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≪斎藤貴男 著『消費税のカラクリ』 第4章 消費者とワーキング・プア より抜粋≫
http://www.asyura2.com/12/senkyo128/msg/628.html
投稿者 Roentgenium 日時 2012 年 4 月 08 日 00:56:51: qfdbU4Y/ODJJ.
 

(回答先: ≪斎藤貴男 著『消費税のカラクリ』 第2章 消費税は中小・零細企業や独立自営業を壊滅させる より抜粋≫ 投稿者 Roentgenium 日時 2012 年 4 月 08 日 00:50:38)

(3頁からの続き)


〔斎藤貴男 著『消費税のカラクリ』 第4章 消費者とワーキング・プア より P.116−P.133〕


■派遣に切り替えると合法的に節税出来る消費税

現実の企業社会がそのまま回答だ。不正など働かなくても、実際に正規の雇用を出来るだけ減らし、必要な労働力は派遣や請負、別の事業者に外注する形にすれば、それだけで大幅な節税が出来てしまう。その為の派遣子会社を設立するやり方も、近年では極一般的になっている。

この際、しかし労働力を外注する側は仕入れ税額控除のメリットを享受出来るにせよ、納税義務者としての派遣子会社は課税売上高に応じた消費税を納めなければならないのだから、企業グループ全体としては然程の節税にはならないのではないかとの疑問が生じる。

ところが消費税法には、資本金が1000万円に満たない法人は、設立後の2年間は売上高に関わらず、納税を免除されるという規定があるのだ(第12条第2項)。この規定を活用し、例えば派遣子会社の設立と閉鎖を目まぐるしく繰り返す手法が、ありがちなパターンだ。ダミーかそうでないかなど徴税当局の見解次第。

再び総務省統計局の労働力調査によると、2009年平均の非正規職員及び従業員(パート、アルバイト、派遣、契約社員など)は約1721万人で、被雇用者(役員を除く)の33.7%だった。男女別では男性が18.4%、女性は53.3%。これらは速報値であるが、おしなべて非正規の労働者は正規の労働者よりも待遇が悪く、不安定で、非人間的な扱いを受け易い実態は、今更繰り返すまでもない。

前年(08年)まで増加の一途を辿っていたのが初めて減少に転じた形だが(直接の比較が可能なデータは2003年以降)、被雇用者の非正規化に歯止めが掛かったのではない。リーマン・ショック以来の世界的な不況に伴い、真っ先に非正規雇用者が切られた結果だ。

人員削減は非正規だけにとどまらず、正規の職員や従業員も対象となったので、被雇用者全体が減少してきた(【図表9・10】)。

余程の規制が敷かれない限り、今後も非正規雇は拡大し続けると思われる。2010年の半ばにかけて、団塊と呼ばれた最後の世代が企業社会からリタイアしていくが、彼らの多くが享受した正規雇用の身分は、次の世代には余り継承されない可能性が高い。

経済のグローバリゼーションは、それほどまでに人件費削減を求めてきた。公式な数値目標が掲げられてるわけではないものの、政財官界の主流は近い将来、非正規雇用を勤労人口の、少なくとも70〜80%を占める程度にまで引き上げるつもりでいると、私は把(とら)えている。

このままでは幹部候補生のエリート以外は、正規の職に就く機会さえ与えられなくなってしまうのではないか。既にお隣の韓国では非正規雇用率が50%を超えており、「今の20代の95%は不安定な非正規職を転々として一生を終えることになる」という観測さえ高まっていると言う(NHKスペシャル『ワーキングプア』取材班 編『ワーキングプア―解決への道』(ポプラ社 2008年刊行)

〔資料〕NHKスペシャル『ワーキングプア』取材班 編『ワーキングプア―解決への道』(ポプラ社 2008年刊行)
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%97%E3%82%A2-%E8%A7%A3%E6%B1%BA%E3%81%B8%E3%81%AE%E9%81%93-NHK%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%80%8E%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%97%E3%82%A2%E3%80%8F%E5%8F%96%E6%9D%90%E7%8F%AD/dp/4591104230


