線量ですね。」

沢田氏「まあ、まだその線量を浴びた人は、幸い、いないだろうとおもいますけど。うかつに知らないで、ばぁーっと浴びたら、作業員が浴びたら亡くなる事は起こるだろうと思いますね。ですから1km以内は強い被曝線量を浴びてますから、60日で半分は亡くなるという線量ですね。で、初期放射線の影響を差っぴいてやると、初期放射線は、距離と共に、屋内被曝が主だということで、こういう赤い点線で下がっていって2kmでほとんどゼロですね。だからこの影響を全体から差っぴいてやると、降下物の影響が出てくるわけです。すると、降下物の影響がこう出てきたわけですね。で、初期放射線の影響と降下物の影響が1200mのところで大体同じになるんです。それより遠距離はもう降下物の影響の方が大きいわけです。これまで国が黒い雨で計ったやつ広島・・・地域というんですけど、もうほとんどゼロのところに、これとは(降下物の数値)数十倍の違いがあるんですね。というのがわかったわけです。で、この違いは主に内部被曝の影響が深刻だということを示しているんですね。」

<放射線の影響(電離作用)・外部被曝・内部被曝> 01:08:35

岩上氏「なるほど。つまり、ここで内部被曝とはという話にならざるをえなくなってくるんですけど、体外被曝あるいは外部被曝、どっちがいいのかわかりませんが、外部被曝なのか、それともうひとつ内部被曝、というものは、これは全く作用の仕方が違う、別に考えなければいけない。今も、福島第一原発事故をめぐって大量の情報と報道がなされていますけど、どうも、我々自身も含めてかもしれませんが、混乱しているように思える、内部被曝というものが非常に軽く見られている可能性がある。この点について先生のお考えを伺わせていただきたいんですが。」

沢田氏「外部被曝というのはですね、人間に入ってきたときに、被曝をするときに、電離作用というのが根本なんですね。」

岩上氏「電離作用。それは電気が離れると書くんですね。」

沢田氏「はい。分子、体を作っている生体分子がありますよね。その分子をつくっている原子を結び付けているのが電子の役割ですが、その電子に放射線がエネルギーを与えるわけです。で、エネルギーをもらった電子は、それまで原子の中に結び付けられたのがエネルギーもらったらポンと飛び出しちゃうわけです。そして今まで結びつける役割をしていたものが飛び出していきますから分子がちぎれてしまうということが起こるわけですね。それが電離作用というわけですけど、放射線が持っているエネルギーというのは物凄い、単位でいうと何万電子ボルトとか何百万電子ボルトとか凄いエネルギーを持っているわけですけど、電子が電離作用で飛び出すのはせいぜい、10電子ボルトくらいです。だから一発放射線がやってくると、何百万箇所も電離作用で電子が飛び出していくわけです。切断もそれだけ起こるわけです。起こるんですけどその辺に電子がいますから、また、元の自分のところにつなぎ直す、修復作用。」

岩上氏「修復というのはそうやって行われるんですか。離れている電子をもう一回呼び戻すみたいなことになるわけですね。」

沢田氏「勝手に飛び出した奴は、物凄いエネルギーをもって逃げていくからそれを呼び戻せませんが、体の中に沢山電子がありますから、それを自分のところに引き込んで修復するわけです。」

岩上氏「なるほど。」

沢田氏「また、切れたのをつなぎ直すわけですね。ということをやっているわけです。幸い、すごく沢山切断されるけども、ほとんど元に戻るから、だけど、時々、まちがった修復をするとか修復できなかったりということが起こるわけです。で、そういうことが起こる割合は、切れた場所が近いと間違ってつなぎ直すことが起こりやすくなるわけですね。ということは電離作用をする密度が濃いかばらばらかということが影響違うわけです。透過力が大きいガンマ線は、ポツンポツンポツンと電離作用をしていくわけです。そうすると、エネルギーを失う、電離作用するということはエネルギーを与えるわけですから、自分のエネルギーが減るわけですね。だけど、ポツンポツンとやれば、何時まで経ってもエネルギーがなかなか減らないから、ずーっと透過力が強い、透過していくわけです。ところが、電子、ベータ線というのは電子なんですけど、これはそれに比べれば、集中して電離作用していくわけだから、エネルギーの減り方が早いわけです。それでエネルギーを失って止まるわけです。」

岩上氏「速度とか、あるいは飛ぶ距離とかも影響してくるのですか。」

沢田氏「速度はものすごく速いです。どんな放射線でも速いですから、速度が遅いほど電離作用の密度は高くなります。だからだんだんエネルギーを失ってゆっくりになったら、集中して電離作用を起こすということが起こるんですけど、だけど、もともと重い物ほどゆっくり走りますから、だから、重いものほど集中して電離作用することがわかっていますので、アルファ線というのは、ヘリウムの原子核ですね。で、電気を二つもってますから、余計、電離作用が濃いわけですから、もう、紙一枚通り抜けられないくらいで止まっちゃうんです。皮膚の表面で止まっちゃうのがアルファ線なんですね。ところが、それは、早く止まるということは、集中して電離作用してますから、ミクロのところで見ると、そばで、どんどんどんどん、ぶった切れる、わけですから、誤ってつなぎ直す可能性が急速に増えるわけです。ということで、外部被曝のほうは、透過力の強い放射線が体の中まで入ってきていろいろな影響を与えるわけですけども、内部被曝の場合はそういう放射性物質を体の中に取り込むわけですよね。」

