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経済成長は必ずしも資源消費増加を意味するわけではなく必要、GDP成長(マクロ政策)と所得再分配など社会政策は層が違う問題
http://www.asyura2.com/14/hasan85/msg/611.html
投稿者 あっしら 日時 2014 年 2 月 13 日 17:17:16: Mo7ApAlflbQ6s
 

(回答先: 「脱成長」掲げるヘタレ左翼の痛さ 成長なしで雇用、社会保障は維持困難(ZAKZAK)  投稿者 かさっこ地蔵 日時 2014 年 2 月 13 日 09:46:21)


 私自身は「反経済成長派」(そんなものに価値を見ない)だが、現在の国家社会構造を前提にする限り、元財務官僚の高橋洋一氏の論はそれほど的外れなものではない。

 高橋氏は、「福祉・社会保障でも、成長なしでは維持するのも困難になる。福祉・社会保障は、基本的には世代内そして世代間の所得再分配である。成長がないと、所得というパイそのものが小さくなるので、それを切り分ける再分配もできなくなるわけだ。70年代に、福祉・社会保障が議論できたのは、成長が揺るぎないものという暗黙の前提があったからだ」と説明している。

 70年代の福祉・社会保障大盤振る舞い政策は、急速な高経済成長のなかそうしなければ循環さえできないほど日本経済の供給力が増強されたことがベースであり、病院(医療従事者)・製薬・医療機器・建設・福祉施設などや公務員などの増加及び所得増大は、“大盤振る舞い政策”の結果として生じたものと言える。

 「所得再分配」は、経済論理的に見れば、国民の階層間世代間ではなく、位置づけの異なる供給主体間で行われたのである。

 福祉や社会保障の享受者が喜んだ(助かっている)ことは事実だが、経済論理的な意味合いから言えば、福祉の享受者は、供給力の増強で稼ぐ付加価値が増大した供給主体(産業)から産業的供給主体が稼ぐ付加価値に依存するサービス供給主体に所得を移転するための媒介者でしかなかったと言える。

 高橋氏は、「福祉・社会保障は、基本的には世代内そして世代間の所得再分配」と“片側”だけ説明しているが、“福祉・社会保障で世代内そして世代間で所得再分配されたものは、再び世代内そして世代間の新たな所得となる”というもう一つの重要な側面が説明されていない。
 このような説明のしかたが、社会保障政策をめぐる「世代間抗争」の危険な火種になっている。
 現役世代は、税や保険料を通じた所得の再分配がなければ可処分所得を増やすことができるかのように思わせてしまうからである。

 しかし、現役世代がある現実の所得を手にしているのは、現役世代の税や保険料がリタイア世代に移転されることで、現役世代が供給する財やサービスがリタイア世代にも消費されるからである。リタイア世代が人口の25%を超えているということは、元は自分たちが稼いだモノとはいえ、所得移転という循環が現役世代の所得の“持続性”を支えていることになる。

 所得再分配がなければ、政治的激突や社会不安醸成はともかく、所得弾性が高い商品は需要が少し拡大するが、一般の財やサービスは現状の規模で再生産されることができなくなり失業者や倒産企業が増大することになる。


 お金の移動という面で語れば、「成長がないと、所得というパイそのものが小さくなるので、それを切り分ける再分配もできなくなる」という説明もできるが、供給力という観点で見た方がより的確である。

 GDP的成長とは付加価値の増加傾向を意味する。付加価値とは、詰まるところ「労働量」である。つまり、経済成長の低迷とは、「労働量」の増加が見られないことを意味する。
 日本が抱える労働力人口の減少を考慮すれば、日本が経済成長を続けるためには、労働参加率の増加や労働生産性の上昇が必要ということになる。
 労働参加率が限界まで高まるか、労働人口の減少で労働参加率が高まっても就業者の絶対数が減少するような状況になれば、労働生産性の上昇を追求することでしか「労働量」の増加は達成できない。

 労働生産性の上昇は設備投資によって実現されるものだから、それも、機械などある特定の財を生産するために投じられた「労働量」の増加によって実現されると言える。

 付加価値の増大とは、まさに、「労働量」の増加なのである。そして、「労働量」の集積による供給力の増強が、生産する財の1単位当たり「労働量」を減少させ(コストダウン)、国際競争力をアップさせるのである。
 資源をできるだけ消費しないこともコストダウンの一因であり、「労働量」の増加により資源をできるだけ消費しない生産技術を開発することもできる。

 労働生産性の上昇が就業者数の抑制という“負”の結果につながらないようにするためには、それによって生み出された財の輸出を増大させなければならないが、それが思うにまかせないときは、70年代的「所得再分配」で新たな供給主体を育成しなければならない。


 所得=お金を見ているだけでは、ダイナミックな経済の論理は見えてこない。

 都知事選に関する投稿でも書いたが、中央政府は、GDP成長を目標としたサプライサイド政策の実施とナショナルミニマム策定に注力し、地方自治体は、住民の穏やかで楽しい生活を支える社会政策の実施に心を砕くべきだと考えている。

 高橋氏の他の主張について:

「 例えば、日本のヘタレ左翼が嫌う金融政策は、他のどんな政策よりも雇用を創出し失業を少なくする効果がある。「これを否定したら、あなたが失業する確率が増えますよ」といえば、もう反論できなくなる」

 金融政策に「他のどんな政策よりも雇用を創出し失業を少なくする効果」があるというのは、日本のこの15年の政策を顧みるだけで誤りだとわかる。
 せいぜい言えることは、金融政策により、膨大で持続的な政府借り入れで生じる金利上昇や金利上昇がもたらす円高傾向を抑制しなければ、ただでさえ低迷している日本経済は危機的状況に陥ったというものである。
 この20年の日本経済で「雇用を創出し失業を少なくする効果」が最も高い政策が、税収に匹敵する赤字財政支出を続けてきた財政政策であることは論を待たないはずである。

 金融政策は、過ぎたインフレでない限り、失業者や倒産企業を増やすようなものであってはならないというものであり、デフレ下で経済成長を直接推進するものではない。

ついでだが、高橋氏の「「これを否定したら、あなたが失業する確率が増えますよ」といえば、もう反論できなくなる」という説明は、あまりに哀しいトートロジーである。
 「反論できなくなる」の論証が「これを否定したら」というのではあまりに...

 

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