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「中年フリーターが増えると日本は危ない」は本当か(ITmedia ビジネス)
http://www.asyura2.com/15/hasan103/msg/822.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 12 月 26 日 18:10:25: igsppGRN/E9PQ
 

「中年フリーターが増えると日本は危ない」は本当か (1/5)
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1512/15/news040.html
2015年12月15日 08時00分 ITmedia ビジネスオンライン


メディアが「中年フリーター」が増えていることに警鐘を鳴らしている。2000年代に入ってから増え始め、2015年には273万人に達しているそうだ。しかし、筆者の窪田氏は「中年フリーター」という言葉から、スピンコントロールの要素を強く感じるという。その理由は……。
[窪田順生,ITmedia]


 最近、メディアが「中年フリーター」が増えているということにこぞって警鐘を鳴らしている。


 総務省の「労働力調査」を基に三菱UFJリサーチ&コンサルティングの尾畠未輝研究員が試算したところによると、35〜54歳の非正規労働者(女性は既婚者を除く)が2000年から増加しており、直近では273万人。この層が高齢化していくと「下流老人」も雪だるま式に増えるので、社会全体にさまざまな悪影響を及ぼすというのだ。


 火つけ役は『週刊東洋経済』。10月に発売した「絶望の非正規」という特集のなかで、「中年フリーター」の「残酷な現実」を紹介し、「中年フリーター273万人が生活保護予備軍として存在している」としてネットなどでも大きな話題となった。


 12月3日には天下のNHKも『おはよう日本』で、「急増する中年フリーター」という特集を放映。「彼らが高齢化する近い将来、社会的な負担が増えることも懸念されています」として、「社会保障などにかかる費用が14兆円に上るという試算もあり、より本格的な対策が求められている」とした。


 いずれも立派なジャーナリストのみなさんが取材をして、社会のためにと発信をされたことなので「そうなんだ」と素直に受け取る一方で、「中年フリーター」というキャッチーな言葉によって、図らずもスピンコントロール(情報操作)となってしまっていることが気にかかる。



35〜54歳の非正規労働者が273万人もいるというが……(写真はイメージです)


■「中年フリーター」に厳しい視線


 一口に「35〜54歳の非正規労働者」といってもさまざまな事情がある。親の介護で正社員から非正規になった方、夢を追い続けてフリーターを続けている方、正社員として心身を削りながら働いていたがどこかでプツンと糸が切れてしまった方、そして正社員雇用を目指して働き続けてきたが、その希望がかなわないまま十数年が経過してしまった方、もちろん専門性を有していることでフリーになった方もいる。


 元ネタの尾畠研究員のレポートでは、こういう細かいところまで言及をされているわけだが、報道になると、どうしても個々の事情のある人々をザクッと「中年フリーター」という網にかけている。


 こういう響きがリフレインされて「問題」とされると、「中年の非正規労働者」にネガティブイメージがつく恐れがある。つまり、報道している側にはその気がなくとも、結果として「印象操作」になってしまうのだ。


 実際、すでにネットでは一部の方たちが、「好き勝手生きてきたツケだろ」とか「選り好みをしなければ仕事などいくらでもある」などと「中年フリーター」の批判をしている。今後どこかのタイミングで社会保障費の減額を迫られるような際、「中年フリーター」と呼ばれる人々が「戦犯」と後ろ指をさされる時代がくるかもしれない。


 そんな大げさなと思うかもしれないが、実は以前から社会保障を語る文脈では、「フリーター=頭痛のタネ」という扱いになっている。例えば、2001年10月16日の読売新聞では「フリーター急増で社会保障ピンチ?」という記事のなかで、この国の社会保障制度が「正社員を前提につくられている」という有識者のコメントとともに、フリーターの増加が国の制度設計に狂いを生じさせるとしている。