■人件費削減だけではない非正規雇用拡大の背景

≪≪非正規雇用、とりわけ人材派遣という労働形態は、或る日突然、何となく拡大し始めたのではなかった。政財官界が共有する、統一された明確な意志の産物なのである。

引き金を引いたのは1995年5月、労働問題を担当する経営者団体「日本経営者団体連盟」(日経連、2002年に経団連=経済団体連合会と合併して現在は日本経団連)が公表した1冊の報告書『新時代の「日本的経営」』。バブル崩壊後の日本経済の低迷に鑑み、総人件費の抑制を強く呼び掛ける提言だった。

それによれば、戦後日本の経済成長を支えた、終身雇用・年功序列を基調とした日本的経営モデルは再検討されなければならず、企業の従業員は以下の3タイプに“多様化”されるべきであると言う。すなわち幹部候補生「長期蓄積能力活用型」とスペシャリスト集団「高度専門能力活用型」、及び必要に応じて容易に増減出来る労働力「雇用柔軟型」。

3番目の階層「雇用柔軟型」が、イコール非正規労働者だ。日経連加盟の大企業各社は勿論、国会や官庁や裁判所の、その後の労働政策も立法、司法判断も尽(ことごと)く、この報告書のシナリオに沿って展開されていく。

なかんずく1999年に原則自由化され、2003年には製造業での派遣労働を解禁した労働者派遣法は、まさに使用者側の都合をそのまま法制化したもの以外の何物でもなかった。

消費税の存在は、したがって非正規雇用を拡大させた主たる原因ではない。主たる原因は周知の通り、正規雇用よりも非正規雇用のほうが人件費を圧縮出来、かつ固定費から変動費に変えてしまえることが大きいが、それが節税にも通じるとなれば一石二鳥。

統計的なデータもなく、定量化は難しいものの、経営側のモチベーション(動機付け)を高めたことは間違いない。纏まった研究や報道が無いので断定は出来ないが、消費税とは元々、そうなるように制度設計されたシステムだったのではないかとさえ考えられる。

消費税のこうした機能と危険性を早くから予知し、警鐘を乱打した優れた調査報道がなされたことがある。消費税の大幅増税が政治日程に上りつつある現在こそ、その意義が改めて見直されるべきだと思われるので、一部を抜粋しておく。『朝日新聞』2000年11月3日付朝刊「時時刻刻」欄、くらし編集部の西前輝夫記者による報告だった。

《リストラで浮く消費税/正社員減らし、節税

消費税が正社員のリストラを進め、派遣社員を増やすことに一役買っている、との見方が広がっている。企業が正社員を派遣社員に切り替えるのは、人件費削減が最大の理由だが、納める消費税も少なくて済むからだ。

1989年の消費税導入以来、人材派遣事務所は2倍に膨れ、派遣社員は今年、首都圏だけで過去最高の延べ100万人になると予測されている。その一方で、消費税率が97年に5%に上がり、98年以降3年連続して正社員は減少している。経団連が、2年後から消費税を10%以上に引き上げる構想を示すなど、増税論議は次第に本格化しているが、税率を上げればリストラが一段と進む可能性も否定出来ない。

売上高数十億円の東京都内の情報サービス会社には、中枢の情報処理部門などに30数人の派遣社員がいる。「新しい機械の導入で、高い給与の技術者を正社員として縛り付けておく必要がなくなった。派遣社員だと消費税が減ることも意識した」と社長は言う。

派遣社員への切り替えで、人件費が減った。その上、消費税の納付額も6、700万円減らせたと言う。「他の企業努力で、これだけの利益を出すのは容易ではない」》

記事はこの後、正社員に支払われる給与は仕入れ税額控除の対象にならないが、派遣社員への報酬だと対象になる仕組みを概説。ずばり、こう続けていた。

《この結果、課税対象となる売り上げや従業員数が同じなら、正社員だけの場合より派遣社員がいるほうが控除額が増える。派遣社員の報酬全体の消費税税率(5%)分だけ、納付額が減ることになる。

