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JAPAN Another Face
2016年7月16日 秋山謙一郎 [フリージャーナリスト]
SNSは不倫の温床!?「文字でのプレイ」にハマる中年たち
出会い系サイトやテレクラなどを利用した、「いかにも」といった感じの遊びには抵抗があっても、SNSを通じてなら自然に不倫相手を探せる――そんな気軽さからか、SNSの諸機能をうまく活用をした不倫が増殖中だ。
普通の主婦が自然にハマる
SNSでの出会いが不倫に発展
「どうせ不倫するならエッチの相性が合う人がいいじゃないですか」――。
?今や、3人のうち1人が、浮気・婚外恋愛経験者だといわれる時代、不倫相手に求めるものは優しさでも頼りがいでもなく「性の相性」に尽きるようだ。
FacebookやLINE、mixiなど、誰もが利用しているSNSを通じて不倫相手を探す中年男女が増えている。中にはリアルでは会わず「サイバーセックス」で満足する関係もあるという（写真は本文と関係ありません）
「どんなに優しくされても、話が面白くても、気が合っても、体の相性が合わなければ恋の終わりも早いです。だったら最初から体の相性が合う相手を探せばいいではないですか？」。こう語るのは東京都23区内に住む専業主婦のケイコさん（44）だ。10歳年上の夫と中学生の娘1人、3人家族で幸せに暮らす彼女が、文字でのやり取りで行う「サイバーセックス」にハマったきっかけは、ズバリ、夫との夜の生活の不一致に尽きる。
「変な性癖があるとかそういうわけではないのです。ただただ合わない。話し合おうにも、こればかりはどうしようもありません。SNSでの出会いだと、最初からこの手の話も自然にできます。完全とはいいませんが、ある程度の性的嗜好を窺い知れるというものです。実際にベッドインする時には、もうお相手の嗜好はすべてわかっているので。楽ですね」
?そもそもパソコンやインターネットに疎かったケイコさんが、SNSをはじめたきっかけは高校の同級生からSNSのmixiに招待されたことに遡る。今から10年ほど前の話だ。「ネット上ですが、かつての同窓生と再会できたり、普通に暮らしていれば出会うはずのない人と出会えたり。SNSのお陰で一気に世界が広がりました」。
?匿名性が高いといわれていたmixiから、実名での利用が前提のFacebookに移ってからは、より出会いの機会が増えたという。「Facebookでは、“友達の友達”からお声をかけていただくことが多かったですね。高校や大学時代の同窓とか。実際に存じ上げている方のご友人、そのまたご友人とか。そんな方が多いです」
?学生時代から、ずっと「自分のファンだという男子学生がいた」（ケイコさん）という美貌の持ち主だけあって、Facebookにプロフィール写真や、日常を伝えるスナップ写真をアップしていくにつれ、1ヵ月か2ヵ月に1人の割合で、Facebook上の友人の誰かからデートの誘いが来るようになった。
「最初は、親しい同窓生のお友達とかそんな方でした。でも、Facebookの友達が増えるに連れて、『お友達のお友達の、さらにお友達』とか…、本来なら少し縁遠い方からもメッセージが届くようになったんです。これくらいの距離感の方だと『しがらみ』もなく、それでいて身元もはっきりしているので。遊ぶには安心な相手ですね」
?学生時代、就職後、そして結婚後も、しばしば男性と“遊んできた”というケイコさんは、男性の振る舞いは、時折、デートの際とベッドの中では大きく異なることがあることを経験則から知っていた。
「ネット上でのやり取りで性の嗜好はわかりません。でも、そんなやり取りでも性的な何かを含む話はあります。だから、まずはネット上で、つまりバーチャルでプレイして、リアルに関係を持つかどうか決めるようになりました」
家族にバレないように
SNSのさまざまな機能を駆使する
?相手男性にもよるが、Facebookのメッセージ機能やLINEを利用したプレイは、概ね、ログ、つまり文字でのやり取りで行う。いわゆる「サイバーセックス」だ。ここで嗜好が合えば次は音声でのやり取りに移行する。これは、「テレフォンセックスと同じ」（ケイコさん）ものだという。
?文字でのやり取りで相性が合えば、音声に。そして音声でも嗜好が一致すれば、実際に肌を重ねる。これが現代のネットで出会った男女関係を深めていく標準的プロセスなのかもしれない。
