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「就活」に規制はない方がいい アベノミクス試す円安 米国債買う債券王 実質所得が伸びない 緑虫燃料 年金改革 
http://www.asyura2.com/13/hasan79/msg/616.html
投稿者 eco 日時 2013 年 4 月 24 日 04:31:08: .WIEmPirTezGQ
 

(回答先: 65歳雇用義務化についてのまとめ 投稿者 eco 日時 2013 年 4 月 09 日 02:27:43)

【第277回】 2013年4月24日 山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
「就活」に規制はない方がいい
企業や学生にとってはストレスに
就活後送りは何を改善するのか?

 安倍首相は経済団体に、平成16年度大学卒業者の採用から、現在おおむね大学3年生の12月から始まっている採用活動の開始時期を、4年生の3月に後送りするように要請し、日本経団連をはじめとする大手経済団体のトップはこれを受け入れるコメントを発表した。

 いわゆる「就活」の時期が遅くなる方が、学生が学業に専念できる期間が長くなるとして、大学側が就活時期の後送りを要望しており、政府がこれに呼応して今回の要望に至った。

 しかし筆者には、この就活後送りが何かを改善するようには思えない。むしろ、ルールが変わることで、これに対応する学生と企業両方にとって不確実性とストレスが増すだけではないか。

 学生の立場で考えると、就職の内定が遅くなるよりも、早い時期に内定を取ってしまった方が、勉強に集中できる面がある。大半の企業が大学の卒業を採用の際の条件にしているので、大学が学生にもっと勉強することを求めたいなら、カリキュラムの密度を上げて、卒業条件を厳しくすればいい。卒業できなければ就職もできない。さすがの学生君も勉強するだろう。

 しかし、就職が決まった学生はさっさと卒業させて、学生にとって楽な物わかりのいい大学として学生におもねりつつ、次の受験者・入学者を募っているのが、多くの大学の実質的な経営方針であるように見える。

 学生が勉強しないことの根本原因は、教師の質も含めて、大学の側の方針にある(質の低い大学を認可し続けている文科省の問題もあるが)。学業の、ひいては卒業生の「質」を上げることは、大学自身の努力でできることだ。「就活」を言い訳に使うな。

 他方、企業の側では、他社も採用活動が後送りされるなら、採用期間が短縮され、また、内定学生の内定辞退への不確実性が減ずるという意味で、採用活動後送りの談合に参加してもいいと思うインセンティブは若干ある。

 しかし同時に、営利企業として当然のことだが、他社よりも先に「いい学生」を確保したいと思うので、様々な形を使って「抜け駆け」をしようと努力している。

 加えて、採用活動の開始時期に関するルールは、破っても具体的なペナルティのないザル法以下の「ザル・ルール」なので、学生から人気のある就活強者企業は世評を気にしてルールを守るが、そうでない企業は実質的にフライング内定を行使するというような形で、微妙な均衡が形成されて、就活に関するルールが曖昧に破られる状況が何十年も続いてきた。

 今回のルール変更は、新たな均衡模索の過程で増す不確実性によって、学生と企業の双方の負担になる可能性がある。

何が現実的な価値かを理解していない
ブランドを毀損する大学の勘違い

 厳しいカリキュラムと卒業生の国際性などについて評価が高い秋田県の国際教養大学のような少数の例外はあるが、多くの大学の卒業生の採用にあって、ほとんどの企業が、学生の「素材」を採用したいのであって、大学で身につけた知識を買いたいのではない。

 採用の際に企業が見るのは、学生本人の人格(気持ちよく一緒に働ける若者か?)と能力(「地頭」の良さと目的達成意欲の強さ)の2点であって、後者の評価にとって有力な情報は、面接や筆記試験で多少は調べるとしても、大学時代の学業成績よりは、大学入試時点での達成度であるのが現実だ。

 この点は、系列高校からのエスカレーター入学、推薦入学、AO入試(一芸入試)などによる入学生を受け入れすぎた私大が、近年そのブランド価値を毀損している様子を見るとよくわかる。

 ビジネスとして大学を評価すると、自社の商品(卒業生)の何が現実的な価値になっているのかを正しく理解できていない場合が多いように思う。企業から見ると、大学が提供する付加価値で最大のものは、入試の客観性と入学者のクオリティだ。

 もちろん、厳しいカリキュラムと卒業条件で、卒業生の質を上げることで大学固有の付加価値をつくる戦略はあり得るが、現実にそれに対応できるコストを負担し、かつ教員の質を確保できる大学は少ないのが現実だろう。

 そして企業側は、こうした事情を十分にわかっている。

就活ルールに意味はあるのか?
採用活動や就活は自己責任では

 そもそも、私企業の社員の採用活動について「談合」のごとくルール化することに何の意味があるのだろうか。

 不自由になるだけで、企業にとって積極的なメリットはない。

 学生の側でも、早く就職先を確保したい学生はそうすればいし、就職先をゆっくり考えたいと思う学生はそうすればいい。後者は、就活市場で立場の強い学生でなければ難しいかも知れないが、就職先を早く決めることの可能性の制限と、就職先を後で決めることのリスクとのトレード・オフは学生本人の責任で決めたらいい。

 彼らはすでに選挙権まで持っている大人なのだから、それで何の問題もあるまい。まして、学生の側には事後的な「内定辞退」というオプションもあり、十分な選択肢を持つことができる。

 企業が採用活動をいつ始めようが、学生がどの時点で就職先を決めようが、それぞれの事情と判断で決めたらいいことなのではないだろうか。

解雇が容易ではないことが
社員採用全般を保守化させる

 日本で現在広く行われている「新卒一括採用」に、企業側ではそれなりの経済合理性がある。

 個々人の採用にかける手間とコストは、まとめて採用を行う方が採用者1人当たりで低廉だし、年次が同じ社員同士を共通に扱いながら競争させることは、マネジメントを単純化する上で役に立っている。

「新卒」以外の人材も柔軟に雇うオプションがあることは企業にとって望ましいが、これはすでに行われている。企業は必要があれば、中途採用も行うし、専門家を雇うこともある。

 ただし、こうした採用には手間とコストがかかるのが現実だ。卒業を遅らせた学生や、卒業後に定職に就かなかった若者、あるいは大学院修了者や修士、博士を、同年齢の新卒入社社員並みの扱いで採用し、処遇すべきだと企業に強要することは、筋違いだ。

 企業にとっては、20代後半で専門的な論文を読み書きする能力がある人物が欲しい場合もあれば、そのような作業に不慣れでも、日常的な状況の処理能力が高く社会人としてのトレーニングを積んだ20代後半の人物を欲しいと思う場合もあるだろう。それは企業の判断でいいし、どちらの人物像を目指すかは、若者の側の判断でいい。

 問題があるのは、よかれと思って採用した社員のパフォーマンスが不十分な場合に、解雇が容易でないことだろう。これは、企業の社員採用全般を抑圧し、内容的にも保守化させる要因になっているように思う。

就活プレッシャー減圧のための
真の解決策は人材流動化の促進

 後の解雇が可能であれば、「面白そうな人物だから、雇ってみるか」といった大胆な採用がより容易になる。

 中途採用・中途入社が現在よりももっと容易であれば、新卒時点の就職で長い職業人生の大半が決まる、というような切迫感は減少するだろう。

 ただし、解雇に関する金銭的な補償の明確なルール化が必要だ。明確な補償額の設定は、雇用保険と別に、企業側に対して解雇の濫用を抑止するためのコストとしても必要だし、もちろん、被用者側の経済的なダメージへの補償でもある。

 一方で、企業側は、人員整理のコストを事前に見積もりやすくなるので、より柔軟で計画的な経営ができるようになる。

 会社都合の解雇に金銭的な補償の義務をつけた場合、いわゆる「ブラック企業」的な職場にあっては、社員を自己都合退社に追い込むような方略が採られる可能性がある。

 職場で、労働基準の違反や、各種のハラスメントなどがあった場合には、社員の側から職場を去る際に、会社都合退社並みの補償金を取ることができるようにすることが望ましかろう。

 加えて、労使の間の意見の違いを調停する仕組みも必要だ。組合を介さず、個人が会社と直接紛争を解決できるようなルールが整備され、かつあくまでも個人に向けた公的なサポートがあるとよい。

 経済構造の変化への対応、成長分野への資源(人材を含む)投入、ひいては「就活」に過剰に集中するプレッシャーの減圧のためにも、最終的には全ての年代層にわたる人材の流動化促進が必要だ。

http://diamond.jp/articles/print/35133


 


アベノミクスの成長戦略を試す円安
2013年04月24日(Wed) Financial Times
(2013年4月23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)


円相場は1ドル=100円をにらんだ動きが続いている〔AFPBB News〕

 「アベノミクス」にとって、今のところ首尾は上々だ。日本の株式市場は急騰しており、不動産市場も沸いている。消費者心理は6年ぶりの高水準をつけた。

 そして、数カ月にわたり積極的な金融緩和への期待が高まった後、円相場は1ドル=100円の重要な節目に迫っている。円が最後に100円の大台をつけたのは、ちょうど4年前のことだ。

 世界第3位の経済大国である日本の浮揚を掲げた安倍晋三氏の選挙運動が総選挙で同氏を勝利に導くことがはっきりした11月半ば以降、円は主要10カ国(G10)のすべての通貨に対して少なくとも2割下落し、韓国やロシアなどの貿易相手国は不当な優位性について不満をこぼすようになった。

 だが、大幅に下落した通貨は本当に日本株式会社をより手ごわい競争相手にするのだろうか?

「円安=GDP拡大」が通用しなくなった?

 エコノミストは確信を持てずにいる。これまでは、相関関係は確かなものに見えた。円安は輸出企業の利益を押し上げ、その輸出企業が次に採用や賃上げ、設備投資により多くの資金をつぎ込むという流れだ。

 シティグループ証券のチーフエコノミスト、村嶋帰一氏は、一般的な経験則では、円が対ドルで10%下落すると、日本の国内総生産(GDP)が翌年に0.3%拡大すると言う。

 しかし、現在は背景が異なる。2011年3月の震災以降、電力会社が失われた原発発電量を補うために燃料輸入を急いだことから、何十年間も安定した黒字が続いていた日本の貿易収支が赤字に転落した。

 例えば、日本の液化天然ガス(LNG)輸入代金は3月に約6210億円に上り、震災前の3カ月間の平均金額のちょうど2倍になった。その結果、日本の家計が支払う電気料金は既に2年前より平均して約11%高くなっている。

 HSBCのアジア経済調査部門の共同責任者、フレデリック・ニューマン氏は、円安が招く電気料金の追加値上げは消費を圧迫し、日本の輸出企業への「追い風を鈍らせる」恐れがあると指摘する。

 円安が国内投資を大きく促すかどうかも不透明だ。日本企業は近年、諸外国のコストの安さと力強い需要を生かそうとして対外投資のペースを加速させてきた。日銀のデータによると、日本の対外直接投資(純額ベース)は2012年に1220億ドルに達し、2008年につけた過去最高記録と大きく変わらない水準にある。

円安でも国内投資が大きく増えない理由

 恐らくそれ以上に重要なのは、投資を牽引してきたのが、企業収益が為替相場のレベルにあまり敏感ではない鉱業、小売り、通信などの非製造業だったことだろう。こうした業種はリーマン危機以降、日本企業による対外投資の約6割を担っている(10年前は半分を大きく下回っていた)。

 このトレンドは、反転させるのが難しいかもしれない。日本貿易振興機構(ジェトロ)が最近行った調査では、69%の企業が今後3年間で海外事業を拡大させたいと答えていた。1年前に国外での事業拡大を目指していた企業は73%で、数字は大きく変化していない。

 一方、海外で稼いだ利益はそのまま海外にとどまるかもしれない。例えば静岡に本社を構え、自動旋盤と腕時計部品の大半を国外で生産・販売するスター精密では、総額100億円の現金のうち、日本国内で保有しているのはたった20億円だ。

 円安の結果として決算の数字がかなり良く見えるようになり、同社取締役の佐藤衛氏は「我々はアベノミクスの大ファンだ」と話しているものの、投資の重点は今後も国外に置かれるという。

 野村総合研究所で金融市場の調査を率いる井上哲也氏は「輸出収入の拡大が以前のように国内の設備投資を促すとは思えない」と言う。

 多くのアナリストや企業幹部は、結局、日本の古い問題の多くはまだ残っていると指摘する。円高は、高い税率、貿易、労働、環境の厳しい規制、エネルギー消費の抑制と並び、日本企業が近年不満をこぼしてきた「6重苦」の1つに過ぎない。

 安倍首相は閣僚と財界人の諮問会議に、こうした問題に対処する最善策について6月までに報告を上げるよう求めた。

 だが、金融、財政の刺激策が見事に当たった後、安倍首相の成長戦略を指すアベノミクスの「第3の矢」は今のところ、「かなり焦点が甘く、はっきりしていない」とJPモルガン証券のシニアエコノミスト、足立正道氏は言う。

1ドル=100円近辺が妥当な水準

 その意味で、日本が15年以上に及ぶデフレからの脱却を果たそうとする中、1ドル=100円前後という現在の為替水準が妥当だと考える人は多い。

 差し当たりこの水準なら、日本を停滞から抜け出させるには十分弱いが、安倍首相が改革を準備しているうちに輸入コストが大打撃をもたらすのを防ぐ程度には強いというのが彼らの見方だ。

 「歓迎すべき円安がどの段階で望ましくない円安になるのか正確に特定するのは困難だ」。みずほ証券のチーフマーケットエコノミスト、上野泰也氏はこう話す。「だが、最適水準は恐らく今の水準前後だろう」

By Ben McLannahan
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/37654


 

米国債の安定性を買う「債券王」
2013年04月24日(Wed) Financial Times
(2013年4月23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)


債券王の異名を取るビル・グロス氏が米国債に対して強気に転じた(写真はワシントンの米財務省前に建つ初代米財務長官アレクサンダー・ハミルトン像)〔AFPBB News〕

 どの市場を見てもバブルになっているケースがほとんどだが、自分がキャリアを積み重ねてきたこの大きな、30年の長きにわたる債券の上昇相場が終わる気配は全く見られない――。ビル・グロス氏はそう言い切る。

 米ピムコの共同創業者で、同社が誇る世界最大(運用資産2890億ドル)の債券ファンド「トータル・リターン・ファンド」の運用担当者でもあるグロス氏は、各国の政府と中央銀行が正真正銘の景気回復に弾みをつけられるまで下落相場はやって来ないと述べている。

 長引く低金利と米連邦準備理事会(FRB)の国債買い入れプログラムを批判する人は多く、この施策のためにインフレ率が上昇し、金利も上昇して債券投資家が損失を被りかねないと彼らは警告しているが、グロス氏はこれとは正反対の立場を取り、米国債の安全性を評価している。

ほぼすべての資産市場がバブル

 「小切手の発行と政策金利の安定という魔法のクスリが効いて何らかのタイプの経済成長が名目ベースで生み出されるまでは、債券の下落相場はやって来ないだろう」。グロス氏は本紙(フィナンシャル・タイムズ)にこう語った。

 グロス氏はそういう状況を喜んでいるわけではないが、そう考えて運用せざるを得ないという。FRBと、日本や英国、そして欧州の中央銀行による金融実験の結果、「資産市場はほぼすべてバブル化しており、価格が歪んでいる」とグロス氏。

 「リターンに対するリスクを管理する観点で見るなら、今最もバブル化していない市場はどこかが問題となる。悪いながらも気に入っているという投資先が特にあるわけじゃない」

 グロス氏によれば、社債のクレジットスプレッドは縮小しすぎており、実質金利は低すぎ、株式のバリュエーションは高すぎる。「まあ、ああいうものにはみんなリスクがある」

 資金を完全に引き揚げて様子を見るという手もあるが、マネー・マーケット・ファンド(MMF)に資金を寝かせたら20ベーシスポイント(bp、1 bp=0.01%)の利息しか得られない。従って、必然的に比較的安全な米国債を選択することになる。

 「ピムコは米国債に引き寄せられている。過大評価されている資産の中で少なくとも最も安定しているのが米国債だと考えているからだ。米国債が安定しているのは、FRBの政策と比較的低いインフレ率のおかげだ」とグロス氏は語る。

 同氏は3月末時点でトータル・リターン・ファンドの資産の3分の1を米国債に配分していた。同ファンドでは昨年7月以来の高い比率だ。

2011年に米国債売却に動き大失敗

 このような見解は、米国債への投資を完全に避けるという2011年の同氏の判断とはまさに対照的だ。実際、この判断は誤りで、同氏のファンドの運用成績はほとんどの債券ファンドのそれを下回ってしまった。

 調査会社モーニングスターによる債券ファンドマネジャーのランキングで最上位3%に15年間名を連ね続けていた人物にとって、例外的な不振の年となった。

 グロス氏はかつて、「量的緩和」とFRBの債券買い入れプログラムが引き起こすインフレ率の上昇は危険であると考えていたが、現在ではむしろ、こうした取り組みの効果が小さすぎるのではないかと危惧している。

 「米国の中央銀行は、インフレだけでなく実質的な経済成長も引き起こせていない。これは一体なぜなのか?」

 同氏はそう自問した後、様々な要因が組み合わさっているのかもしれないと話している。あまりに性急な財政緊縮、人口の高齢化、新興国の低コストな労働力との競争、そして中央銀行の政策は逆効果かもしれないという「異端」の説などがそれに当たるという。

MMFや保険会社のビジネスモデルが崩壊

 同氏によれば、ゼロ%に近い金利水準は、ゼロ%近くに張り付いた金利への上乗せで稼ぐことに依存しているMMFや保険会社、銀行などの業界を弱体化させている。「過去30年の間にプラスの実質金利という土台の上に築かれたビジネスモデルが、今では崩れてしまっている」という。

 また、事業会社も積み上がった現金を投資に回せていないと指摘する。「この現象は、今のような金融政策の負の側面が限界に達しており、実体経済を拡大ではなく縮小させていることを示しているのかもしれない」

インフレで破綻かデフレで破綻か

 危険な状況を説明するために、グロス氏は極端なシナリオを2つ描いている。「もしアルマゲドンに至る道をたどっているとしたら、昔のジンバブエやワイマール共和国であったようにインフレで破綻するか、恐慌時のようにデフレで破綻するかのどちらかになり得る」

 前者なら投資家は金(ゴールド)とインフレ連動債を欲しがり、後者なら残存期間の長い米国債が買いを集める、とグロス氏は考えている。だが、どちらのシナリオもすぐには実現しないと付け加える。

 どちらかを選ばねばならないなら、インフレになって破綻する方がいいと同氏は言うが、今のところは、企業のバランスシートが悪化するリスクよりも金利が上昇するリスクの方を取りたいという。「もし実質成長率が伸びずに失望を買うことになれば、明らかにクレジットスプレッドの方が大きなリスクにさらされる」からだ。

 FRBが利上げに踏み切るレベルに経済成長率と失業率が到達するにはまだかなりの時間がかかり、2015年か「恐らくもっと先」の話になる、とグロス氏は予想している。

 その一方で、人口動態のために債券には根強い需要が生まれていると見ている。

増え続ける高齢者が支えに

 「債券は今後も、高齢者の投資先になり続けるだろう。値段が下がらなければいいなと思う。もっとも、高齢者はいつの時代になっても債券を欲しがるだろうし、今後は高齢者自体の数が増えていく」

 従って、もし中央銀行がインフレを引き起こせなければ、「大転換が起こりつつあると喜々として語る人たちの言う下落相場にはならない。あと1年か2年、あるいは3年待ってもらわねばならないね。恐らく2013年には、そういう状況にはならないだろう」

By Dan McCrum

http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/37656


 

