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息子の志望校合格が、躓きのきっかけだった 音まで味わう手料理、買います オランダ下院選、トルコ問題が流れを変えた かすむ
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投稿者 軽毛 日時 2017 年 3 月 17 日 01:03:40: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

息子の志望校合格が、躓きのきっかけだった

ここでひと息 ミドル世代の「キャリアのY字路」

2017年3月17日(金)
山本 直人

「よく、この程度でうちの会社に入って来られたな」

 3月は人が動く。街には新生活のスタートに向けた広告が溢れて、週末ともなれば都心の店舗には人が群がる。そして、会社員にとっては異動や昇進という大イベントもある。

 恒例の人事通達を告げる社内システムの画面を見ながら、Bさんは心の中で呟いた。

「そうか、Hさんは“あの街”に行くのか」

 現在課長職のBさんは4月から次長に昇進する。そして、Hさんはかつての上司で今年で55歳になる。Hさんが異動する支社は、一昨年新たな新幹線が開通した北陸の都市だ。

「なんか不思議な縁なのかな……」

 Bさんがそう考えるのには理由があった。それは、今から7年ほど前に遡る。Bさんにとっては忘れられない経験があったのだ。

 その頃、Hさんは営業セクションの課長でBさんはいわば「番頭格」の部下だった。課の業績は比較的安定していて、Bさんにとっては居心地の良い部署だった。

 Hさんは元々はバランス感覚の優れた人で、仕えていて大きな不満はなかった。ところが、ある時期からHさんに妙な「癖」のようなものが強くなった。

 新入社員などの若手に対して、やたらと辛く当たるのだ。Bさんのように30代半ばの中堅には普通に接しているのに、若手にはきついことを言う。

「よく、この程度でうちの会社に入って来られたな」

 そんな言いぐさはまだいい方で、ある時、きちんとした挨拶ができなかった新人にこんなことを言った。

「いったい、どんな育てられ方をしてきたんだよ!」

 この時は、言われた新人も顔色が変わった。慌てたBさんたちが、「いや、いろいろ忙しくて気が回らなかったんでしょう」と諫めたほどだった。

 何で変わってしまったのか?部下や同僚も首をひねるばかりだったし、Bさんにもその理由はわからなかった。

「育成下手」という烙印

 そんな状況が続けば若手の間では不満が募るし、「どうも、やりにくい人だよな」という評判は広まっていく。

「Hの下じゃ、若手は伸びないよ」

 上の方からはそんな声が聞こえるようになった。実際にパフォーマンスの低い部下が、異動したとたんに成果を上げるケースもあった。

 人事部もHさんの部署に新人を配属するのを避けるようになり、課の平均年齢は上がっていく。また、全社的に人材育成を重視するようになり、課長職の評価においても、育成力に重きが置かれるようになった。

「お前のところは、若手が育たないな」

 上からそう評価されてしまえば、管理職としては致命的だ。だからHさんが本社に異動しても、周りは驚かなかった。見た目は横滑りだが、明らかに第一線を外れた感じだった。

 そして、後任はBさんとなった。

 異動に当たっては、いろいろと引き継ぎがある。当然のように「メシにでも行くか」ということとなった。

 Bさんは、Hさんに確かめたいことがあった。そう、「若手に辛く当たる」理由である。

 それまでも、Hさんが叱った若手のことをかばって「いつもはきちんとやってるんですよ」とフォローすることはよくあった。そういう時、Hさんは「わかってるよ」と言う。しかし、若手を前にすると感情が抑えられないように見えるのだ。ただ、「なぜですか?」とは聞けなかった。

 その晩も、なかなかその話は切り出せなかった。Bさんが逡巡していると、Hさんが唐突に言った。

「そういえば、お前はX大学だったよな?」

 「はい」と答えて、Bさんは次の言葉を待った。

きっかけは息子の中退だった

 Hさんが話し始めたのは、彼の一人息子のことだった。それは、4年前にX大学の付属高校に合格した、という話から始まった。

 X大学は私立の名門で、社内にも出身者が多い。Hさんも都内の私大出身だが、X大学の方がいわば「格上」だ。

「いや、本当に嬉しかったよ。オレを超えてくれたと思ってさ」

 Hさんは、飾らずにそう話した。若手に苛立っているような時とは別人のようだった。

 そして、その話は意外な展開を迎える。

 家族中で喜んだ息子さんの合格だったが、1年生の途中で様子がおかしくなった。学校に行きたがらなくなり、結局中退したのだという。いじめのようなものがあったわけでもなく、学校も熱心に対応してくれた。

