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IT業界 競争保てるか
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投稿者 あっしら 日時 2017 年 8 月 06 日 02:18:01: Mo7ApAlflbQ6s gqCCwYK1guc
 


[複眼]IT業界 競争保てるか

 米アマゾン・ドット・コムやグーグル、アップルなどの強者がますます強くなるIT(情報技術)業界。人工知能(AI)やあらゆるモノがネットにつながる「IoT」のカギとなるデータも、加速度的に巨人の掌中へと集まる。寡占化が進むIT業界で競争環境を保つすべはあるのか。

◇  ◇

■事前措置で消費者保護 オックスフォード大教授 アリエル・エズラチ氏

 グーグルやアマゾンなどの「プラットフォーマー」の台頭で懸念されるのが、市場支配力を行使して競争相手を排除したり、新規参入を阻むことだ。欧州連合(EU)の欧州委員会は6月、グーグルが支配的地位の乱用を禁じるEU競争法に違反したとして24億ユーロ(約3100億円)の制裁金を科した。

 欧州委によるとネット検索エンジンは大きな力を持ち、サービスプロバイダーの成功か失敗かを左右できる。グーグルと競合するサービスプロバイダーは市場の外へ追い出されたが、サービスが劣っていたからではない。グーグルが支配力を使い、自社サービスの利用を促したからだ。

 プラットフォーマーの市場支配力はパソコンから携帯電話、そしてAIを搭載し音声で操作できる機能を搭載したスマートフォンやスマートカー、家電製品が普及するにつれてさらに増している。アマゾンやグーグル、アップルはAIを家庭へ持ち込み、スマート家電に接続しようとしている。

 革新的な音声認識機能は、買い物のわずらわしさを減らしてくれる一方で、自らの判断でモノやサービスを探そうとする意欲をそぎ、限定された結果を頼りにするようになる。価格操作などを招く恐れがある。競争がゆがめられていると認識する能力も欠いてしまうかもしれない。

 アルゴリズム(問題を解く手順)を利用したビジネスが新たに生まれつつあるが、その市場が期待ほど競争的ではないという問題もある。競争を通じて消費者に利益をもたらしてきた、市場の「見えざる手」は、企業にコントロールされ、操作される恐れもある「デジタル化された手」に押しのけられつつある。

 例えば業界全体がアルゴリズムを使う価格設定に頼るようになれば、それが「暗黙の合意」を生み、競争を経て決まる水準より高い水準で価格を安定させる可能性がある。これは競争当局に難題を突き付ける。当局はアルゴリズム使用を市場操作や新たな談合形態として扱うべきなのか。市場の変化に対する企業の合理的で合法的な反応と違法行為はどう区別すべきか。法執行面からみても、判断するのは難しい。

 事後的な介入ではなく、プラットフォーマーの行動や利益が消費者の利益につながるような事前措置を検討する余地はありそうだ。データの保護や移動、プライバシーの確保、消費者の権利強化、情報開示の要件などを慎重に見直すことで、市場競争を促進できる可能性がある。

 M&A(合併・買収)の企業結合規則に関しては、プラットフォーマーがイノベーターを買収し、将来のイノベーションを担うはずだった「創造的破壊者」を排除する懸念がある。ドイツで6月に改正競争制限禁止法が発効したように、現在の届け出基準は満たさず、監視対象から外れるハイテク産業のM&Aも捉えられるよう、伝統的な売上高基準だけでなく株式価値に基づく基準の導入を検討する当局も増えている。

(聞き手はブリュッセル=森本学)

 Ariel Ezrachi 欧州連合(EU)競争法が専門。オックスフォード大の競争法政策センター所長を務める。近年はデジタル化時代の競争法の課題に研究の焦点を当てる。46歳
◇  ◇
■専門人材の活用拡大を 東大名誉教授 後藤晃氏

 大量のデータを保有する企業に対して、世界の競争当局が警戒感を高めている。背景にあるのは、プラットフォームを握るグーグル、アマゾンなどの企業が、一段と巨大になっているという事情だ。欧米を中心に当局が報告書を出したり、事件として取り上げたりする事例が増えてきた。

 「メインフレーム」と呼ばれた大型コンピューターがパソコンに取って代わられたように、かつては技術革新を通じて支配的な地位を得る企業は入れ替わってきた。だが、プラットフォーマーは成長を続けており、経済学者のシュンペーターが唱えた「創造的破壊」を新規参入企業が起こすのは難しくなっている。

 もうひとつの変化は、IoTにより収集可能なデータが飛躍的に増えていることだ。例えば米ゼネラル・エレクトリック(GE)は発電機から情報を集め、既存機器の保守や新製品開発に生かしている。ヘルスケアや自動車などでもデータが重要になる。

 基本的にデータの活用は消費者が使うサービスの質を高め、経済の発展につながるため、積極的に進めるべきだ。ただしプラットフォーマーがその力を使って反競争的な行為に走ったり、大企業が優越的な地位を乱用して下請け企業からIoTのデータを入手したりすれば問題となる。

 公正取引委員会が1月に設置した「データと競争政策に関する検討会」に座長として議論に加わった。このほど報告書をまとめたが、データが重要となった社会でも、基本的に従来の法体系で対応できるというのが結論だ。ただ環境の変化に対応して新たな取り組みも求められている。

 合併など企業結合における事前届け出の基準は、現在は売上高だ。制度上は基準に達しない企業を独占禁止法の規制の対象とすることは可能だが、それだけでは貴重なデータを持つ企業の合併が抜け落ちてしまう恐れがある。代わりの基準設定は容易ではないが、見直しは検討に値する。

