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ワーキングクラスの被抑圧者たち 第一回 富士ゼロックス「障がい者は用済み」解雇の実態 「『会社に残りたい』は寝言」
http://www.asyura2.com/12/hasan77/msg/815.html
投稿者 MR 日時 2012 年 10 月 05 日 01:29:35: cT5Wxjlo3Xe3.
 

(回答先: 「40歳定年」時代、中高年の「生き残り力」   離職率を隠す企業の事情とは? 行政書士の6割が所得ゼロ 弁護士ニート  投稿者 MR 日時 2012 年 10 月 05 日 01:09:14)

パワハラ, 富士ゼロックス, 障がい者採用 闘うジャーナリスト・佐々木奎一がゆく! 

ワーキングクラスの被抑圧者たち 第一回 富士ゼロックス「障がい者は用済み」解雇の実態
2012.05.02


障がい者採用や社員のボランティア活動などに積極的な富士
ゼロックス、というイメージ。(同社HPより)

 ニュースサイト「マイニュースジャパン」を中心に、企業のパワハラ問題や労働争議を追いかけ、常に弱者の立場にたった取材を続けるジャーナリストの佐々木奎一。独自のルートで取材した、企業裁判のか中にある人々の声を世間に届ける!
 パワハラが蔓延しているといわれて久しい。あまり知られていないが、実は名の知れた大企業でも、それは横行している。例えば「社員に優しい」という社風で有名なカラー複合機大手の富士ゼロックス(以下、富士ゼロ)である。

 D氏(30代後半、男性)は2009年夏に富士ゼロに入社した。内臓の病気を患っており、障がい者雇用での入社だった。入社を決めた最大の動機は、富士ゼロは障がい者に優しいということで有名だったことと、フレックスタイム制度での採用だったことだった。

 D氏の配属先は東京都中央区にある支店だった。そこには約50人の社員がいた。D氏は3カ月間の試用期間を経て、晴れて正社員となり、大手企業に対するコピー機の営業を担当することになった。実はD氏は、前職で営業に関連する仕事に従事していたため、自信があったという。

「10日で40件の契約を結びました。数字がおもしろいように出て、すごくやりがいを感じました」とD氏は言う。もちろん、ほかの社員はそんなに契約は取れない。つまり、D氏は新人にもかかわらず突出して目立って仕事ができたわけである。ところがその直後、異変が起きた。

 ある日出勤すると、突然上司から呼び出しを受け、「本社の人事部に行け」と言われた。本社には人事部3人が待ち構えていて、人事部のH氏という男性が、こう切り出した。

「社外の女性からクレームが入りました。つきましては、入社後、社外で二人きりで会った女性の、名前、所属、住所を全て、会社に提出して下さい」

 H氏によるとそのクレームというのは、セクハラ行為に関する匿名の怪文書だというのだが、身に覚えのないD氏は「さっぱりわかりません」と反論。だが、「とりあえず調査するので、全部、教えて下さい」と言われたのだという。

 そこで「(業務上の)クレーム処理には全面的に協力しますが、クレームと関係ないことは聞かれたくありません」と言ったが、「ダメです。社員は会社に、プライベートのことを全て伝えなくてはいけません。これは業務命令です」とされた。

 その後、1カ月間にわたり、プライベートで会ったのはこういう女性です、という文書を作成し、その都度、人事部から「いつ、どこで、誰が、何を、どうしたということがはっきりとわかるように、5W1Hで記入するよう、改めて指示します」などと言われ、何度も書き直しを命じられた。しかもD氏の作成した文書は「顛末書」と位置づけられていた。D氏は営業も禁じられ、ひたすら顛末書を書かされ続けた。

 D氏に対する仕打ちは、これだけではない。執拗な"取り調べ"が終わった矢先に、会社側は持病のあるD氏にとって生命線でもあるフレックス制の禁止を命じてきたのだった。

その後、富士ゼロのパワハラはさらにエスカレートしていく。D氏は営業という本来の仕事を取り上げられたまま、オフィス内の「植木の水やり」や「ゴミ箱管理」「ポスター貼り」といった「屈辱的な雑用」(D氏)を命じられるようになっていったのだという。
 このような日々が続き、D氏はたまらず支店長に相談した。すると、10年4月から「NB第三支店」(当時は新宿区、現在は中野区)という、リストラ要員が送り込まれる部署に左遷させられてしまった。