 勉強についていくのは結構大変だったらしいが、それだけで中退に至ったとも思えないという。「理由については、今でもはっきりしないんだよな。"青春の病"みたいなものなのかな」とHさんはこぼした。

 当然だが、その時は相当ガッカリしたようだ。それは、そうだろう。期待が高かっただけに反動も大きいはずだ。

 そして、その頃から、若い社員に苛立ちを感じるようになったのだという。まだまだ仕事は穴だらけなのに、能天気に一人前のような顔をしている元気な若手を見ると、悔しさとかも哀しさともつかない妙な感情が高まってしまったという。

「ある種の“嫉妬”とか、もしくは”八つ当たり”みたいなものなのかね」

 自分で分かってはいても、どうしようもなかったらしい。そして、「育成下手」との評価を受けていることも、十分にわかってはいた。

「よく『仕事を家庭に持ち込まない』って話は聞くけどさ、俺の場合『家庭を仕事に持ち込んじゃった』ってことなのかな」

 「だから、今回の異動も仕方ないんだよ」と悟ったように語るHさんに対し、Bさんは何も言えなくなってしまった。

息子に投影した自らのコンプレックス

「でも、大学には進学できたんだよね」

 中退した息子さんだが、その後一念発起して高卒認定の試験に挑戦。遠回りしたものの、今年北陸地方のとある大学に合格したそうだ。

「まあ、この話をするのは初めてだったし、これからも、話すことはないだろうな」

 Hさんは、別れ際にそんなことを言った。他言してくれるな、という気持ちもあったのかもしれないが、もちろんBさんも話すつもりはない。というよりも、誰にも話せないなと思う。

 そういえば、とBさんは思い出す。以前、X大学出身の新人が配属された時のことだ。Bさんと打ち解けて話す様子を見た後で、Hさんがポツリと言った。

「いいなあ、X大は仲が良くて」

 いまにして思うと、その言い方に妙な棘を感じたのだが、きっと、息子さんが岐路に立っていた時期だったのだ。

 息子が自分を超えた嬉しさと、そこからの落胆。彼の中のある出身大学へのコンプレックスと、周囲への嫉妬心。それらが絡み合って相当にこじれて、若手に対する厳しい言動として「噴出」したのだ。

 Hさんの息子は、きっと、もう大学を卒業して社会人になっているはずだ。そして、ふと自分のことを振り返れば、息子の高校受験が来年に迫っている。X大学の付属高校や、さらに格上の学校にも挑戦するという。合格してほしい気持ちはもちろんだけれど、どんな結果でも受け入れてやりたいと思う。

 学校の”ブランド”が、その後の人生に影響を与えることは多少はあるだろう。しかし、「どの学校を出たのか」という経歴だけで、社会に出てからのキャリアが決めるわけではない。会社員を30年もやっていれば、そのくらいのことはよくわかる。同じX大学の出身者でも、順調にキャリアを重ねる者がいる一方で、不遇をかこつ者もたくさんいる。

 社会で求められていることは、「今の自分の力」を磨き続けることだ。「未来を見つめる意欲」は、過去の経歴から得られるものではない。

 そういう、人生で本当に大切なことをいつか息子にも伝えてやりたい。そんなことを考えながら、BさんはHさんのことを思い出す。彼はこの会社でのキャリアを、自分の期待に背を向けた息子が暮らした街で終えることになるのだろう。

 Hさんはあの後、自分自身の中にある葛藤を上手に消化できたのだろうか。息子さんとの関係は、どうなっているんだろう。穏やかな気持ちで過ごされればいいな、とBさんは改めて思った。

■今回の棚卸し
 妙に学歴にこだわったり、気にしたりする人がいる。就職活動から、昇進あるいは商談の成否などに関し、意に沿わない結果だった原因を出身校に求めるケースが多いように思える。