 
アベノミクスでホクホクの個人投資家 第3話

「日本株配当+不動産賃貸≒年金×2」の65歳

2013年4月24日(水)  日経マネー編集部 、 真弓 重孝

 伝説の投資家、ジョン・テンプルトンが述べたあまりにも有名な言葉がある。
 「強気相場は悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、楽観とともに成長し、陶酔の中で消えてゆく。悲観の極みは最高の買い時であり、楽観の極みは最高の売り時である」。
 65歳の個人投資家、赤城敬さん(仮名)はこのテンプルトンの言葉を体現するように日本株投資では、誰もが買わないような時に買うことを心掛ける。2010〜12年の3年間の運用成績は「+5%」→「+10%」→「+35%」と3年とも日経平均株価を上回っている。
 65歳の赤城敬さん(仮名)は、年金の倍近い収入を、株の配当金と不動産賃貸から得ている。60歳で定年退職、63歳で嘱託勤務を退いた赤城さんの年金収入は年270万円。時価で3200万円の日本株の配当が年100万円、アパートの賃貸収入は410万円になる。金融資産は9000万円だ。


赤城敬さんの金融資産と過去3年の運用成績
 賃貸収入が多いのは、1棟4戸(1戸の間取りは3LDK)のアパートを2棟所有しているため。1戸の家賃は6万1000円。経費を引くと月45万円の収入になる。もともとは赤城さんの父親が相続対策でローンを組み建設したもの。

 数年前に父親が死去して、2000万円のローン残債とともに相続した。金利が4.3%と高かったため、赤城さんは2500万円の退職一時金から残債の2000万円を繰り上げ返済した。

 残った500万円は日本株の購入に回した。赤城さんが日本株投資を始めたのは40代後半の1996年、JR西日本の上場がきっかけ。退職後に年金以外の小遣い稼ぎができたらというのが、投資を始めた動機だ。


 現在は高配当銘柄や成長可能性のある割安銘柄を投資対象にする。保有銘柄数は約20。基本は相場の急落時など誰もが買わないときに買いを仕掛ける。


 ここ最近の含み益の多い銘柄がIHI、みずほフィナンシャルグループ(FG)、穴吹興産、NEC、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)だ(表を参照)。購入する際には、10年来高値・安値を見ながら判断する。

 IHIとNECは宇宙・航空関連の将来性に期待した。穴吹興産は、赤城さんが持つ賃貸アパートの建設を穴吹工務店に依頼していた経緯から購入した。当時は低位株だったが業界での地位や実力を評価しての購入だった。

 震災後はインフラの復興を見込んで日立造船と三菱重工業を、地熱発電の普及に期待して富士電機をそれぞれ購入。一部は売却し、50万〜60万円の売却益を上げた。

 もちろん不振の銘柄もある。三菱自動車、日本板硝子、パナソニック、キリンホールディングス、タカラトミーは、3月末時点でそれぞれ約20万円から約90万円の含み損を抱えている。だが他の銘柄がこれらのマイナスを超えるパフォーマンスを上げ、赤城さんの金融資産を膨らます。投資の成績だけではない。

退職後も収入の2割を貯蓄

 退職後も収入の2割近くを貯蓄などに回している。また、株の配当金や売却益は再投資に回して利子が利子を生む複利効果を獲得しつつ、旅行などにも使ってきた。

 成績を上げてきた日本株の運用だが、今後は縮小する方針だ。東南海地震や、今年で証券優遇税制が廃止されることなどを考慮し、保有株を現金化して孫への支援に回したいという。


赤城さんが保有するNTT株の「配当金計算書」
 ただし、月10万円程度の小遣いを稼ぐため、配当の良いNTTやNTTドコモ、みずほFGと三菱UFJFGの4銘柄は残したいとする。

 日本株相場は昨年11月からの急激な上昇で、買い時を逃したと感じる人も多い。今から投資して果たして大丈夫なのか。そんな疑問を解消していくうえで、必要なのは相場全体は上がっていても、割安に放置されているバリュー株はないのかまず探してみること。また日本株以外に、今が底値と思えるような投資対象はないのか分析してみることも、分散投資の観点から必要だ。


おカネはこうして増えていく

少子高齢化とかアジアの追い上げなど先行きの暗い話ばかりが目に付く日本。しかし日本は1億円以上の金融資産を持つ富裕層が170万人を超える世界最大級のお金持ち大国。お金持ちはどのようにして資産を増やしたのか。個人の投資や節約術を数多く取材してきた日経マネーが、これぞスゴ技という事例を紹介していく。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/skillup/20130419/246977/?ST=print


 


 

働いている割には実質所得が伸びないのはなぜか

GNIから考える成長戦略〜アベノミクスの中間評価(その2)

2013年4月24日(水)  小峰 隆夫

 アベノミクスの3本の矢のうちの第3の矢「民間投資を呼び起こす成長戦略」の全体像は検討中であり、まだ評価を下すような段階ではない。そこで本稿では、検討過程で浮かび上がりつつある問題の中で、私が重要だと思う点を紹介してみたい。今回はGNI(国民総所得)という指標から成長戦略を考えてみることにする。

最近注目されているGNI

 現在検討されている成長戦略の中で、GNI(国民総所得:Gross National Income)という指標が脚光を浴びつつある。3月8日に開催された経済財政諮問会議では、民間議員が連名で「経済財政政策から見た目指すべき国家像と成長戦略への期待」という文書を出した(PDFの資料はこちら)。その中に「成長戦略が前提とすべきマクロ経済的視点から見た定量的目標」という項目があり、そこには「実質GNI(実質GDP、海外からの純所得、交易利得)の持続的拡大、10年以内GNI拡大目標値設定」と記されている。安倍晋三内閣で策定されつつある成長戦略においては、GNIを重視していこうと姿勢が示されかけているのだ。

 このGNIという数字自体は、内閣府の経済社会総合研究所が毎四半期発表している国民経済計算速報にもちゃんと入っているのだが、これまではあまり注目されてこなかった。四半期速報を報じる新聞でも、GDPについては報じられるが、GNIに言及されることはほとんどない。多分大多数の国民は「そんな言葉は聞いたことがない」と言うだろう。

 そのGNIが注目されるのにはそれなりの理由があり、それを考えていくと、日本の成長戦略の根幹にかかわる問題が見えてくる。そこでまず、「GNIとは何か」というところから考えてみよう。

名目で見た場合、GDPとGNIはどこが違うのか

 我々が普段目にしている経済成長率は、GDP(国内総生産:Gross Domestic Products)の伸び率である。現在はGDPが中心だが、かつてはGNP(国民総生産:Gross National Products)が中心概念であった。1971年に、朝日新聞社が『くたばれGNP』という本を出して、公害などの観点から成長至上主義を批判したことがある。当時はGNPが成長の指標だったことが分かる。

 では、GDPとGNIはどこが違うのか。我々は「日本全体でどの程度の大きさの経済活動が行われているのか」を知りたい。この点で、現在最も使われているGDP(国内総生産)は、その名の通り、「日本という国土(国内)の上でどの程度の生産活動が行われたか」を示している。生産活動が増えていけば、雇用機会は増え、国民全体の生活水準は高まるはずだ。それが経済成長である。

 同じようなものとして、「国内総支出」「国内総所得」というのもある。この2つは名目値で見る限りは、国内総生産と同額になるはずだ。例えば、我々が200万円の自動車を購入したとしよう。この時、200万円の消費か行われ(国内総支出の一部)、200万円の生産が実現しており(国内総生産の一部)、誰かが200万円の所得(国内総所得の一部)を手にしたことになる。こうして一つの経済取引に対して「生産」「支出」「所得」がワンセットで同額動くのだから、日本全体の生産・支出・所得の合計は等しくなるはずだ。これを「三面等価の原則」という。

 次にGNP(国民総生産)を考える。これは「日本国民がどの程度の生産活動を行ったか」を示すものである。今度は「国民」でとらえているので、日本人や日本企業が海外で稼いだ分も入り、逆に外国人・外国企業が日本で稼いだ分は入らない。この国民概念でも「国民総支出」「国民総所得(これがGNI)」があり、ここでも三面等価が成立するから、「国民総生産」「国民総支出」「国民総所得」は等しい。

 本稿では「GDPではなく、GNIを見よ」と主張するわけだが、これは名目値で見る限りは「GDPではなくGNPを見よ」と言っているのと同じである。いわば「昔に戻れ」と言っているわけだ。ではなぜ昔に戻った方がいいのか。それは、グローバル化が進む中で、日本人・日本人企業の海外での活動、外国人・外国企業の日本での活動が無視し得ないほど大きくなってきたからだ。

 名目GDPと名目GNIの差はネットで見た海外からの稼ぎを示している。両者を比較してみると、1994年当時は名目GNIが名目GDPより約4兆円(GDPの0.8%)大きかったのだが、2012年にはその差が約15兆円(1.5%)にまで拡大している。これは、海外進出した日本企業が稼いだ利益や日本企業(人)が海外投資によって得た配当や利子所得が増えたためである。

 成長戦略とは、日本人・日本企業がいかに効率的に働いて、いかに高い所得を稼ぎ出し、それによっていかに高い生活水準を実現するかについての政策を明らかにするものであるはずだ。すると、「日本人・日本企業が国内で働いて、国内で実現した所得(GDP)」だけを最大化するための作戦を考えるのではなく、「海外で働き、実現した分も含めた所得(GNI)」を最大化するための作戦を考えるべきだということになる。これが、GDPよりもGNIを見よという第1の理由である。

実質で見た場合、GDPとGNIはどこが違うのか

 次に、実質で見た場合を考える。ここから話がやや込み入ってくる。

 前述のように、名目値で見る限りは、生産、支出、所得が等しいという三面等価が成立する。ところが実質ではこの原則が成立しないのだ。

 「実質国民総生産」と「実質国民総支出」は一致する。支出と生産は、「買う側から見るか」「売る側から見るか」の違いだけであり、要するに同じものを見ているからだ。しかし、実質所得はそうではない。実質的な生産活動は同じでも、所得の実質価値が変動することがあるのだ。

 この実質生産・支出と実質所得の違いをもたらすのが交易条件の変化である。交易条件というのは、輸出価格と輸入価格の比(輸入価格/輸出価格)である。例えば、輸入価格に比べて輸出価格が相対的に上昇すると(これを「交易条件の改善」という)、日本から見ると、同じ輸出でより多くの輸入品を受け取ることができるようになる。これが交易利得である。逆に、交易条件が悪化すると、交易損失が生まれる。この交易利得(損失)は、実質GNPには無関係だが(当然だが、実質GDPにも無関係)、実質GNIを変動させることになる。

 成長戦略の中で実質GNIが注目されるようになった第2の理由がここにある。というのは近年、日本では交易損失が生じ続けているのだ。表は、実質GDP成長率と実質GNIの成長率を比較したものである。これを見ると、常に(2009年は例外)、GDPの伸びよりGNIの伸びが低く、その主因はマイナスの交易利得(つまり交易損失)が発生しているためであることが分かる。すなわち、我々は働いている割には実質所得が伸びない状態を続けているのであり、それは交易条件が悪化しているからなのである。

表 実質GDP成長率と実質GNI(国民総所得)の成長率の推移(%)
実質GDP 実質GNI GNI変化に対する交易利得の寄与度
2005年 1.3 0.8 -1
2006年 1.7 1.1 -1
2007年 2.2 2.1 -0.7
2008年 -1 -2.6 -1.5
2009年 -5.5 -4 2.2
2010年 4.7 3.5 -1.1
2011年 -0.6 -1.4 -1.2
2012年 1.9 1.7 -0.3
(資料)内閣府「国民経済計算」

多くの先進国では交易条件は不変で推移

 ではなぜ、日本ではこうして交易損失が発生し続けてきたのか。この交易損失の発生を避けることができれば、我々は、実質的な働きに見合った実質所得を得ることができる。さらに進んで、交易利得が得られれば、働き以上に実質所得を伸ばすことができる。

 この点は難問で、私もしきりに考えている最中なのだが、今のところは、円高やエネルギー価格の上昇に対して、付加価値削減型の対応をしてきたからではないかと考えている。

 円高の場合を考えよう、日本では継続的に円高が進行してきた。円レートが上昇すると、円建てでみた輸入価格はほぼ円高分だけ低下する。円建ての輸出価格については、「外貨建ての輸出価格を維持して円建ての輸出価格を引き下げるか」「円の手取りを維持するために外貨建ての輸出価格を引き上げるか」の綱引きとなる。いずれにせよ程度の差はあれ、円建ての輸出価格は低下する。以上を総合すると、円建てでみた場合、輸出価格も輸入価格も低下するのだが、輸入価格の低下の方が大きいので、交易条件は改善することになる。

 この時、外貨建ての輸出価格の引き上げ幅が大きいほど、交易条件の改善幅は大きくなる。ところが、日本は、円高に対して必死にコストをカットし、賃金を抑制し、外貨建ての輸出価格の引き上げを抑制しようとした。このため、せっかくの交易条件改善効果を十分享受できなかったのではないか。

 エネルギー価格にどう反応するかについても同じである。輸入エネルギー価格が上昇した時、当然交易条件は悪化する。しかし、コストアップを最終価格に転嫁していき、輸出価格も同じように引き上げることができれば、交易条件の悪化を避けることができる。しかしここでも、日本は必死になって輸入エネルギー価格のコストアップを吸収しようとして、エネルギー以外のコストを削減し、賃金を抑制してこれに臨んだ。これによって輸入エネルギー価格上昇の交易条件悪化効果をフルに受けることになったのではないか。

 我々の目から見ると、日本がそうした対応を取ったのはやむを得ないことであり、その以外の道はなかったように見える。しかし実は、先進諸国の中では、それ以外の道を歩んでいる国の方が多いようなのだ。前述の経済財政諮問会議における民間議員ペーパーには参考図表が付いており、この中に「交易条件の国際比較」という興味深い図がある(「経済財政政策から見た目指すべき国家像と成長戦略への期待」の「資料1−2」のうち5ページ)。これを見ると、日本は、輸出価格が低下して輸入価格が上昇しており、交易条件の悪化が続いているのだが、OECD諸国の平均では、輸出価格と輸入価格はほぼパラレルに動いており、交易条件はほぼ不変で推移している(ただし韓国は日本と同じ)。多くの先進国では、働きに見合った実質所得が実現しているのである。

 ではなぜ日本は先進諸国の中で、交易条件悪化型経済を続けてきたのか。これまた難問で、私も答えを模索しているのだが、今のところは、次のような要因が複雑に絡み合った結果ではないかと考えている。

交易条件悪化型の経済構造となる理由

 第1は、貿易構造だ。日本はエネルギーをほとんどすべて輸入に依存している。従って、エネルギー価格の変化は、ほぼ強制的に輸入価格を引き上げるだろう。一方、日本の主力輸出品は、新興国の追い上げに遭い、常に価格面で厳しい競争にさらされているため、価格を引き上げるという対応が難しい。この点、例えば、ドイツの輸出は、EUの中で強固なマーケット地盤を固めているので、価格を引き上げることができる。

 第2は、産業組織だ。日本では大企業が関連会社とのネットワークを形成して(いわゆる「下請け」)、長期的な取引関係の下で生産を行い、輸出している。円高やエネルギー価格の上昇に際しては、これら関連会社とのネットワークの中でコストアップを吸収し、最終価格の引き上げを少しでも抑えようとしてきたのではないか。

 この点では、例えば、ドイツでは、「ミッテルシュタント」という中規模企業群が、高い技術に裏打ちされた非価格競争力を持っており、これが輸出を支えていると言われている(法政大学の樋口一清教授のご教示による。同氏の「産業空洞化と地域企業の競争優位―日本版ミッテルシュタントの再発見」は、私が主査を務めた、日本経済研究センター「地域から考える成長戦略」研究分科会報告に収められている。同報告は、5月には同センターのウェブサイトで公開される予定)。日本の「大企業に従事する中小企業」というイメージとは相当大きな差があるようだ。

 第3は、雇用構造だ。日本では、企業が雇用の維持に強い責任を持っているので、価格を抑え、付加価値を削ってでも、何とかして生産量を確保しようとする傾向がある。このため賃金を抑制してでも輸出量を保とうとする行動が取られやすくなるのではないか。

 第4は、企業行動だ。日本の企業は、同業他社が進出する分野に横並びで重複進出し、同じような製品を巡って、日本企業同士で激しい競争を繰り広げる傾向がある。いわゆる「過当競争」と言われる現象だ。これに対して欧米企業は、個々の企業が独自の分野への進出を図り、その基盤を守る傾向がある。こうした企業行動の違いも、日本の輸出価格の引き上げを難しくしているのではないか。

 こうした私の考えが正しいとすると、交易条件悪化型の経済構造は、日本の貿易構造、産業組織、雇用構造、企業行動に根差したものであり、それは簡単に変わらないものだと言えそうだ。今度策定されることになる新たな成長戦略では、技術革新、人材の育成、積極的な金融投資、成長分野への資源投入などにより、国際競争力を高め、実質GNIの成長を目指すという戦略が登場するであろう。

 もちろんそれは重要なことなのだが、それは簡単なことではない。達観して言えば、そもそも多少の政府の成長戦略で日本の成長率を高めること自体が容易なことではなく、時間をかけて日本の仕組み全体をオーバーホールしていかなければ、長期的に国民を豊かにし続けることは難しいという時代に我々は位置していると言えるのかもしれない。

(次回は、女性の力を生かした成長戦略について考えます。掲載は5月8日の予定です)


小峰隆夫の日本経済に明日はあるのか

進まない財政再建と社会保障改革、急速に進む少子高齢化、見えない成長戦略…。日本経済が抱える問題点は明かになっているにもかかわらず、政治には危機感は感じられない。日本経済を40年以上観察し続けてきたエコノミストである著者が、日本経済に本気で警鐘を鳴らす。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130422/246988/?ST=print

 

ミドリムシのバイオ燃料は本当に有望か?

