先月、オランドさんが来たでしょう。フランスも太平洋に領土を持つから、太平洋
の安全保障で日仏が協力するということで合意はしたけど、中国を締め付ける
動きに、実質的なところではオランドさんは同意しなかった。先様には先様の国益
がある。

ただ、南シナ海の問題で、中国の立場が軟化したのはその辺りでしょう。米中首脳
会談があった前後。中国は見事に矛を収めたように見えた。ベトナムとの紛争も、
ほぼ「現状維持」でまとめた。

尖閣についても、「棚上げ」ということで幕を引きたいというメッセージを、中国の方
から続けて送っている。

ただ、それには大きな問題があって、「棚上げ」というのは暗黙の了解という形を
とっていたから、それを明言すること自体が相手に言質を与えることで、日本の
外交・安全保障にとっては失敗となる。なぜなら、尖閣の潜在主権はこちらにある。

いまは、そこの辺りの小競り合いの状態で、鳩山氏は上手く利用された形に思え
る。鳩山氏に同調して「中国の意見もきちんと聞いて、『棚上げ』を相互に確認す
べきだ」という意見が国内に出て、中国が一矢報いるかも知れない、というのが、
今の状況に見える。幕を引く前に、どこかで日本に勝ちたいと。

ただ、本当に紛争以前の状態に戻したいなら、黙って船を引けばそれで終わるの
だ。それをしないのが、中国という国のいやらしさかな、と思って見ている。