 出身校のブランドが、人生に何ら影響を及ぼさないとまでは言わない。ただ、出身校のおかげで被ったと感じられるデメリットの数々は、その原因が別にもある場合が少なくないのではないだろうか。また、同様に、得られたと思っているメリットも、単なる自己満足のレベルに過ぎないかもしれない。

 はっきりしているのは、他人の学歴を羨んだとしても、自らの学歴を誇示したとしても、得られるものはさしてないということ。場合によっては、自分の首を絞めることになる。

 また、消化しきれない自分の思い、もしくは自己満足感を子どもに強く“投影”しても、子どもが必ずしも、その期待に応えてくれるとは限らない。異なる道を選んだ場合に双方が負う心の傷は、想像以上に深くなるかもしれない。

■ちょっとしたお薦め
 「親と子」は、歴史においても文学においても、繰り返し取り上げられるテーマだ。誰しも、自分の親、もしくは子との間には様々な思い出や葛藤がある。特に「父と息子」「母と娘」は、同性ならではの複雑な綾もあるだろう。

 「父子」をテーマにした作品の中でも、有名なのがツルゲーネフの「初恋(はつ恋)」だ。若い頃に読んだ人も多いだろうが、時を経て、自分の人生を振り返りながらいま読み返すと、また異なる思いが行き来するかもしれない。

このコラムについて

ここでひと息 ミドル世代の「キャリアのY字路」
50歳前後は「人生のY字路」である。このくらいの歳になれば、会社における自分の将来については、大方見当がついてくる。場合によっては、どこかで自分のキャリアに見切りをつけなければならない。でも、自分なりのプライドはそれなりにあったりする。ややこしい…。Y字路を迎えたミドルのキャリアとの付き合い方に、正解はない。読者の皆さんと、あれやこれやと考えたい。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/032500025/031000025


 


音まで味わう手料理、買います

遙なるコンシェルジュ「男の悩み 女の嘆き」

恐るべしママ友ネットワーク、新ビジネスを熱望
2017年3月17日(金)
遙 洋子

ご相談

将来、人間が働かなくていい時代が来る。そんな話題をよく耳にするようになりました。働かなくてもいいと聞けばうれしいですが、必要とされないと考えると、不安にもなります。「私だからできること」を身につけたいと思いますが、それが何かは見えてきません…。(20代女性)

遙から

 先を読め、社会のニーズをつかめ。ビジネスの世界でよく聞かれるフレーズだが、さて、社会のニーズとは何か。真正面から世間の人々に聞いて回って、ニーズなるものがわかれば、皆、ベンチャー起業で大成功!となるはずだが、世間はそれほど甘くない。多くの人に聞けば聞くほど、ニーズは十人十色で、かえって答えは見えにくくなる。そんなケースも少なくないだろう。

 そんなときは、逆を行ってみてはどうか。自分のニーズをとことん掘り下げてみる。自分が求めていることは何か。なぜそれが必要なのか。何かで代替できないか。代替できないなら、どう実現すればいいのか――。そんなことをこれでもかと考え抜いてから、周りの人に聞いてみる。すると、「うわー、それ、私も欲しい!」といったところにたどり着いたりする。「漠然と皆が求めていそうなもの」より、「誰かが猛烈に求めているもの」のほうが、きっとニーズは強いのではないか。

 そんなことを考えたのは、私がまさに、強烈に求めているものがあり、それがビジネスとして提供されるなら、しっかりお金を払って利用させていただきたいと思っているからだ。

 話が何やら先走ってしまったので、少々時間を戻して、私の「外注遍歴」からお話ししたい。

 かつて私は20代の頃から掃除・洗濯は外注していた。自分でなくてもできる仕事は徹底的に他人に代替してもらってきた。当時、家政婦協会さんしかなく、あるいは大手掃除メーカーの大規模掃除や徹底的にガスレンジを綺麗にするといった専門的なものしか選択肢がなかった時代だ。

 私は近所に住む主婦の方たちに時給1000円でそれらの仕事をお願いしてきた。今は、大手もベンチャーも、"家事代行"を打ち出した企業が多くの支持を集め、人手不足に悩むほどと聞く。文字通り"家事の担い手“を必要とする時代になったのだ。