岩上氏「これは、当然、放射性物質というのはいろんな種類があって、その核種というんでしょうか、種類の違いによって、その出す放射線の種類も違う、そこで今お話の出ている、ガンマ線とかアルファ線とかベータ線とか、こういうものの影響の違いというものも、核種の違いによって生じるわけですね。」

沢田氏「はい。その前に、放射性微粒子が体の中に入ってくるんですけど、水に溶けるか溶けないか、油なんかに溶けるか溶けないかと、いうことが、体の中に入ってくると、たとえば呼吸をして、放射性微粒子が5μより大きければ鼻毛にひっかかって中に入ってこないんですけど、5μよりも小さいと肺まで入ってくる。1ミクロンより小さいと、肺胞といって肺の中の袋があるんですが、袋の壁から血管の中に入ることができるわけです。そして、それが血管の中に入ったときに水に溶けやすいものだったら、もうその微粒子はばらばらに溶けて原子・分子のレベルになっちゃうわけです。そうすると原子分子になったものがどういう性質、たとえばヨウ素だったら、甲状腺に集まりやすいとか、それからストロンチウムだったら骨髄なんかに集まりやすいとか、種類によって何処に集まるか変わるんですね。だけど、それが全身をぐるぐる回っている間に、大量に回ってますから、甲状腺に集まりやすいヨウ素なんかが集まる、と、そこで濃縮されて、甲状腺にすごい集中してダメージを与えるわけですよ。それに水に溶けないで壊れないままだと微粒子のまま体の中を回るわけです。で、どっかに付着すると1ミクロンの微粒子といえども、その中に何百万個という放射性の原子核が入っているわけです。と、くっついたところで放射線を浴びせ続けますから、そこはすごく局所的ですけど、被曝をするわけですね。でも、そういう微粒子が大量に体の中に入ってくれば、体中あちこちで被曝をしているわけです。ということでいろんな病気を引き起こすことになるわけですね。ということで、微粒子が水に溶けるか溶けないか、油に溶けるか溶けないかということでも違いがあるわけです。で、その微粒子がどういう元素であるか、ということによっても影響が違うわけですね。まあ、そういうことを内部被曝の場合考えなければいけないんですけど。だから、外部被曝の場合、透過力の強いものが体の中に入ってくるわけですけど、内部被曝の場合、透過力の弱いものが、一番典型的なのは、研究で明らかになったのは、下痢なんです。下痢は、爆心地に近いところでは、脱毛なんかに比べて発症率が低いんです。それは透過力の強いもの、ガンマ線なんかがですね、腸の粘膜まで到達しないと下痢を発症させないわけですね。ところが腸の粘膜は薄いです。そうするとガンマ線は透過力が強いということは、まばらな電離作用しかしないわけです。ということは腸の粘膜薄いですからもうポツンポツンと修復できないやつができる程度で透過してしまうわけです。だから物凄く強いガンマ線でないと腸壁に傷を残すことはできないから、すごい放射線を浴びたとき初めて下痢が起こるわけです。で、国の側なんかも、放射線影響の研究者なんかも、『下痢が起こる線量ということは、人々が半分死ぬ4シーベルトよりも上の10シーベルトくらい浴びないと下痢は発症しないんだ』と、いまだに言い続けています。

岩上氏「はあ・・・(溜息・笑)。いまだに。」

沢田氏「だけど、実は1.5kmの放射性降下物の影響の方が大きいところでは、脱毛や、紫色の斑点が出るよりも、はるかに。発症率が高いんです。下痢は。だから、彼らはそれは、放射線の影響じゃないというんですが、下痢は、今度は、体の中に入ってきたときに、内部被曝だと、透過力の弱いものが集中して影響を与えるわけです。そうすると低い線量でも、発症率が高くなるわけですね。ということが、放射線の影響を調べていくと明白に明らかになるんですね。そういうことを本当は研究者が明らかに・・・。」

岩上氏「これ、先生、ネットなどでも公開している論文ですか、これは、意見書ですね。」

沢田氏「裁判で使った。」

岩上氏「これもネット等で公開されているものですか。」

沢田氏「裁判のやつはあんまり公開されていないですよね。」

岩上氏「これは公開しないようにしているんですか。」

沢田氏「いや、別に大丈夫です。」

岩上氏「これは、我々の方で、たとえば、アップしても構わないですか。」

沢田氏「はい。これ差し上げますので。」

岩上氏「ああ、ありがとうございます。要するにこうやって観て下さった人のなかに、もっときちんと資料を見たいという人もいると思うんですよ。必要な方のために、我々、レファレンスをつけたいと思いますので。」