「仕入れリスク」と「LCA」がカギとなるユーグレナ

2013年4月24日(水)  尾崎 弘之

 昨年12月末、東証マザーズに新規株式公開(IPO)したユーグレナ(東京都文京区)の株価が絶好調である。同社はミドリムシを使った健康食品やバイオ燃料などを開発しているバイオベンチャーだ。4月につけた上場来高値は初値の5倍以上となり、時価総額は600億円に迫っている。最近の新興企業はPER(株価収益率)が重視されているので、PERが70倍に迫る株価パフォーマンスを見せるのは久しぶりである。

 ユーグレナが扱い、社名にもなっているミドリムシの一種「ユーグレナ」は、バイオ燃料や栄養価の高い健康食品の原料となることが知られていた。ミドリムシは昆虫と間違えられることが多いが、ここでは、ミジンコのように動きながら光合成も行う、動物と植物のあいのこの「微細藻類」のことである。

 ユーグレナ事業化のカギは量産化できるかどうかだが、同社社長の出雲充氏は東京大学農学部在学中から事業化の可能性を感じ、都市銀行に数年勤務した後に起業した。大手企業志向が強い東大生としては「変わり種」と言える。

 ユーグレナをはじめとするバイオ燃料は、再生可能エネルギー(再エネ)全量買取制度の対象である。原油への依存を減らしたい日本としては、是非とも推進したいエネルギーだが、実は一筋縄ではいかない。

 バイオ燃料といってもいろいろな種類があり、どれでも温暖化防止に役立ち、環境負荷が低いわけではない。数あるバイオ燃料の中で、なぜユーグレナが注目されているのであろうか。これを理解するキーワードは「仕入れリスク」と「ライフサイクル評価(LCA)」である。

 仕入れリスクは、マイケル・ポーター米ハーバード大学教授の「ファイブフォース」に含まれる経営の重要な要素である。メーカーが原材料を仕入れ先から購入する場合、通常は買い手であるメーカーの立場が強い。しかし、原材料の調達が難しく希少価値があると、逆に仕入れ先のパワーが強くなり、場合によっては仕入れ先が価格を決定することになる。パソコン全盛時代の米マイクロソフトや米インテルがそうであった。買い手はこのような仕入れリスクをマネージしなければならない。LCAについては後で詳しく述べる。

バイオ燃料が再エネとみなされる理由

 バイオ燃料は実用化がかなり進んでおり、ドイツでは、再生可能エネルギー消費の67%を占めている(2011年の実績)。米国では、2005年の「エネルギー政策法」によってバイオ燃料導入の数値目標が定められた。

 カナダのIISD(インターナショナル・インスティチュート・フォー・サステイナブル・ディベロップメント=持続可能な開発に関する国際研究所)の調査によると、年間70億ドル(約7000億円)の補助金が、バイオ燃料の原料を作るトウモロコシ農家に支給されている。

 バイオ燃料は植物を原料とするが、ガソリンや天然ガスと違って原料はほぼ無尽蔵である。これが太陽光や風力と同様、再エネとみなされる理由だが、燃やせば化石燃料と同じく二酸化炭素(CO2)を排出するのに、なぜバイオ燃料は温暖化防止に役立つとみなされているのか。

 それは、原料に植物が使われているからである。植物は光合成により大気中からCO2を吸収するので、燃やして排出するCO2は元に戻っただけで、理論上大気中のCO2総量は増えないことになる。この考え方を「カーボンニュートラル」と呼ぶ。

エネルギーと食糧の競合で高まった原料の仕入れリスク

 バイオ燃料を生産する企業にとって、競合商品はガソリンとディーゼルであり、値段、品質、サービスによってライバル企業との競争に備えればいい。しかも、バイオ燃料特有の補助金を利用できるから、その分有利である。

 ところが、2008年を境に状況が変わってしまった。当時の米国では、トウモロコシ原料のバイオエタノールが伸びていたが、原油価格高騰をキッカケに食糧価格も値上がりし、原料である食糧の仕入れ確保が困難になってしまったのである。

 シカゴ商品取引所の相場を見ると、2007年から2008年にかけて、トウモロコシと大豆の価格は最大3倍、小麦価格は最大2.7倍まで値上がりした。また、2008年には、ハイチやホンジュラスなどで食糧を求めて暴動が発生した。

 この時期、原油価格高騰以外に穀物価格急騰の要因として指摘されたことは、豪州などの大規模な干ばつ、新興国の食糧需要増加、ファンド資金の穀物市場への流入、一部の生産国による輸出制限、そして、穀物がバイオ燃料に転用されたことである。

 2007年のトウモロコシの世界生産量は7億8479万トンで、そのうち、42.3%が米国で生産された(出所:世界統計白書による)。同じ時期、米国で8382万トンのトウモロコシが燃料用に使われた(出所:米農務省)。この数字は、同年の世界のトウモロコシ生産の増加量にほぼ匹敵する。

 米エネルギー省は、「2008年の穀物価格暴騰の主犯はバイオ燃料ではない」という内容のリポートを出したが、バイオ燃料への転用の影響が大きかったことは否定できない。

 トウモロコシは家畜の飼料に使われるから人間の食糧と関係なさそうだが、飼料のコストが上がれば、食肉価格も上がってしまう。また、バイオ燃料補助金を狙って、小麦・大豆畑をトウモロコシ畑に変えることが増え、生産品種が偏ってしまった。この結果、食糧とエネルギーが競合して原料が不足し、仕入れ先であるトウモロコシ農家のバイオ燃料企業に対するパワーが強くなってしまった。

仕入れリスクが低い原料への転換

 原料を仕入れることが難しくなれば、新たな原料を探さなければならない。そこで、穀物などの食糧を原料にした「第一世代バイオ燃料」に依存するのではなく、食糧にならない雑草、木くず、廃食油などを原料とした「第二世代バイオ燃料」の開発が脚光を浴びるようになった。(表1)

表1 主な第一世代と第二世代のバイオ燃料

(筆者作成)
 ところが、第二世代バイオ燃料も仕入れリスクの解決に至らなかった。確かに木くずや雑草は食糧との競合がないのだが、ジャングルの中から雑草を調達すると、輸送のためのエネルギーが必要で、思ったより調達コストが高いからである。その分、CO2排出量も増えてしまう。

 そこで、第二世代バイオ燃料の問題を解決すると期待されているのが、ミドリムシなどの微細藻類を原料とした「第三世代バイオ燃料」である。ユーグレナはこの一種である。

微細藻類を原料にするメリット

 ミドリムシ、クロレラ、アオコなどの微細藻類は極めて効率的に光を吸収し、バクテリア並みに成長が早い。また、細胞内には脂質が多く含まれており、一部の藻類は石油や天然ガスの主成分である炭化水素を生産する。

 実用化には、数万種の藻類の中から原料として最適な種を選別し、大量に培養することが必要となる。藻類は葉や茎がないため、陸上植物より廃棄物が少なく、タンクの中で培養できるという利点がある。

 1990年前後、微細藻類を使ったバイオ燃料の研究が、米エネルギー省傘下の研究所で盛んに行われた。現在,米国で数十社の藻類ベンチャーが立ち上がっているのは、それらの研究成果が基となっている。シェブロン、ボーイングといった大企業も藻類市場に注目し、ベンチャーとの提携を進めている。

 これら油の収量が大きい藻類は外敵の攻撃に弱いので、一般的に大量培養することが難しい。言い換えると、大量培養が難しいから、これまでビジネスにならなかった。藻類ベンチャーが注目を浴びているのは、大量培養技術に革新が見られるためである。動植物などの天然物は特許の対象にならないので、培養方法の特許化、またはノウハウとすることでビジネスを成立させる。

LCAによるバイオ燃料の選別

 カーボンニュートラルによってバイオ燃料は再エネとみなされているのだが、最近、バイオ燃料ならば何でもカーボンニュートラルとみなされなくなっている。

 バイオ燃料は植物の自然な成長、分解、死滅から作られるのではなく、人為的に植物を加工して作られる。加工プロセスには当然エネルギーが必要で、化石燃料を使えば、そこからCO2が排出される。加工での排出量が多ければ、トータルで逆にCO2を増やしていることになり、カーボンニュートラルでなくなる。例えば、セルロースで出来た固い外皮で覆われた雑草を原料にすると、加工のためのエネルギーが大きくなる。

 こういった弊害を避けるために、光合成や燃やす時に吸収・発生するCO2だけでなく、製品のライフサイクル(生産、運搬、使用、廃棄すべてのプロセス)で吸収・排出されるCO2をトータルで評価する必要がある。これを「ライフサイクル評価」(LCA)と呼ぶ。

 LCAを行うと、バイオ燃料は、化石燃料と比較してトータルでCO2排出を増加させているか、減少させているかの実態が把握できる。LCAでは、次の5段階において、エネルギー投入量とCO2排出量を評価しなければならない。

原料(バイオマス)の調達(農業機械や肥料の使用)
バイオマスの輸送(トラックや船舶などの燃料)
バイオマスの製造(前処理、化学的・物理的処理)
出来上がった燃料の市場への輸送(海上輸送と陸路輸送がある)
燃料の使用(燃焼によるCO2排出)
バイオ燃料であれば何でもいいわけではない

 現在、バイオ燃料であれば何でもいいのではなく、LCA的にCO2削減効果が50%以上ある燃料しか使用を認めないという基準が欧米では作られている。この基準によると、CO2を50%以上削減するバイオ燃料は、ブラジル産サトウキビ原料のバイオエタノールと甜菜・建設廃材を使った燃料ぐらいしかない。藻類バイオ燃料のLCAは今後進んでいくだろう。

 しかも、ブラジル産サトウキビといっても、既存農地で栽培されたものだけが基準に合致し、アマゾンの森林を開墾して栽培された作物はカーボンニュートラルとみなされない。森林開発によるCO2の増加がカウントされるからである。

 また、原料から油やアルコールを抽出した後の残渣(残りかす)処理の問題も大きい。廃棄物処理にエネルギーがかかるし、環境汚染の原因にもなるからだ。この点、藻類から油を採った残渣はタンパク質やミネラルを含むので、栄養食品や天然ポリマーの原料として使える。

 ユーグレナは株式市場でバイオ燃料企業と位置づけられているが、この分野からの収益は少なく、実態は「ユーグレナ健康食品企業」である。ただ、残渣を捨てて環境に悪影響を与えているバイオ燃料企業が多い中で、残渣も有効活用するエコシステムを開発するという戦略は注目に値する。

 欧州ではディーゼル車の比率が高く、バイオディーゼルの有望な市場になるかもしれないが、ハイブリッド車と電気自動車が増えれば、バイオ燃料は頭打ちとなる。ただ、大型車、船舶、飛行機などクルマと違った有望な市場があることも事実である。バイオ燃料の市場は補助金、仕入れリスク、LCAが複雑に絡んで成長していくだろう。


戦略論で読み解くグリーンラッシュの焦点

 再生可能エネルギーの推進やシェールガスの実用化などによって、エネルギービジネスはどう変貌するのか。産業発展論と経営戦略論の視点からエネルギービジネスをとらえ直す。戦略論のフレームワークをを駆使して、最新の動向を読み解く。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130419/246979/?ST=print


 

 


【第1回】 2013年4月24日 大竹文雄
なぜ、「経済学者」は嫌われるのか?
――実は「利他的」な経済学者が伝えたい、
経済学の「2つの醍醐味」
第1回 大阪大学教授 大竹文雄【前編】
「行動経済学」に「神経経済学」と、ここ数年、続々と「新しい経済学」の研究が芽生えています。これらの動きを生み出している、経済学や心理学、神経科学、さらには物理学といった研究領域が交わる「知の最前線」についてレポートします。
今回、話を伺ったのは、大阪大学 社会経済研究所教授・付属行動経済学研究センター長である大竹文雄氏。労働経済学、行動経済学といった分野で実績を残し、また最近ではNHK「オイコノミア」への出演や日本科学未来館の企画展「波瀾万丈!おかね道」の総合監修などと、幅広く活躍している経済学者でもあります。
第1回は、日本科学未来館と経済学という異質の組み合わせの企画展の監修をなぜ引き受けたのか、というお話を皮切りに、「経済学はなぜ嫌われるのか」「経済学者は利己的なのか」、伺いました。経済学者の印象が変わるインタビュー第1回、どうぞお楽しみください!(聞き手:萱原正嗣)

「経済学」は、なぜ嫌われるのか?

――「おかね道」とは、何ともインパクトのあるタイトルです。先生は、このタイトルを最初にご覧になったとき、「経済学者」としてどんな印象を持たれましたか?

大竹 「経済学者」の発想からかけ離れていて、衝撃でした。タイトルだけではありません。ポスターやウェブサイトのデザインも含めて、とにかくインパクトが強烈でした。ポスターについては、初めて見た瞬間「コテコテの大阪商人」を思い浮かべたほどです。


大竹文雄(おおたけ・ふみお)
大阪大学社会経済研究所教授・付属行動経済学研究センター長
1961年生まれ。京都大学経済学部卒、大阪大学大学院修了。経済学博士。専門は行動経済学、労働経済学。2008年日本学士院賞受賞。主な著書に、サントリー学芸賞受賞『日本の不平等 格差社会の幻想と未来』(日本経済新聞社)、『競争と公平感』(中公新書)など。最新刊に『脳の中の経済学』(共著・ディスカバー携書)。
 でも、ある意味では、世間の人が「経済学」に対して抱いているイメージをうまく表現しているな、とも思いました。

 私自身もよく経験しているのですが、初対面の人に「経済学者です」と自己紹介したときの、相手の反応はたいてい決まっていて、2つに集約されます。

 ひとつは、「これから景気はどうなりますか?」とか、「これから儲かる株は何でしょうか?」といったことを尋ねてくる人。「経済学」というのは、景気の予測をしたり、お金の儲け方を考えたりすることだと、多くの人が思っているんですね。

 もうひとつは、面と向かってはあまり言われないまでも、「経済学」という言葉にネガティブな印象を抱く人。こういった人はかなり多い。「数字だけしか信じない冷酷な世界だ」とか、「利己的で計算高い連中ばかりが集まっている」とか、そういうイメージですね。

 経済学者自身が、そういう状況を揶揄して、「陰鬱な科学(dismal science)」だと表現することもあるくらいです。

「私自身も、「経済学」を誤解していた」

――そのような「経済学」に対する負のイメージを払拭するのに、かなり苦労されたと伺いました。

大竹 今回の企画展の準備を進めている段階でも、似たような反応に何度も遭遇しました。なかでも典型的な反応を示されたのが、本展を開催している「日本科学未来館」の館長の毛利衛さんです。

大竹 毛利さんのことは、みなさんもよくご存知だと思います。日本人で初めてスペースシャトルに乗った宇宙飛行士であり、科学者でもあります。その毛利館長が、未来館のスタッフたちがこの企画を提案した当初、「経済学」というのは「お金儲けのための学問だ」と、思っていらしたそうですし、私が初めてお会いした時も、まだ経済学にそういう印象をお持ちのようでした。

 でも、毛利館長の反応も無理のないことかもしれません。何を隠そう、私自身が高校生の頃、経済学部に入って「経済学」を勉強したいと思ったのも、「将来の景気や株価が予測できて、お金儲けがうまくなるかもしれない」という期待にあったからです。今となっては笑い話ですが、とにかく、世間の人が思い浮かべる「経済学」のイメージには、「お金儲け」がまとわりついています。

 とはいえ、「経済学」が、「お金儲け」とまったく無縁だということではありません。景気変動の予測や株価形成の要因を研究することも、「経済学」の重要なテーマのひとつです。けれども、必ずしもそれだけが「経済学者」の主要な仕事ではないのです。

 むしろ、世間の人が「経済学」や「経済学者」に抱くイメージと、「経済学者」が実際にしている研究とは大きなギャップがあります。

 世間の人から「経済学」は誤解されていますし、私自身も大学に入るまでは、「経済学」を誤解していたのです。

「経済学」の2つの面白さ

――先生も誤解されていたとは、驚きです。では、先生が感じられている「本当の経済学」の醍醐味とは、何でしょうか?

大竹 「経済学」には大きく2つの面白さがあります。

 ひとつが、複雑な社会現象をシンプルな原理で説明するということです。「経済学」の技術で社会を分析すると、それまで見えていなかった現実の姿が見えてくることがあります。

 たとえば、所得格差の拡大という現象があった場合でも、高技能者や低技能者に対する需要と供給ということを考えると簡単に説明ができます。コンピューターを中心とした技術革新のために、人の仕事はコンピューターの苦手な仕事に移ってきました。つまり、労働者に対する需要は、対人サービスや企業経営や製品のアイデアを考える仕事を中心に増加して、コンピューターが得意な定型的な事務仕事は減少しました。そうやって、需要や供給の変化を考えるだけで、需要が増えたタイプの仕事の賃金が上昇し、伝統的なホワイトカラーの仕事の賃金が低下したことが説明できてしまいます。需要と供給、インセンティブという概念をしっかり理解するだけで、様々な社会の出来事を説明できるのです。

 一流スポーツ選手や一流芸能人は高額の所得を手にできるのはなぜか、保険に入っても一定額までカバーされない部分があるのはなぜか、をはじめとして、世の中には、すぐには理由がわからないことが多いと思いますが、経済学を学べば、こういうことに簡単に答えられるようになります。

大竹 もうひとつの面白さは、「伝統的な経済学」の「常識」からはみ出る動きが、「経済学」のなかで起きていることです。

「伝統的な経済学」では、経済活動を営む人間を、すべて合理的な存在と考えます。それが、よく知られる「合理的な経済人(ホモ・エコノミカス)」です。


 けれども、ひとりひとりの人間の日々の経済活動が、合理的な判断にもとづいているかというと、必ずしもそんなことはありません。貯蓄をしたくてもできないとか、ダイエットをしたいのにできないとか、ギャンブルにはまってしまうとか、人間には、感情や直感に流されて苦しむ不合理な側面もあります。

 しかも、その不合理な側面には、多くの人に共通する一定の「パターン」があることが知られています。そのパターンを考慮に入れると、合理的な人間像だけでは説明しきれなかった経済現象を説明できるようになるのが、また面白いところです。

 それが、「行動経済学」と呼ばれる、「経済学」のなかでも比較的新しい分野です。人間の不合理さに焦点を当てて、経済現象を合理的に説明しようとするのが、「行動経済学」の醍醐味です。

 今回の「おかね道」で取り上げられている10の実験のなかには、「行動経済学」の研究でよく知られる実験もあって、実際に体験することができます。人間の経済行動が、いかに不合理な直感や感情に支配されているか。そのことに驚かれる人も多いのではないかと思います。

夏休みの宿題をいつやるか?

――経済学の先生から感情について力説されるとは、思ってもいませんでした。人間の不合理さを示す具体的な例を、ひとつ詳しく紹介してください。

大竹 典型的なのは、夏休みの宿題をいつやるか、ということです。

大竹 夏休みが始まる前の時点では、毎日コツコツやる、あるいは、7月中に宿題を終えてあとは思いっきり遊ぶという計画を立てる。けれども実際には、8月31日になって慌てて宿題に取り掛かる。それが、ほとんどの人が思い当たる経験ではないかと思います。

 これは、将来の利益と目先の利益を天秤にかけると、目先の利益を選んでしまいがちである、という「現在バイアス」として知られています。夏休みの最終日までに宿題が終わっているという長期的な利益より、毎日ひたすら遊ぶことで得られる短期的な利益が大きく見えてしまうのです。

 将来の利益は小さく見えて、現在の利益が大きく見える。現在に偏っているから、「現在バイアス」ということです。貯蓄やダイエットの前に立ちはだかるのも、この「現在バイアス」の壁です。

実は利他的な生き物?――「経済学者」のホンネ

――「経済学」は、日常の行動パターンを説明できる身近な学問だということなんですね。

大竹 そのことを、ひとりでも多くの人に実感してもらいたいと思っています。それが、私がこの企画の総合監修を引き受けた一番の理由です。この企画展に協力してくださった多くの先生方も、そう感じているのではないでしょうか。

「行動経済学」は、極めて学際的な学問分野です。心理学や物理学、脳神経科学など、社会科学と自然科学を跨いでさまざまな分野の学問が融合した、非常にダイナミックな学問領域です。その各分野の最前線を走っている先生方が、みなさん忙しいにもかかわらず、積極的に協力してくださいました。

 その背景にあるのは、「経済学」への誤解に対する不満です。

 自分たちが感じている「経済学」の面白さが正しく理解されないばかりか、「経済学者」は、計算高くてこずるい、利己的でいけすかない奴らだと、白い目で見られてさえいます。 しかも、その嫌われ方に、合理的な根拠はまったくありません。世間の人の「思い込み」という不合理な直感で、悪評に晒されているわけです。

 そんな中、今回監修した「おかね道」という展示について、日本科学未来館からご連絡いただきました。

 この企画展によって、大勢の人に「経済学」の面白さを体感してもらえれば、こうした「経済学」への偏見を取り除いていくことができるのではないか――。そう思ってさまざまなジャンルの先生方とともに、多くの「経済学者」にも声をかけました。そしておそらく私と同じように思ってくれたからこそ、大勢の「経済学者」が、「経済学」全体の利益のために、貴重な時間を使って積極的に協力してくれたのだと思います。

 自分のことしか考えず、冷酷だと見られがちな「経済学者」は、実は利他的で、情熱溢れる人たちだったということです。

※次回は、合理と不合理とは一体何なのか、どうすればよりよく生きていけるのか、に迫ります。第2回、大竹先生【中編】は、5月1日に掲載予定です。

ようこそ、科学×経済学の実験場へ!