 私個人が必要とするものが、やがて時代が必要とするビジネスになった。そして今、私個人が必要とするものは、"手作り料理の担い手"だ。

手料理、お願いします

 正直に言おう、私はもう、お料理をするのが面倒になった。一人暮らしで忙しい日々が続くと、気づけば冷蔵庫には腐りかけの野菜と、いつ冷凍したか覚えていない肉や魚が居座っていたりする。もったいないけれど、このままではいけない。そう思って処分した数日後、疲れ果てて帰宅した日に冷蔵庫を開け、今度は何もないことに気づいて呆然とする…。

 そういうことを幾度も経験して、私はどうすればいいのか考えた。そして、事務所のスタッフの女性にお願いした。「募集をかけて。主婦の力が必要なの」と。

 結果、募集をかけるまでもなく、スタッフのママ友が即、「子育ても終わったし」と、来てくれることになった。お願いしてから一週間もたたないうちに。

 改めて、"ママ友"というネットワークの強靭さに驚いた。実は近所に私の幼なじみも住んでいる。無職だ。その女性に頼むと「忙しい」と断られた経緯があった。子供の頃からの知人であっても、あっさりと私の願いは却下された。が、ママ友ネットワークでは、「OK」と即動いてくれる女性がいた。ママ友とはいったい何だ!?

 改めて考えるに、ママ友とは助け合いネットワークなのではないだろうか。お互い、子育て中、助け合わないとやってこれなかった。その、助け合い運動の流れの中で、その対象が子供から私という大人に変わっただけで、ママ友ネットワーク内では、"頼まれたら、即、助ける"という法則が働いているようだ。

 それが意味するものとは、その背景にある"子育ては大変"ということなのだと私は理解した。

ママ友たちの絆

 ママ友たちの強靭な結びつき、信頼は、自分の子供を互いに預けられる信頼であり、四の五の言わず即動くフットワークの軽さにある。そういうネットワークが、我々シングルの女性には、ない。

 ある人もいるだろうが、少なくとも私には、ない。

 働く時に作れるネットワークとは、あくまで仕事を任せられる信頼であり、信用だ。そこに"四の五の言わず駆けつける"精神はない。逆に「プライベートには踏み込まない」が徹底されてもいる。そして、なにより、いわゆるキャリアウーマンたちは忙しい。他人のことなど助けている時間があれば、ホットヨガに行かねばならないのだから。

 その希薄な関係性の中でふと孤独感らしきものを感じ、ママ友たちのネットワークの存在に素直に感心し、敗北感らしきものを味わった。

 そうしてやってきてくれたママ友主婦さんは、期待を裏切らなかった。そのお料理のすごさと言ったら、素晴らしいとか美味しいとかそういう問題ではない。

 キッチンから流れてくるお料理の音にまず驚く。

 ずーーーっと続くのだ。「トントントン」というまな板と包丁の音が。

 お料理を見たら分かるのだが、根菜類から葉野菜まで野菜たっぷり、タンパク質も肉、魚、大豆系と、多種多様だ。お料理とは"切る""皮をむく"作業なのだと、その終わらない「トントントン」で改めて気づかされた。もし、にんじんや大根を自分の歯でそのまま齧れば、誰も切らなくていい。トントントンとは、私の歯の替わりを他人がしてくれている行為だ。煮る焼くなどはレンジやIHがやってくれる。味付けもそう長時間かかる作業ではない。"お料理を作る"とは、"トントントン"を数時間、聞き続ける行為なのだと知った。

 宅配ビジネスで、各種おかずが盛られたプラスチックケース入りの弁当がある。あれを見て、「わあ、食べたい」という人がどれほどいるだろう。いや、いる。おそらくいる。だからあのビジネスが成功している。だが、お料理って「はい」と渡されて「おいしい!」となるのではなく、トントントン、の音と、やがて、グツグツグツと煮る音と、キッチンから流れてくる生姜やニンニクの香りなど、創作過程も含めて、"お料理"なのだと気づかされる。だから手作り料理はおいしく感じるのだ。時間をかけてその作品が出来上がるまで、ずっと"お料理"なのだ。