「富士ゼロックスは収益悪化を理由に、2008年に2千人のリストラを行いました。このリストラの時、辞めなかった中高年 だけ集めたのが、『NB第3支店』です。社内では"ゴミ捨て場"と呼ばれていて、ゼロックスの支店のなかで唯一、新卒が配属されない部署、と噂されていま した。NB第3支店には約50人の社員がいて五つのグループに分かれていました。ここの社員の多くは元理系の有名大の博士号取得者たちなのですが、畑違い の営業職をやらされているので、社員たちは『もとの部署に戻りたい』とさかんにグチをこぼしていました」(D氏)

 このNB第三支店でD氏は一日20社近く営業して、契約を取ってきた。すると1週間後、突然、営業禁止にさせられたという。「おそらく、成績 を出すと辞めさせることができなくなってしまうからだと思います」とD氏は語る。いうまでもなく仕事を取り上げるのは、典型的なパワハラの手口の一つである。

"パワハラ"との闘いは続く......

 そして同年夏、人事部のT氏から「身障者としては用済みですよ」などと罵倒され、ついに解雇された。表向きの解雇事由は「入社後における業績が極めて低く、且つ、再教育の結果でも改善されず、今後当社内での業務遂行に期待が持てない」「職場の 変更も実施し、環境改善を行ったが、会社の期待に答える改善がされない」「上司等の再三の注意を促すも反省の態度が見られず、改善が行われない」などと いった事由だった。しかも、人事部は、退職願を書かなければ失業給付をもらえない、とウソの説明をして、退職願を書くよう何度も迫った。

 D氏は解雇後、無職のままで、貯金を食いつぶしながら、「解雇無効」と「損害賠償」の訴えを起こすべく裁判の準備を進め、今年2月、ついに東京地裁に提訴した。訴えの内容は、富士ゼロ社長の山本忠人氏と人事部の社員など計7人に対し、「地位保全の確認」、つまり、職場への復帰と、未払い賃金約1400万円、慰謝料として計600万円、合計2007万7476円分を求めるというもの。

 このパワハラ事件について、富士ゼロ本社広報部は「係争中の案件なので回答はできません」というのみ。


 ちなみに、裁判資料によると、法廷では、富士ゼロ側は、個人情報を根堀り葉掘り聞いたことについては「セクハラを受けたという事実確認以外の目的では聞いていない。日時を確認したが、その射程を超えて、プライベートを詮索する目的はなかった」と反論。また、リストラ部署については「NB第三支店は、中高年の従業員が多いわけではない」と主張。障がい者を侮辱する発言については「一定のやり取りがあったことは認めるが、その余は否認する」と、主張をした。
 さらに「退職届を書かなければ失業給付がもらえない」と言ったことについては「離職するのに必要な書類提出を求めたに過ぎない。退職願の提出を強要した事実はない」と言い、フレックス禁止についても否定した。要するに、富士ゼロはD氏の訴えを全否定しているが、一方でD氏は、いずれも証拠となる書類や音源を持っているという。

 こうした"一方的なパワハラは、本当に起こったのだろうか?" 裁判についてD氏は「ますます怒りが増しています。社会で虐げられている人の代表として、闘っていきたい」と意気込みを語っている。富士ゼロ側の返答がない以上、今後の成り行きに注目したい。

 なお、このパワハラ事件の詳細はネットサイト・マイニュースジャパンの記事「富士ゼロでパワハラの嵐 『障害者は用済み』宣告で解雇の内幕」、「富士ゼロ『リストラ支店』の実態 対象者集めた"ゴミ捨て場"で退職願まで強要の全内幕」を見てほしい。
(文=佐々木奎一/ジャーナリスト)

