タカタのエアバッグは他社も採用するようになり、世界の三大メーカーの一角にのし上がった。アメリカで、このタカタ製エアバッグを装備した2001年型ホンダ・アコードが事故の際、エアバッグが作動すると同時に金属片を飛ばしたことから、運転していた若い女性が出血死したのである。

この事故の半年前、ホンダはタカタ製エアバッグに欠陥があることをアメリカ運輸当局に報告し、リコールを進めていた。若い女性が死亡したホンダ・アコードには欠陥がないとリコー対象外にしていたそうだが、事故後、あわててリコールしている。

このタカタ製エアバッグの欠陥問題は世界に広がり、ホンダ・日産・トヨタ・BMWなど全世界で650万台に達している。当然、死亡事故も起きているが、メーカーが被害者遺族と和解に持ち込んで実態を隠蔽しているようだ。ホンダ・アコードの死亡事故はいくつも発生しており、ホンダはいずれアメリカ連邦議会の公聴会に呼ばれるのではないか。

タカタ製エアバッグの欠陥問題を解決済みとして採用し続けるトヨタと日産も、いずれアメリカ連邦議会の公聴会に呼ばれることになるかも知れない。

エアバッグを膨らませるのは火薬だが、これを実現するためにエアバッグ用火薬を「火薬類取締法」から除外する規制緩和も行なわれている。産業界の要望を国民の安全より優先する、当時の自民党政権が規制緩和を行なったことは、言うまでもない。(これにより日本のエアバッグ製造が世界的なものとなった。)エアバッグ用火薬を自動車に搭載することについては、消防法の規制緩和もセットになっている。

当方は1970年代にエアバッグについて反対していたが、どこのメーカーも採用するようになった。自動車に搭載する火薬は、僅かな静電気でも爆発する、大変に危険なものだ。自動車は製造されてからも長期間使われるから、長い年月の間に経年変化で火薬の特性が変わることも考えられる。　するとエアバッグが世界的に普及した1990年代以降の自動車が今後、世界中でトラブルを起こすのは確実。恐ろしい未来が待ち構えている。