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30ドル割れ!原油市場の悪材料は出尽くしたのか 原油バブル崩壊の後遺症を甘く見てはならない(JBpress)
http://www.asyura2.com/15/hasan104/msg/679.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 1 月 22 日 09:02:25: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

欧米諸国による対イラン経済制裁が16日、解除された。ウィーンの国際原子力機関(IAEA)本部で共同記者会見に臨む、イランのモハマドジャバド・ザリフ外相(右)と欧州連合(EU)のフェデリカ・モゲリーニ外交安全保障上級代表(2016年1月16日撮影)。(c)AFP/JOE KLAMAR〔AFPBB News〕


30ドル割れ!原油市場の悪材料は出尽くしたのか 原油バブル崩壊の後遺症を甘く見てはならない
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45829
2016.01.22 藤 和彦 JBpress


 1月18日の取引で米WTI原油先物価格は1バレル=28.36ドル、北海ブレント先物価格は同27.67ドルと、ともに2003年以来の安値を更新した(20日のWTI原油先物価格の終値は同26.55ドルとなった)。経済制裁の解除を受けたイランの増産により供給過剰が一段と進むとの懸念からである。

 イランは制裁前、日量約400万バレルの原油生産量を誇っていたが、現在は同290万バレル程度に落ち込んでいる。イランのジャバデイ石油次官は価格破壊を招く恐れがあることを承知の上で日量50万バレルの原油増産を指示したことを明らかにした。増産しなければ、近隣諸国が生産を拡大するとの懸念のほうが強かったようだ。

 イランは半年で生産量を制裁前の水準まで引き上げ、輸出量を2倍にする(現在は同約200万バレル)と意気込んでいる。ザンギャネ石油相は、制裁解除後から数週間以内に同50万バレル、半年以内にさらに同50万バレル増産するとしていた。

 だが、遊休状態となっていた油田の生産再開が困難な状況に陥っているため、増産のペースに対しては懐疑的な見方が出ている(1月14日付ブルームバーグ)。制裁解除後の1カ月後に日量10万バレル、半年以内に40万バレルの増加というところだろうというのが現実的な見方である。

 増産ペースは遅れるかもしれないが、イランが制裁解除によって利用可能となる自己資金は500〜1000億ドルと推定されている。2月末の国会議員選挙を控えるロウハニ政権にとっては選挙戦を有利に展開する材料になるだろう。

■サウジは「原油相場は上昇する」と相変わらず楽観的

 対イラン制裁解除のとばっちりを受けたのが他の湾岸産油国である。1月18日の湾岸産油国の株式市場はサウジアラビアで6.5%下落したのを筆頭に、軒並み大幅下落した。

 OPECの2015年12月の原油生産量は、日量3218万バレル(前月比0.7%減)と高水準が続いている(サウジアラビアはわずかに減り、同1008万バレル)。イランが増産態勢に入り、他国が減産しなければ、OPECの生産量は一段と拡大する可能性がある。

 それに対して、オマーンの石油・ガス相は1月18日、「原油価格を押し上げるために同国は5〜10%の減産を行う用意がある。他の産油国も足並みを揃えて実施すべきだ」と訴えた。日量生産量約100万バレルの小国の悲痛な叫びだった。

 しかしOPECの実質的な盟主であるサウジアラビアは、相変わらず原油相場は上昇するとの楽観的な見方を崩していないようだ。

 サウジアラビアの予測の根拠は、1月18日に公表されたOPECの月次報告に示されている。それによれば、「2016年の非OPEC加盟国の供給量が従来の見込みよりも大きく減少し、原油市場は再均衡に向かい出す」という。

 非OPEC加盟国の減少幅が日量38万から66万バレルに拡大(そのうちシェールオイルは同38万バレル減少)したとしても、イランの増産で、その減少分は帳消しになってしまう。だが、2015年に日量154万バレル増加した世界全体の原油需要が、2016年も同126万バレル増と引き続き堅調に推移するから大丈夫だ、というわけだ。「原油安による需要増が原油市場の再均衡をもたらす」というサウジアラビアの主張が色濃く反映された形となっている。