沢田氏「で、これはですね、川中優子さんという岡山の裁判所で敗訴した人、今、控訴しているんですけど、27の判決では被爆者の側が勝利しているんですけど、唯一岡山地裁が、一人しか原告いなかったこともあるんですけど、全く放射性降下物の影響を考えないで判決をだしているもんですから、今、控訴しているんですね。彼女の場合、4kmで被曝しているんです。4kmだとかなり放射性降下物の影響を受けているのは明白なんですよね。で、これが、先ほど言った、於保源作さんという広島のお医者さんが特に中心地に出入りしなかった、中心地に出入りしますと、残留放射線に影響を受けますから、そうでない被爆者、それから、屋外で被曝すると火傷とかいろんなことでまた病気になる可能性がありますので、屋内被爆者、というふうにいろいろわけて調べているのは、この於保さん以外にいないんですね。すごく貴重なデータなんですね。彼の研究結果でやると、これが、四角が脱毛ですね、マルが紫色の斑点、皮下出血、なんです。ほとんど、脱毛と皮下出血は共通しているんです、距離と共に、同じ振る舞いですよね。ところが下痢は近距離は、三角なんですけど、脱毛なんかよりは発症率が低いわけです。」


(グラフを提示)

沢田氏「脱毛という髪の毛が抜ける場合とか、皮下出血で紫色の斑点ができる場合、は距離と共に全く共通に変化しているんですね。ところが下痢というのは近距離では、そういうものより発症率が低くなっている、ここ、三角の印、ところが遠距離の方が高いわけです。この違いを説明するためには、近距離は初期放射線による外部被曝、これは透過力の強い放射線が腸の粘膜まで傷つける、そのためには大量の放射線を浴びないと起こらないものだから発症率が低くなっているんですね。ところが遠距離の方は、そういう放射性降下物の影響、内部被曝をしていますから、透過力の弱い放射線が影響を与えていると説明することができる、てことになるんですね。こういうことをやったのは僕が初めてなんです。こういう被曝したデータをちゃんと解析すれば、そういう外部被曝、内部被曝の違いはわかるわけなんです。それを全然これまでやってこなかったわけですね。僕は素粒子の研究者でそれまで放射線の影響なんか全然研究しなかった。で、こうやって影響が違う、急性症状の脱毛、紫斑、それから下痢という3種類の放射線の急性症状、これ初期放射線共通なんですけど、降下物の影響、全部違った、急性症状を同じ被曝線量で同時に説明できるというのも見つけ出した。てことで、論文書いて、投稿するんですけど、これを投稿すると、雑誌に掲載すると大混乱が起こる、科学的な拒否の理由じゃなくて、これ、今までと全然違うから、大混乱が起こるから掲載を拒否される。

岩上氏「どこの雑誌ですか。」

沢田氏「これは、オックスフォードが出しているんですね。雑誌なんですけど国際的な。」

岩上氏「なんて名前の雑誌ですか。」

沢田氏「『radiation protection dosimetry』 という雑誌です。さきほどのヨーロッパ放射線リスク委員会の科学者たちも、自分たちが出した論文を毎回拒否されるから、あなたも根気強く投稿しなさい、と、激励してもらいましたけど。(笑)」

<ECRRについて> 01:22:55

岩上氏「ヨーロッパ放射線リスク委員会というのは、ECRRなんですね。」

沢田氏「ECRR。」

岩上氏「ECRRについては、いろいろな形で中傷されます。たとえば私が、ECRRについて、多少でもツイッターなどで触れると、たちまち、多分、まあ、匿名ですけども、おそらくは、少し、専門的な知識をかじっているような人から、つまり、一般の人ではないですね、何かしら少々物を知っているような人がですね、『全くECRRなんてカルトで、これこれの論文で、どれどれで、どうインチキで』とかいう中傷が来るんですね。そういう一つ一つを、あげつらっていてもしょうがない。匿名の中傷ですからね、名を名乗ってきちんとした批判を行うのであればきちんと答える必要はあると思いますが。ただ、とはいえ、こうしたECRRに対する強い非難とか批判というものには、根拠があるのかそれともないのか。このあたりをちょっと知りたいところなんですね。でも、その前提として、先ほどちょっと話しかけになりましたが、さきほどの・・・・立っている先生のお話、お名前が出てきました、ECRRはチェルノブイリ以降、なんといいますか、科学者の集団として形成されたと伺っておりますけども、どういう人たちのどんな集まりなのか、そして、その上でECRRというものを評価するとどう評価できるのか、ちょっとお話をお願いします。」

沢田氏「ECRR、かなり、今、いろんな、個性の強い人も(笑)います。まあ、個性、一生懸命、ああいうところで腰を据えてがんばれないと思いますけど。さきほどの、インゲ・シュミッツホイルヘーケさん、今、会長やっていますけど、その前はアリス・スチュワートさん、彼女は、子供の白血病ということが起こるということを一番最初に、もう、数年前に亡くなりましたが、90代でなくなったんですが、だから、イギリスで、凄い、そういう放射線を真面目に研究した方が前の会長をやっていたわけですね。それから、ロザリー・パーテルさんというカナダの研究者なんかもこれに関わっていらっしゃいまして、彼女はアメリカの核実験に参加した兵士たちの裁判の中で証人になって、裁判を支援する活動なんかもやってらっしゃいますけど、内部被曝の影響について、彼女は凄く丹念に研究しています。そういう僕が尊敬するような素晴らしい研究者が中にたくさん含まれています。」

岩上氏「女性が多いですね。」

沢田氏「女性の方が、そういう影響、自分でちゃんと思っていることを、がんばれるというのがあるのかもわからないですね。」

岩上氏「アメリカで、あるいはヨーロッパという、地域の区分け、ICRPはアメリカの研究者が多い、ECRRはヨーロッパとついているだけに、ヨーロッパの人たちが多いと・・・。」