プロ主婦は違う

 出来上がった料理を見てまた驚愕し、同世代の働く友人に電話した。

 「自分でお料理して、何種類の野菜を取っている?」
 「せいぜい、2種類か、取って3種類かなぁ」
 「やろ!?私もそうだった。でもプロ主婦は違うよ」

 そう言いながら目前の料理をレポートした。

 野菜サラダの中身は、レタス、キュウリ、トマト、ブロッコリー。
 煮物は、豚とピーマンと那須。
 もう一つの煮物は、にんじん、大根、揚げ天。
 そして焼き魚。
 お味噌汁は、豆腐、揚げ、わかめ、ネギ、だ。

 「うわああああ!すごいっ」と友人が声をあげた。

 「な?プロ主婦は、これだけの労力を料理という作業に費やしている。我々キャリア組がかなうわけがない。まずこれだけの食材を揃えられない。これだけの栄養素も獲得できない。そもそも、料理が若い。若さを推し量るには、料理を見ればわかる。年齢を重ねると共に、料理が一皿一皿減っていくやろ」
 「ほんまや!」
 「実家に帰るとわかる。家庭料理を食べたくて実家に帰るのは、若い昔の、おかずが一杯あった食卓をイメージして帰るのだけれど、実際、高齢になった家族の元に行くと、おかずはきゅうりのキューちゃんだったりする」

レッツ!ビジネス化

 老いを計るには、その人の作る料理を見ればわかるし、老いと共に取るべき栄養素も落ちる。高齢社会を迎えるにあたり、これからのビジネスがこれで見えてくる。

 "手料理ビジネス"だ。

 私がそれを必要とし、感動したように、食事さえ届けばいいビジネスではなく、音と匂いから始まる料理が人を癒す時代が来る。絶対に来る。もう来ている。

 孤食の高齢者の食事がシーチキンとご飯だけ、というドキュメンタリーを見た。もう料理という労働ができない高齢者は、そうなる。

 事業化にあたっては、まず、ママ友ネットワークという、強い信頼関係があって成立するビジネスではないかと思う。

 なんせ鍵を渡すのだ。冷蔵庫権を譲るのだ。私の身体の栄養管理を他人に譲り渡すのだ。

 この肉体をつかさどるベースを頼る分、お掃除のアウトソーシングとはまた違う、信頼と腕が必要とされる。

 「子育ての大変さ」が大前提にある、と、友達に言うと、そういえば、と、友達が言った。

 「うちの母親も、高齢になっても一緒に遊ぶのは近所のおばちゃんではなく、昔、PTAとかで一緒だったお友達と旅行とかに行っているわ」
 「ほら!それくらい、子育ては大変で、PTAも戦いで、それを共有した経験は、深い関係性を生み出しているんだと思う」

 改めて感じるのは、シングルキャリアウーマンのネットワークの脆弱さだ。

 子供がいることや、夫がいることを羨ましいとあまり感じたことはない。が、今回、ママ友という強靭な連携がないことに気づかされた。ママ友がいない。

 ママ友を持つ女性が心から羨ましいと思う。ネットワークはいかにあの時、共に戦ったか、で、生涯の友ができあがるのだとすれば、シングルキャリアウーマンは圧倒的男性社会の中で、そもそも共に戦った"仲間"というものがない。ひとりを寂しいと感じたことはあまりないが、ママ友がいないことを初めて寂しく思った。

敗北感の向こう側

 友達が言うには、「知人に占い師がいてね…」

 客の7割が、機会均等法以降、シングルで働き続けた40代女性たちなのだそうだ。その未来の見えなさ、孤独、などが主な相談で、聞いていて鬱々となり、結果、励ますことくらいしかできないくらい、40代キャリアウーマンはどうやら不幸らしい。もちろん、皆がそうではないし、決めつけるのはいけないが、不幸や不安を感じるから占いに行く人も多いわけで。

 それは社会学でもとうに指摘されている傾向としてある。

 早くから自立心を持ち都会に出てきた女性ほど、家賃のために働いているのが現状で、未来を夢みているが、結果、貯蓄もできずいい年齢になると帰郷するのがオチだ、と。帰郷したら帰郷したで、そこには親の介護が待ち受ける、と。