波瀾万丈!おかね道


今日のランチやお小遣い、ローン返済に保険に年金。次こそは「賢い決断」を、と思いつつもいつも失敗していませんか?
あなたのお金の使い方には、あなたの判断や行動の“クセ”が現れます。そしてそんな“クセ”が、思わぬ形で社会にも影響を与えているのです。
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【第3回】 2013年4月24日 佐々木融
インフレは円安圧力を強める効果があるのか?
アベノミクスで大幅な円安・株高が進んでいる。「どんどん円安方向に誘導してインフレ率も押し上げればいい」という意見があるが、それは本質を見誤っている。日本に今必要なのは、強い需要である。しかも、インフレが円安圧力を強める効果もそもそも疑問である。

 日本銀行が2%のインフレターゲットを導入し、黒田東彦・新日銀総裁が異次元の金融緩和を行う中で、大幅な円安・株高が進んでいる。経済全般のセンチメントは明るく、金融資本市場も活況を呈している。

 こうして未曾有の金融緩和を進める日本に、興味を持つ海外投資家は急増している。筆者は2013年1月最終週から7週間のうち、5週間を海外出張に費やし、海外のヘッジファンド等の顧客に日本の現状を説明してまわった。ミーティングは1日6〜7件にのぼり、それほど海外の投資家の日本に対する興味は強かった。

 なぜなら、金融危機に揺れた世界経済の大きな流れの中で、日本が先頭を走っているからだ。欧米の投資家やエコノミスト、当局者は、自国経済が将来直面しそうな状況にどのように対処すべきか、シミュレーションする意味で、日本の動きに(反面教師としても)注目しているのである。

 彼らからは「日銀は外債を購入して、米ドル/円相場をどんどん円安方向に誘導し、インフレ率も押し上げればいい」などとも、よく言われる。しかし、こうした意見は問題の本質を見誤っている。

日本に必要なのは、インフレでなく強い需要

 前回も述べたが、日本経済にとって本当に必要なのはインフレではなく、強い需要である。需要が強くなれば、生産が増え、企業は雇用を増やし、雇用者所得が上がる。その結果、インフレ圧力が強まることになる。つまり、インフレは結果であって目的ではあり得ない。インフレが先に来ると、人びとは消費を減らし、景気はもっと悪くなる。

 そもそも、円安がインフレ圧力を強める効果にも疑問が残る。実質実効レートベースでみると、1970年以降で最も円安になったのは2007年6月だ(米ドル/円相場は124円台まで上昇)。しかし、このときの日本の消費者物価指数は前年比マイナス0.2%だった。

 内閣府の経済モデルによると、米ドル/円相場が10%円安方向に振れて、その水準を1年間維持できるとインフレ率は0.12%上昇する。これに従って単純計算すれば、インフレ率を直近2月の前年比マイナス0.7%からゼロに戻すには、円相場が対ドルで60%も下落して、その水準を1年間維持する必要がある。

 仮に、スタート地点を昨年11月半ばの79円近辺としても、そこから60%の円安・ドル高水準は126円程度だ。その水準を1年間維持するなど至難の業だ。それほど、為替相場からインフレ率への波及効果は小さいのである。

 円安からインフレにつながる経路として最も分かりやすいのは、ガソリンなどのエネルギーや、輸入食品の価格上昇であり、庶民の生活を直撃する。こうした形のインフレを、本当にみな望んでいるのだろうか?

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日本では「デフレは悪で、インフレが望ましい」という考え方が広がり、定着しつつあります。特に安倍晋三首相が選挙前から「量的緩和の拡大」「デフレからインフレへ」などと盛んに発言し、実際にマーケットが円安・株高に動いたため、この風潮はますます強まっています。経済が停滞しているのも、若者の就職難もデフレのせいで、インフレになれば経済が活性化し、苦しい生活が楽になるがごとく喧伝されますが、本当にそうでしょうか?インフレが起こった場合、物価の上昇に追いつくほど給料が上がらない場合、銀行預金程度の資産しか持たない一般の人たちの購買力は低下して、今より貧しくなるのです。それでも皆さんはインフレを是とするのでしょうか。本書は、インフレの基本的構造や金融政策の仕組み、それらの個人や企業への影響、為替との関係などを分かりやすく解説した入門書です。
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成長戦略第三の矢は「女性です」と言い切るガッカリ感

2013年4月24日(水)  関橋 英作

 成長戦略の第三の矢は、女性だそうです。その内容は、以前から問題になっている待機児童ゼロを目指すということ。仕事に本格復帰する女性を支援するものです。今頃何を言っているのだろう、と思いました。

 そもそもマスコミをにぎわす「女性」というキーワード。初の女性知事誕生、初の女性宇宙飛行士、女社長がんばる、などなど。そんなに女性が活躍することが物珍しいのでしょうか?

 まるで、男の専売特許でも取ったかのような書きぶりです。何だか妙な言葉使いがメディアを横行しています。

茶化された蓮舫議員

 民主党政権時代もありましたね、「2番じゃ駄目なんですか?」でマスコミに茶化された蓮舫議員。男性議員だったら、あそこまでの話題になったでしょうか。

 社会トレンドを見てもそうです。「子育てと仕事の両立は贅沢か?」「子育ても出世もしたい!」「女性のハードワークかっこいいぜ!」「スジを通しすぎる筋女という性」などなど。女性は売れ筋の格好のキャッチコピーかのように。

 NHKまで、「仕事と子育て・女のサバイバル」というスペシャル番組を組む次第ですから、変というか反省?しているというのか。

 いまは、2013年ですよ。男女雇用機会均等法が施行された1972年からは40年以上も経っています。

 その内容は、労働者の募集・採用、配置・昇進・降格・教育訓練、福利厚生、職種・雇用形態の変更、退職の勧奨・定年・解雇・労働契約の更新について、性別を理由として差別的取扱いをしてはならない、という法律。

 またその第2条には、女性労働者にあっては母性を尊重されつつ、充実した職業生活を営むことができるようにすることをその基本的理念とする、と記されています。何をいまさらでしょう!

酷い日本の大企業の現実

 しかしご存じの通り、日本の女性管理職率は1割未満。大企業ではなんと約5%ほどしかない。先進国の中でも、韓国と並んで最も低い数字です。女性政治家も7%ほどの信じ難い少なさ。女性がリーダーを望んでいるかどうかは別にしても、異常な男社会は全く変わっていません。

 そこで、働いている女性の本音を聞いてみたくなりました。知り合いの女性20人にアンケートを実施。職業は、メーカーや小売業、広告代理店、フリーランスなどで、職種も企画、営業、制作、マーケティングなど様々です。質問項目は、7つ。みなさん本音で答えていただけました。溜まっていたのでしょうか?

なぜ、女性の力が日本社会で発揮されにくいのでしょうか?

質問@:「なぜ、女性の力が日本社会で発揮されにくいのでしょうか?その原因や理由についてどう思われますか?」

 最も多かったのが、上層部が男性で占められているので、女性は使うものという意識が依然強いこと。それに伴って、異質な意見を嫌うという傾向。

“口に出して言わなくても、女性はニコニコ笑っているのがかわいいという意識がある”“かわいい”ことはいいことだという価値がはびこっており、かわいくない=女性じゃない、モテないというような呪縛がある”“男性ばかりの集団に女性が一人いると、違う意見が出てきて、合意に至るのに時間がかかる。それを邪魔に感じる”と。

 また、こんなことも。“日本の会社の“働き方”を強制的に変えてほしい。サービス残業、接待飲み、などおじさん的な慣習がありすぎる ”

 “出産などで、会社にとどまることができず、キャリアを中断せざるを得なくなる。または、責任のある仕事が任せられなくなる。女性は出産や結婚を機に退職するものといった旧態依然とした社会の意識”。

 この、女性は子育てのために長く働けないという既成概念はまだまだはびこっていることがよく分かりました。強烈です。

 何だか時代が後戻りしているようで、暗い気分になってしまいました。

女性の最も優れたところは何だと思いますか?

質問A:女性の最も優れたところは何だと思いますか?経験されたことを踏まえて、具体的に教えてください。

 これは圧倒的に、感性とアイデア力という答え。

“理屈ではなく、これがやりたい、こうしたらうまく行きそうと見えるんです。おそらく生活の中でいろいろ見たり感じたりすることが多くて、それが感覚的につながりアイデアとして生まれやすい”。

“女性は、こうでなくちゃいけないという男性が持っている呪縛から自由で大胆なことを言ってくる場合が多い。結果、いいものが生まれる”。

 女性は出世や社会通念などにこだわっていないので、発想が自由なのでしょう。だから、上司の顔色をうかがう必要もなく、こうでなくっちゃという固定観念に縛られていないのですね。

 また、複数のタスクを同時に可能なこともできるのは、先が見えるので優先順位をつけることがいとも簡単なんですと。うらやましい限りです。

 こちらはセンスの問題。“センスがいい人が多い。女子の方が、小さい頃から自分はこれが好きというのを見極めていて、好きな世界感を持っている”

 また、“前例がないなどの杓子定規の判断しかできないのは感性力や気遣い力の不足だと思います”“母性、違う価値観に耳を傾け、受け入れる姿勢。共感力が高いこと”。

 男性には欠落しがちな気遣い力。それは共感力だったんですね。パニクったときでも、チームに女性がいるだけで、ちょっとやわらかい空気が流れるのは、間違いなく女性のおかげ。

 女性の力。すごいですね、この能力が存分に発揮されたらどうなるか、ああ、もったいない。

パナソニック ヤマザキ サントリー

 実際、マーケティングにおいては、たくさんの企業が女性のアイデアを活かしている。パナソニックのナノケア、デイリーヤマザキの新ブランド「美◆Happy」、サントリーの「のんある気分」。トヨタ自動車や日産自動車でも、日頃の買い物や子供のベビーカー、自転車を積む、またはチャイルドシートの世話をするなど、男性では気づかない女性の視点でのクルマを開発しています。

 もともと、マーケティングは女性向きの仕事。トレンドに敏感で、こういうのがあればいいのにという潜在欲求がよく分かっている。また、男の気づかないディテールにも気を配ることが得意なのですから。

こういう男性上司なら

質問B:女性にとって、こういう男性上司なら、力を発揮できると思われる資質を挙げてください。

 “自分にはない能力を重要ではないことと切り捨てずに、生かすことができる懐の広さがある上司”“有能な点は誰にでもあるけれど、それを男女の差ではなく、個人の差として受け止め、指示、教育してくれる上司”

 “女性はわがままなので、男性と同じような扱いをして欲しいときと、そうでないときがある。アメとムチを上手に使い分ける”

 これは、女性に限ったことではありません。有能な点を、年齢性別の差ではなく、個人の差として受け止め、指示、教育してくれる上司。

 こういう意見が多いということは、ガチガチ男な上司がまだまだ多いと、想像されます。いかがでしょうか、御社は?

男性部下とは?

質問C:女性が上司の場合、男性部下との対応はどのようにするのがいいと思いますか。その成果は?

 “男性はプライドが高く、自分のことを自慢したがったり、すぐに認めてほしがりますので、そいういった事は否定しない。むしろ、男性の“前に出る力”を活用し大事なことは自分で決断をして責任を取る姿勢を持つ”

 また、“世の中的に、女性上司に対するイメージは感情的なので、そうならない、むきにならない”

 女性はちゃんと自分のことをよく知っています。驚きました。それでも、いまだに女性上司を面白く思っていない男性社員が少なからずいることも事実。女性管理職が少ないのは、そういう社会心理が大きな要因の1つであることは間違いないでしょう。

女性首相の利点は?

質問D:女性が、企業の社長や首相になったとしたら、その利点は?また、いままでとどんな違いが出ると思いますか?

質問E:日本社会で、女性進出が本当の意味で達成したときは、どんな変化が生まれると思いますか?

 これ、難問だったようです。私もあえて質問したのですが。

 私の広告代理店経験から思い出してみると、なぜ、女性の力が日本社会で発揮されにくいのでしょうか? たまにお見かけすると、やはり肝っ玉タイプの強い女性。男の中で生きていくための方法論だったのかもしれません。

 今回答えていただいたことをまとめると、現状では日本社会は「Not ready」。時期尚早が本音でしょうか。それでもすてきな意見が多かったです。

 “アルバイトやパートさんといった庶民の現場にまで、家庭でもママが働いてパパが主婦する、のが今よりも普通な感じになるとか。男性も自由になって個性が生かせるようになるのでは?”

 またこんな意見も。“実はあまり女性がトップに立つのは好きではないです。なぜなら、今この時点で社長や首相になりたがる女性は男性的だから。もう少し女性は女性らしい部分を持ってそれを認められた人が出てくるのであれば、トップに立ち、その価値観で統率できると感じています”

 つまり、誰が子育てしてもいいし、仕事が時間で計られなくなり、本当の多様な仕事のあり方が生まれるかもしれないということ。イクメンも専業主婦という名詞も死語になっているでしょう。

 一度、試してみたい社会ですね。

何か言いたいことありますか?

質問F:そのほか、このイシューに関することで、自由にご意見をいただけますか。

 “20代女性は、30〜40代の働く女子を見て憧れていないので、専業主婦が夢になってきている。そこまで男性化して働くなんて嫌だ、女性らしさを捨てるなんて嫌だ、と内向き傾向。もっとボーダレスで、フェアで、心がグローバルな日本にならないと、変わらない”

 “女性がわがまますぎる点もよく見かけます。主張はするものの、仕事が嫌になりうまく結婚退職するとか、どうせ結婚したら辞めるし!などの発言を正々堂々と裏では話している”

 “男女ともに日本社会は「大人」になりきれていない点に根ざしているような気がします。素晴らしい女性社長もいらっしゃる反面、企業の志はすばらしいのに女性ならでは嫉妬の固まりのような女性経営者も少なからず見かけます”

 ここでは、女性自身の問題もきちんと指摘されています。ちゃんと自分たちのネガな面も理解していてすばらしいと感じました。

 変わらない男社会が故に、最後は結婚して専業主婦にでもなりたいという女性が結構いることも事実と。

 また、わがままなことだけ言ってあとは知らんぷり。女性だけで集まって愚痴大会。がんばりすぎないで仕事をする、など女性のあきらめにも似た態度があることが変わらないことの理由になっていると。

 しかしその一方で、女性にしかできない子育てと仕事の両立への意欲も大きい。また、がんばるために準備と努力を惜しまない意欲的な女性も増えていることも指摘。

 女性はしがらみが少ないので、とにかく新しいことを恐れない。このトライ精神こそ、女性が持つ大きな魅力なんです!と。

 さて、アンケートの結果はいかがでしたでしょうか。改めて驚くようなことはそれほどありません。再確認のようなものですが、これらは男性へのメッセージのような気がしてなりません。

 今こそ変化のとき!イノベーションを起こそう!クリエイティブに!と叫ぶのはみんな男。実は、女性は叫ぶ前に上手にやりこなしているのです。

 今回のアンケートで分かった一番のことは、女性は圧倒的に自由であるということ。裏返せば、男は不自由。その不自由さに縛られながら、もがいても縄はほどけるはずもありません。

 男とか女とか区別するのをやめにして、個人と個人を見る。これこそが、女性活用ではなく「人の生かし方」。

 今は何でもかんで手取り足取り。男の大好きなマニュアル世界です。これでは、個が育つはずもありません。

 まずは、すべてをスクラッチに。幸いなことに、男は不自由な状態なのですから、どうすれば呪縛から放たれるか。自力で考えてみる。良いチャンスです。

 他力から自力へ。それこそが、新しくはじめて訪れるすてきな社会。さて、その道へ乗りだしてみましょうか。


マーケティング・ゼロ

メール・マーケティングに始まり、アフィリエイト、検索連動型広告、コンテンツ連動型広告、動画広告にRSS広告などなど実に多彩な発展を遂げているネットマーケティング。こうした広告のプラットフォームが次々と登場することは喜ばしい半面、企業は踊らされがちになります。本来、マーケティングとは何だったか? これを忘れそうになったときに皆様を原点に引き戻す、そういうコラムを目指しています。テクノロジーがどれだけ進化したとしても、マーケティングの原点はいつの日も変わらないのですから。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20130422/247036/?ST=print


 


第95回】 2013年4月24日 高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]
黒田ビッグバンで史上最低金利、活用は「今でしょ」
「おコメ」の味は薄すぎ、
投資家は「自炊」への発想転換も
――高田創・みずほ総合研究所チーフエコノミスト
「黒田ビッグバン」で史上最低金利

 今年2月に日銀新総裁に黒田氏の指名が決まったとき、筆者に「ドリームチームだ」と語った海外投資家は、4月4日の黒田総裁が率いる日銀の決定を「Kuroda big bang、最高のプレゼントだ」とした。

 かねて筆者が世界の中央銀行の「金融緩和オリンピック」と言っていることを受け、「今回のオリンピックの勝者は日本だ」と評価し、海外投資家をも十分に満足させるものだった。

 4月5日に日本の10年国債金利は一時0.315%と、2003年6月に記録した0.43%を下回る日本の10年長期金利の最低値を更新した。これは、人類史上始まって以来の最低水準でもある。

 今月4月2日に、米国でレンジャーズのダルビッシュ投手は完全試合を逃したが、4月5日に日本の市場参加者は歴史的瞬間に立ち会ったことになる。もとより、今日、日銀が行うインフレターゲットは、これまで各国中央銀行で行われてきたが、デフレに対処した対応は金融史上初と言ってよく、「金融政策の革命」に近い。


今や「おコメ」の味は薄すぎる

 国債を中心とした債券は、多くの金融機関にとって運用の「おコメ」、「主食」として筆者は過去10年以上にわたって重視してきた。「おコメ」の味はキャリーとしての長短金利差にあるが、昨今、長期金利の大幅低下の環境下、「おコメの味」は随分と薄くなってしまった。

 先に示したように、4月5日に10年金利は一時、0.315%まで低下した。このような極端な水準では、O/N金利との長短金利差は0.2%程度となる。それ以前の最低金利であった2003年の0.43%のときはゼロ金利政策下だっただけに、長短金利差は0.43%あったことからも、大きな差である。

 足下で10年金利は0.6%前後に戻ったが、長短金利差は0.5%程度と過去最低水準の「極めて薄い味」である。その結果、「おコメ」で「栄養」を確保しようとしたら、「量」を拡大するか、もしくは「質」の観点から一層長期のゾーンで対応するしかない。


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今や「外食」や「おかず」も必要に

 金融機関の運用においては、日本の「おコメ」だけでは栄養が不足することから、「外食」として海外の主食である米国の「パン」と言える米国国債、かなりの選別は必要だが欧州の「パン」や「パスタ」と言える欧州国債への流れも生じ得る。

 外債投資は、機関投資家にとって注目の的となるだろう。また、もっと味が濃い「おかず」として民間クレジット商品である株式や不動産関連商品などにも関心を広げることが必要になる。

 いくら味が薄くても国債を主食として食べる必要があるが、金利リスクヘッジの観点からも、エクイティ性のものを「おかず」として取り入れる工夫が2013年度の課題になる。金融緩和環境下、資産価格上昇が見込めるだけに、株式や不動産へのいち早い取り組みは大きな課題だ。

常に国債が主食だったわけではない
貸出は「お袋の味」

 そもそも、バブル崩壊前までの「主食」は貸出の形態をとったクレジット資産であり、当時はあくまでも代替運用手段が余資運用とされた国債であった。しかし、バブル崩壊後のマネーフローで企業セクターが資金余剰に転じ、資金需要のある不足セクターが政府と海外しか残らなかったなか、政府への資金需要に応える国債運用が実質的「主食」になったのが、この20年である。

 ただし、本来「主食」は貸出であっただけに、貸出へ回帰できればそれに越したことはなく、過去20年忘れかけた「お袋の味」でもある。それも日銀発表の2月の貸出金利(新規約定金利)で、長期(1年以上)は史上最低金利水準である0.942%にまで低下した状況にある。

民間投資家が自ら運用手段を
つくり上げる「自炊」が必要に

 今回の日銀の金融緩和に伴う債券市場の状況は、日銀による国債市場の「クラウドアウト」であり、同時に日銀はあえて史上最低の金利を付け、金利の「底値」を意識させ、生態反応を失っていた資本市場を「覚醒」させようとした。

 それでも、資本市場では資金需要は生まれないというのが多くの市場関係者の認識であろう。ただし、今後の金融機関の運用は、世の中にある「余った」「おコメ」を食べる行動から、自ら「自炊」していかに自らが食べる主食を企業と一緒につくり上げるか、また、アセットファイナンスとして金融商品をつくっていくか、さらに新たな次元の運用手段を模索することへの転換点を迎えている。