沢田氏「でもね、以前、2008年に、私は招待されて、ギリシャのレスボス島というところで、エーゲ海大学の環境学部とECRRとが共催で、国際会議を開いた、そこに僕は招待していただいたんですね。今報告したような中身を、そこで、で、チェルノブイリなんかを研究しているロシアや、ウクライナや、ドイツやいろんなところから沢山集まってきていました。そういう連中はすごい、それぞれのところで素晴らしい研究をやっている人たちです。だからECRRを一概にそう批判するのは僕は全然当たらないと思います。そこに集まった人たちが共通に考えていることは、『国際放射線防護委員会(ICRP)は、内部被曝について、ちゃんとまともに考えてこなかった。』ということをみんな共通に認識しています。

岩上氏「反ICRPというふうに単純なくくりじゃなくて。」

沢田氏「じゃないですね。」

岩上氏「批判をするにしても、批判に共通の視座というものがあって、共通の視座というものがあるとするならば、内部被曝についてICRPがまともに考えてこなかった、これ、さきほどのお話を遡ると、一番最初の出発点、広島・長崎の被爆者の緊急調査のときにもアメリカの思惑があって、この放射線の影響を小さく見積もりたい、そういうことが出発点としてあるわけですね。その影響が、今日のICRPにも影響を及ぼしていて、それが放射線の影響が小さく見積もるというさすがに雑駁なことではないけれども、内部被曝について小さく見積もってしまうということなんですね。

<原爆集団訴訟におけるICRP専門委員らの共同意見書> 01:27:45

沢田氏「はい。私がたとえば、長崎で放射性降下物の影響を受けた人たち、しかし被曝をしていないということで原爆手帳をもらえない人たちが今、裁判をおこしています。私が意見書を書いたんです。私が研究した結果を丹念に書いて、出したらそれに対して批判の意見書があるわけですけれども、それを書いた人が鈴木元さんという人ですけど、それに共著者としてずらーっと名前が書いてあるんですけど、ICRPの専門委員とかですね。・・・・」

岩上氏「本当ですね。」

沢田氏「で、この鈴木さんが書いた意見書は、大きな誤りをしているんですね。先ほど僕が紹介した、脱毛の発症率のカーブ。」

(資料を提示)

岩上氏「まず、これが鈴木さんの論文ですね。」

沢田氏「意見書ですね。裁判ですので。」

岩上氏「そして、こういうふうに沢山のICRP関係の方々もいらっしゃると。」

(グラフを提示)

沢田氏「で、一番大きな過ちはですね、これ、距離と共に脱毛が変わるという線なんですけど、鈴木さんは3kmより(先)が1%のバックグラウンド、1%と書いてあるんです。でもそれを引いたら正味の影響だということになるんですね。バックグラウンドというのは、それ以外の原因で起こったものということで差っぴくわけです。でも、1%差っぴくとですね、この辺は1%以下ですから、マイナスになるわけです。」

岩上氏「(笑)。」

沢田氏「この辺は1%より大きいから残っちゃうんですね。でも、初期放射線は2.何キロくらいで終わりなわけですから、もう、全くバックグラウンドで説明できないものが残っちゃうんですね。という変なことが起こるということを鈴木さんは気がつかないといけないんですが、そういうことに気がつかないで、僕の一生懸命批判するために、これを書いているわけです。で、しかも、この間違ったことを書いた意見書に沢山の人が名前を協調者として、ずらーっと連ねているわけです。」

岩上氏「同意するという感じですね。」

沢田氏「はい。だから、おそらく、僕の知っている人も何人かいますから、そういう人たちの名誉のことを考えると、彼らはこれをちゃんと読まないで、厚生労働省から頼まれて、裁判のために名前を貸して欲しいというふうに名前をのっけたんだと僕は善意に解釈している、そうなっちゃうわけです。と、いうぐらい、さっきの、ストラム・ミズノは、一律に引くのはまずいから、ということでいろんな数値を考えて、差っぴいて、初期放射線の影響だけ引っ張るという研究をやっているから、そういう中身について全然理解していない。で、批判をしているわけですね。だから、日本の放射線影響を研究する研究者たちがそういうレベルなのか、自分たちで、こういう事実からいろんなことを引っ張り出すようなことをやった経験がないから、そういうことになるのかなと、すごく、ある意味では情けない感じになっちゃうわけです。」

岩上氏「先生、もしかしたら、厚労省の影響でやったというのであれば、それは端的に言って、知的怠惰、知的不誠実であって、きわめてそういう政治的・行政的な権力に迎合的であるということもいえるし、あるいは、これが本当に純粋に考えてそのようなことだとしたら、まあ、無能というか、あまり頭よろしくないということになっちゃうじゃないですか。」