●佐々木奎一(ささき・けいいち)
「My News Japan」を中心に、「別冊宝島」や「SAPIO」「週刊ポスト」などで執筆する ジャーナリスト。企業のパワハラや不当解雇などの労働問題を中心に、政治家の利権や原発問題に絡むメディアの問題なども取材をする。これまでに、「キユーピー」のパワハラ問題の追及や大企業の障害支社雇用に関する問題提起、バンダ イナムコの社員うつ病問題などを追求して話題となっている。

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http://biz-journal.jp/2012/05/post_79.html

富士ゼロでパワハラの嵐 「障害者は用済み」宣告で解雇の内幕
佐々木奎一
09:41 07/15 2011
 


画像1: 富士ゼロックス社員D氏の解雇理由書。「業績が極めて低く」などとあるが、むしろD氏は営業成績が突出してよかった(営業を禁止されたので成績が上がるはずがない)。ちなみに解雇理由には会社ぐるみのパワハラについては一切触れていない

 富士ゼロックスに2009年、障がい者雇用で入社したD氏は、営業で成果を上げていたにもかかわらず、「社外でセクハラをした」などという嫌疑を根拠も示さずにかけられ営業禁止になり、以後、プライベートで会った人の個人情報を一カ月間に渡って徹底的に調べ上げられた。その後、フレックス勤務での採用にもかかわらず突然、フレックス禁止を命じられ、挙句、植木の水やりやゴミ箱管理などの雑用を命じられ、最後には人事部に“障がい者は用済み”と罵倒されて、昨年、解雇された。現在は解雇撤回などを求める訴訟準備を進めている。「障がい者に優しい」という美辞麗句を売りにしているブラック企業・富士ゼロの内幕を詳細にレポートする。
【Digest】
◇“障害者は用済み”音源公開
◇ゴミ箱の中身をチェックする上司
◇「プライベート情報を全て報告せよ」
◇フレックスタイムを突然禁止
◇障害者を罵倒する人事部
→富士ゼロ「リストラ支店」の実態
◇“障害者は用済み”音源公開
 この音源は、D氏(30代後半男性、本人希望により名前・写真は伏せる)が富士ゼロックスから解雇通告を受けた後、同社人事部T氏と交わした話し合った際の、会話の一部分である。Tは、D氏のことを“障害者として用済み”と断定し、机をバンバン叩いて「悪いけどあなた理解力がないんだよ」などと罵倒。“用済み”発言を謝罪してほしい、と訴えるD氏に対し「こちらが謝罪してもらいたいくらいだ」との暴言も吐いた。
 →音源ファイル
 (説明テキスト)
人事部T氏 会社は4で採用したんだよと言ってるだけよ。それが何で6に変わったのかを言ってるだけよ
D氏 変わったというのが間違いですね。4がなくなって新たな・・・

T だから、何度も同じこと言わせんなよ。会社は4の資格でとったんですと。

D なくなったら用済みだってことですか

T そうだよ。

D 障害がなくなったら…それというのは、労働者としては喜ばしいことであの…

T いや、だけど、会社は身障者でとったんだからその基準がなくなったんだから、どうしようかっていうだけの話よ。
(以下つづく)


◇ゴミ箱の中身をチェックする上司
 D氏は2009年夏に富士ゼロに入社した。D氏は内臓の病気を患っており、はた目からは分からないが、障がい者雇用での入社だった。

 富士ゼロは障がい者に優しいということで有名だったことと、フレックスタイム制度での採用だったことが、D氏が富士ゼロに入社を決めた最大の理由だった。

 「東京ミッドタウンの本社を見たときは、こんなきれいなところで働けるのかと思いました」とD氏は回想する。

 だが、そんな淡い期待は、ほどなくして崩壊することになる。

 D氏の配属先は、中央区にある支店だった。その支店には約50人の社員がいて、D氏は大手企業に対するコピー機の営業を担当した。

 はじめの三カ月間は試用期間で、50歳前後の先輩の上司(以下、先輩)が教えることなった。D氏はこう語る。

 「その先輩は、オフィス内でわたしが先輩の後ろを通っただけで、『うしろを通るな! 』と怒鳴りつけたり、わたしのゴミ箱の中身をチェックして『こんなもの捨てるんじゃねえ! 』と突然怒りだしたこともあります。自宅で印刷した書類を捨てただけなんですけど、『仕事と関係ないだろ!! 』と激怒するんです。ふつうゴミ箱はチェックしないですよね…他の社員が同じことをしても何も言わないんですよ。わたしにだけ、怒るんです」