 公取委は従来、独禁法審査で建設会社や素材メーカーなどを対象とすることが多かった。プラットフォーマーは利用者が増えるほど利便性が高まるというネットワーク効果が働き、固定費が大きく限界費用が小さいといった特徴がある。こうした特性を理解して経済分析を進め、従来の法律に当てはめることのできる人材の育成・確保が必要だ。

 欧米の競争当局では、超一流大学の博士号を持つ職員を多数抱える。「チーフエコノミスト」といった役職を置き、処遇できるのが強みだ。日本でも大学との人材交流が始まってはいるが、高度な知識を持つ専門人材の活用を一段と進める必要がある。

 競争政策と、プライバシーなどの消費者保護を担当する部門の連携強化も課題だ。米国の競争当局である米連邦取引委員会(FTC)は両方の部門を持っており、フェイスブックが対話アプリのワッツアップを買収する際は、消費者保護の観点から審査を進めた。日本では現在、それぞれの担当が公取委と消費者庁に分かれているが、両者が連携を深めることで効果を高めることができるはずだ。

  (聞き手は奥平和行)

 ごとう・あきら 73年一橋大院博士課程単位取得。一橋大教授や東大教授などを歴任した。専門はイノベーション政策。07〜12年には公正取引委員会委員も務めた。71歳
◇  ◇
■監視強化、創造に余地 米イェルプ副社長 ルーサー・ロウ氏

 欧州連合(EU)が6月、グーグルに対して独占禁止法違反で制裁金を科した決定は、20年前の米司法省によるマイクロソフト提訴に匹敵するインパクトがある。グーグルが欧州委に提出を命じられた是正措置は米国や日本、ブラジルなど他の地域の独禁当局を刺激し、「我々も」と動き始めるだろう。

 2004年から地域情報の口コミサイトを運営する当社とグーグルの関係は長く、複雑だ。我々は当初、ライセンス契約を結んでグーグルに口コミ情報を提供していたが、07年にグーグルが競合する口コミサービスを立ち上げたため、提供を打ち切った。

 自前の口コミサービスがうまくいかないとみると、グーグルは買収を提案してきたが、拒否した。すると我々のコンテンツを無断で使い始めたので、米連邦取引委員会(FTC)に「検索における支配的地位を乱用して、地域情報に特化した検索サイトをつぶそうとしている」と訴えた。

 FTCは11年に調査を始めたが、13年に「消費者の利益を損なうような事実はなかった」として打ち切った。背景に当時の米政権と蜜月関係にあったグーグルの政治力が働いたと報じられており、FTCの判断には失望した。

 主要先進国の独禁法体系が巨大なプラットフォーマーの台頭に対応できないとは思わない。ただし合理的選択理論を前提とした競争分析には問題がある。グーグルは「競争はクリック1つで起きる」と言う。消費者の選択は合理的かつ乗り換えコストがゼロなので、グーグルに満足しない人はマイクロソフトの検索サービス「Bing(ビング)」を使うはずという論法だ。

 実際にはグーグルのサービスは行動経済学に基づいて設計されている。膨大な回数のテストを重ね、他のサービスに乗り換えるという選択肢があることすら人々が忘れてしまうほど、デザインや使い勝手を徹底的に作り込む。乗り換えの「認知コスト」を高めているのだ。グーグルの検索結果に納得できない人は、探している情報がないと諦めるか、欲しい情報が見つかるまで検索キーワードを変え続けるケースが多く、Bingのサイトを開く人は少ない。

 一部には「グーグルを分割しろ」という声がある。選択肢の一つではあるが現実的ではない。むしろ、当局が支配的なプレーヤーをしっかりと監視し、支配力を乱用させないようにすることが重要だ。

 マイクロソフトの例をみればいい。米司法省に訴えられたことで、彼らは支配力を乱用できなくなった。その結果、1998年から01年にかけてネット産業は爆発的に成長した。グーグルの創業も98年。もし独禁訴訟がなければ、マイクロソフトは生まれたばかりのグーグルを押しつぶしていただろう。

 独禁法の積極的な運用は、スタートアップ企業に機会を提供し、イノベーションを活性化する。グーグルは手を広げすぎた。今後、どんな手を打ってくるかはわからないが、これ以上、競争を排除しないことを望んでいる。

(聞き手はシリコンバレー=小川義也)

 Luther Lowe 口コミによる地域情報サイトを運営する米イェルプの政策担当副社長。2008年に入社し、11年から規制当局などとの対応の責任者を務めている。35歳
◇  ◇
〈アンカー〉利用者の視点で多面的に議論を

 プラットフォーマーたちの規模は膨張する一方だ。フェイスブックの月間利用者が6月末に20億人を突破。グーグルもネット検索など利用者が10億人を上回るサービスを複数抱える。各社は仮想現実感(VR)やAIを活用したスピーカーなどにも事業領域を拡大し、収集可能な情報はさらに増える。

 世界の競争当局はこうした現実に厳しい視線を向ける。一方で、各社が世界中から優秀な人材を集め、投資家を味方につけ、リスクを恐れず新事業を切り開いてきた経緯にも目を向ける必要がある。

 必要なのは規模だけを理由にいたずらに出る杭(くい)を打つことではなく、プライバシー保護などの方策を多面的に議論し、監視を継続することだろう。特にプライバシーの問題は、利用者がどう考えるかが重要になる。

 (編集委員 奥平和行)

[日経新聞7月25日朝刊P.6]


 

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