沢田氏「やっぱり、実践的に、事実から引き出すという。そういうことについて、そういう研究集団全体が、中には真面目な方もいると思いますよ、あの、ポツポツとはね。だけど、影響力は必ずしも持ち得ないけども、そういう真面目な研究者はいると思います。そういう中でポツポツとECRRに属してやる人もいるわけですね。と、いう状況が、今、放射線影響が世界的に、そういうふうになっている、だから、内部被曝、インゲ・ホイルシュミッツヘーケさんが論文に書いているんですけど、もし、放射線影響研究所が、こういう遠距離の被爆者とか、入市被爆者について、被曝線量一般的に少ないわけですけど、そういうことちゃんと丁寧に研究すれば、もっと内部被曝とかそういうことについて、その影響について科学的にいろいろなことが明らかになったであろうにと、論文の中に書いているんです。そういう状況があるわけです。」

岩上氏「これ、あの、日本の研究者たちが怠惰だったのか、そして、政治・行政的な権力に迎合的だったためなのか、それとも、あるいは、それと同時にというべきか、日米共同である、もともとはアメリカが出発点である、アメリカの影響下にあった、占領された中でスタートし、いいなりになってきたとう歴史もあるんでしょう。そういうアメリカの意向を未だに忖度しつづけるような、言葉は悪いですけど『属国根性』のようなものが根っこにあるのか、どっちなんでしょうか。あるいは両方なんでしょうか。」


<日本における原発推進の実相 > 01:33:25

沢田氏「日本学術会議が、科学者の国会といわれているわけですけど、その影響力をどんどん、削いできたのが日本政府のやり方なんですけど。その日本学術会議は、ABCCというさきほどのアメリカが作った被爆者を調査する機関、だけど、日本自身が被爆者のことも考えて、そういう独自の研究、それに対抗できるだけの研究所を作るべきだと、提案をしたんです。だけど、結局、広島大学と長崎に、広島大学に研究所、原爆放射線医科学研究所、長崎は研究所ではなく小さな施設を作るだけにしちゃったんですね。規模も全然小さいわけです。だから、そういうところで研究しようとする人も、放射線影響研究所の研究者と共同してやらないとなかなか思ったような研究ができない、という状況がずっと続いたわけですね。と、いうことで、批判をやろうとしても、批判したら共同研究できなくなる、という状況がありますし、それから放射線影響研究所が日米共同運営になって厚生省、今の厚生労働省がお金をだすということになると、そういう研究をしようと思ったら、そういうところからお金をもらわないとなかなか研究できないわけですね。と、すると、やっぱり、あんまりそれを批判することはできない。と、いう状況にずっと置かれてきて、そして、被爆者同士を研究していると前から日本の科学者の中では批判があったわけです。一番そういう批判があったのが、1977年にNGOの国際被曝問題シンポジウムというのが東京、広島、長崎で開かれたんです。その、シンポジウムの結論として放影研が、ちゃんと、被爆者同士を比べるんじゃない、ちゃんとやりなさいという勧告を作って放射線影響研究所に出したんですけど、結局そういうことをやらなかったんですね。そういう意見をまとめたのが名古屋大学の飯島宗一さんという、名古屋大学と広島大学両方の学長をやられた病理学の専門の方だったんですけど、彼も自分の意見なんかをまとめて書いたりしているんですけど、彼、病理学だから、直接ではないですけど、そういう専門の科学者からも批判はあったんです。あったけど、それを改めようとしない。未だに続いているわけです。」

岩上氏「これは、科学の機関というより、プロパガンダの機関なんだろうなという気がますますしてくるんですけど、さきほどの質問の繰り返しになりますが、これは、日本の政府が、日本の国会に例える日本学術会議ですね、の影響力を削いできた、ま、官僚ですよね、つまり、官僚が主導して、まあ、民主的で、自由に、発想する科学者の集団の意見を、力を削いできた、なんか、政治の世界で起きていることと、なんかものすごく並行的な・・・。」

沢田氏「それが、ちょうど、原子力研究のスタートと絡んでいるんです。」

岩上氏「はぁー。その原子力研究というのは平和利用・・・。つまり原発の」

沢田氏「原発の問題です。日本が1953年頃から、そういう影響をだんだん受けて、54年3月に、中曽根さんと、改進党と自由党と・・・。」

岩上氏「保守合同ですね。」

沢田氏「えー、もうひとつ、なんか・・・、3党が、議員提案で2億5千3百万円ですか(2億3千5百万円の誤りと思われる −投稿者−)、ウラン235とあわせて予算を作ったというのが中曽根さんの説明ですけど、科学者はまだ、原子力をやるのは時期尚早だとして、学術会議は反対したわけですね。だけどそういう意見をだす学術会議を影響力を弱めるという狙いもあって科学技術庁というのを作ったわけです。科学技術庁はどんどん原子力予算を通して出していく、学者なんかの意見はそっちのけで、学者の方はまだ原子力をやるのは早い、と、批判をしていたわけですけど。どんどん進めていったわけですね。その中心になったのが正力松太郎さん。

岩上氏「なるほど。」

沢田氏「彼はCIAの暗証番号をちゃんと貰っているそういう人物なんですね。」

岩上氏「ポダムですね。」

沢田氏「ええ。」

岩上氏「(カメラを向いて)読売の社主です。」

沢田氏「読売の社主。」

岩上氏「日本テレビの創設者。日本テレビというのはCIA、まあ、アメリカのプロパガンダ機関、宣伝機関としてスタートした、間違いないわけですが。」

沢田氏「彼は、富山県から54年に立候補して当選して、すぐ、56年には発足したばかりの原子力委員会の初代の委員長ですよね、それに、発足したばかりの科学技術庁の初代の長官、科学技術庁の長官と、原子力委員会の委員長とを兼ねるというのがそこから始まっているんですけど、それで、どんどんどんどん、日米原子力協定を結んで、アメリカの軽水炉を輸入すると、学者の国会の方は、原子力を利用するときに軍事に利用されてはいけない、ということで、原子力利用の3原則を提唱したんです。」