中小企業など消費税分を完全に価格に上乗せ出来ないこともある会社にとっては、消費税は赤字でも課税される外形標準課税と同じように映る。

或る税理士は、「消費税は結果的に、売り上げに対して正社員の給与の比率が高い会社ほど、納付額が多くなる仕組み。利益を確保する為に、派遣社員などを雇い納付額を減らそうとする力が働くことは避けられない」と分析している。(中略)

或る大手の証券会社は消費税が導入される半年前、自社関連の人材派遣や管理事務の受託を主な業務とする子会社を設立し、700人の社員を移籍させた。昨年には子会社を分社している。この手続きによって、運用次第では証券会社は年間数億円の諸費税を節税出来る計算になる。

金融機関や大企業の多くは、社員の大半が出向社員で100%出資の派遣会社を設立している。親会社だけへの派遣は「もっぱら派遣」として禁止されているが、親会社への派遣や事務受託が中心。中小企業が設立した会社もある》

この記事は日本経済新聞を除く主要紙を網羅した新聞データベースで、《消費税》と《派遣》、《仕入れ》を掛け合わせた検索で発見した。本書で引用した他の報道も合わせると、この頃までの『朝日新聞』は、消費税の本質をまだしも追及していたことが窺(うかが)える。

〔資料〕日本経済団体連合会(日本経団連) - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%9B%A3%E4%BD%93%E9%80%A3%E5%90%88%E4%BC%9A

※日本経団連会館のフクロウ
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/2972

〔資料〕≪関岡英之 著『国家の存亡―「平成の開国」が日本を滅ぼす』 より抜粋(7)≫|MelancholiaT ※【日経・CSISバーチャル・シンクタンクの顔触れ(新自由主義者達の饗宴)】 【CSIS-HGPI】細川佳代子 【三極委員会】
http://ameblo.jp/antibizwog/entry-11076818385.html

〔資料〕インタビュー #251 新自由主義は、人間の尊厳をかえりみない By 斎藤貴男 - MAMMO.TV ※重要
http://www.mammo.tv/interview/archives/no251.html


■大義名分は「社会保障の充実」だが

消費税は自営業を破壊し、被雇用者をワーキング・プアに貶(おとし)めてきた。だが、例えば政府税制調査会の元会長である石 弘光(いし ひろみつ 1937−)・一橋大学名誉教授は書いている。

《今日、我が国において消費税は、社会保障と密接不可分な形で議論されている。到来する少子高齢化の下で、社会保障制度を持続可能なものにする為には、安定財源の確保が欠かせないからである。税制全体を見渡しても、安定財源として消費税以外のものは見当たらない。

したがって、将来の日本の経済社会にとって、税率引き上げを含め消費税の役割を検討することは極めて重要な課題であると言わざるを得ない。明らかに消費税は社会保障財源として復権し、かつ市民権を得たと言えよう》

(『消費税の政治経済学―税制と政治のはざまで』日本経済新聞出版社 2009年刊行)

何か変だ。消費税に人生を台無しにされた人々が、その消費税を財源とする社会保障で助けて頂く。これは一体、どういう光景なのだろう。

社会保障制度を維持するには消費税の増税だとする旨を、石名誉教授は強調する。彼だけの持論ではない。政府税調も経済財政諮問会議も、要は消費税増税を推進しようとする人々は、100%に近い確率で、同じ論法を口にしてきた。

とは言え歴史を紐解くまでもなく、この国の指導者層が本気で社会保障の充実を考えているとは考えにくい。とりわけ小泉純一郎政権以降の構造改革路線では、それどころか市場原理と自己責任原則ばかりが謳(うた)われて、逆に社会保障の解体が進められてきたのではなかったか。

石名誉教授〔※小泉政権下で政府税調の会長を務めた人物。民主党政権でも“民間有識者”として仕分け人を務めている〕のような議論は、しかし、何も消費税を増税する目的でばかり登場してくるものでもない。むしろ純粋に社会保障の充実を訴え、より公正で平等な社会の形成に取り組んでいる人々までが、財源論となると、どこか安易に消費税率の引き上げを持ち出したがる傾向があるように思われる。