「親しくなるとFacebookだけではなく、LINEのアカウントも交換します。メッセージ機能だと際どい言葉も出てきます。夫や娘に見られるとよくないので。だからそんな”よくない言葉”を交わすようになると音声機能です。ここまで来ると、もうお互いの性的嗜好もほぼわかります。リアルでベッドに行く前の予行演習みたいなものです」
?今、ケイコさんにはステディな関係の7つ年上の自営業者の彼がいる。朝、起きると「おはよう」の挨拶に始まり、空いた時間があればLINEのログ交換や通話機能で話す。ケイコさんが風呂やトイレに入る際は、着替えの様子を自撮りして彼に送ったりもする。
「彼も彼で、自分の“体の変化”を自撮りして送ってきます。そういうやり取りを毎日しながら、いざベッドインという日のためにイメトレしてる感じかしら」
?こうした毎日を送りながらも、夫との関係は良好だという。夫とはセックスレスだが、むしろ相性が合わないのに性生活を続けるほうが、関係を悪くするのかもしれない。「夫のことは家族として尊敬しています。それでよくないですか？」。
モテない男性もSNSで出会い探し
「会わなくても心と身体が通じ合える」
?では男性側はどうか。東京都内に住むアキオさん（45）は小学校から大学までずっと柔道部の体育会系。学生時代は女性とはまったく縁がなかった。大学卒業後、中堅と呼ばれる建設会社に就職してからもそれは変わらなかった。
「性欲だけは漲っていました。でも女性とどう接したらいいのかわかりません。風俗店も通い、1人、個人的にも会って食事したりできる関係になった子もいるのですが、やはり男たるもの、一度は素人の女性と、できれば大卒の女性と交際してみたいと考え、あれこれ試行錯誤致しました。そこで行き着いたのがSNSというわけです」
?大学時代からの友人の誘いで最初に参加したmixiでアキオさんが最初にはじめたのは女性の友達作りだった。だが、いくら携帯電話番号を交換したり、実際にお茶を飲む関係になっても恋人にまでは至らない。
「女性から見ると非常に“いい人”になっていたんです。食事して飲んでお話しして、ハイ、サヨウナラ…という感じです。これではいつまで経っても恋人はできませんよね」。自嘲交じりに話すアキオさんだが、遊び慣れていない、だから女性と接する機会がない、ゆえに恋人もいない、風俗嬢などのプロ以外の女性との性体験がないという悪循環が続いた。いわゆる「素人童貞」だ。
「肉食系というか、遊び慣れている人を見ていると、臆せず女性と話していますよね？性的な話題も絡めて。でも僕にはちょっと勇気が要ります。そこでmixiなどのネット上では“肉食系”として振る舞いました。それから変わりましたね。どうにか恋人もできましたから」
?mixiのメッセージ機能でナンパに勤しんだ甲斐あって、アキオさんにもようやく彼女といえる存在ができた。1年半ほど付き合った。
「でも結局、実際に会うことはなかったです。会う前に別れてしまったので。それでも朝から晩まで携帯電話のメールでやり取りし、ほとんど毎日のようにサイバーセックスやテレフォンセックスに勤しみました。だから実際に会っていなくても悔いはありません」
?こう語るアキオさんは、この最初の彼女の写真を今でもＰＣやスマホに大事に保存している。裸体こそ映っているが首から下だけ。顔は見事に編集されてカットされている。それでも心と体が通じ合ったと言えるところが、いかにもサイバー時代の現代らしい。
「僕は彼女の電話番号を知らなかったです。彼女は僕の電話番号を知っていましたが。多くはチャットやSNSのメッセージ機能を用いてのやり取りです。サイバー空間上だからこそ魂と魂が触れ合う仲だったと。でなければお互い裸の写真をやり取りしたりしませんよ」
?いわゆる「出会い系サイト」や「テレクラ」をいきなり利用するのは敷居が高いが、FacebookやLINEなど、誰もが利用しているSNS経由での出会いであれば、自然な発展が装えて性的関係にもスムーズに持ち込めるのかもしれない。リアルに会いたくなければ、アキオさんたちのようにバーチャル止まりの関係でもOKだ。
?そんな気軽さがあるからこそ、“遊び慣れた”人たちばかりでなく、普通の主婦や会社員がこっそりハマる。秘かなトレンドになりつつあるようだ。
※本文中、カタカナ表記名は仮名です。
http://diamond.jp/articles/-/95836
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