岩上氏「自主、民主、公開・・・の3原則ですね。」

沢田氏「一応そういう要求をしたものですから、原子力基本法の中にはそれが盛り込まれました。日本で原水爆禁止運動が起こったもんだから、軍事利用はもうあきらめたんだと思うんですね。だけど、自主というと、日本の科学者たちは、日本は地震国であるし、もっと安全性を考えたうえで安全だとわかったうえで始めなさいといったんですが、アメリカが、GEとウエスティングスハウスと、ジェネラルエレクトリックスが原子力潜水艦用に作った軽水炉をスケールアップして作ったものをどんどん日本に輸入したわけです。」

岩上氏「原子力潜水艦用に作った軽水炉?それちょっと、ご説明いただけますか。」

沢田氏「原子力潜水艦というのは。それまでは潜水艦はときどき酸素を供給しなければいけないから浮上しないといけないわけですね。それはすごい潜水艦を移動させるために火力だとか沢山燃やさないといけないから酸素がいるわけですね。ところが原子力だと酸素が要らないから、ずーっと、運転できる、潜ったままおれる、ということで、原子力にノーチラス号というのが作られたんですけど、で、それの後に次々と原子力潜水艦を作ったわけです。それは小さい規模で運転してやろうとすると原子炉を小さくしないといけないんですね。そうすると濃縮ウランを使わないとできないわけです。濃縮するほど小さい原子炉ですむわけです。ということで、今度は、一般の商業用の濃縮ウランを使う、原子炉を作って、それを日本などのいろんな国々に売りつけて、で、アメリカが、イギリスやソ連のほうが先に原子力発電をはじめたものですから、世界の市場の中でアメリカは独占することを考えるために、それを押し付けようという、もとをただせば、アイゼンハワー大統領の、『アトム フォー ピース』の国連の演説なんです、背景はだから、アメリカの濃縮ウラン産業を活性化する、核兵器を持ち続ける、という政策のもとでそういうことやって、日本にも、CIAなんかをやって、中曽根なんかも利用してやったのが日本の原発なんですね。学者たちは、原子力研究所なんかつくったときにイギリスのほうが先にやっているからということで、コルダーホール型という軽水炉でない、・・・。」

岩上氏「何型?」

沢田氏「コルダーホール型、そちらのほうが先に輸入したんですけど、それは実験用として輸入したんですね。だけど、もう、それっきりで、あとは、どんどん、予算をつけて、アメリカから原子炉を輸入する。」

岩上氏「結局、アメリカの国益、と、同時にですね、アメリカの一部、企業や資本の、まあ、『儲け』のために、日本は、あるいは日本の官僚とか、政治家とか、有力なメディア、産業のトップが、要は抱え込まれ買収され、利用されて、アメリカの走狗として走り回って、日本には必ずしも適合的ではない軽水炉を輸入した。」

沢田氏「福島原発1号炉2号炉なんてのは、地震にすごく弱い沸騰水型の、素人が見ても、圧力容器と、下の圧力調整室すごいドーナツ型のやつ、もう、みただけで地震がきたときに違った振動をするから、途中の配管が壊れやすいと、これは、原子核工学の専門家も、これはすぐ事故が起こりますよといっていたわけです。にも、かかわらず、安全だ安全だとやってきたわけですね。だから、今度の福島原発の事故でも一号炉とか、それぞれ全部地震の段階で壊れているんです。」

岩上氏「そうですね。それをひたすら(お二人で声をあわせて)『津波のせいだ』と言っているわけですね」

沢田氏「電源を喪失したから起こったんだと、でも、NHKでも最近明らかにしましたように電源車をちゃんと配置したんだけど、つないでも全然動かない、というのはもともと壊れていたんだから動かないですね。だから、地震で壊れていた。浜岡なんかは震源の真上にあるのに、規制委員会なんかは認めると、信じられないことをやってきているんですね。だから福島原発の事故が他の原子力発電所に波及しないように、ということを配慮して電源が喪失したからだと言ったんだけど、地震が起こってだめになるということは、日本の原子力発電所はほとんどだと。」

岩上氏「なぜ、こんな無茶苦茶なことをやってきたのか。端的に言って、そこから疑問に入ると、ほとんどの人が混乱すると思うんです。先生は、ずーっと、ここまで語られてきたバックグラウンドがあり、原爆の投下から、日本のアメリカの占領、占領の影響下で作られてきた放影研という、科学といっても科学を装いを凝らしたプロパガンダ機関みたいなものがあったり、あるいは日本テレビのようなものがあったり、読売新聞のようなものがあったりして世論形成してきたり、中曽根さんのような政治家が動いたり、正力松太郎のような人が方が・・・、こういうものすごいバックグラウンドをご理解していただけると、多くの人が、ああ、そういうことか、そういう中で、軽水炉が持ち込まれ、福島第一原発のようなかたちで原子炉が・・・、」

