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先進国の追加緩和の背後で新興国に忍び寄るリスク 〜新興国の財政・金融政策の対応はこれまで以上に困難に〜
http://www.asyura2.com/12/hasan77/msg/828.html
投稿者 MR 日時 2012 年 10 月 06 日 11:57:22: cT5Wxjlo3Xe3.
 


World Trends マクロ経済分析レポート

先進国の追加緩和の背後で新興国に忍び寄るリスク

〜新興国の財政・金融政策の対応はこれまで以上に困難に〜

発表日:2012年10月4日(木)
第一生命経済研究所 経済調査部
担当 主任エコノミスト 西M 徹(03-5221-4522)
(要旨)
 先進国による追加金融緩和により、足下の世界的な資金供給量はかつてない規模に達している。世界金融危機後の全世界的な金融緩和や財政拡張策は急速な景気回復をもたらした一方、物価上昇などを生む一因になり、その後の多くの新興国が実施してきた金融引き締めは、足下における世界的な景気減速に繋がる端緒になった。過剰流動性が生まれやすい環境にある中、投資家のリスク許容度が改善する状況となれば、先行きにおいて物価上昇や新興国への資金流入を喚起する可能性が出てくる。世界的な資金の動向は、再び世界経済に対して様々な意味でリスクをもたらす懸念があると考えられる。
 多くの新興国が金融・財政政策の両面から景気刺激に動いている中、海外資金が新興国に流入する状況になれば、内需を通じて景気を押し上げると期待される。一方、足下では穀物価格の高騰など物価上昇圧力も燻り、過剰流動性がインフレを加速させる可能性から政策対応の変更が必要になると思われる。また、輸出依存度の高い国々では自国通貨高が輸出の足かせとなる可能性もあり、為替安競争を招くことも懸念される。これまでも海外資金の動向は経済規模の小さい新興国景気に様々な影響を与えたが、資金規模がかつてない規模に達する中、その影響はこれまで以上と予想され、政策対応の困難さは増すであろう。

《先進国の追加金融緩和で資金供給量はかつてない規模に拡大し、資金動向が新たなリスクをもたらす懸念》

 先月の米国Fedによる量的緩和第3弾(QE3)以降、欧州中央銀行(ECB)も南欧諸国の既発国債を「無制限」に購入する方針を明らかにしたほか、日本でも日銀による資産買入枠を10兆円増額するなど、主要先進国においては金融緩和を一段と前進させる動きがみられる。所謂「リーマン・ショック」の後、世界的な信用収縮の影響で世界経済全体が景気低迷状態に陥る可能性が懸念された際、先進国のみならず新興国においても金融緩和や財政拡大による景気刺激策が実施された結果、世界経済は予想外の早さで回復を達成することに繋がった。しかし、その後先進国においては巨額の景気刺激策による財政悪化で欧州債務問題の引き金を弾くことに繋がり、世界的に膨張したマネーは投機資金となって様々な商品市場や資産市場に流入し、全世界的に物価上昇圧力を高める一因になった。さらに、一部の投機資金は高い経済成長が期待される新興国に流入したことで、多くの新興国ではバブル的な資産価格の高騰に直面したほか、インフレ率の急上昇により金融引き締めを進めざるを得なくなり、足下における世界的な景気減速に繋がる端緒になったと言える。
 他方、足下ではリーマン・ショック後の景気回復をけん引した中国など主要新興国でも景気の減速感が強まり、多くの新興国では財政拡大による景気刺激に動いており、インフレ率の低下を理由に金融緩和の動きも窺われる。こうした中、先進国のさらなる金融緩和は世界的な資金供給量の急拡大を通じて過剰流動性が生じやすい環境を醸成しつつある。現時点では、引き続き欧州債務問題が国際金融市場における注目材料になっており、投資家のリスク許容度が急速に改善する状況は想定しにくいが、一度「リスク・オン」に転じるような機会が生じれば、相対的に高い経済成長が期待される新興国に向かって資金流入の動きが加速する可能性はある。新興国への資金流入は、各国がこれまで実施している金融緩和や財政拡張策などと相俟って内需を喚起し、景気を押し上げると期待される。一方、リーマン・ショック後の景気回復局面と同様に、海外資金が過度に流入する事態に陥れば、新興国に過剰流動性を生むことに繋がり、これによる景気過熱がインフレ圧力の上昇を招く可能性がある。さらに、新興国通貨の急上昇を通じて輸出競争力の低下に繋がることから、欧米先進国の景気不透明感を背景に輸出機会の拡大が見込みにくい中、外需が景気の重石になる状況が予想される。