 社会学者の指摘も、占い師の見る女性たちも、同じ姿だった、という現実。

 そして、"働く"ということを人生の最優先課題としてきた私や友達は、いざ、という時のママ友がいないという事実。幸い、実家から通って仕事できてきた分、私達にはある程度の貯蓄ができた。だからマンションも買えた。

 夢のマンションとはいえ、そこには腐った野菜しかなく、台所を賄ってくれる人がほしいと願えば、男性の夢ではないが、キャリアウーマンの夢もやがてはプロ主婦に行きつくのだ。この、圧倒的敗北感はなんだと、思わざるを得ない、"お料理"と"ママ友"体験だった。命に直結するこれらを、私たちは手に入れそこねた。

 家事代行のひとつとして料理代行を提供する企業もあるが、ここはもう手料理一点に絞り込んで、本格的に提供する企業が登場してほしい。そう切に願う。


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このコラムについて

遙なるコンシェルジュ「男の悩み 女の嘆き」
 働く女性の台頭で悩む男性管理職は少なくない。どう対応すればいいか――。働く男女の読者の皆様を対象に、職場での悩みやトラブルに答えていきたいと思う。
 上司であれ客であれ、そこにいるのが人間である以上、なんらかの普遍性のある解決法があるはずだ。それを共に探ることで、新たな“仕事がスムーズにいくルール”を発展させていきたい。たくさんの皆さんの悩みをこちらでお待ちしています。
 前シリーズは「男の勘違い、女のすれ違い」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/213874/031500044

 

オランダ下院選、トルコ問題が流れを変えた かすむEUの未来

ルッテ首相率いる与党が第1党、極右・自由党は伸び悩む
2017年3月17日(金)
蛯谷 敏

3月15日に実施されたオランダ下院選挙。投票締め切り後の出口調査によると、与党の自由民主国民党が最多の33議席を獲得し第1党となる見込み。ヘルト・ウィルダース党首(写真)率いる極右の自由党は獲得議席数が20と伸び悩んだ。
 選挙戦の終盤に勃発したトルコ問題が、結果的に与党の窮地を救う形になった。

 3月15日に実施されたオランダ下院選挙は、比例代表制の下、定数150議席を28の政党が争った。午後9時に投票が締め切られた。オランダ国民の関心は高く、投票率は82%と前回選挙の65%を大幅に上回った。現地時間の15日深夜に大勢が判明した。

  オランダメディアなどによる出口調査の結果は、与党の自由民主国民党(VVD)が33議席を獲得して第1党の座を守る見込み。注目を集めた極右政党の自由党(PVV)は20議席を獲得する。キリスト教民主勢力(CDA)と民主66(D66)が19議席でこれに続く。正式な開票結果は3月21日に発表される予定だ。

 自由民主国民党は、事前の世論調査では苦戦が予想されていた。議席数を前回の41から減らしたものの、第1党の座を守り抜いた。同党を率いるマルク・ルッテ首相は15日深夜に「オランダ国民は間違ったポピュリズムに対して明確にノーと言った」と勝利宣言。ドイツのアンゲラ・メルケル首相や欧州委員会のジャンクロード・ユンケル委員長らもルッテ首相の勝利を祝福した。

 一方の自由党。第1党になれば、欧州全土で台頭する極右勢力に勢いを与えるところだったが、選挙戦終盤で勢いを失った。世論調査では昨年から支持率トップを快走してきたが、3月に入って失速。自由民主国民党に世論調査の支持率で抜かれることもあった。

トルコ外相の入国拒否が流れを変える

 自由党のヘルト・ウィルダース党首は出口調査の結果が判明した後、「議席を増やしたことは我々にとって勝利だ!」(前回選挙の獲得議席は15)とツイッターに短く投稿した。しかし、予想(2月26日時点は29)に比べると、議席数が伸び悩んだのは明らか。

 なぜ自由党は失速したのか。「土壇場になって、極右政党に政権を任せることに有権者が懐疑的になった」「国民はルッテ首相の経済政策を評価した」など、地元メディアは様々な分析をしているが、最も有力な理由として考えられているのが、選挙の終盤に起きたトルコとの一件だ。