 債券市場は、市場にあるものを運用する運用者側の時代から、投資家も資金需要者と一体になって運用商品をつくり上げる時代へのレジーム転換、そのために多様なリスクに向けたインフラ整備が改めて必要になってきた。

黒田新日銀は「持っている」

 筆者は、今回の黒田総裁率いる日銀の対応は、従来と異なり実際に効果を示すのではないかと前向きに評価している。それは、今回の対応がより期待に働きかけるレジーム転換にあることに止まらず、より重要なのはその恵まれた「タイミング」にある。

 アンシャンレジームの白川体制は、2007年以降の欧米のバランスシート調整の真只中で、たとえその時期に自国通貨を切下げることが本音の「金融緩和オリンピック」に参加しても、事実上の目的である為替市場での得点は稼ぎにくかった。

 しかも、そのルールは米国が決めているなか、日米関係の「失われた3年」も加わり、為替円高回避は困難だっただろう。一方、今回は異なるタイミング、すなわち、米国の2007年以降の調整が6年を経過し調整も終盤になり、日米関係好転も加わり為替円安への流れができている。ここでマインドさえ変えれば、回復を後押しすることが初めて可能になる。

バトンは日銀から
政府と民間に渡された

 今後、政府による財政政策と成長戦略が加われば、少なくとも経済の底上げは可能になる。今回、「黒田ビッグバン」で日銀に期待されていたことが全て行なわれたことで、バトンは政府に渡されたと見るべきだ。

 4月4日の日銀の声明文にあるように、政府は財政規律も含めた国債市場の安定に向けた条件整備、さらに成長戦略が不可欠になる。同時に、次のバトンは民間にも渡された。これだけの低金利をレバレッジとして活かすかどうかの裁量は、民間企業の決断に委ねられた。

 まさに、企業は社債などの資金調達も含め、「今でしょ」をキーワードに史上最低金利を活用するかどうかの判断が迫られる。今年のような史上最低金利になれば、それ以上の条件で調達できる可能性は極めて低い。

企業と投資家が「今でしょ」と
意識することがデフレ脱却に

 ここで、仮に不動産の価値が上昇するとしたら、また先行き期待が改善するとしたら、借入を行うのにこれ以上良い環境は歴史的にもない。なぜなら、ゼロ以下の金利水準で資金の調達はできないからだ。「資金を調達するのはいつか」の問いかけに、まさに「今でしょ」と皆が意識したとき、資産デフレの環境は大きく転換することになる。

 日銀の黒田総裁は、「異次元」とされる金融緩和であえてこれ以上下がらないレベルの金利水準、金利の底値感を示そうとしたのではないか。こうしたショック療法で、企業と投資家に両面から刺激を与えようとしたと考えられる。
http://diamond.jp/articles/print/35131

 

【第211回】 2013年4月24日 成瀬順也(大和証券チーフストラテジスト)
個人の市場参加で活況の日本株
失速する新興国株と欧州株
 株式市場の活況が続いている。東証1部の売買代金は4月15日まで8営業日連続で3兆円を超えた。2007年7〜8月以来の連続記録である。投資家別に見ると、主役は個人と海外。残念ながら国内機関投資家は元気がない。

 個人投資家は、4月第1週(1〜5日)に差し引き6518億円を売り越した(東京・大阪・名古屋3市場の1・2部等合計)。06年4月第1週以来となる巨額の売り越しである。しかし、これをもって個人投資家が弱気と決め付けるのは軽率だろう。

 個人投資家はもともと逆張り姿勢が強く、株価の上昇局面では売り越しとなりやすい。最近はIPO(新規株式公開)市場やPO(公募・売り出し)市場が好調なため、こうしたファイナンス銘柄を入手した(この分は買いに含まれない)個人投資家による利益確定売りが膨らんでいる面もある。

 加えて、株価の急回復により、これまで長期保有を余儀なくされていた投資家から「やれやれの売り」が出ているとみられる点も見逃せない。塩漬け株の呪縛が解け、久々に株式市場に復帰しつつある個人投資家も少なくないのではなかろうか。

 実際、筆者の経験でも、このところ申し込み段階で満席となる個人向けセミナーが続出するなど、個人投資家の熱気が感じられる。従来6〜7割程度だった申込数に対する実際の参加率が、9割を超えるケースも増えている。会場では、熱心に話を聞きメモを取る姿が目立つようになってきた。

 昨年10月前半には15%台にとどまっていた個人投資家の売買シェアが、今年に入ってからは25〜30%に跳ね上がっている。ネットの売り越し・買い越しだけに目を奪われていると本質を見逃しかねないだろう。グロスの売買代金から読み取れる力強さと併せて判断したい。

 もう一つの柱である海外投資家については、3月第1週に史上初めて買い越し額が1兆円を突破。さすがに毎週1兆円ずつ買い越すのは現実的でなく、連続買い越しは18週でいったん途切れたが、足元では再び2週連続の買い越しとなっている。

 海外投資家の水源の一つである米国のファンドへの資金流出入を見ると、日本株ファンドは昨年11月に純資金流入に転じた後、流入額が拡大。2月中旬以降は高水準の流入が続いている。特にiシェアーズのMSCI日本株や、ウィズダムツリーの為替ヘッジ型日本株などのETF(上場投資信託)が人気を博している。


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 一方、欧州株ファンドは2月中旬から、新興国株ファンドは3月から、それぞれ急失速。日本株の人気が際立つ格好となっている。

 かつて日本株パッシングなどとやゆされたように、安定成長期待の米国株と、高成長期待の新興国株やハイリスク・ハイリターンの欧州株を組み合わせる手法が一般的な時期があった。今や、米国株と日本株の組み合わせが、特性が両極の関係にある商品を購入するダンベル型投資で最も有望なものだろう。

 (大和証券チーフストラテジスト 成瀬順也)
 
http://diamond.jp/articles/print/34963

 


【第3回】 2013年4月24日 
デフレ脱却は年金財政には福音
だが、それでも年金改革は必要だ
――日本総合研究所上席主任研究員 西沢和彦
真に社会保障制度改革に向き合えば、誰かしらから異論が出てくるはずである。それは、改革とは、限られた予算のもとで、既存の負担および給付構造を変えることとなるためだ。例えば、年金受給世代に追加的な負担を求め、それをもって、将来世代の負担を抑制するとなれば、年金受給世代から不満の声が出てくるであろう。あるいは、医療費の効率化を図るため、提供体制を改革すれば、病院、診療所、薬局などのなかから反発が出てくるであろう。誰にとっても丸く収まる改革などあり得ない。

そうした観点からすると、安倍政権が、真の意味での改革に向き合うのは、これからなのだと言える。では、安倍政権は、社会保障に関してどのような課題に取り組まなければならないのかを、3回にわたって考える。第1回目は年金改革を取り上げる。


にしざわ・かずひこ
日本総合研究所調査部上席主任研究員。1989年3月一橋大学社会学部卒業、同年年4月三井銀行入行、98年より現職。2002年年3月法政大学修士(経済学)。主な著書に『税と社会保障の抜本改革』(日本経済新聞出版社、11年6月)、『年金制度は誰のものか』(日本経済新聞出版社08年4月、第51回日経・経済図書文化賞)など。
 アベノミクスによって、わが国がデフレを脱却し、消費者物価上昇率2%が確保され続けるならば、それは年金財政にとって福音となる。2004年の年金改正で導入されつつ、当初の意図に反し、今日まで全く機能していないマクロ経済スライドがいよいよ機能し出すためだ。マクロ経済スライドとは、いわば、インフレを利用し、政府が国民に負う年金債務を実質的に削減していく仕組みである。

 もっとも、デフレ脱却に向けた取り組みと成否にかかわらず、早晩、安倍政権は年金改革に向き合わなければならない。デフレを脱却しマクロ経済スライドが機能するということは、例えば、個々の年金受給者にとって給付水準の低下を意味する。その影響度合いを広く共有した上で、必要に応じ低年金者対策など手当を講ずる議論が必要である。あるいは、デフレが続く場合に備え、マクロ経済スライドが機能するよう万全を期しておくことも必要である。

 現時点、政府内において年金改革はほとんど課題として上っていないものの、2014年には、年金財政の定期検診ともいえる5年に1度の財政検証が予定されている。そこでは、新しい将来推計人口、経済前提のもと年金財政の将来像が更新される。この第2回財政検証が、そうした改革の1つの契機となり得るはずである。

デフレ脱却は
年金財政にとって福音

 デフレ脱却、しかも、消費者物価上昇率2%は、年金財政にとって待ちに待った経済状況の到来といえる。2004年の年金改正で導入されつつ、当初の意図に反し、今日まで全く機能していないマクロ経済スライドが、それによっていよいよ動き出す環境が整うためである。マクロ経済スライドが動き出せば、段階的に年金給付水準が抑制されていく。給付抑制は、著しい高齢化が進むもと、現役世代から年金受給世代への所得移転である賦課方式を基本とする年金財政にとって、持続可能性を確保するために不可欠である。

 マクロ経済スライドの仕組みを簡単におさらいしておこう(詳しくは「税と社会保障抜本改革入門」第4回を参照)。スライドとは、年金の給付額を改定することである。もともと改定の本則は、賃金スライド、物価スライドである。すなわち、前年の賃金上昇率、物価上昇率に応じ、翌年の年金額が改定される。具体的には、新たにもらい始める年金(新規裁定年金という)は賃金上昇率に、既にもらい始めた年金(既裁定年金という)は物価上昇率に応じてそれぞれ改定される。

 マクロ経済スライドとは、こうした本則を一定期間棚上げし、本則に修正を加えて改定を行っていくことである。新規裁定年金の場合、(賃金上昇率−α)、既裁定年金の場合、(物価上昇率−α)で一定期間改定していくことにより、段階的に給付水準を抑制していくのである。αは正式には「スライド調整率」といい、0.9ポイントとしてしばしば言及されるものの、実際にはそうした確定値ではない。スライド調整率は、次のように定義され、毎年変化する。

スライド調整率=|被保険者の減少率実績値|+0.3 (||は絶対値)

 例えば、2020年、30年、40年のスライド調整率は、それぞれ0.9、1.2、2.0ポイントと推計されている。ちなみに、定義から分かるように、GDP(国内総生産)やNI(国民所得)などといったマクロ経済指標とは直接的関係はない。

 このマクロ経済スライドには、重要な「縛り」が加えられている。それは、賃金上昇率、物価上昇率からスライド調整率を差し引いてマイナスになった場合においても、マイナス改定はしない、すなわち、前年の名目年金額はあくまで維持することとされたのである(賃金上昇率、物価上昇率そのものがマイナスの場合、その分はマイナス改定する)。その背景は、マクロ経済スライドが確実に機能することよりも、2004年改正そのものの年金受給者の受け入れやすさを、政府が優先したためであろう。

 こうした「縛り」がかけられているため、マクロ経済スライドは、デフレ下では全く機能せず、小幅な物価上昇幅では充分に機能しない。2004年改正時、物価上昇率1.0%、賃金上昇率2.1%という経済前提のもと、マクロ経済スライドは順調に機能していくと想定されていた。しかし、実際には、マクロ経済スライドは、今日まで機能せず、過剰な年金給付が続いている。それは想定以上の積立金取り崩しという形で、将来世代へのツケ送りとなっている。

マクロ経済スライドが
動き出した場合のインパクト

 デフレ脱却によって、マクロ経済スライドがいよいよ動き出すとなれば、年金財政の持続可能性を高めるという観点から好ましい。翻って、個々の年金受給者の側に立てば、良いニュースではない。賃金スライド、物価スライドが棚上げされてしまうからだ。

 賃金スライドがあるからこそ、新規裁定年金の水準が現役世代の賃金の伸びに追いついていくのであり、物価スライドがあるからこそ、既裁定年金の購買力が維持されるのである。マクロ経済スライドが動き出せば、これらは保障されなくなってしまう。それがいつ終わるとも知れず続くこととなる。

 では、それはどの程度のインパクトであろうか(図表)。新規裁定年金を例にみてみよう。政府による最新の年金財政の将来推計は、2009年の第1回財政検証のものである。これに基づいて、将来の新規裁定時の年金給付額を計算し、現在の年金額と比較すると次のようになる。平均的な賃金で40年間、厚生年金に加入する男性サラリーマンを想定する。現在は、全国民共通に給付される基礎年金が満額で月6.6万円、報酬比例部分が月9.2万円、計15.8万円である。


 2038年度には、「現在価値」に引き直して、基礎年金4.8万円、報酬比例部分8.4 万円、計13.2万円となる。2038年度とは、マクロ経済スライドの適用最終年限(すなわち本則の棚上げ期間の最終年限)として、第1回財政検証で想定されていた年である。とりわけ基礎年金が6.6万円から4.8万円へ1.8万円落ち込むことが目を引く。実際には、基礎年金も報酬比例部分も、より低い水準になるとみるべきであろう。

 なぜなら、このような落ち込みをみせる額であっても、好調な経済のもとではじめて成り立つ計算であり、加えて、この間、積立金も減っていためである。第1回財政検証は、消費者物価上昇率1.0%、賃金上昇率2.5%、積立金の運用利回り4.1%などの経済前提を置いて計算されており、それによって、マクロ経済スライドは2038年度を持って終えることができる。実際には、こうした経済が実現するかどうかは分からない。

 加えて、積立金もこの間、120.8兆円(2009年度末)から111.5兆円(2011年度末)へと約9兆円減ってしまっている。以上は新規裁定年金であるが、既裁定年金についても、マクロ経済スライドが適用されている期間、年金の購買力が低下し続けることになる。

 このように、マクロ経済スライドが動き出すことにより、確かに、年金財政にとって福音となるが、では、社会保障制度として国民のニーズに適切に応えているのかといえば、疑問符がつく。特に基礎年金である。満額で月4万円そこそこの基礎年金では、「基礎」年金の名に国民が寄せる期待との乖離が著しいだろう。高齢者の貧困率も一段と高まるであろうし、現役世代にとっても、保険料納付インセンティブの一段の後退をもたらすこととなろう。年金財政の収支を合わせていくことはもちろん重要だが、他方、制度のあり方の議論が併せて必要となってくる。

デフレが続く場合にも備えを
将来世代へのツケ送り拡大回避

 デフレ脱却に至らなかった場合も視野に入れる必要がある。デフレが続く、すなわち、これまで通りマクロ経済スライドが機能せず、積立金が想定以上にさらに取り崩されていった場合、そのツケは将来世代にしわ寄せされることになる。積立金を前倒しで使ってしまうということは、将来世代の一段の負担層・給付減を意味する。将来世代へのツケ送りを拡大しないよう、現在に生きる世代は、万全を期しておかねばならない。

 具体的には、まず、マクロ経済スライドの仕組みにおいて、前年の名目年金額割れを許容するよう年金法を改めておくことである。次いで、それでも足りなければ、支給開始年齢の引き上げなど他の方策の組み合わせも必要となってこよう。これらは、野田佳彦前政権が進めた社会保障・税一体改革において、改革メニューのなかに当初掲げられつつ、法案化以前に、具体的な議論にも至らなかったものである。今度こそ、着実に議論が進められなければならない。

 こうした改革の契機となるのが、2014年に予定される第2回の財政検証である。財政検証とは、5年に1度行われる年金財政のいわば健康診断であり、将来推計人口、物価上昇率、賃金上昇率、積立金の運用利回りなどに一定の前提を置いて、今後約100年間の年金財政の姿を推計する作業である。前回は2009年2月に行われ、前述の経済前提のもと、「100年安心」という言葉こそ使われなかったものの、実質的には100年安心が宣言された。将来推計人口は、既に2012年1月に公表されており、残るは物価上昇率などの経済前提であり、こちらは、厚生労働省の審議会で検討が進められている。

 もっとも、「改革をする」という政治の意思がなければ、何事も始まらない。現在の年金法は、マクロ経済スライドが効いて年金給付水準が下がり過ぎそうな場合には、それを食い止めるための措置を政府に求めてはいるものの、現在のようにマクロ経済スライドが機能しておらず過剰給付が発生していても、その早期是正を政府に求める内容とはなっていない。政治がやると決めなければ、改革に向けた議論は動き出さない。

 改革などされずやり過ごされるシナリオも考えられない訳ではない。第2回財政検証においても、アベノミクスが目標とする経済シナリオに歩調を合わせ、例えば、消費者物価上昇率2%(第1回財政検証時+1%)、賃金上昇率3.5%(同)、運用利回り5.1%(同)といった経済前提を置き、100年間の年金財政の将来像を描いて、「やはり100年安心でした」ということを確認して終わってしまうことともなりかねない。

 安倍政権が年金改革を躊躇するとすれば、理由は複数想像できる。2004年に「100年安心」と宣言してしまった手前、10年そこそこで法改正などできない、それでは100年安心がウソになってしまう。年金受給者にとって厳しい法改正をすることで3000万人の高齢者を敵に回すことはできない。あるいは、消えた5000万件の年金記録問題など、第1次安倍政権の足を引っ張った記憶も脳裏をよぎるだろう。もっとも、政権は躊躇することなく、将来世代の利益を視野に入れ、改革に踏み出すことが求められている。
http://diamond.jp/articles/print/35132

 


第19回】 2013年4月24日 山口揚平 [ブルーマーリンパートナーズ 代表取締役]
お金が最強のコミュニケーション・ツールなのは
最も抽象的で匿名性が高いから。絶対に消滅しない
ゲスト:岩井克人・東京大学名誉教授【後編】
お金の登場によって社会はどのように変化してきたのか?そして、お金自体の存在意義や役割は時代とともにどう変化していくのか?東京大学経済学部名誉教授・岩井克人さんと、『なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?』の著者・山口揚平さんの対談は、いよいよ「お金とは?」というテーマの核心に迫る。

お金がなくても成り立った、かつての「贈与社会」

山口 お金を使うという行為が純粋な投機であるとは、かねてから先生が貨幣論において展開されてきた説ですね。


岩井克人(いわい・かつひと)1947年生まれ。東京大学経済学部卒業、マサチュセッツ工科大学Ph.D.イェール大学助教授、コウルズ経済研究所上級研究員、プリンストン大学客員准教授、ペンシルバニア大学客員教授、東京大学経済学部教授等を経て、現在、国際基督教大学客員教授、武蔵野大学客員教授、東京財団上席研究員、東京大学名誉教授。著書に、Disequilibrium Dynamics(日経図書文化賞特賞)、『ヴェニスの商人の資本論』、『貨幣論』(サントリー学芸賞)、『二十一世紀の資本主義論』、『資本主義を語る』、『会社はこれからどうなるのか』(小林秀雄賞)、『資本主義から市民主義へ』ほか多数。(写真・住友一俊)
岩井 そうです。純粋な投機だからこそ、インフレが進んで将来的にその価値が下がっていくと予想すると、誰も受け取らなくなります。すると、いっそう価値の低下に拍車がかかるという悪循環が生じ、ハイパーインフレへと至ってしまいます。お金は純粋な投機ゆえに、こうした危うさを秘めているわけです。

山口 一般的にはあまり目が向けられていませんが、日頃から私は世界の実体経済の何倍に相当するマネーが供給されているのかを注視しています。実は、リーマンショック前には、通常の8〜10倍もの規模になっていました。そこまで達するとバーストして金融収縮が発生するわけですが、お金は交換価値が高いだけにしばらくすると再び増えていって、やがては実体経済を大幅に上回る規模まで膨らみ、またもやバーストしてしまう。その繰り返しになっていると感じるんですよね。

岩井 お金そのものと金融とは違うものだと私は思います。先程、株式のみならず商品先物取引や金融派生商品にしても、最終的には実需に結びついているという話をしたとおり、金融の場合は、必ずどこかで実体経済とつながっています。そして、あまりにも投機マネーが膨らんで実体経済とかけ離れた状況になってくると、バブルが弾けて実体経済に収れんしていきます。ところが、お金の場合は、実体経済のどこともつながっていないんですね。ですから、お金に関しては、自由放任主義は不可能で、中央銀行によるコントロールが必要になるのです。