沢田氏「日本のような地震国で、適合しないものを、圧力によって、自分たちの『儲け』のために、どんどん、輸入してきたというのが日本の電力会社なんですよね。

岩上氏「これは、その背景に、端的に言って、占領国ニッポンの悲哀といいますか、アメリカのいいなりになってきた、アメリカのご機嫌を損ねないように、いいなりになって日本の国益を損なっても構わないから、アメリカのいうとおり、アメリカの儲けのとおりに動くような官僚、財界人とか政治家とかメディアのトップというのが、この国では出世をしてきた、その結果として、こういう事故が今起こっているわけですね。」

沢田氏「だから、戦争犯罪人だったのを釈放されるという条件でアメリカに恩を着た人たちが、中心で、1950年代、まあ、岸さんが後で首相になったりするわけですね。当時は鳩山さんでしたが、だけど彼も戦犯で釈放されてなったわけですけど、そういうアメリカに弱みを握られた人たちが、1950年代中ごろにそういう原発なんかも含めてやってきて、日米安保条約を結ぶとか、そういう方向でずっときた。それが1950年代中ごろの日本の中心を担った、そして55年体制ができて、それが、ずーっと最近まで続いてきた、そういう状況なんですね。」


岩上氏「今もなお続いているという。」

沢田氏「また大連合なんかになると、まさにそれになっちゃうと思いますけど。『菅降ろし』の背景に何があるのか、ちょっと、わかりませんけど、日本国民としては、そういう・・・。」

岩上氏「ああ、大連立ですね。大連立は、全くもって『絵に書いたような読売』ですから、読売だけじゃないでしょうけど、読売新聞の論説・社説を読んでいけば、まったくもって、今の占領政策の継続にあるような、『震災の復興をTPPでやろう』というようなクレイジー極まりないことを平気で12日くらいの時点で書くわけです。」

沢田氏「国民の立場にたって考えていない、というのが、いまだに続いているし、せっかく自民党が終わって、民主党の政権になったわけですけど、勉強すればするほど、元へ帰る、それは、長い間作られた官僚組織にいろいろ教育されるとそうなっちゃうという構造がずっとあるわけですね。僕は、被爆者の集団訴訟なんかやってて、厚生労働省とつながりがあるわけですね。いろいろと折衝してみると、官僚の考え方が全然変わってないんですよ。裁判で27連敗しても、負けた根本的な理由について理解しようとしないんですよ。未だにこういう反論の意見を、だから、降下物の影響はすごく遠距離でありますよと具体的に示しても認めようとしない。

岩上氏「事実を認めようとしない。科学的な事実を認めない。それは、彼らが、自分たちにとって、自分たちの保身を含め、自分たちが、まあ、ある意味、『国体』だと、戦後の国体だと思うものを守ろうと、護持しようとしているためなんでしょうけど。

沢田氏「だから、今度の原発の事故でね、国民が、やっぱり国民のためになる政治をやっていかなくてはいけないんだというふうに目覚めていただければ、新しい日本がね。東日本を支援しようという声がありますね、心の中にすごく優しい気持ちが日本人の中にあるわけだけど、それを具体化するためには、本当に、政治をよくしていかないといけない。科学者も、事実に基づいて考えていくような科学者が育っていかないといけないと思うんですよね。だけど、日本の研究の研究費の出し方が、すごく、御用学者を作るシステムになっているんですね。実は、あの、こないだ、内閣官房参与を辞められた方がいらっしゃるんですけど、僕、集団訴訟で・・・。」

<小佐古元内閣官房参与について> 01:49:15

岩上氏「小佐古さんのことですか?」

沢田氏「はい、大阪地裁で、僕は証言をしたんです。そのときに、僕の証言の同じ日に国側の証言を、小佐古さんがやったんです。で、裁判官の前で、裁判官は、僕がやった証言と、小佐古さんがやった証言がまったくずれているもんですから、裁判官が質問するの普通ないんですけど、小佐古さんに裁判官がもういっぺん、確認のために質問するが、と言って、で、僕が調べた実験データが、全部、実験データによれば、DS86というのが過小評価になっているというのが明確になっているんだけど、それは確かかと言って、もう、いっぺん、裁判官が聞いたわけですね。それに対しては、明確に反論できないから、結局、裁判官は僕が言ったことを正しいと判断したんだろうと思いますね。と、同時にですね、弁護団が、小佐古さんがどういう研究をやってきたか調べたんです。5年前にも松谷さんのときに証言をやっている、この5年間に、どういう研究をやっているかという、毎年、何百万円という厚生労働省から科学研究補助金を代表者としてもらっているわけです。そのテーマにふさわしい論文を書いているかとチェックしたら、一つも書いていないわけです。そして、もらったお金を共同研究者に配分するわけですね。これ(裁判意見書)に名を連ねている人たちですね。そして、配分している人たちから、どういった研究成果をもらったかというと、一つももらっていないと答えたわけです。・・・。」

