クリントン政権で北との交渉を担当したウェンディ・ルース・シャーマン政務次官

　イランの核問題は北朝鮮の核問題とも密接な関係がある。交渉のプロセスが似ていることに加え、双方が「核技術協力コネクション」を稼働させているからだ。

　米国とイランとの核交渉で米国の実務代表を務めるウェンディ・シャーマン国務省政務次官は、かつてのクリントン政権末期に米国の対北朝鮮政策を担当し、北朝鮮の核開発とミサイル開発を阻止するための交渉に臨んだ人物だ。対北朝鮮政策調整官、米朝ミサイル交渉代表などを歴任したシャーマン氏は、当時のオルブライト国務長官と共に平壌を訪問するなど、米朝関係正常化の先頭に立ち、クリントン大統領の北朝鮮訪問まで推進していた。この当時積み上げた「ならず者国家との交渉ノウハウ」が今回発揮されているとする評価の声も出ているが、米国の外交専門誌『フォーリンポリシー』は「シャーマン氏は北朝鮮に不意打ちを食わされた経験があるため、イランとの交渉は非常に慎重だ」との見方を示している。

　米議会などではイランに対する経済制裁の解除を急ぐ動きを警戒する声が出ているが、これは要するに「北朝鮮」という苦い経験があるからだ。イランが北朝鮮のように「核開発の放棄」を表明し、その見返りとしてさまざまな形の代償を手にしながらも、裏では引き続き核開発を進める恐れがあるというのだ。共和党サウスカロライナ州選出のリンジー・グレイアム上院議員はCNNのテレビ番組に出演した際「われわれはイランで北朝鮮と同じような状況に陥らないか心配している」と述べた。

　イランと北朝鮮はこれまで、それぞれが優位にあるとされるミサイル技術と核関連技術を交換しながら協力を進めてきたとみられている。昨年、北朝鮮の金永南（キム・ヨンナム）最高人民会議常任委員長がイランを訪問した際、北朝鮮とイランは核兵器開発分野での協力強化を主な内容とする協定を締結した。

　イランとの交渉はいかなる形であれ6カ国協議にも影響を及ぼしそうだ。オバマ政権はイランとの交渉で何らかの進展を引き出した場合、その自信を持ってもう一つの頭痛の種である北朝鮮の核問題にも積極的に取り組む可能性もある。もしイランが実際に核を放棄すれば、北朝鮮との核交渉で「イラン・モデル」という新たな方向性が設定されるとの見方もある。

ワシントン＝ イム・ミンヒョク特派員

朝鮮日報／朝鮮日報日本語版

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