 しかも、その様子を、ほかの社員たちは見て見ぬふりをしていた。だがそれは、後述するパワハラの嵐≠ノ比べれば、嵐の前の静けさに等しい。

 そんな試用期間を経て、秋ごろ、D氏は正式な社員となり、一人で営業を回り始めた。実はD氏は、前職で営業に関連する仕事に従事していたため、営業には自信があった。実際、当初は順調だったという。

 「10日で40件の契約を結びました。数字がおもしろいように出て、すごいやりがいを感じました」

 無論、ほかの社員は10日で40件も契約は取れない。D氏は突出して目立っていた。災いが押し寄せてきたのは、そのさなかだった。

◇「プライベート情報を全て報告せよ」
 正社員となり約10日後の朝、D氏は出勤すると、突然、上司から呼び出しを受け、「本社の人事部に行け」と言われた。本社に着くと、会議室に呼ばれた。そこには人事部の三人が待ち構えていて、D氏が席に着くと、Hという男性が、こう切り出した。

 「社外の女性からクレームが入りました。つきましては、入社後、社外で二人きりで会った女性の、名前、所属、住所を全て、会社に提出して下さい」

 D氏は「何の事ですか? クレームを受けるようなことをしていません」というと「よく考えて下さい」。Hによると、クレームというのは通報した女性に対するセクハラ行為に関するものだというのだが、身に覚えのないD氏は「さっぱりわかりません」と反論した。すると、Hは「とりあえず調査するので、全部、教えてください」と言い、こう要求してきた。

 「どこで知り合ったか、いつ、どこで会ったのか、どこの店に入り、何をしゃべったのか、いくらお金を払ったのか、二次会はどこへ行ったのか、全部教えてください」

 それを聞いたD氏は「わたしはクレーム処理には全面的に協力しますが、クレームと関係ないことは聞かれたくありません」というと、「ダメです。社員は会社に、プライベートのことを全て伝えなくてはいけません。これは業務命令です」という。


画像2: プライベートで会った人の個人情報を書くよう命じた文書。記入事項は箇条書きで19項目に上る
 「業務命令」といわれては従わざるを得ない。D氏はしぶしぶ引き下がり、支店に戻った.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。


画像3: 富士ゼロのコンプライアンス宣言。「ハラスメントの禁止」「プライバシーの保護」などを謳っているが、実像は真逆のブラック企業である

画像4: フレックス禁止を命じる警告書。文中の12月28日に、自分の判断で勝手に行った時間外業務とは、忘年会があるので残るよう上司に言われた時のことを言っている

画像5: 富士ゼロの「障がい者雇用の基本方針」。実態とは正反対のキレイゴトの文言が並ぶ



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障害者を解雇するとき

職業安定所に届け出る
事業主は、障害者である労働者を解雇するときは、「労働者の責めに帰す理由」による場合と天災などやむを得ない理由で事業継続が不可能となった場合を除き、解雇する旨を公共職業安定所長に届出なければならないことになっています。(障害者雇用法80条1項、同法施行規則42条、43条)

なお、傷病やその治癒後の障害のための労働能力の損失については、解雇の合理的理由になると解されています。


届け出る内容
解雇する障害者である労働者の氏名、性別、年齢及び住所
解雇する障害者である労働者が従事していた職種
解雇の年月日及び理由
http://www.mykomon.biz/seido/shogai/shogai_kaiko.html

 

闘うジャーナリスト・佐々木奎一がゆく! ワーキングクラスの被抑圧者たち 第二回
「『会社に残りたい』は寝言」富士ゼロ"脅迫"解雇事件の闇
2012.05.25


新製品はパワハラ?(「富士ゼロックス」HPより)