ドイツ・カールスルーエ工科大学「企業化精神養成の為の学部横断研究所」のゲッツ・W・ヴェルナー教授 Götz Wolfgang Werner(1944−)が好例だ。就労の有無や所得の多寡(たか)に関わらず、政府が全ての個人に無条件かつ一律に最低限の所得を保証する「ベーシック・インカム」の代表的な提唱者。

彼は2005年に刊行された経済誌の対談で、導入の為の費用はどうやって調達するのかと問われて、こう答えていた。

《別の面、すなわち消費に目を向けましょう。人間が消費するという事実は、共同体が調達しなければならない例のインフラ関連の必需品にゆき着きます。(中略)税というものはそもそも社会的な貢献に対して課税されるのではなく、社会的な価値創造を消費することに対して累進的に課されるべきものでしょう。

すなわち、誰かが、他者よりも多くの財やサービスを利用する必要に迫られているのであれば、彼はより多くの税を支払わねばならない。この私の主張も実は新しい考えではありません。私達はとうに消費税を持っているのですから。(中略)

つまり、私達はこの税制を更に発展させて、消費に対してのみ課税して、貢献(価値創造たる生産)に対しては非課税にするのです。たくさん消費する者はたくさん税を払い、慎(つつ)ましく生活する者は少ない税を払う。何故なら、後者は前者よりも道路や飛行場を利用することが少なく、エネルギー消費もゴミの排出量も少ないからです。つまり、共同体から要求されるところが少ないからです。

――しかし、消費税が唯一の財源だとすると、低所得層は現在よりも大きな打撃を受けるのではありませんか?

その為にベーシック・インカムを導入するのです。その額は、個々の市民に最低限度の生活を保証し得る額、人間的な生活を可能にする額でなければなりません。勿論、付加価値税(消費税)も支払うことが出来る額です》

(渡辺一男 翻訳『ベーシック・インカム―基本所得のある社会へ』現代書館 2007年刊行)

〔資料〕石 弘光(1937−) - Wikipedia ※小泉政権下で政府税調の会長を務めた人物。民主党政権でも“民間有識者”として仕分け人を務めている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E5%BC%98%E5%85%89

〔資料〕石 弘光 著『消費税の政治経済学―税制と政治のはざまで』(日本経済新聞出版社 2009年刊行)
http://www.amazon.co.jp/%E6%B6%88%E8%B2%BB%E7%A8%8E%E3%81%AE%E6%94%BF%E6%B2%BB%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6-%E7%9F%B3-%E5%BC%98%E5%85%89/dp/4532353939

〔資料〕Götz Wolfgang Werner(1944−) – Wikipedia
http://de.wikipedia.org/wiki/G%C3%B6tz_Werner

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%83%83%E3%83%84%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%8A%E3%83%BC

〔資料〕Götz W. Werner, 渡辺一男 翻訳『ベーシック・インカム―基本所得のある社会へ』現代書館 2007年刊行)
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%A0%E2%80%95%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E6%89%80%E5%BE%97%E3%81%AE%E3%81%82%E3%82%8B%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%81%B8-%E3%82%B2%E3%83%83%E3%83%84%E3%83%BBW-%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%8A%E3%83%BC/dp/4768469639


■社会保障の財源には最も相応しくない消費税

或いは、橘木俊詔(たちばなき としあき 1943−)・同志社大学経済学部教授である。彼は『日本の経済格差―所得と資産から考える』(岩波新書 1998年刊行)で今日に至る格差社会論の先鞭(せんべん)をつけた経済学者であり、私自身も座談の機会を与えられる栄に浴したことがあった(橘木俊詔 編『封印される不平等』東洋経済新報社 2004年刊行)。

私淑させて頂いている学識経験者だが、敢えて失礼を顧みないことにする。橘木教授が『消費税15%による年金改革』(東洋経済新報社 2005年刊行)で展開している議論には、この税制の本質が完全に忘れられてしまっていると嘆じざるを得ない。

同書によれば、公的年金制度は一元化されるべきで、その1階部分(基礎年金)は全額税方式が望ましいと言う。そこで年金財源に相応しい税を考える際には、「税収規模の大きさ」「負担対象の広さ」「景気変動に対する安定性」の3つの点が重要だとして、