山口 資本主義社会とは、お金でコミュニケーションを図る世の中なのだと私は考えています。そして、お金は史上最強の言語であるとも思っています。なぜなら、それは世界共通の数字によって表現されているからです。

 一方で、値段だけで単純比較されがちだという弊害も抱えています。私が考える資本主義の1番の問題点は、世界があらゆるものを数字で評価するようになってしまったことです。たとえば、私が大切にしているこの手帳と、先生が長年の研究をもとに書かれた本の定価が仮に同じだったとします。たとえ同じ値段であっても、それぞれの本当の価値に対する評価は、おのずと人それぞれで違ってくるものですよね。でも、それら文脈をすべて無視して、お金という数字はあらゆる価値を「匿名化」してしまう、そうした特性がお金に対する根本的な嫌悪感にも結びついているような気がします。私たちが、物の価値や文脈を生で伝えるために、贈与経済的なものを志向するには、貨幣が持つこの「数字」という鋭利なメディア特性の弊害があるのではないでしょうか。


岩井 山口さんは若いからイメージしづらいかもしれませんが(笑)、私の両親や祖父母はまだ昔ながらの共同体社会の意識を持って暮らしていました。わたしは、その息苦しさから何とか抜け出したかった。

 フランスの文化人類学者のマルセル・モースが代表著作の「贈与論」において指摘していたように、完全な自給自足は不可能です。人間とは必然的に他人と交換しなければ生きていけない社会的な存在であり、交換こそ人間の本質であるとモースは説いたわけです。未開の社会でも近代社会でも人間は交換してきた。

 違いは、交換の形です。近代以前は「贈与交換」という形をとり、近代に入ってお金を媒介とした交換となっただけです。近代以前の「贈与交換」については、確か山口さんもご自分の著書の中で触れていましたよね。

山口 はい、お金の限界について指摘する際に取り上げました。「贈与社会」が現代に蘇ってくるのではないかという話です。

岩井 最初は相手にモノをあげて好意を示し、その恩に応えてお返しがあれば、またモノをあげるというやりとりが繰り返されていくのが「贈与交換」で、贈与が交換を生み出しています。お互いの信頼関係によって支えられているわけで、きちんと返さない人は「敵」とみなされる。ところが、お金が生まれると匿名性の社会に変わる。人々は互いに相手のことを知る必要がなくなりました。お金さえ払ってくれれば、見ず知らずの人であろうが異民族であろうが敵であろうが、滞りなく交換が行われるわけです。

山口 相手ではなくて、お金を信用している、ということですね。

岩井 正確にいえば、お金を支えている社会の持続性さえ信用すればいい、ということです。社会主義者であるモースは、そのような貨幣社会から贈与交換を取り戻したいと考えていたが、それはともかく、人間関係が希薄になって水臭くなり、貧富の差も生じる。だから、人間は本能的にお金が嫌いです。

人間の究極的な目標である幸せはお金では買えない…

山口 お金を通じた貸し借りと贈与による貸し借りを単純に比較すれば、効率性においては前者のほうが明らかに勝っています。けれど、お金の場合は数字を捉えるという脳内処理だけの判断となって、文脈を読み取ったり心を含めた身体感覚全体で受け止めたりすることが難しい。数字による交換という効率性を追求した結果、むしろ人間としては非効率な交換になってしまっているのではないでしょうか?

岩井 そうですね。人間は絶えず交換している生物で、コミュニケーションにしても言葉を互いにやりとりすることで行っています。お金が登場したことで、確かに「交換」は非常に容易になりました。最初のうちは金や銀を使い、そのうち国家の権威を後ろ盾にするようになって、最近ではほとんど記号だけのやりとりと化してきています。その結果、人間はつねに他人との接触を求めているにもかかわらず、交換の喜びが失われてしまった。円滑な交換のためにお金は生まれてきたわけですが、クリック1つで取引できる世の中となって、交換が交換とは自覚できないほど抽象化してしまった。大昔の交換とは、酋長を筆頭に島の住民全員が参加して盛大な儀式や踊りを繰り広げながら行われるものでした。お金の登場でこうしたものが失われてしまったわけです。

山口 お金が人と人との関係を希薄化してしまったということですね。

岩井 以前、堀江貴文さんが「お金で買えないモノはない」と発言してヒンシュクを買っていましたが、実はそれは産業資本主義に関しての意外と的確な表現でした。かつて産業資本主義の時代では、工場を建設し、機械を備えて大量生産を行えば大きな利潤が得られました。これらはすべてモノですからお金で買える。つまり、お金を持っている人が勝者になる時代だったわけです。

 堀江さんはまだその古いイメージを語っていたのですが、今はすでにポスト産業資本主義の時代で、もはや機械制工業は重要でなくなっています。肝心なのは人の創造性で、ここで重要なことは、人はモノではないということです。人はお金では買えません。ということは、お金の価値が弱まり、お金を持っている人が投資先を失って右往左往しているのが現状なんです。それで、先進国の人びとは新興国の安い賃金に目をつけて産業資本主義の復権を図ったり、リスクをとって金融派生商品に資金を投じたりしているわけです。

山口 お金ではけっして買えない創造性に秀でた人にとっては、活躍のチャンスが拡がる社会とも言えますね。

岩井 そう、グーグル、そしてフェイスブックのようなソーシャルメディアがその典型ですね。こうした新しいメディアは人びとに共感を与え、交換活動を与えています。その結果、人びとはお金で買えない何かにしか価値を見いだせなくなり、それらをいっそう欲しくなっていくわけです。

山口 若い世代で優秀な人ほど、センター試験の足切りのような感覚でお金のことを考えている気がします。お金はある時点までは必要だけれど、これ以上の人生の価値は買えない、と完全に切り離して考えているんです。そして、人とのつながりや信頼関係、共感といったお金で買えないもののほうを非常に大事にしています。

 確かに産業資本主義の時代に数字は非常に使いやすかったし、お金は脳で考える最強のメディアかもしれませんが、衣食住を維持するための最低限の出費を除けば、もはやその必要性は薄れてきています。お金に代わってどんな新しいメディアが僕たちの交換を支えるのか?僕自身、その解はまだ見つかっていないというか、すでにあるのか、それともまだ存在しないのかもよくわからないんですが、いかがお考えですか。


岩井 解がないということが、まさしく本質なのですね。お金が最強なのは、最も単純で抽象的だからです。電子マネーが象徴するように、ただの数字ですから。しかもまさにその匿名性によってどのような人間とも繋がる「自由」を与えてくれますから、絶対に消滅しません。

 その一方で、人間の究極的な目標はけっしてお金で買えません。事実、古今東西のあらゆる文学は、お金で幸せは買えない、と訴え続けてきました。ただ、その真理を知るためには、最低限のお金で衣食住を満たさなければならない。新興国の場合はその最低限のお金にも窮してきましたから、まずはお金を稼ぐことに目が向いている。そして、一定の成熟水準に到達してはじめて「お金で幸せは買えない」という真理を知る。逆説的ですが、お金では幸せを買えないことを知るためにはまさにある程度のお金が必要なのです。日本人もかつての高度成長期に、しがらみだらけの共同体社会だった田舎から逃れ、豊かさを求めて上京してきたものの、都会の孤独の中でお金で幸せは買えないという文学を書き始めたりする……。

山口 面白いことに今はその時代とは対照的で、僕たち世代を中心に東京から地方へとどんどん散っているんですよね。そして、地方でまた新しい共同体を作ろうとしている。面倒な物々交換をやりながら、あえてしがらみを作っているんです。逆の動きが加速しているというのは、非常に興味深いですね。

 先生、今日は非常に有意義なお話を伺わせて頂いて、本当にありがとうございました。

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なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?
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コメント
 
01. 2013年4月24日 13:30:31 : e9xeV93vFQ

日銀会合は政策維持、物価2%へ道筋−未達観測から10月に追加緩和も

  4月24日(ブルームバーグ):日本銀行は26日開く金融政策決定会合で、政策運営の現状維持を決める見込みだ。同会合で策定する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で2%の物価目標達成への道筋を描くが、次回の展望リポートを策定する10月末には目標未達の見通しが強まり、追加緩和に追い込まれるとの見方も出ている。
ブルームバーグ・ニュースが有力日銀ウオッチャー13人を対象とした事前調査では、全員が現状維持を予想した。シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストは「黒田東彦総裁は4日の会見で『2年で2%の物価上昇目標を念頭に、必要な措置はすべて取った』と述べており、当面はよほどの外的ショック、例えば海外景気の急減速や円高圧力の再燃がない限り、追加緩和は想定しにくい」という。
村嶋氏はその上で、生鮮食品を除く消費者物価指数(コアCPI)前年比は「円安を一因とするエネルギー価格の上昇を主因に6月にプラスに転じる」ものの、「今秋以降は円安の物価への押し上げ効果が一巡し始める中、伸びは頭打ちになる」と予想。日銀は「2%の目標達成に向けて追加措置を迫られる可能性が高い」としている。
日銀は26日の決定会合で、半年に1度の展望リポートを策定する。1月の中間評価で示した14年度のコアCPI見通しは、消費税率引き上げの影響を除いて0.9%上昇。黒田総裁は10日のインタビューで「思い切った量的・質的金融緩和を取ったことで、われわれとしては当然、物価安定目標が達成されると思っている」と述べた。
事実上のプロパガンダ
関係者に対するブルームバーグの取材では、日銀は14年度のコアCPI前年比上昇率の見通し(中央値)を0.9%から1.5%以上に上方修正することを検討している。エコノミストの多くは1.5%ないし1.6%に上方修正されるとみており、2年で2%への道筋をより明確にするため、15年度の見通しも新たに公表されるとの見方も多い。
みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「15年春にコアCPIが2%に到達することを所与の前提として、いわば逆引き的に、14年度は1.5%程度まで上方修正されるだろう」と指摘。「展望リポートで示されるコアCPI見通しはどうやら、日銀の『願望』を込めた従来の数字から、その性格をさらに変えて、事実上『日銀必達目標2%のプロパガンダ(宣伝)手段』になる」という。
もっとも、2年で2%の物価安定目標の達成について、東海東京証券の佐野一彦チーフストラテジストは「可能性はゼロに近い」と指摘。多くのエコノミストも同様の見方をとっている。バークレイズ証券の森田長太郎チーフストラテジストは「14年度から15年度にかけて予定通り財政緊縮が実行されるのであれば、暴落的な円安が生じない限り2%達成は不可能だろう」と語る。
追加緩和は最短で今年度後半
JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミストは「早ければ10月、遅くとも来年1月には、足元のインフレ率上昇が『2年後にインフレ率2%達成』には不十分なことが明らかになると見込まれることから、日銀はその時点でさらなる『質的・量的緩和』を行う」とみる。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の石井純チーフ債券ストラテジストは「追加緩和のタイミングは最短で今年度後半」と予想する。
黒田総裁は4日の会見で「戦力の逐次投入をせず、現時点で必要な政策を全て講じた」と語ったが、一方で「必要あれば、ちゅうちょなく調整していく」とも述べている。村嶋氏は「日銀は常に2%を中期的な物価見通しとして提示し、それに届かない可能性が浮上すれば追加緩和を行うという政策フレームワークにシフトするのだろう」と語る。
野村証券の松沢中チーフストラテジストは「日銀と市場の物価見通しのかい離が一向に埋まらない場合に、『次の一手』への要求が強まる」と指摘。その場合の手段としては「大別すれば、今の路線の延長で国債をさらに買い増し、マネタリーベース目標を引き上げるか、もしくは、リスク資産の買い増しに傾注するかだろう」という。
国債買い増しかリスク資産か
BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「10月の展望リポートの際、2年後の2%のインフレのタイミングが遠のいているということになれば、国債購入を1.5倍のペースに拡大する」と予想。石井氏も次の一手として「資産買い入れ規模の拡大によるマネタリーベース残高のさらなる積み上げ」を想定する。
しかし、関係者に対するブルームバーグの取材では、複数の政策委員がさらなる長期国債の買い入れは難しいとの見方を示した。村嶋氏は「追加緩和を実施する場合、国債よりリスク資産の購入が柱になる可能性が高い」と指摘。「さらなる国債買い入れの増額は市場機能を一段と低下させる可能性が高く、コストが便益を上回るだろう」としている。
==============================================================  ◎量的・質的金融緩和の終了予想時期は次の通り(敬称略)【2015年10−12月】クレディスイス証券の白川浩道チーフエコノミスト【2016年1−3月以降】SMBC日興証券の岩下真理債券ストラテジスト、東海東京証券の佐野一彦チーフストラテジスト、信州大学の真壁昭夫教授、野村証券の松沢中チーフストラテジスト(オープンエンド買い入れ額削減)、バークレイズ証券の森田長太郎チーフストラテジスト【2016年4−6月以降】三菱UFJモルガン・スタンレー証券の石井純チーフ債券ストラテジスト、みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト、東短リサーチの加藤出チーフエコノミスト、JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミスト、第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミスト、BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミスト、シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミスト==============================================================当座預金の超過準備の付利水準の予想は以下の通り(敬称略50音順)

   13 13 13 14 14 14 14 15
           6末 9末 12末 3末 6末 9末 12末 3末
-------------------------------------------------------------
調査機関 13 13 13 13 13 13 13 13
中央値 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
最高 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.25 0.50 0.50
最低 0.10 0.00 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05
-------------------------------------------------------------
三菱UFJ・MS 石井   0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
SMBC日興証 岩下  0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
みずほ証 上野 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
東短リサーチ 加藤 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
JPモルガン証 菅野 0.10 0.10 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05
第一生命経研 熊野 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
BNPパリバ証 河野 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
東海東京証券 佐野   0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
クレディS証 白川 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.25 0.50 0.50
信州大 真壁 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
野村証 松沢 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
シティG証 村嶋 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
バークレイズ証 森田  0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
  (注)アンケート回答期限は23日午前8時。「『日銀サーベイ』金利予想、経済・物価情勢、金融政策の展望コメント」を24日朝に同時送信。ブルームバーグでは回答者を拡大したサーベイも実施しています。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net;東京 藤岡 徹 tfujioka1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Paul Panckhurst ppanckhurst@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net
更新日時: 2013/04/24 00:00 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MLP0386JIJXV01.html

 
日銀国債買い入れオペ、応札倍率は1年−5年が上昇、5−10年横ばい

  4月24日(ブルームバーグ):日本銀行はこの日に長期国債の買い入れオペ2本(買い入れ額合計1兆円)を実施した。オペの結果によると、残存期間「1年超5年以下」の応札倍率は前回に比べて上昇し、「5年超10年以下」は横ばいとなった。
日銀は午前10時10分の金融調節で「1年超5年以下」と「5年超10年以下」のオペを通知した。買い入れ額はそれぞれ5000億円、5000億円となり、合計で1兆円。買い入れ日はともに26日となる。
対象銘柄は、「1年超5年以下」では2年債は316回−327回、5年債は83回−110回(除く90回)、10年債は260回−292回、20年債は27回−39回債(除く28回、29回、30回、32回)。一方、「5年超10年以下」では10年債は293回−328回(除く308回−311回)、 20年債は40回−61回となる。
日銀が発表したオペの結果によると、「1年超5年以下」は予定額5000億円に対して2兆8788億円の応札があり5008億円を落札。応札倍率は5.75倍と、運用見直し前の12日実施の4.03倍から上昇した。案分比率は27.4%。「5年超10年以下」では5000億円の予定額に対して1兆9150億円の応札があり、5000億円を落札。応札倍率は3.83倍と前回19日実施と同水準。案分比率は80.0%だった。
同オペをめぐっては、日銀が4日に資産買い入れ等基金を廃止して輪番オペに統合。購入額は月7兆円強に増やし、対象を全年限に拡大した。しかし、1回当たりの金額が大きく債券相場の変動要因となったことからオペ回数を従来の6回から8回に増やすと発表。運用見直し後では19日に続いて2回目となる。4月はあと1回実施される見込み。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 山中英典 h.y@bloomberg.net;東京 赤間信行 akam@bloomberg.net;東京 船曳三郎 sfunabiki@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Rocky Swift rswift5@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net
更新日時: 2013/04/24 12:12 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MLND3S6JTSEV01.html


2013年 4月 24日 11:41 JST
日銀の展望リポートで予想まちまち―「2%の数字」入るかがカギ

By TATSUO ITO

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Bloomberg News
黒田日銀総裁

 【東京】日銀の政策をウオッチしているエコノミストは、日銀が物価上昇目標を達成できるかどうか、依然疑わしいと見ており、日銀の今後2年間の物価見通しは目標の2%を下回ると予想している。

 これとは対照的に為替ディーラーは、黒田東彦日銀総裁が今週発表予定の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」に大胆な目標を入れる道を見いだすだろうと見ている。そうしなければ、日銀の決意に疑問符が付き、最近の円安が反転する恐れがあるからだ。

 4月初めに、2年間での2%の物価上昇目標とともに、大規模な債券購入計画を発表した黒田総裁は、今のところは追加措置は不要だと述べている。ダウ・ジョーンズ経済通信が10人のエコノミストを対象に行った調査では、26日の金融政策決定会合で追加策が出ると予想したエコノミストはいなかった。

 焦点は日銀がこの日に発表する展望リポートだ。ディーラーは、ここで「2年間で2%」の目標が明確に言及されれば、15年以上にわたる物価下落傾向から日本を引き出そうという黒田総裁の決意が示されることになり、市場は再び喜び、円は対ドルでさらに下落するだろうと予想している。

 クレディアグリコル外国為替部ディレクターの斉藤裕司氏は「その数字が含まれるかどうかで市場は反応しそうだ」とし、「2%の数字がなければ、日銀は物価上昇について自信がないとみなされ、円買い招く可能性がある」と指摘した。

 エコノミストや日銀の政策に詳しい人たちは、日銀はこの2%の目標のいくつかの表現方法を考えていると述べた。具体的には、全国のコア消費者物価指数が2014年度末(15年3月)までに2%程度上昇するとの予想、15年度にこれが実現するとの予想、あるいは中心的な予想のテーブルには数字を書き込まずに2%の物価上昇について何らかの形で言及することなどだ。

 しかし、調査対象のエコノミストらは、14年4月に始まる来年度の消費者物価指数(CPI)の予想平均上昇率を今年1月時点の中間見直しでの0.9%から1.5%に上方修正すると見ているが、これでは目標の2%に届かない。エコノミストは自分たちの予想についても弱気になっており、来年度についてはわずか0.5%としている。これら全ての数字は14年4月に予定されている消費税の3%引き上げの影響は除外している。

 黒田総裁にとっては、日銀の大胆な緩和策が実体経済に染みわたり、新規投資と消費を活発化させる上で、市場の期待を維持することが極めて重要だ。

 みずほ総合研究所のシニアエコノミスト、野口雄裕氏は「資産価格の更なる引き上げが有効手段だ」と話した。

 クレディアグリコルの斉藤氏は、円安などの「変数」がなければ、2年間でこの物価上昇は達成できないだろうと述べた。

 ディーラーらは、展望リポートに明確な形で2%の数字が記されれば、新たな円売りが起きて、ドルはさらに押し上げられる可能性があると見ている。先週ワシントンで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議―日銀の緩和策は国内景気を刺激するためのもので円安は副作用だとする日銀の主張を受け入れて、緩和策への反対は示さなかった―の結果を受けてドル高・円安となったが、1ドル=100円には達しなかった。

 日本の銀行のある為替マネジャーは「リポートから大きなサプライズを期待するのは難しいが、黒田総裁は市場を落胆させないだろう」と話した。日銀の政策に詳しい人物はこれに同意し、26日の会合で何が出てくるかとの質問に対して、「黒田総裁の笑顔を想像してみなさい」と述べた。トレーダーは、笑顔は黒田氏の特徴だとしている。一方で、それまでの前任者たちはしばしば、厳格ないし厳粛な顔つきをしていた。トレーダーたちは、笑顔は黒田氏の自信の表れと見ているのだ。
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324689604578441672309219636.html