岩上氏「これは、誰がそう答えたんですか。」

沢田氏「小佐古さん。本人が、『厚生労働省から毎年お金をもらっているんだけど、もらっているのにふさわしいテーマの研究論文をやってない、書いてない、それから、共同研究者からも研究成果をもらっていない』ということを、ちゃんと裁判の中で答えているわけです。それは裁判記録にちゃんと載っかっていると思うんですけど。そして、さらに、どういう被曝線量について、質問したんですね。で、自分は放射線測定のほうの専門家で、被曝したときにどういう病気になるかというそっちのほうは、大事な問題だけど、自分は、そっちの専門家じゃないから答えられないと、答えたんですね。と、言う人が、このあいだ、20ミリシーベルトはダメだと言ってやめたわけですよね。だから、僕は彼が涙を流してやめた理由が理解できないんですよ。」

岩上氏「はははは。なぁるぅほぉどぉ。」

沢田氏「僕はおそらく、彼は電力会社に、いろんなお金を貰って、原発は安全だ安全だという講演をして回って歩いてきたわけですよね。今、多分、電力会社、東電と政府の間でかなりぎくしゃくしてきていると思うんですよね。浜岡原発をストップさせる二日前か三日前に彼はやめたわけです。と、いうことは、内閣官房参与なんてところで、浜岡をストップさせるかどうかという議論があったと思うんですね。で、自分がやってきたことと違うわけですよね。彼は電力会社のほうに偏っているんだろうと思うんですけど、そうすると、電力会社の関係と政府の間のぎくしゃくが出てくる。その前にやめた方がいいと判断したんじゃないかな、というのが僕の憶測なんですけどね。」

岩上氏「かなり政治的な判断ですね。」

沢田氏「で、その後、僕はいろんな人に聞かれたもんだから、是非、彼に20ミリシーベルトの根拠を科学的に取り直してみたらどうですかと、もともと、20ミリシーベルトに根拠は無いですから、科学的に。妥協の産物みたいなもんですからね。だから、答えられないかもわからないし、そういうこと、正直に彼が答えるかというのも関心があったので、ところが記者会見、彼は・・・しちゃったんですよね。」

岩上氏「やらないですね。」

沢田氏「近いうちにやるという話もチラッと聞いたんですけど。」

岩上氏「あの、最初に、やめるということを発表された記者会見のときに、民主党の空元さんという議員が、まあ、お弟子筋の方が、同席されて、全部その人が答えたんですね。私も一回空元さんに、こういう形でインタビューさせてもらいました。私が全部、小佐古さんの考えを代弁をしますと、小佐古さん自身はお答えにならない。まあ、空元さんと小佐古さんの考えが、本当に一致しているのかどうかも我々としては確認できないんですけど、とはいえ、そう称して、空元さんが語ること、小佐古さんがやめてくれと言ってこない限りは是認しているんだろうと、いうふうに思うんですけども、でも、不思議な感じだなあとは思っていました。」

沢田氏「彼はね、東京大学の原子核研究所に助手でいたんですね。その頃に、共同研究なんですけど、東京大学の原子核研究所が、ちょっと、事故を起こして、中性子がわぁーっと出たんですね。中性子というのはいろんなところに広がっていくわけです。そういう論文を書いたんです。」

岩上氏「え、事故についての、自分のところの事故についてですか。」

沢田氏「ええ、いろいろ書いたの。中性子がどういうふうに広がっていくかとか、」

岩上氏「なんでもネタになりますね。うははははは。自分のところで起こした事故だったのに。それは、空元さんが書いたのではなくて、小佐古さんが。」

沢田氏「小佐古さんがまだ助教だから、若い頃ですね。」

岩上氏「なるほど。」

沢田氏「と、いう論文書いたのを知っているんです。で、その後、彼は、東京大学のほうに移って、どんな研究をやっていたかは知らないんですけど。で、だんだん、御用学者的なことになっていったんだと思いますけど。だから、研究面としてはあんまり、そのあとの研究、彼、どういうことをやったかというのは、そんなに有名な研究はないように思うんですけど。」

岩上氏「でも、ICRPの委員になってたりして。

沢田氏「だから、これは、厚生省にお金をもらって、いろんな電力会社なんかにやってきたということが評価されて、委員に推薦されたんだと思いますね。で、60歳で東京大学定年になるときには、彼はまだ、助教授のままだったんですよね。だから、あんまり、東京大学の中では評価されないで教授になれないでいたんだと思うんです。で、だけど、東京大学に新しい何かができたから、そっちに移って、教授になれて、そして、いろんなところで、また、活躍できるようになったんだと思います。でも、彼がどういう研究やったかという有名な仕事はなかなか、目にあたらないんですけど。」

岩上氏「斑目さんは。今、原子力安全委員会の委員長として、まあ『ご活躍』されているんですけど。ご存知ですか」

沢田氏「僕、あんまり、彼は知らないです。」

岩上氏「ああ、そうなんですか。」

沢田氏「小佐古さんは裁判を通じたり、東京大学の原子核研究所にいたということもあって知っているわけですけど。」
 

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コメント
 
01. 2011年6月27日 10:33:05: 7jY4J1TYD6
放射能の内部被曝も恐いですが、人間社会で「お金を与える人」の意向で社会が形成されてることも恐いですね。

特に大衆から税金を徴収し、それを自分の意向に沿った人に配分するなんて、配分された人はまるで餌を貰っているペット犬ですね。

ペット犬の集団が、政権、官僚、マスコミ(TV,新聞)なんですね。

「人間として生まれ、ペットとして生活する」

 何のために人間として生まれたんでしょうね???????????


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