■「悪材料は出尽くした」という見方

 イランへの制裁解除で原油価格は1バレル=20ドル台となったが、「原油市場はそろそろ悪材料が出尽くしたのではないか」との声も出始めている。

 その代表格は米ゴールドマン・サックスだ。ゴールドマン・サックスと言えばリーマン・ショック前に「1バレル=200ドル」という強気予想で鳴らしていたが、2015年秋に姿勢を一転させ「1バレル=20ドルの時代が到来する」との大胆な予想を披露していた。当時多くの関係者は半信半疑だったが、今は現実味を増している。

 そのゴールドマン・サックスが1月15日、「原油価格急落で生産が落ち込み世界的な供給過剰状態が解消されれば、2016年の内に原油市場は新たな強気相場に向かう」という新しい見方を示した。

 価格急落を受けて米国のシェールオイルの生産が今年後半に日量57.5万バレル減少すれば、世界の原油市場は供給過剰から供給不足に転じるというのがその理由である。

 一方、1月12日に米エネルギー省は、「世界的な原油の供給過剰は2017年第3四半期あたりまで継続するだろう」との予測を示している。シェール企業の生産量の減少幅がOPECの予測よりも小さいと見ている点が特徴的である。ゴールドマン・サックスは、シェールオイルの減産について米エネルギー省よりもOPECの見方に軍配を上げた格好だ。

■原油輸入以上に「石油製品」を輸出する中国

 悪材料は供給サイドにあるという点で、OPEC、米エネルギー省、ゴールドマン・サックスの見解は一致している。だが、意外な伏兵が隠れているのではないだろうか。それは中国である。2015年12月18日付ロイターは「中国の石油製品輸出の急増が原油相場にネガテイブな影響を与え始めている」ことを伝えている。

 中国は、経済の減速が鮮明になった2015年下期から「石油製品」の輸出を急増させている。中国の2015年の原油輸入量は前年比8.8%増の3億3400万トン(日量約670万バレル)となり前年に引き続き堅調な伸びを示したが、石油製品輸出量は前年比21.8%増の約3615万トン(日量約79万バレル)となり、原油輸入量の伸びを上回った。

 原油輸入が増加しても、それが中国国内で精製され燃料として輸出されれば、中国の原油の最終需要とはカウントできない。そればかりか、世界の石油製品市場の需給バランスを悪化させることになる。当然、原油市場にも悪影響を与える。

 石油製品の輸出は12月には日量約111万バレルを超えており、2016年以降も増加傾向が続く可能性が高い。中国の原油処理能力が既に供給過剰状態にあるからだ。

 2014年12月時点の中国の原油処理能力は約754万バレルと、米国(約1802万バレル)に次いで世界2位である(日本は約447万バレル)。2015年以降も中国では大型製油所の増産が相次いだため、国内の供給過剰状態が深刻化した。需給バランスを図るために中国政府は石油製品の輸出を認め、輸出枠は拡大を続けている。

 石油製品輸出や戦略備蓄等に回った分を差し引くと、2015年の原油輸入量は日量約13万バレルに過ぎない。中国の原油輸入量の堅調な伸びは見かけほど強くないことが分かる。

■人民元に迫る危機

 石油製品の輸出分を差し引かなくても、中国の原油輸入量自体が今後マイナスに転じる可能性も高まっている。

 1月19日に発表された中国の2015年通年のGDP成長率は前年比6.9%増と、25年ぶりの低水準になり、発電量も47年ぶりの減少となった。経済のテコ入れに向けて追加刺激策が必要となる可能性が示唆されたが、28兆ドルの規模まで急膨張した信用バブルが中国政府の手足を縛っている(1月18日付ブルームバーグ)。

 1月7日付ロイターは、中国株が世界市場の異変を伝える「炭鉱のカナリア」になりつつあると報じていた。

 1月14日付の中国メデイアによれば、「今年最大の市場リスクは株ではなく為替だ」と噂が広がっており、手持ちの元を米ドルに替える中国市民も急増しているという。市場関係者の間では、現在、管理変動相場制を開始する直前の1ドル=6.83元が「危機レート」と認識され始めているが、ゴールドマン・サックスは1月8日「2016年末までに1ドル=7元にまで下落する可能性がある」との予測を示した。

 中国の外貨準備は2015年に5130億ドル減少して約3.3兆ドルとなったが、依然として巨額である。しかし、「中国の外貨準備のうち約2.8兆ドルが既に何らかの支払いのために充当されている可能性があり、安心していられるのは3兆ドル前後までだ(1月8日付ブルームバーグ)」という厳しい見方が表れている。中国政府が人民元を買い支えることができなくなれば、中国から史上最大規模の資本流出が起きるだろう。