 

2013年 4月 24日 12:54 JST
日本企業、決算見通しへの期待高まる―円安が背景

By MAYUMI NEGISHI AND DANIEL INMA

 【東京】日本の大手企業の2013年3月期決算の発表が始まった。各社の今年度利益は6年ぶりの高利益となり、設備投資も増加すると予想されており、日本企業の回復傾向は持続するとの期待が高まっている。

 最近の円安を受けて、利益が過去最高を記録する企業も出てきそうだ。大和証券によると、円相場が現在の1ドル=100円水準で推移すれば、今年度(13年4月―14年3月)の日本の上位200社の税引き前利益は、75%増の16兆0900億円に達する見通しだ。

 産業用ロボットの安川電機は先週、今年度の純利益は91%増加し、昨年度の19%減から大幅改善するとの予想を示すとともに、今年度に生産能力拡充のための支出を52%増加する方針を明らかにした。同社の沢俊裕専務執行役員は記者会見で、合理化を進めたので円安が追い風となったと指摘した。

画像を拡大する

円安は輸出比率の高い製造業には恩恵となるが、サービス部門への影響はほとんどない

 景気見通しの改善は、日本株式会社にとって歓迎すべき転換である。過去5年間にわたる円高は日本の重要な輸出産業の重石となり、その痛みは何百にも及ぶ下請け会社に広がっていった。円高はまた、世界的な金融危機の影響や2011年の東日本大震災後のサプライチェーンの混乱を増幅させた。

 ところが円安への転換で、日本の大手企業や輸出産業は思いもかけず円換算利益が膨らんでいる。また、日本製品の外貨建て輸出価格は低下し、投資家は日本の産業を先導している自動車部門や、為替レートに振り回されてきたエレクトロニクス部門に恩恵をもたらすとして歓迎している。

 安倍晋三首相はデフレとの闘いを宣言し、積極的な金融緩和と財政支出に踏み切った。ドルの対円相場は解散・総選挙となった昨年11月半ば以降で25%上昇し、日経平均株価は55%弱値上がりした。

 トヨタの株価は総選挙告示以降で75%超、ホンダは60%超いずれも上昇した。経営不振に陥っているエレクトロニクス産業も恩恵を受け、ソニー、パナソニックとも80%超上伸した。トヨタは5月8日に決算を発表するが、円安に加え北米でのセダン、スポーツ用多目的車(SUV)の販売好調を受け、13年3月期は予想以上の好決算となると見込まれている。

 CLSAのアナリストであるクリストファー・リクター氏は先週投資家向けのノートで、トヨタの13年3月期の営業利益は1兆1500億円とする自社予想18%を上回るとともに、今年度の利益率も86%を期待できると指摘した。

 一方、ファースト・ステート・インベストメンツ(シンガポール)の上級ポートフォリオ・マネジャーであるペトル・ココウレク氏は、円安は「魔法の薬ではない」と指摘、「大幅な利益増加率や市場シェア伸び率を達成するためには、円安の機会に乗じマーケットリーダーとしての立場を活用して、競合できる製品をつくらなければならない」とクギを刺す。

 日本企業はバブル崩壊後株の持ち合いを一部解消しているが、多く企業が含み損を抱え、それが財務上の足かせとなっていた。野村證券のシニアストラテジストである西山賢吾氏によれば、最近の株高により日本の非金融会社のうち1848社が昨年9月末時点で抱えていた株の評価損をほぼすべて解消した。
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324689604578441780386397990.html


02. 2013年4月24日 18:29:11 : e9xeV93vFQ
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黒田総裁就任1か月の通信簿
2013/04/24 (水) 14:31


 4月4日に異次元緩和策が発表されてから3週間になろうとしています。

 もう3週間、それともまだ3週間? 黒田氏が総裁に就任してからは1か月以上が経過した訳ですが‥

 いずれにしても、皆さんは黒田総裁にどんな成績を付けるでしょう?

 成績を論ずるのは早すぎる?

 そうかもしれません。だって、まだたった1か月ですから。

 でも、その反対に、こうして株価が上げ続けているので、黒田総裁を支持する人が多いことが十分予想されるのです。というか、先日の世論調査では、過半数の方が異次元緩和策を支持するという結果が出ていました。

 では、黒田総裁が4月4日に言っていたことが着実に実現しているのか?

 本日は、その辺りについて、じっくり検討してみたいと思います。
  先ず、4月4日の記者会見のなかから重要であると思われる発言をピックアップしてみました。
 
  「金融市場調節の操作目標としては、マネタリーベースが一番適切だろうと考えました。それから、マネタリーベースは、端的に言うと、日本銀行の出す通貨、お金という意味でも分かりやすく、学界でも一番よく知られている指標ではないかと思います」

  「長めの金利をさらに下げていく、あるいは資産価格のプレミアムに働きかけていくことによって、より十分あるいは迅速に資金需要に対応できるようになり、その結果、これまでよりも、当然、資金需要が出てくるわけです。このような形で、かなり直接的にイールドカーブ全体を下げ、リスクプレミアムを縮小していく効果があります」

 もう私が言うまでもなく、黒田総裁は、「2倍2倍」の金融政策に乗りだし、マネタリーベースを2年間で倍増するというのです。日銀が供給するマネタリーベースが2倍になれば、流石にインフレが起きるだろう、と。

 では、3月上旬以降、マネタリーベースはどのように推移しているかと言えば‥

 グラフをご覧ください。

 

 日銀が保有する国債の残高が10兆円も増えています。

 そして、それに合わせて、日銀当座預金も24兆円ほど増えている、と。

 つまり、マネタリーベースがどんどん拡大しており、黒田総裁が言ったとおりに事態は進んでいるのですが‥でも、肝心の銀行券の発行残高は、たった1千億円しか増えていないのです。国民一人あたりにして約1千円。

 これで世の中に出回るお金が増えていると言うのでしょうか?
 
 みんな騙されている!

 もとい、騙されているというのは、誤解を招く発言です。

 みんな勝手に勘違いしている。或いは真実に薄々気が付きながら真実を見ないようにしている。

 特にリフレ派を自称する皆さんには、しっかりと真実を見つめて欲しいのです。

 お金をじゃぶじゃぶ市場に投入すると言えば、世の中に出回るお札、つまり日本銀行券が増えることを意味するのではないのですか? そしてまた、諸君は、世の中に出回る日本銀行券の量を増やせと、日銀に圧力をかけてきたのではないのか!?

 だって、お札をじゃんじゃん刷ればいい、と言っていたではないですか!

 しかし、日本銀行券は、たった1千億円しか増えていない。つまり、お札は刷っていない。

 もちろん、当座預金残高が急速に増大しているので、民間銀行がその気になれば、幾らでもキャッシュを引き出すことは可能。しかし、殆ど引き出さないから、当座預金の残高だけが増え、日銀券は増えない。

 2倍、2倍なんていっても、全然お金が増えている訳ではないのです。

 黒田総裁は、そもそもマネタリーベースを目標とするなんて言わずに、日銀券発行残高を目標にするべきではなかったのか?

 彼は4月4日の段階で、次のように言っていたのです。

 「「量的」な目標をきちっと導入した方がよいわけです。その際の目標の候補としては、一番狭い意味では、かつての量的緩和時のような「日銀当座預金」があり、広いものでは「マネタリーベース」、さらには「バランスシート」があると思います。このうち、経済学的な観点から言えば、やはり「マネタリーベース」が分かりやすく、かつ金融市場調節の操作目標として適切な指標であろうと考えました。資産総額であれ、当座預金残高であれ、期待に与える影響は一定程度あるとは思いますが、マネタリーベースが、学界で一番エスタブリッシュされている量的な指標であるということと、金融市場調節の操作目標という観点からマネタリーベースが一番適切ということで、このようにしたわけです」

 この発言を、貴方はどのように理解しますか?

 私は、この発言に黒田総裁の率直さを感じることはありません。それどころか、人々を錯誤に引き込もうとしてる。そして、問題の本質を逸らそうとしている。

 だって、そうではないですか?

 そもそも筋金入りのリフレ派なら、そんな屁理屈を並べるまでもなく、何故「日銀券の発行残高」を目標にすると言わないのか?

 日銀券の発行残高をコントロールできるはずだし、それができないようだったら、できる総裁に交替させたらいいというのが、リフレ派の主張だったのではなかったのか?

 そうでしょう?

 それに対し、日銀は以前から、どんなに日銀がしゃかりきになっても、日銀券の発行残高を自分たちの意のままにコントロールなどできないという考えであった。

 そして、そうした考えを否定してきたのが岩田副総裁であり、竹中教授であったのです。

 推測ですが、黒田総裁も、日銀券の発行残高がそれほど簡単にコントロールできるものではないと以前から感じていた。だから、日銀券の発行残高を目標値に据える訳にはいかず、さればとて、日銀当座預金を目標にすると言えば、全然目新しくないので、それでやむなくマネタリーベースを使ったに過ぎないのではないのか。

 いずれにしても、幾ら当座預金残高が膨らんだところで、日銀券の発行残高が増えないことにはインフレが起きたり、景気がよくなったりすることはないでしょう。

 従って、もし、このことについて多くの人々が気が付き始めると、人々の期待というか予想に訴える筈の戦略が、却って裏目に出てしまう恐れがあるのです。

 次に、黒田総裁が言っていた、長めの金利に働きかけるというシナリオは、どうなっているのでしょう? つまり、長期金利は下がっているのか? そして、イールドカーブは下がってきているのか?

 次のグラフをご覧ください。

 金利は、異次元緩和策発表時点で、一時的に大きく下がっているのですが‥それ以降は、下がっているというよりも、上がっているような雰囲気なのです。

 つまり、金利に関しては、黒田総裁のシナリオ通りには運んでいない、と

 でも、黒田総裁に対する支持は、極めて高い。

 結局、多くの人々は、理屈がどうかなんてことには関係なく、為替がどうなるか、株価がどうなるかが全てではないのでしょうか?

 いずれにしても、以上のような状況を考えた上で、黒田総裁を評価すればどのような点を付けるべきなのでしょうか?

 黒田総裁が政治家ならば、十分合格点を上げていいとは思うのですが‥

http://www.gci-klug.jp/ogasawara/2013/04/24/018883.php


ロンドン外為:ユーロ下落、ドイツIfo景況感指数が予想以下 
  4月24日(ブルームバーグ):ロンドン時間24日午前の外国為替市場でユーロは下落。Ifo経済研究所がこの日発表した4月の独企業景況感指数は104.4に低下しエコノミスト予想(106.2)を下回った。
ロンドン時間午前9時4分現在、ユーロはドルに対し0.2%安の1ユーロ=1.2966ドル。対円は0.2%安の1ユーロ=128円99銭。
原題:Euro Falls Against Dollar After German Business ConfidenceDrops(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:エディンバラ Lukanyo Mnyanda lmnyanda@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Keith Jenkins kjenkins3@bloomberg.net
更新日時: 2013/04/24 17:22 JST

日本株は大幅反発、米住宅統計や円安−素材、輸出主導で高値 
  4月24日(ブルームバーグ):東京株式相場は大幅反発し、TOPIX、日経平均株価ともに年初来高値を更新した。米国住宅市況の改善基調が確認されたほか、円安を受け内外景気、企業業績の先行きに楽観的な見方が広がった。鉄鋼や化学など素材関連、機械や輸送用機器といった輸出関連株を中心に幅広い業種が高い。
TOPIX の終値は前日比20.57ポイント(1.8%)高の1164.35、日経平均株価 は313円81銭(2.3%)高の1万3843円46銭で、両指数ともきょうの高値引け。
東京海上アセットマネジメント投信の久保健一シニアストラテジストは、「米国株式との相対観で言うと、まだ出遅れている部分を取り戻した程度」と見ている。決算を発表した企業の株価の動きを見る限り、「前向きに解釈する投資家が多く、日本株への投資意欲の強さを裏付ける」と指摘した。
米商務省が23日に発表した3月の新築一戸建て住宅販売は、前月比1.5%増の41万7000戸とブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値(41万6000戸)を上回った。1−3月期の販売は、2008年7−9月期以降で最多。米連邦住宅金融局発表の2月の住宅価格指数は、前年同月比で7.1%上昇と06年5月(7.4%)以来の伸びを示した。
住宅市況の改善を好感し、前日のダウ工業株30種平均 は1.1%高となるなど欧米株式は上昇。海外為替市場では円安方向に振れ、24日の東京市場のドル・円相場も1ドル=99円台半ば、ユーロ・円は1ユーロ=129円台前半で推移した。前日の東京株式市場終了時は98円74銭、128円82銭だった。
午後じり高、国策に安心感
こうした動きを好感し、きょうの日本株には朝方から買いが先行。建設や不動産などへの損益確定売りから伸び悩む場面もあったが、香港ハンセン指数 が一時1.7%高となるなどアジア株高の動きが追い風となり、午後になると、主要株価指数は先物主導でじり高となった。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長は、政府・日本銀行が国策で資産価格を上げようとしており、「特段の悪材料がない限り、日本株は上昇する」との認識を示した。
東証1部33業種は鉄鋼、海運、化学、石油・石炭製品、パルプ・紙、情報・通信、その他製品、非鉄金属、機械、ガラス・土石製品など31業種が上昇。海運では、13年3月期の連結純利益は従来比3.2倍の190億円になりそう、と前日発表した日本郵船、今期は3期ぶりに黒字転換すると24日付の日本経済新聞朝刊で報じられた商船三井が高い。化学では、JPモルガン証券が投資判断「オーバーウエート」で新規に調査を開始した住友化学の上げが目立った。
このほか、13年3月期の連結純利益は従来予想比2.9倍の380億円になりそう、と前日発表の三菱自動車も急伸。井関農機や日産化学工業など農業関連株も買われた。政府は、放置された農地を都道府県が強制的に借り、集約して農業生産法人などに貸し出す制度を来年度にも導入する、と24日付の日経新聞朝刊が報じた。
一方、電気・ガス、建設の2業種は下落。ゴールドマン・ サックス証券が投資判断を「売り」に引き下げた富士通のほか、売買代金上位ではオリエントコーポレーションやセブン&アイ・ホールディングスが安い。東証1部の売買高は概算で45億9730万株、売買代金は3兆574億円で、代金は4日ぶりに3兆円台を回復。値上がり銘柄数は1390、値下がり258。
国内新興市場では、ジャスダック指数 が2.4%高の90.52、東証マザーズ指数が6.6%高の808.00とそれぞれ6日続伸。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 岩本正明 miwamoto4@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Nick Gentle ngentle2@bloomberg.net
更新日時: 2013/04/24 15:44 JST

住友生命:国内債は純増、外債は機動的運用−2013年度運用計画
東北電:東電への損害賠償請求を検討−福島事故で原発計画を撤回
キヤノン:今期純利益予想2900億円に増、円安で−市場予測下回る (1)
高野山真言宗が運用損21億円−日経リンク債や外貨仕組み債に投資 (2)
今日の国内市況(4月24日):株式、債券、為替市場

クレディ・スイスの1−3月期:大幅増益、前年の費用計上の反動 (15:47)
伊首相、レッタ氏かアマート氏か−レンツィ氏は前首相が拒否との報道 (18:07)
住友生命:国内債は純増、外債は機動的運用−2013年度運用計画 (17:16)


03. 2013年4月24日 20:20:17 : e9xeV93vFQ


歴史から学ぶ、金利低下とその背景

 債券市場のこれまでの動きを長期的な視点で見てみましょう。10年国債の過去20年ほどの推移グラフを見ると、85年のプラザ合意、90年のバブルのピークには、今からは考えられないような8%の金利が付いていました。しかしその後23年間に渡り10年債金利は右肩下がりに推移してきました。

 特に1990年から2000年の10年間には、多少の上げ下げはあるものの、急な勢いでほぼ一直線に下落しています。この間金利は8%から約2%まで下がり、5年で3%ずつ下がるという非常に早いピッチでの下げでした。その後、2000年以降は1.5%近辺の横ばいで、それまでの急勾配と比べれば落ち着いて見えます。


 2000年までの10年間の急低下の場面を振り返ると、いろいろな見方がありました。当初はバブルが崩壊したという見方はほとんどなく、景気が悪く株価が下がっていた状況に対して、景気循環の不況だという意見が多く聞かれていました。それが、あまりにも株価の下落が大きく、円高も加わり、過去の景気循環とは異なるという見方が出てきて、景気循環不況からバランスシート不況、複合不況という見方が大勢になってきました。つまり、バブル時に企業や家計が、設備投資・雇用・借金の3つをやりすぎてしまったのが原因だとする見方です。そしてこの不況が、2000年頃に始まる金融不況にまで繋がっていきました。これが金利低下最初の10年です。

 その後はどうかというと、金融不況が2003年のりそな危機によってクライマックスを迎えます。これを金融、政府が一丸となって救済したことで、その後の小泉内閣の登場を経て、世の中の状態が落ち着きを取り戻し、金利の水準も低下一辺倒からやや改善していきます。

 しかしその後、民主党政権が誕生したことで経済も株価水準も悪化し、10年債の金利も1%前後まで低下しました。そして去年秋からのアベノミクス、黒田日銀総裁の誕生により、10年債金利は瞬間で0.3%という記録的な水準を付けたのです。

 実は10年程前にも一度0.5%を下回ったことがありました。ただし、その当時は株価がどんどん下がり先が見えない中、金融緩和待望論としての金利低下でした。しかし今回は株価上昇、景気回復期待の中での金利低下ということで、前回同様に非常に低い金利水準ではあるものの、その背景は全く状況が違っています。


デュアルマンデートに見る中央銀行の役割と日銀の変化

  これまで、アメリカやヨーロッパの中央銀行が取ってきた金融政策は、ゼロ金利政策や量的緩和など、日本が行ってきた政策をまねていると言えます。しかし、そのやり方は随分日本とは違います。

 各国中央銀行の金融緩和の経緯を確認してみましょう。各国の中央銀行のバランスシートをその国のGDPで割ったもの、つまり、どのくらい量的緩和をしているかという数字をグラフで見ると、一番高い水準にあるのが日本です。日本は常に高い水準を維持しています。これは、これまで日銀の政策で脈々と緩和を続けてきたことが表れています。ただ、バランスシートを縮小させている時期があることと、グラフが徐々に上がってきていることが残念なところです。

 一方、海外の中央銀行を見ると、アメリカ、イギリス、ヨーロッパは揃ってどの国も、2008年に、グラフがほぼ垂直になるほど急激に金融緩和をしています。さらにヨーロッパやイギリスの中央銀行は2011年から再び、かなり急角度でバランスシートを増やしていることが分かります。


 各国は日本の政策から学んで量的緩和をしてきたものの、それだけではなく、具体的な政策運営に繋がるような、「やるなら徹底的にやる」という意思表示をしてきたのです。それに比べて、日本の場合は緩和はやっておりボリュームもあるにも関わらず、逐次的で少しずつ緩和をやっているのです。これではインパクトがなく、市場参加者に一気に潮目が変わるかもしれないと思わせることができなかったわけです。

 今回、黒田日銀総裁が掲げた金融政策は、このような海外の動きや、これまでの日銀総裁の取ってきた金融政策を全て総括して出てきた政策であると言えます。過去5代の総裁は、政策の一貫性に問題があったり、小出しの政策と分析されてきたりしました。

 これに対し黒田総裁は、全戦力を一気に投入するという表現を用いています。大胆かつ期待に働きかけるとし、2×4政策と言われる、2年間で2%のインフレ目標、バランスシートを2倍、国債買い入れ、期間も2倍にするという政策です。ファイナンシャルタイムズではこうした政策をQ×Q、つまり、質(quality)と量(quantity)を両方一気に緩和するものだと表現しています。