 ニュースサイト「マイニュースジャパン」を中心に、企業のパワハラ問題や労働争議を追いかけ、常に弱者の立場にたった取材を続けるジャーナリストの佐々木奎一。独自のルートで取材した、企業裁判のか中にある人々の声を世間に届ける!
 富士ゼロックス(以下、富士ゼロ)でパワハラに遭いクビを宣告されたD氏(30代後半、男性)の件は前回報告した通りだが、被害者はほかにもいる。被害に遭ったのはAさん(40代前半、女性)である。Aさんは1980年代後半に短大卒業後、富士ゼロックスに入社。以後、20年以上にわたって同社で勤務してきた。

 そんなAさんに災いが降りかかったのは、09年1月初旬のこと。突然、人事部Y氏に、会議室に呼び出され、説明もなくこう聞かれた。

 「昨年12月26日の朝は、どこにいたの?」

 Aさんは理由もわからないまま、「(同社のオフィスがある、六本木の)東京ミッドタウンにいました」と答えた。しかし、数週間後、また会議室に呼ばれて「12月26日の朝は、本当はどこにいたのか? 入り口ゲートの記録を調べれば、すべてわかる」と問いただされた。

 富士ゼロのオフィスの出入り口ゲートは、ICチップ社員証で開閉する。その時の入館、出館の時刻は、自動的に記録される仕組みになっている。そして、富士ゼロの社員は、自らの出勤、退勤の時刻を、社内ネットワークシステム上に自分で入力することになっている。要するに自己申告制である。これを基に賃金が算出されるようになっている。

 当時Aさんは、部署異動に伴う引き継ぎで、それまでの仕事場であった如水会館ビル(千代田区神保町)と、新しい職場となった東京ミッドタウンを行ったり来たりしていた。両オフィスは、地下鉄で片道約30分の距離である。

 そして、人事部によると、Aさんは12月26日の朝「東京ミッドタウンに午前9時31分に出勤」と申告しているが、入り口ゲートの記録では「如水会館に午前10時18分に入館」となっているという。その47分の食い違いを、人事部は問いただしたわけである。

 Aさんによれば、齟齬が生じた理由は、その日は東京ミッドタウンに忘れ物があったので朝立ち寄ったものの、電車の遅延や駅構内の混雑で時間がなかったので、建物の入り口前で引き返し、如水会館に向かったのだという。そして、出勤時間を午前9時31分としたのは、東京ミッドタウンの入り口前に9時半過ぎに来ていたことから、出社したことにしてしまえ、という甘えが生じてしまったのだという。

 これを人事部は、「出社時間の虚偽入力」と指摘し、顛末書を提出させた。だがこれは、その後に続く強制解雇劇への序章でしかなかった。

 翌2月18日昼ごろ、外出中のAさんはY氏から「面談をするので、会議室に至急来てくれ」と電話で呼び出しを受けた。会議室に行くと、初対面の男性が待機しており、人事部規律チームのI氏とH氏という人物だった。(ちなみにH氏は、D氏のパワハラ解雇事件の主要人物の一人)

 I氏とH氏は、Aさんの出退勤時刻と、入り口ゲートの入室、退室時間を調べ上げ、計数十回も不一致があったと指摘してきた。その時の様子をAさんはこう語っている。
 「終始、まるでドラマの取調室にいる容疑者のように取り扱われ、その雰囲気に頭が真っ白になりました。IとHは威圧的に質問し、特にHは、大声で怒鳴りながら質問してくるので、とても怖かった」