 この15年で「自由な働き方」だとか「ダイバーシティ・マネジメント」だとか耳障りのいいオシャレな言葉が現われたが、「フリーター」には常に「社会保障のお荷物」という負のイメージがついてまわっている。つまり、国家にとって今も昔も「フリーター」という人々は、「対策」すべき問題を抱えた人というわけだ。このようなイメージにひきずられた世論が、「中年フリーター」と呼ばれる人たちに厳しい視線を浴びせることは容易に想像できる。



「中年フリーター」批判する声も多いが……(写真はイメージです)


■「正社員を目指す35〜54歳」の受け皿になる分野


 なんてことを言うと、「言葉を着飾ったところで、35〜54歳の非正規労働者が273万人いて、財政の負担なるという事実は変わらない」という反論があるかもしれないが、一概にそうとも言い切れない。少し視点を変えただけで異なる未来が見えてくることだってあるのだ。


 例えば、「中年フリーター」を「正社員を目指す35〜54歳」と言い換えれば、「フリーターの就労支援に力を入れます」というような焼け石に水的な対策ではなく、政府として本当に力を注ぐべきポイントが見えてくる。


 報道によると、「中年フリーター」の多くは社会に出た時に正社員採用されなかったということでスタートからつまずき、非正規雇用が続いているという。総務省調査でも、男性が非正規になった理由で一番多いのが「正規の職員・従業員の仕事がない」ということだ。


 ということは、「正社員を目指す35〜54歳」が目指すべき分野がおのずと見えてくる。まず、正社員になれないと意味がないので、正社員比率を上げていこうという業界でなくてはならない。新卒からコツコツと習得する専門技術が求められる仕事ではないこと、さらに派遣労働者の依存が少ない業界ということも重要だ。派遣を労働力の「調整」に用いているような業界では正社員登用のハードルはかなり高いからだ。


 そんな都合のいい仕事はないだろと思うかもしれないが、ちゃんと存在している。「宿泊業・飲食サービス業」だ。


 想像がつくだろうが、この分野は圧倒的に正社員の比率が低い。平成24年(2012年)の経済センサス・活動調査結果を見ると、すべての産業分類のなかで「正社員・正職員」の比率が最も低いのがこの分野である(21.6%)。



「正社員・正職員」の比率が最も低いのは「宿泊業・飲食サービス業」(出典:総務省)


 いや、2割の正社員が非正規をこきつかっているんじゃないのと思うかもしれないが、つい最近も話題になった「ワタミ」問題以降の風潮もあって、非正規労働者の正社員化の動きが急ピッチで進んでいる。今回の「中年フリーター」報道のベースにもなった厚労省の「平成26年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況」でも、それは顕著に現われている。


 正社員以外の労働者比率について今後どうなるかという問いに対して、61%の事業者が「ほぼ変わらない」と回答。ほぼすべての分野で「低下する」という割合が一桁のなかで、「宿泊業、飲食サービス業」だけが14.6%と頭ひとつ飛び抜けているのだ。


■「宿泊業、飲食サービス業」は成長の余地あり


 冷静に考えてみればこの結果は当然だ。他分野では多くの「中年正社員」「老年正社員」が会社にガッツリしがみついているので、安定を脅かす「非正規の正社員化」に抵抗があるが、「宿泊業・飲食サービス業」では学生時代からのバイトが正社員になるという流れも珍しくない。さらに言えば、派遣労働者の少なさも影響している。平成21年(2009年)の経済センサス・活動調査によると、事業従事者数に占める派遣労働者の割合は「ブラック企業」の代表格といわれる「情報通信業」が8.7%、「金融業、保険業」が7.3%であるのに対して、「宿泊業、飲食サービス業」は1%にとどまっている。


 これにさらに追い風となるのが「インバウンド」だ。帝国データバンクがこの夏に調査をしたところによると、非正社員についての人手不足を感じている業種は「飲食店」(71.8%)がダントツ。訪日外国人増加の影響で今年初めと比較して16.7ポイントも増加している。もちろん、「旅館・ホテル」も5位(48.2%)と労働力としての非正社員を求める声が多い。


 つまり、「正社員を目指す35〜54歳」にとって「宿泊業、飲食サービス業」というのは他の産業と比較すれば、まず雇ってもらうハードルが低く、その後に正社員登用される可能性も高い分野ということが言えるのだ。