 オランダは3月11日、トルコのチャプシオール外相らの入国を拒否した。同外相はロッテルダムで開かれる政治集会に出席するはずだった。トルコでは4月、大統領権限を強化する改憲の是非を問う国民投票が予定されている。改憲への賛成をオランダに住むトルコ有権者に呼びかける目的だった。

 オランダ政府は「治安と秩序を保てない」ことを入国拒否の理由として説明したが、トルコのエルドアン大統領はこの対応に猛反発。「オランダはファシストの国」と強く批判した。

 両国の関係は現在も緊張状態が続いており、外交問題に発展しつつある。この動きは当初、反移民を掲げる自由党に追い風になるとの見方が強かったが、蓋を開ければ、この対応がルッテ首相の支持を急伸させる結果になった。

 国民の多くが、ルッテ首相がトルコに対して厳格に対応したことを支持。「ルッテ首相が国民に強いリーダーシップを見せる格好の場面になった」とオランダのライデン大学のハンス・ボラード助教授は言う。

 2日後の3月13日に実施されたルッテ首相とウィルダース党首の討論会でも、ルッテ首相はトルコへの対応を上手く議論に活用した。ウィルダース党首が「駐オランダのトルコ大使を追放すべきだ」と過激な批判を繰り返したのに対して、ルッテ首相は実行力を強調。「ソファに座ってツイートするのと、実際に国を統治するのとはまったく違う」と語り、ツイッターで政治的な発言を繰り返すウィルダース党首を一刀両断にした。

 討論会の後、13日夜に実施された投票前の最後の世論調査では、自由民主国民党の予想獲得議席が27と過去最高に上昇した。

 自由党は第1党の座を逃したが、それでも議席数を5つ伸ばした。反イスラムを掲げるウィルダース党首を支持するオランダ人は増えている。自由民主国民党が自由党と連立政権を組む可能性はゼロに近いが、今後も自由党はオランダ政治に影響を持ち続けることになる。

 「選挙結果がどうなろうとも、国民の気持ちを抑えることはできない」。ウィルダース党首は選挙当日にハーグでこう発言し、移民に対してオランダ人が抱く反発が、今後も広がると主張した。

フランス大統領選への影響は…

 自由民主国民党は第1党となったが、議席数を前回よりも大幅に減らしている。このため、議席の過半数にあたる76議席を確保し政権を確立するためには、複数の政党と連立を組む必要がある。

 今回の選挙では、これまで連立政権を組んできた労働党が前回の38から9へと大幅に議席を減らしている。このため、自由民主国民党は、キリスト教民主勢力(CDA=19議席を獲得)、グリーンレフト(GroenLinks=16議席)、民主66(D66=19議席を獲得)などの政党と連立交渉に入る可能性が高い。

 交渉には相応の時間がかかると見られている。過去の連立政権は、組閣に最短で1カ月、長い場合は約7カ月かかっている。このため、欧州における今年前半の最大の政治イベントである4月のフランス大統領選は、オランダが政権樹立の交渉を続ける中で実施される可能性がある。

 フランスの最新の世論調査では、極右政党である国民戦線のマリーヌ・ルペン党首が高い支持を集めているが、有力対抗馬であるエマニュエル・マクロン氏も支持を急速に伸ばしている。ルペン党首の勢いに陰りが見えているとの見方も出ている。

 国民戦線のマリーヌ・ルペン党首はウィルダース党首と関係が近く、今回のオランダ下院選挙の結果を注意深く見守っていたはずだ。結果をどう分析し、自身の選挙活動に生かすかが注目される。

 ウィルダース党首は選挙後、「連立政権入りの交渉に応じる」とツイッターで発言したが、現状はその可能性は低い。ひとまず極右政党の台頭を抑えたオランダの選挙結果が、次のフランス大統領選にどう影響するか。残り約1カ月、欧州の注目はフランスに移る。


このコラムについて

かすむEUの未来
 EU(欧州連合)離脱をめぐる英国との交渉、主要国で台頭する反EUの政治勢力、終わらない難民問題…。課題山積のEUは今、発足以来の正念場を迎えている。欧州各国で起きる政治・経済の動向を中心に、ロンドン駐在記者が現場で見て聞いたリアルな欧州の姿をリポートする。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/030900123/031600004  

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