《消費税は財やサービスに対して一律に課せられる税である。その為経済活動に対して中立的で、税負担を広く分かち合う為に、人々の行動を歪めない。こうした税の中立性は、消費税の大きな長所である。

更に、消費税の簡素さも大きな長所である。何故なら課税ベースとなる付加価値額の計算は、売上げから経費を差し引いて求めるので、その計算が非常に単純だからである。(中略)

ここで、消費税が年金財源として相応しいかどうかを、先に述べた3点の判断基準に照らし合わせながら検証する。

第1に、消費税は課税ベースが広く、大きな税収を見込める。2005年度予算において消費税収は10兆1640億円であり、国税全体に占める消費税収の割合は21.5%に達している。一般的に消費税率を1%上昇させることで2兆円以上の増税が見込めるとされている。(中略)

第2に、消費税による税負担は「負担対象の広さ」という観点から見ても、1階部分(基礎年金の部分)の財源として望ましい性質を持っている。また前述のように、消費税は税の中立性が保たれており、経済活性化にもプラスの効果がある。

第3に、消費税は景気変動に対しても安定的な税である。景気が後退すれば消費も落ち込むから、消費税は景気変動に対して弱いのではないかという懸念も予想されるが、図7-2(本書には掲載していない)を見てみると、実際の消費税収は毎年それほど変わっておらず、消費税は景気変動の影響を受けにくい。

景気が後退し、所得が減少しても、人間が生活していく為には、或る程度の消費活動を行うことがどうしても必要となり、景気の落ち込みに比べて、消費の落ち込みは小さくなると考えられる為である。

1階部分の財源を消費税に求めることは、以上の3つの観点から見て望ましいものである》

(『消費税15%による年金改革』東洋経済新報社 2005年刊行)

そうだろうか。私にはどうしても納得がいかない。

消費税とは弱者の僅かな富を纏めて強者に移転する税制である。負担対象は広いように見えて一部の階層がより多くを被るように設計されているし、中立的などでは全くなく、計算も複雑で、徴税当局の恣意(しい)的な運用が罷り通っている。大口の雇用主に非正規雇用を拡大するモチベーションを与えて、ワーキング・プアを積極的かつ確信犯的に増加させた。

税収は安定的に推移しているように見えても、その内実は滞納額ワーストワンであり、無理無体な取立てで数多(あまた)の犠牲者を生み出してきた。納税義務者にしてみれば、景気の後退イコール競争の更なる激化であり、ということは切らされる自腹の止めどない深まりを意味している。

これ以上の税率引き上げは自営業者の廃業や自殺を加速させ、失業率の倍増を招くことが必至だ。社会保障費の大幅な膨張を求める税制を、同時にその財源にもしようなどと言うのは、趣味の悪過ぎる冗談ではないか。

消費税は最も社会保障の財源に相応しくない税目なのである。

〔資料〕橘木俊詔(1943−) - Wikipedia ※IMF、他
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A9%98%E6%9C%A8%E4%BF%8A%E8%A9%94

〔資料〕橘木俊詔 著『消費税15%による年金改革』(東洋経済新報社 2005年刊行)
http://www.amazon.co.jp/%E6%B6%88%E8%B2%BB%E7%A8%8E15-%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E5%B9%B4%E9%87%91%E6%94%B9%E9%9D%A9-%E6%A9%98%E6%9C%A8-%E4%BF%8A%E8%A9%94/dp/4492701133

〔資料〕消費税増税、IMFからのお墨付き? - 「生きる権利、生きる自由、いのち」が危ない! 2012年1月25日
http://ameblo.jp/hirumemuti/entry-11145542277.html

〔資料〕≪「対日年次改革要望書」とTPP:日本語翻訳 PDFファイル(1996年〜2011年)≫ ※東北大震災、福島原発事故、TPP、余りにも出来過ぎた一連の流れ
http://ameblo.jp/antibizwog/entry-11066706411.html


(5頁へ続く)  

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