 1月8日、英RBSは「現在の株式市場は2008年のリーマン・ショックを彷彿させる。今回のショックは中国から生じる」と警告した。中国の金融関係者の間からも同様の発言が相次いでいることが気にかかる。

 不良債権が急増している中国の金融機関は満身創痍の状態にある。一方で、習近平指導部は、金融機関をさらに苦境に追い込む「供給側の構造改革」に大きく舵を切ろうとしている。中国は、バブル崩壊の後遺症を長引かせた日本の失敗を繰りかえそうとしているようだ。

■米国利上げがもたらす悪影響

 悪材料は「中国」だけではない。2015年12月に実施された「米FRBの利上げ」も原油市場に深刻な悪影響をもたらしつつある。

 そもそもリーマン・ショック後の原油価格高騰は、米FRBが2009年に量的緩和政策を実施し、米国の金利が低下したため原油先物という金融商品の魅力が高まり、巨額の投資資金が原油先物市場に流入したことが主要因の1つである。

 ニューヨークの原油先物市場の規模は株式市場の半分にまで急拡大し、FRBが量的緩和政策を停止した後も、投資家は株式・債券などの伝統的金融資産の下落リスクを分散させる効果があるとして原油先物を購入し続けてきた。

 だが、FRBの2015年12月の利上げで、原油先物は一気に魅力を失ってしまった。FRBの利上げにより、投資家は米ドルを保有していればある程度の利息を得ることができるようになった。そのため、金利が付かない原油先物を保有するインセンテイブがなくなってしまったのである。湾岸産油国の政府系ファンドも原油先物を売却している可能性が高いが、政府系ファンドの運用成績を上げる懸命の努力が肝心要の原油価格の下落を招いているとしたら、これほどの皮肉はないだろう。

 英スタンチャードチャタード銀行は、原油先物市場に流入していたマネーが猛烈な勢いで逆回転を始めたことを踏まえ、「原油価格が1バレル=10ドルまで下落する」と大胆な予測を行った。

■シェール企業の大量倒産で何が起きるのか

 中国株が問題視される以前から「炭鉱のカナリア」であったジャンク債市場もますます危なくなっている。

 先述したように世界の原油市場の需給バランスの鍵を握るシェール企業はジャンク債市場の命運も握っているが、原油価格が同40ドル台を割った2015年下期から破綻が相次いでおり、ウオール街は損失引当金を積み増している(1月14日付ブルームバーグ)。

 米バンク・オブ・アメリカ(BOA)の昨年第4四半期決算は増益だったにもかかわらず、213億ドルの融資残高の2%に過ぎないエネルギー関連融資に対する引当金が少ないことが問題視されて株価が下落した。

 シェール企業の最大手である米チェサピーク・エナジーの株価も、「原油安で同社の債務返済能力に支障が生じるとの懸念が広がった(1月20日付ブルームバーグ)」ため、15年ぶりの安値を付けた。

 金融機関の与信枠の見直しは通常4月に行われる。しかし、FRBの利上げで正常化が進む米金融市場にあって、売上高債務比率が6倍に達しているシェール企業の多くは4月の期限を待たずに資金繰りに窮することになるのではないだろうか。

 シェール企業の大量倒産が起きれば、サブプライムローンの残高(約1.4兆ドル)を超えるジャンク債市場(約1.7兆ドル)の崩壊が及ぼす世界金融市場への悪影響は避けられない。原油価格下落のダメ押し圧力になることは確実だろう。

 このように原油市場の悪材料が尽きるまでには、まだ「一山」も「二山」もある。巨大に膨らんだ原油バブル崩壊の後遺症を甘く見てはならないのである。
 

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コメント
 
1. 2016年1月22日 09:17:54 : Rcni4TfTpc : SrDSuzp23jo[108]
資源安は巨大メジャーと中東産油国、そしてロシアにはダメージになる。
また、インフレを助長したい安倍政権にとっても痛手になる。

しかし、本当に資源安は経済全体にとって悪い事なのだろうか。

次にくる流れは、資源安がもたらす経済効果だと思うけどね。
特に資源を持たない日本にとっては悪いことが思い浮かばないのだが。


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