★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK177 > 316.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
視点:TPPに勝る日本経済の「活力源」なし=加藤隆俊氏 成長戦略「骨抜き」を防ぐボトムライン設定のすすめ=熊谷亮丸氏
http://www.asyura2.com/14/senkyo177/msg/316.html
投稿者 eco 日時 2014 年 12 月 31 日 17:11:43: .WIEmPirTezGQ
 

(回答先: 視点:格差是正へ所得税改革が急務=土居丈朗氏 景気楽観論は禁物、アベノミクス再起動を=若田部昌澄氏 投稿者 eco 日時 2014 年 12 月 30 日 17:39:03)

視点:TPPに勝る日本経済の「活力源」なし=加藤隆俊氏
2014年 12月 31日 14:22 JST
加藤隆俊 国際金融情報センター理事長/元財務官

[東京 31日] - 足元で景気底入れの兆しがみえるとはいえ、2015年も米金融政策転換に伴う新興国経済混乱の可能性が懸念され、日本経済の先行きを過度に楽観することは禁物だと国際金融情報センターの加藤隆俊理事長(元財務官)は指摘する。

そのうえで、喫緊の課題として、潜在成長率の底上げを目指した成長戦略実行、岩盤規制を崩すテコとなり得る環太平洋連携協定(TPP)実現の重要性を説く。

同氏の見解は以下の通り。

<いまだ脆弱な日本経済の成長基盤>

先進国の中では稀有な存在だった安定政権が2年を経てなお、総選挙によって国民の信任を得た。日本にとって、中長期に必要な政策を実行できる政治的基盤が整ったという意味では良かったと言えるのではないだろうか。

それにしても、安倍首相には運も友となっている。2012年12月の政権発足時は、循環的に景気の谷に位置していた。また、足元では原油安の強い追い風が吹いている。4月の消費増税後、国内総生産(GDP)成長率は2四半期連続でマイナス成長に陥ったが、2015年は次第に回復基調を確認していくと期待される。

実際、秋口以降の経済指標には、底入れの兆しがみえる。例えば、財務省の11月貿易統計速報(通関ベース)では、輸出額は3カ月連続で増加を示した。12月の日銀短観でみた企業の設備投資計画も上方修正されている。10%への消費増税先送りも当面、消費者心理にはプラスとして働こう。こうしたなかで、実質的な減税に等しい原油価格の下落が続くことは明らかに日本経済にプラスだ。

ただ、忘れてはならないのは消費増税の影響が予想以上に大きく、長期化したことである。これは、日本経済の成長基盤が思っていたほど底堅いものではないことを示している。さらには需要面からの景気刺激策の有効性は、労働力や資材不足など供給面のネックのため、大きく削がれることがこのところ強く意識されてきている。2015年は、特に生産労働力人口の下落への対応を軸とした供給面でのファンダメンタルズ強化を目指した諸政策の早期実行を期待したい。

<米金融政策転換の波及効果に要注意>

一方、海外に目を移すと、2015年は日本経済の回復シナリオを狂わすリスク要因に細心の注意が必要だ。ロシア情勢や中東情勢など地政学リスクはもちろんのこと、特に警戒すべきは米連邦準備理事会(FRB)の金融政策転換に伴う新興国経済の混乱リスクだ。

一部で懸念される米国景気の腰折れや中国経済のハードランディングの可能性については、筆者はさほど心配していないが、東南アジア諸国連合(ASEAN)、あるいはブラジル、メキシコなどの主要新興国から巨額の資金流出が起きて、それらの国々の成長率が目にみえて下がるようなことがあれば、日本の景気を冷え込ませる可能性を十分意識しておく必要がある。

目先で市場の心配は「逆オイルショック」に伴うロシア、イラン、ナイジェリアなどの資源国の経済的混乱にあるようだが、2015年を見通してやはり不安なのは、年央にも始まると予想される米利上げ局面への金融政策転換のスピルオーバー(波及効果)問題だ。例えば1994年と2004年の米利上げ開始前後では先進国でも株価が下げたほか、94年にはメキシコ危機を招くなど新興国経済にも深刻な混乱が広がった。

しかも、今局面は金融緩和の規模がケタ違いだっただけに、スピルオーバーも増幅される恐れがある。2013年5月にバーナンキFRB議長(当時)が量的緩和の段階的縮小(テーパリング)開始の可能性に少し触れただけで、新興国経済にあれほど大きな混乱を招いたのだから、実際に利上げに向かうプロセスで、いかなる動揺の連鎖が起こるかは読みにくい。

加えて、ロシア及びウクライナ情勢が深刻化して、とりわけドイツ経済に飛び火するようなことがあれば、欧州発で国際金融市場全体に再び緊張が走らないとも限らない。その場合、リスクオフの巻き戻しで、一時的に円高方向への修正が入る可能性もあろう。