 Aさんは、これに泣きながら答えたという。

 この時の会話の内容を、富士ゼロは録音していて、テープ起こしした文書を裁判資料に添付している。それによると、こんな会話がなされていた。

 H氏「虚偽の入力をすることは社員と会社の信頼関係を壊すだけでなく、詐欺行為と同じだ!」「社員としての資質がない!」

 I氏「詐欺行為は、重大な案件であると考えざるを得ない」

 Aさん「この数字の分は、お返しします。これからは1分単位で...」

 H氏「これからがあると思っているのか!」

 Aさん「クビですか?」

 その後、Aさんは顛末書を書かされた。なお、人事部が「詐欺行為」と指摘しているAさんの出退勤時刻の誤入力による過剰請求額は、合計1万1688円。 

 さて、Aさんはこの事情聴取で「営業部隊はもともと勤怠に関して甘くなっているところがあります。(出退勤の)入力も毎日ではなく、1週間に1回となっていました。ほかの営業の人たちも......」と、弁明しようとした。すると、突然、H氏は「今日はあなたのことについて聞いている。ほかの人の話はしなくてよい!」と怒鳴り倒した。この会話からも、ほかの営業マンもAさん同様、アバウトに入力しているのに、Aさんを狙い撃ちしていたことがうかがえる。

 この日以降も事情聴取は続き、同年3月11日、I氏は「職を辞して懲戒解雇を避けたいのか、手続きを進めるのか。自主退職であれば退職金が出る。『会社に残りたい』これは寝言。あなたの進退をはっきりさせてほしい。自主退職を申し出るのか、会社から放逐されるのか、決めてほしい」と迫った。

 陳述書によると、Aさんは「自主退職しないと懲戒解雇される」と確信し、絶望感でいっぱいになり、足も震え、心臓の鼓動が激しくなり、息苦しくなり、しばらく放心状態だったという。

 こうしてAさんは「罪を償い、職を辞して、責任を取りたいと考えます」と一筆記し、退職届を提出して、会社から放逐された。

 その後、Aさんは、「退職の意思表示は、脅迫による意思表示であるから取り消す」と訴え、富士ゼロを相手取り、「労働契約上の権利を有する地位確認」と、未払い賃金などを請求する訴訟を東京地裁に起こした。
 11年1月19日、一審判決は、原告の全面勝訴。富士ゼロは控訴し、二審では、和解交渉が続いた。ここまでの経緯の詳細は、ネットサイト・マイニュースジャパンの記事「富士ゼロ 社員を恐喝して自主退職に追い込む犯罪的手口の全容」を見てほしい。

 そしてここから先は、当サイト独占取材による最新情報である。12月1日、二審の裁判で、ついに和解が成立した。

 その内容は、「Aさんが退職した時点の09年5月15日で、合意解約したことを相互に確認する」「富士ゼロはAさんに対し、本件解決金として2500万円を支払う」「富士ゼロはAさんの退職金受領に伴う手続きについて、Aさんに協力する」など。

 つまり、職場復帰はしない代わりに、解決金2500万円プラス退職金をAさんに渡すことで決着したわけである。

 なお、D氏やAさんの事件は、氷山の一角なのかもしれない。というのも、実は11年、筆者のもとに富士ゼロの元社員X氏(年齢、性別は伏せる)から情報提供があった。X氏は電話で「私もAさんと同じように解雇された」と言い、「一度直接会って話したい」というので、筆者は指定された場所に行き、X氏に会ってきた。

 X氏の話によると、X氏は、D氏に対して「障害者は用済み」と罵倒した人事部T氏に、尋問を受け、密室で面罵されて、解雇に追いやられた、という。X氏は筆者に質問をしたり自己紹介をしたりで、30分ほど話して去って行った。後日、X氏から「詳しい内容については、資料を持参してお話ししたい。私が話すことで世の中のためになるなら、是非、記事に載せてください。今、出張中なので改めて、週末連絡します」という趣旨のメールが来た。しかし、その後、連絡しても応答がない状態が続いている。

 X氏は臆するものがあったのもかしれない。富士ゼロの不当な仕打ちで解雇された社員は、まだまだいそうである。
(文=佐々木奎一/ジャーナリスト)


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コメント
 
01. あほガラス 2013年10月07日 16:37:30 : BidAn2b9fADhY : kkwP38JFm6
富士ゼロの人事てはこんな取調べ(尋問)は日常茶飯事てしょう。人件費削減のために社員の首を切ることが彼らの評価項目ですから。私は内情をよーく知っています。ジャーナリストの佐々木さんと連絡取れれば詳しい実態をお話できるのに。皆が仰天するような。

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