 こういう状況を踏まえると、国がやらなければいけないことがおのずと見えてくる。それは国として「宿泊業、飲食サービス業」をかつて製造業のように「基幹産業」として盛り上げていくことだろう。


 みずほ総研の「わが国のサービス産業の現状と問題点」(2013年1月)に『日本のサービス産業は生産性の「水準」でみても、「伸び率」でみても欧米各国に比べて見劣りするレべル』と明記されているように、「宿泊業、飲食サービス業」は、まだまだ成長の余地がある新興市場であることは明白だ。


 加えて、これらの分野が「観光業」でもあることを忘れてはいけない。


 訪日外国人観光客が2000万人を突破し、3000万人を目指そうという日本では、特に観光業の人手不足解消が急務である。国連世界観光機関(UNWTO)の2014年データによると、世界では11人に1人が観光業に関わっている。これを日本にあてはめれば、少なくとも1145万人は観光業に携わっていなければいけない。


 が、現状はどうかというと、波及効果も含めても雇用は399万人(日本旅行業協会編・数字が語る旅行業2014)ぽっちしかいない。「宿泊業、飲食サービス業」でも555万人(総務省統計局サービス産業同行調査ニュース・平成27年9月発行)たらずであり、世界平均の観光サービスを提供するには圧倒的な「人手不足」と言わざるを得ない。


■「危機」を煽るだけのメディア


 こういう現実を踏まえると、「正社員を目指す35〜54歳」というのは「社会保障費を食いつぶす人々」ではなく、「貴重な即戦力」に見えてこないか。


 労働人口が急速に減少している一方で、訪日観光客が右肩上がりの日本で、「宿泊業、飲食サービス業」の「人手不足」はいずれ深刻な問題となる。語学対応ができる外国人留学生のアルバイトや、外国人労働者に頼ればいいと思うかもしれないが、「移民」を認めぬ日本では限界があるし、他国の観光業でも必ずしも語学が堪能な人だけが働いているわけではない。「おもてなし」という観点からも、やはり日本の従事者が増えていかなければいけない。


 以上のことを踏まえると、非正規ながら労働者としてキャリアを積んできた「中年フリーター」は、これからの日本の観光業には必要不可欠な存在だという結論が導き出されるのだ。


 ―――なんてことを言ってみたものの、お気付きのようにこれだって数字を使った「印象操作」に過ぎない。なぜこんな話をしたのかというと、「35〜54歳の非正規労働者が273万人」という同じ事実でも、ちょっと視点を変えるだけで「生活保護予備軍」にも見えるし、「貴重な労働力」にも見えるということを申し上げたかったのだ。


 個人的には、そろそろ「中年フリーター」をポジティブにとらえるような報道を見てみたい。現実逃避をしたいというわけではなく、これだけいろんなメディアがあるのだからいろいろな「視点」があることを知りたいからだ。


 非正規雇用が増えて「ヤバイよ、ヤバイよ」というのは正直、耳タコだし、過去の例からも、この手の恐怖訴求型の報道が必ずしも建設的な議論へ結びつかないという問題もある。


 「危機」を煽(あお)るだけがメディアの役割ではない。


窪田順生氏のプロフィール:
 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで100件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
 著書は日本の政治や企業の広報戦略をテーマにした『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
 

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コメント
 
1. 2015年12月26日 23:52:29 : v1gbxz7HNs : Ay@h0DQyQEc[146]
日本は、日本国民の物である。為政者はもちろん企業や官僚のものではない。
奴等の利益にそぐうことと日本国の利益はイコールでは繋がらないのである。

2. 2015年12月27日 00:25:09 : iIggi96ZJk : ng9AP4NjEBA[6]
>実際、すでにネットでは一部の方たちが、「好き勝手生きてきたツケだろ」とか「選り好みをしなければ仕事などいくらでもある」などと「中年フリーター」の批判をしている。

いるいるこういうやつ。

中高年のリストラの影響もあるのでは?


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