<岩盤規制の緩和につながるTPPの重要性>

このように2015年の経済情勢は海外要因の不透明性ゆえに非常に見通しにくい。しかし、活況を呈する米国経済、原油価格の大幅な下落といった材料もあり、これまでのように経済の先行きに対するリスクが下方に偏っている、ということでもない。それだけに、安倍政権に対しては、足元の景気動向に注意を払いつつも、目下ゼロ%台といわれる潜在成長率の底上げに向けた施策が着実に実行されていくことを期待したい。特に環太平洋連携協定(TPP)の交渉締結は急務であると考える。

良し悪しは別として、日本は外圧をテコにして痛みを伴う変化を受け入れるところがある。戦略特区を使って岩盤規制を崩すという考え方もあろうが、特区で実施した規制緩和メニューを全国で展開するまでには、もの凄いエネルギーと時間が必要だ。

地域活性化のために特区戦略は大いに進めるべきだと筆者も考えているが、日本経済の成長を促す活力源としてはTPPに勝るものはない。しかも、中韓の自由貿易協定(FTA)が進み始めている現状に鑑みると、一刻の猶予もないように思える。このまま手をこまぬいていれば、競争上不利になりかねない。

むろん、TPPは相手国がある問題であり、特に上下両院を共和党に支配されているオバマ政権の実行力を問う声があるのは承知している。ただ、別の角度からみれば、約2年の任期を残すばかりとなったオバマ大統領も歴史的評価を気にする段階に入っているはずだ。

前回の民主党政権を率いたクリントン大統領の大きな業績の一つは、北米自由貿易協定(NAFTA)だった。その意味で、TPP実現はオバマ大統領にとって教科書に刻まれるレガシー(遺産)となり得る。安倍政権が2015年中にTPP妥結への道筋をつけるチャンスを活かす機会は十分あるはずだ。

*加藤隆俊氏は、元財務官(1995─97年)。米プリンストン大学客員教授などを経て、2004─09年国際通貨基金(IMF)副専務理事。10年から公益財団法人国際金融情報センター理事長。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0K70R420141231

視点:成長戦略「骨抜き」を防ぐボトムライン設定のすすめ=熊谷亮丸氏
2014年 12月 31日 14:28 JST
熊谷亮丸 大和総研 執行役員チーフエコノミスト

[東京 31日] - 今後、成長戦略を進めていくにあたり大事なことは「この一線を越えたら、骨抜きになる」という境界線(ボトムライン)を明確化し、その一線を断固として守り抜くことだと大和総研の熊谷亮丸・執行役員チーフエコノミストは指摘する。

同氏の見解は以下の通り。

<国民の痛みを伴う構造改革断行を>

アベノミクスの基本的な方向性は正しい。日本経済は着実に改善しており、デフレ脱却に向かっている。今後はアベノミクスの一定の成果を認めた上で、足らざる部分を補強していく建設的な議論が必要だ。

現時点では、アベノミクスの3本の矢の中で、「第1の矢(金融政策)」に過度な負担が集中しており、「国民の痛みを伴う構造改革」は遅れている。今後は「ポピュリズム」的な風潮に流されることなく、国民にとって耳の痛い構造改革を断行することが最大の課題となる。

第1に、社会保障制度の抜本的な改革や消費税増税などを通じて財政規律を維持する必要がある。

現状、日本は政府の財政赤字を国債の発行で穴埋めし、発行される国債の太宗を日銀が購入することで何とか国債市場の安定を保っている。しかし、日銀の量的・質的金融緩和が諸外国から「マネタイゼーション(政府の債務を中央銀行が肩代わりすること)」だと受け止められてしまうと、債券だけでなく円や株も売られる「トリプル安」の状況になりかねない。

第2に、農業、医療・介護、労働といった分野における、いわゆる「岩盤規制」を緩和するなど、「第3の矢(成長戦略)」を強化することが不可欠である。

2014年6月に閣議決定された、新成長戦略のメニューを見ると、従来「タブー」とさえ考えられてきた問題が意欲的に取り上げられている。

しかし、改革の中身に関する議論は遅々として進んでいない。「悪魔は細部に宿る」という言葉があるが、改革を骨抜きにしないことが肝要である。

最大のポイントは、全てのメニューについて、「この一線を越えたら、骨抜きになる(改革の名には値しない)」という境界線(ボトムライン)を明確化し、この一線を断固として守り抜くことだ。

例えば、農協の組織改革における最大の論点は「上部団体である全国農業協同組合中央会(JA全中)を衣替えする新たな組織に対して、地域農協への指導権と監査権を引き続き与えるか否か」である。もし新組織に指導権と監査権を与え続けるのであれば、それは「看板の掛け替え」に過ぎない。

国民にとって耳の痛い構造改革を正面から断行することができるか否か――。衆院選で大勝した今こそ、安倍政権の真価が問われている。

*熊谷亮丸氏は、大和総研の執行役員・チーフエコノミスト。日本興業銀行(現みずほFG)、興銀証券(現みずほ証券)、メリルリンチ日本証券を経て、2007年に大和総研入社。東京大学法学部卒業、東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了。近著に「パッシング・チャイナ 日本と南アジアが直接つながる時代」(講談社)。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0K70P820141231
 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法

▲上へ      ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK177掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
政治・選挙・NHK177掲示板  
次へ