 さらに、アメリカではこうした政策はもっと進んでいます。これまでのインフレの経験などから、中央銀行の基本的な政策命題は物価を安定させることでした。これに対し、現在バーナンキFRB議長がコミットしているのは「デュアルマンデート」といわれ、物価の安定(今はデフレ阻止)に加えて、GDP成長率や雇用の拡大という景気全体の改善まで含んでいます。アメリカでは中央銀行の持つ役割、使命がそこまで広がってきているのです。

 今、日本銀行の黒田総裁も物価に関して2%のインフレをとにかく2年間で達成するというデフレ阻止を目標に掲げています。私はさらにその先に、景気の拡大についてもコミットするという段階が見え隠れしているように思います。いずれにしても今回は、これまでとは相当違う金融政策を行い始めたということなのです。



講師紹介




ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 講師
金融経済アナリスト
前クレディ・スイス証券副会長
田口 美一
4月15日に撮影したコンテンツの一部をご紹介します。
詳しくはこちら


http://www.ohmae.ac.jp/ex/asset/column/20130424_130057.html
日銀金融政策決定会合におけるキーワード「2」

 4月3日、4日の日銀金融政策決定会合を受け、4月5日に長期金利は0.315%まで低下、過去最低利回りを更新しました。つまり債券価格が上昇しているということで、機関投資家が債券を多く買っているわけです。

 今回の会合では、数字の「2」がキーワードとなりました。日銀は、物価安定目標として前年比で上昇率2%を2年程度で達成するとしました。また、マネタリーベース、長期国債ETFの保有額を2年間で2倍にするとしました。こうしたことを受けて、日銀が債券を買うので債券価格は下がらないという見通しから、会合の結果が出た翌営業日に機関投資家が債券を買いに動き、0.315%まで利回りが低下したということなのです。あるシンクタンクの予測ではさらに利回りは下がるとも見られています。

 しかし一方で、最低利回りを更新した後には一旦利益を確保しようという動きが出て、債券は大きく値下がりしたのです。債券にも株のストップ高ストップ安のようなシステムがあり、これをサーキットブレーカーと言います。債券の場合は、価格が上下に1円動いたら一旦取引を止めるというルールになっています。また、このサーキットブレーカーは一度発動されると、2度目は倍の2円動いたときに取引を止めるという仕組みになっています。

 今回は一度1円下がって発動され、再び2円下がったので二度目のサーキットブレーカーが発動されました。合わせて3円、大幅に債券価格が下がったのです。債券市場はパニックにこそなりませんでしたが、この下げはある意味暴落と言えます。このようなことは過去にも珍しく、サーキットブレーカーの発動は2008年10月14日、リーマンショック以来のことです。


 その後は持ち直し、利回りが低下している債券市場ですが、このような水準での推移が続けば債券で運用する価値がなくなるのではないかという懸念が浮上します。利回りが0になってしまえば、債券価格には上昇の余地がありません。債券先物は6%が前提で運用しているので価格が形成されるのですが、実際に利回りがここまで低下すると生損保などが運用するリターンが期待できなくなってしまいます。日銀が債券を買うことによって、必然的に運用している機関投資家が日本国債では運用が成り立たなくなるのです。

 そこで、円安になってきていることもあり、機関投資家が日本国債を売り、外国債券に投資する可能性が高まってきます。ただし、機関投資家が売っても日銀が買うので、日本国債の価格は保たれます。このように機関投資家が日本国債を売って外国債券を買うことになると、円を売ってドルを買うので更なる円安に繋がると考えられるのです。

 日銀は2年間で2%のインフレを目標にした金融緩和として、国債を買ってお金を市中に流し、マネタリーベースで銀行に貸し出すお金も増やすということを言っています。しかし、実際の実需で円を売ったりドルを買ったりお金が動かないと絵に書いた餅になってしまいます。価格を支えて金利を低下させ機関投資家を運用難にさせることによって、日銀は外債に投資が向かうことを促しているとも言えるのです。強制はしないものの、運用の魅力がないことで自然と外債にお金が向かうのです。これは介入と同じようなことであり、円安を保つことができるのです。なおかつ先物やFXなどではなく、実需のお金が流れるので、実際に市中にお金が流れて円が売られるということです。

 日本から海外へのお金のシフトが起こることで更に円安になり、製造業にとっては円安効果が続くことになります。それを利用してうまく競争力を付けることができれば、日本株がまだまだ買われるという期待も一段と高まると言えます。

 これまでの日銀は、金融緩和は効果がないと言ってきたのですが、大きく方針転換をしたことによって実際に大きな効果に繋がるのか、投資家目線でしっかりと見て資産配分を考えていく必要があるでしょう。


上昇相場で見るべきテクニカル指標とは?

 日経平均のチャートを見てみましょう。上昇が続く中、どこで買っていいのか分からないという声をよく聞きます。こういう時の買いのポイントは、どのようなチャートを使うかです。

 MACDというチャートはオシレーター系といわれる上下の振幅でタイミングを測るものですが、これは売りシグナルがいろいろなところに出てくるのでこのような場合にはとても不向きです。こうしたときにポイントになるのはトレンド系のチャートを見ることで、ボリンジャーバンドの+σ(シグマ)のラインを抜いたら買うというような手法です。トレンドというのは安値を更新しないからこそ上昇トレンドがあるのです。高値を更新したり、直近の高値を抜いたりすればトレンドが上向いていることの示唆になります。


 上がっているところを買うという強気の考え方もありますし、一方、下げた後に戻し始めたら買うという考え方もあります。その時の基準になるのは5本線あるボリンジャーバンドのうち、真ん中の移動平均線や+σの線なのです。そこまで下がってきて反発したところを買っていけば基本的にはトレンドは上向きですから、仮に戻りが鈍い場合でも少し時間が経てば上がってくるので、右肩上がりの相場に付いていけるというということになります。

 注意するのは高くなりすぎたところです。ボリンジャーバンドで+2σを超えているところなど勢いはいいのですが、持っている人は売らなくてもよいものの、買ってしまうとすごく長い上ひげになっているところもあるので高値づかみをしてしまう可能性があります。また、ボリンジャーバンドの真ん中を割り込んでしまった時なども買うのは様子を見た方がよいでしょう。その後に反発してきたところを買えばよいのです。さらに、高くなり過ぎのところを買わないようにするためには移動平均線との乖離率も参考になります。52週移動平均線との乖離が30%を超えてきた時は警戒信号です。

 高値は買わず、でも相場が上昇してしまうという状況になると心理的にはどうしようかと焦り、迷ってしまうものですが、可能ならこのように上昇トレンドができる前に上向いた段階で付いていくというのが一番のポイントです。上昇トレンドができてかなり高くなっている時には、やはり短期的な考え方で買って利益が出たら一旦売るという利益確保を優先するやり方をしていかないと危険と言えます。



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ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 講師
株式会社インベストラスト 代表取締役
IFTA国際検定テクニカルアナリスト
福永 博之
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歴史から学ぶ、金利低下とその背景



04. 2013年4月24日 20:29:49 : e9xeV93vFQ
田嶋智太郎の外国為替攻略法
2013年04月24日
現在のドル/円の過熱ぶりは記録的!?
今、市場の最大の関心事は「果たしてドル/円は100円の大台に乗せるのか?」といった点にあることと思います。実際、4月11日には99.95円、22日には99.88円の高値をつけ、あと一歩というところに迫りました。本日(24日)も朝方に99.76円までの上昇を見ていますが、市場の一部には「2度あることは3度...」などと少々諦めのムードもないではないようです。
しかし、なかにはドル/円の上値を押さえる一因となっている「通貨オプションに絡む円買い」が週内に期限を迎えることや、今週26日開催の日銀金融政策決定会合後に公表される「展望レポート」の内容が円安に弾みをつける可能性があることから、100円の大台挑戦は「3度目の正直」などと見る向きもあります。
確かに、ドル/円が非常に大きな節目である100円を超えるという"歴史的瞬間"には誰もが関心を持っていることでしょう。ただ、投資家の立場からすれば「100円を超えたとして、それでどれだけの成果が期待できるのか?」ということも重要であり、仮に多くを望めないのだとすれば、反落リスクを背負ってまでここから買い上がることは躊躇われるというのも正直なところではないかと思います。
ドル/円の上方に控える幾つかの節目については、本欄の4月10日更新分でも詳しく触れました。以下は、その概要です。●07年6月高値から11年10月安値までの下げに対する50%戻し=99.75円はすでにクリアしており、そろそろ一旦調整入りしてもおかしくはない。
●月足ベースの一目均衡表における「雲」の上限(現在は100.45円に位置)が迫っており、一旦100円台に乗せたとしても上値は限られる。
●4月の月足ロウソクも陽線となれば7カ月連続ということになり、同様の事例は00年09月から01年3月の7カ月連続に遡るが、当時も8カ月目は陰線となった。
●09年4月高値=101.45円、05年1月安値=101.65円、99年11月安値=101.22円など、101円台には歴史的に重要な節目が複数ある。
そして、さらに今回はドル/円の価格推移において非常に重要な役割を果たしてきた「31ヶ月移動平均線(31ヶ月線)」と「31ヶ月とのかい離率」を下図に加えています。

見れば一目でわかるのは、現在のドル/円相場が31ヶ月線のはるか上方に位置し、足下の「かい離率」が21.3%と、かつてないほど高い水準に達していることです。02年2月に135円台まで急激な円安が進んだ当時でも、31ヶ月線との「かい離率」は18%程度に留まりました。このようにみると、現在のドル/円相場の過熱ぶりは記録的なものであり、それは安倍政権下において「異次元」とも言える政策が推し進められているのだから当然とも言えますが、やはり投資家にはそろそろ慎重な対応と厳格なリスク管理が求められるところと言えるでしょう。
コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役
前の記事:2年で2%なら1ドル=120円? −2013年04月17日
http://lounge.monex.co.jp/pro/gaikokukawase/2013/04/24.html


 
村上尚己「エコノミックレポート」

http://www.monex.co.jp/Etc/00000000/guest/G903/er/economic.htm
[ プロフィール ]

米政治リスクへの現地の感覚 〜限定的だが、アキレス腱も〜
今週、ワシントンとニューヨークで金融関係者や当局者と面談を行っている。2012年秋口から世界経済を引っ張る米国の経済・マーケットのリスク要因として、米政治混乱への懸念が混乱を引き起こす点が挙げられる。

例えば、2011年夏場に格付け機関による米国債の格下げをきっかけに、世界的に大きく株価が調整した。これは、格付け機関による「根拠レスな判断」が招いただけで、相場的には押し目買いの絶好の機会だった(グラフ参照)。

また、大統領選挙直後には「財政の崖」への懸念で株価がやや調整する場面もあった(これも押し目買いのチャンスだった)。現在、米国の株式市場は順調に上昇しているが、政治動乱が再び混乱を引き起こす可能性をどの程度想定すれば良いのか?そういう問題意識で、ミーティングを行っている。

現状、2012年末に懸念された「財政の崖」に起因した大混乱は遠のき、市場では余り警戒されていない。「共和党対民主党」の対決で大騒ぎした割には、極端な緊縮財政策を主張する共和党による「政治的パフォーマンス」が繰り広げられたに過ぎない、という認識が市場で強まっている。

ただ、「財政の崖」は回避されたが、現在米国経済には増税と歳出強制削減のダブルパンチで、年率1%超GDPを押し下げかねない、かなりの景気縮小圧力がかかっている。この緊縮財政があっても、1―3月のGDPは消費・住宅の復調で、堅調な伸びを保ったとみられる(今週末結果が公表される)。ただ、4―6月まで緊縮財政が米経済の足をひっぱるため、実は米経済にはダウンサイドリスクが残る状況は続いている。

実際に、現地でのヒアリングを総合すると、政治リスクへの懸念から市場が混乱したり、あるいは緊縮財政が米経済の回復を阻むリスクについて、悲観的な見方は聞かれなかった。

前者の政治リスクについては、例年どおり次の会計年度(2013年10月から)が始まる前の夏場に、財政政策を巡って与野党の対決が強まり、国債発行の上限に達する問題が政治交渉に使われると、2011年のように市場が混乱するケースも起こり得る。

もっとも、大統領選挙でオバマ大統領が勝利したことで、財政問題を材料に「政治ゲーム」を続ける共和党に対する世論の目は、一段と厳しくなっている模様だ。このため、共和党の強硬な態度が、再び混乱をもたらすリスクを強く指摘する声は小さかった。現在、税制や社会保障制度改革について、米議会で取り上げられているが、まだ議論は煮詰まっていないこともあり、当面は経済政策について両党の対立が深刻になり、政治発で混乱が起きるリスクは限定的というのが見方が多いようだ。

一方、後者の経済動向については、足元で相当な緊縮財政策が実現しているにも関わらず、米経済が崩れないのは、住宅市場の回復で米家計の支出が順調に伸びて、緊縮財政のネガティブインパクトを相殺しているためである。

本来なら、米FRBが大規模な量的金融緩和政策を続けている状況では、財政政策においても景気下支えを検討すべきだが、実際には望ましいポリシーミックスは実現していない。それでも、徹底した金融緩和による景気刺激効果が、昨年末からタイミングよく本格的に効き始め緊縮財政の悪影響が相殺され、なんとか安定成長を保っている、というところである。

先週のレポートで伝えた通り、欧州ではECBの金融緩和策が未だに機能不全に陥っており脆弱である。この欧州リスクが顕在化しない限り、米国では金融緩和策の支えで経済の回復はなんとか続くとみられ、その意味で米国発のリスクは限定的である。

ただ、仮に、欧州発の混乱が再び火を吹いた場合、米国では緊縮財政がアキレス腱になり、これまでのように世界経済の牽引役となるのは難しくなるかもしれない。現段階で蓋然性は高くないが、このリスクシナリオが依然残っていることを念頭に置いた方がよいだろう。

村上尚己著「『円安大転換』後の日本経済 為替は予想インフレ率の差で動く」光文社より発売中!



05. 2013年5月03日 18:50:26 : nJF6kGWndY
2013年 5月 03日 17:05 JST
円安、日本人の日常のささやかな楽しみにも影響

By ELEANOR WARNOCK

 デンマーク製のスツール、ごま油、トイレットペーパー。この3つに共通するもの何か。いずれも急激な円安を受け、日本で近いうちにやや値上がりしそうなものだ。

 円が対ドルで約4年ぶり、対ユーロで3年ぶりの安値水準で推移するなか、輸入製品や原材料の価格が急騰している。これを受けて大塚家具のような企業では大 幅な値上げに踏み切らざるを得なくなっている。こうした措置は、円が歴史的に最も高い水準で推移し始め、輸入価格が引き下げられた2007年以来だ。

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Ramsay de Give for The Wall Street Journal
円安の影響で、政府の試算では、うどん1杯の値段も約1円上がる見通し

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1998年のアジア危機を想起させる円急落
 同社は、円安がさらに進めばアジアや欧州、米国からの輸入品4500点を値上げせざるを得ないだろうと話す。値上げは4月16日から3段階に分けて実施される予定で、値上げ幅は最も少ないイタリア製の肘掛け椅子で0.2%、最も大きいデンマーク製のスツールで14.2%。

 同社の広報担当者は「自分が考えていた版が値上げになるのではないとのことから、(購入を)先に決めるとか、問い合わせを頂くことがある」と述べた。しかし、たとえ値上げしても、全体的な商品価格は08年よりも依然低いと付け加えた。

 日本の製紙大手の一部も、トイレットペーパーやティッシュペーパーなどの家庭紙の10−15%の値上げを決定した理由の1つに円安を挙げている。

 値段が上がるのはトイレットペーパーだけはない。風呂につかりながらの読書もコストが高くなる可能性がある。紙製品の生産量世界最大規模の王子製紙の広報担当者は、書籍や雑誌用の紙を値上げすることも検討していくと述べた。

 国内売上高最大のごま油販売会社かどや製油は、油糧種子作物の価格が10月以降40%上昇していることを受け、5月から10%値上げした。

 同社の広報担当者は「日本で原材料をどうしても作れないので、アジアやアフリカなどのごまの生産地に頼っている。それで、輸入品のコストの動きに確かに影響されやすい」と説明した。

 政府の試算では、うどん1杯の値段も約1円上がる見通しだ。というのも政府が今月、製粉業者に売り渡す麦の価格を9.7%引き上げたためで、これは01年4月以来最大の値上げ幅だ。

 だが、うどんチェーン店は、消費者への価格転嫁を検討する前にコスト削減に取り組んでいると話す。

 「会社内で、店側から無駄を省く提案をして、これを受けて委員会で検証して、よかったら導入していくようにしている」。全国に300カ所を超える店舗を有する株式会社はなまるマーケティング部の高橋淳氏は話した。

 高橋氏は、同社は値上げは予定していないが、「マスターシステム」という仕組みを設けるなど業務を効率化する措置を取っていると話した。同システムは、スタッフに「厳しいテスト」を受けてもらい、測りを使用せずに適量のめんやだしを測れるようにすることで、貴重な数秒を節約しようとする取り組みだ。

 その他の小規模な企業は、できる限り値上げはせずに耐えると話す。

 東京西部で小さな銭湯を家族で経営する石川豊氏は、燃料油の上昇コストを相殺するにはまきの使用を増やし、電気を少し暗くする必要があるが、大人450円という入浴料の値上げは考えていないと話した。

 「デフレで、今のところは料金を抑えられている。でも、うちのような零細企業で、燃料費(の高騰)でやめるお風呂屋さんってたくさん出てきている。政府が分 かってほしいのは、まだ景気そんなによくなってないので、円安で(燃料費などの)ただお金がかかっているだけといこと」と石川氏は話した。

原文(英語)

Weaker Yen Ups Cost Of Life's Simple Pleasures


06. 2013年5月03日 18:51:19 : nJF6kGWndY
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013050300367
安保絡め資源確保=原発輸出には批判も−安倍外交
 安倍晋三首相は3日、一連のロシア・中東歴訪の日程を終える。安全保障対話の推進を通じて資源大国との関係を強め、エネルギーの安定確保につなげる「安倍外交」の狙いは、一定の成果を上げたと言えそうだ。一方、首相は中東で積極的に日本の原発の売り込みを展開。東京電力福島第1原発事故の影響が続く中、こうした首相の姿勢が国内で論議を呼ぶ可能性もある。
 「中東が石油と天然ガスを売り、日本は買うという関係ではなく、政治や安全保障や文化、人の交流といった多層的な関係にしていくのが今回の大きな目的だ」。首相は2日、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで記者団にこう強調した。
 今回訪問した4カ国のうち、トルコを除く3カ国は世界有数のエネルギー供給国。日本が輸入する原油のうちサウジアラビア(33%)とUAE(22%)で半分以上を占める。ロシアからも天然ガスの約1割を輸入している。
 これら資源供給国との絆を深めるための首相の切り札が「安保」だった。ロシアとの間で外務・防衛担当閣僚による「2プラス2」創設で合意したのを手始めに、サウジ、UAEとはそれぞれ外務・防衛両省幹部による安保対話を新設した。
 日本が輸入する原油の8割はペルシャ湾の入り口に当たるホルムズ海峡を通過する。シーレーン(海上交通路)の安全確保のためにもサウジなどとの連携強化は重要で、首相同行筋は「狙い通りの成果が得られた」と手応えを語った。
 また、今回訪問したUAE、トルコとはいずれも原子力協定に調印。サウジとも協定締結を視野に事務レベルでの協議を始めることで合意した。
 特に、トルコとの間では、三菱重工業などが参加する企業連合が同国内の原発受注に事実上成功。首相自らが「トップセールス」に立ち、東電原発事故で停滞していた日本の原発の海外ビジネスに弾みをつけた。
 ただ、原発事故によりいまだに避難を余儀なくされている住民も多い。原子力規制委員会による新規制基準も施行前の段階で、現時点での原発輸出再開には異論もある。民主党の海江田万里代表は3日、東京都内で記者団に「規制委が基準を出すわけだから、それを受けてからだ。国内の動きも考えながらやるべきだ」と指摘。原発の海外展開に傾斜する首相を批判した。(アンカラ時事)(2013/05/03-18:23)

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