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 また、今夏の世界的な異常気象により世界有数の穀倉地帯である米国やロシアなどでは大干ばつが発生し、穀物の生育への影響が懸念されており、先物市場を中心に穀物価格は上昇基調を強めている。今後は南米を中心とする南半球の収穫期を迎えるために穀物価格は安定するとの見方がある一方、豪州では小麦の生育が悪化している中、商品市場に大量の過剰流動性が流入して市況高騰を招く可能性がある。リーマン・ショック後の世界経済の混乱に始まった先進諸国による金融緩和は、その後も「出口戦略」について語られることなくなし崩し的に第3段階目に入っており、資金供給量の拡大基調は今後もしばらく続くことが規定路線化している。しかし、これまでにない規模で世界的な資金規模が膨らんだことは、世界経済にとって様々なリスクを生む一因にもなっていると予想される。
《海外資金の影響を受けやすい新興国では、財政・金融政策による対応が一段と難しくなる可能性がある》
 こうした状況の下、先行きの新興国経済を巡っては、世界的な資金供給量がこれまでにない水準に膨張する中、国際金融市場が落ち着きを取り戻す局面になれば、相対的に収益性の高い新興国への資金流入が起こりやすい状況が予想される。足下では引き続き先進国が景気低迷にあえぐ中、新興国も経済成長率の鈍化は避けられないものの、新興国への海外資金の活発化は内需を通じて景気の押し上げに繋がると期待される。新興国においても、先進国の景気低迷は輸出の足かせになっており、近年の経済成長が輸出機会の拡大による外資企業を中心とする設備投資や国内雇用の増加が内需を押し上げる好循環は見込みにくくなっている。したがって、各国は公共投資の拡充や減税など景気刺激策に動いており、個人消費や固定資本投資など内需の下支えにより経済成長率を維持しているため、海外資金の流入は過剰流動性を生んで内需をさらに押し上げることが期待される。なお、国際金融市場では引き続き欧州債務問題が火種として燻ることから、投資家のリスク許容度が改善した場合においても、短期資金を中心とする海外資金の動向は、これまでの世界経済の回復局面においても不安定なものになると予想される。
 昨年の今頃はインフレ率が高留まりしていた反動で、足下のインフレ率は多くの新興国で低下しており、利下げなど金融緩和に動きやすくなっている。他方、北半球における異常気象などの影響で国際的な穀物価格は急上昇しており、今後は世界的にこの価格転嫁の動きが進むことが予想され、新興国においても物価上昇圧力に繋がる懸念がある。近年の経済成長による生活様式の変化に加え、賃金上昇も追い風となって食生活も変化しつつある中、小麦やとうもろこし、大豆といった主要穀物の価格高騰は様々な経路を通じて必需品物価の押し上げ要因になることは避けられない。さらに、海外資金の流入により内需が押し上げられれば、需要インフレにも繋がるため、先行きはインフレ率が予想外に加速する可能性もある。足下のインフレ率の低下は、世界経済の不透明感の高まりと相俟って金融緩和を後押しする一因になっているが、金融政策のスタンスは早晩変更が必要になるものと思われ、先行きの景気が一本調子で加速する状況は想定しにくい。なお、海外資金の流入は新興国通貨高による輸出競争力の低下を招いて輸出の下押し要因になることも予想される。したがって、輸

図1 日米欧のマネーストック(M1)伸び率の推移
(出所)CEICより第一生命経済研究所作成
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出依存度の高い新興国を中心に為替安誘導などを通じた「通貨戦争」が再燃するリスクも高まるであろう。
 何より世界的な資金供給量の拡大により、多くの新興国にとってはこれまで以上に海外資金の動向に神経質にならざるを得ない環境になっており、自国による政策の裁量を超える形で各国の景気に様々な影響を与えることが避けられなくなっている。足下では、多くの国が先行きにおける世界経済の減速を織り込んで拡張的な財政政策と緩和的な金融政策を志向しており、この状況下で大量の海外資金が流入するような事態になれば、景気及び物価の調整は一段と困難になり、再び数年前の景気過熱と同様の状況に陥る可能性は高い。一方、このように流入した資金は欧州問題など外的な要因がクローズアップされる際には急激な流出に転じると予想され、こうした動きが景気の下押し要因になることはこれまでの動きからも明らかである。これは、先行きにおける新興国経済の景気動向が外部環境の変化によって大きく左右されることを意味しており、各国の政策対応がこれまでに比べて難しくなるであろう。

以 上

図2 BRICSのマネーストック(M1)伸び率の推移 図3 外資系金融機関のBRICS向け与信額の増減推移
(出所)CEICより第一生命経済研究所作成 (出所)BISより第一生命経済研究所作成
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/asia/pdf/as12_078.pdf  

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コメント
 
01. 2012年10月06日 19:39:59 : cqRnZH2CUM

>為替安誘導などを通じた「通貨戦争」が再燃するリスクも高まる

先進国の信用収縮と財政緊縮不況、そして巨額の緩和競争は、かなりの影響を新興国に与える

一番の悪影響は、日本以上に自国の金融政策や財政政策が無効化されたり増幅され、失業やインフレなど、昔の日本のような事態に陥ることだな

また地域紛争の種が増えるというものだ


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