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なぜあなたは、太る&寿命縮まるとわかっていても、甘いものや肉を食べ続けてしまうのか?(Business Journal)
http://www.asyura2.com/15/health17/msg/738.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 6 月 12 日 01:12:50: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

なぜあなたは、太る&寿命縮まるとわかっていても、甘いものや肉を食べ続けてしまうのか?
http://biz-journal.jp/2016/06/post_15454.html
2016.06.12 文=ルディー和子/マーケティング評論家、立命館大学客員教授 Business Journal


 食欲は本能的欲望だ。人間は食べなければ生きてはいけない。だから、脳は脳の所有者が食べ物を必死になって探すように、食べることで快感という報酬が得られるような仕組みにつくられている。食べると脳の報酬系が刺激され、ドーパミンという化学物質が放出され、快感を得る(詳しくは拙著『売り方は類人猿が知っている』<日本経済新聞出版社>参照)。

 1万年前に農耕生活が始まるまでの数百万年という気が遠くなるくらい長い間、人類とその祖先は飢餓と戦ってきた。人間の脳には、飢餓の時代のことが記憶として、あるいはDNAとして残っている。だから、高カロリー食品が大好物なのだ。飢餓の時代の先祖が、脂肪分とか糖分が多く含まれている高カロリー食品を発見したら、絶対に全部食べる。このチャンスを逃がしたら次にいつ食べられるかわからないため、とにかくありったけ詰め込む。それが生存率を高める方法だった。

 狩猟採集生活の祖先のなかで、脂肪としてエネルギーを効率的に蓄えられた人は、少ない食べ物でも生存率が高くなった。こういう「倹約遺伝子(Thrifty Gene)」を持っている人ほど生存率が高くなり、結果として、その遺伝子を持つ子孫の数も多くなる。

 しかし、かつては生存に適した遺伝子は、飽食の時代では邪魔になる。肥満や糖尿病になりやすく、生存のためにはかえって不利な条件となる。人種的にはアフリカ、東南アジア、ポリネシア出身の人たちはこういった倹約遺伝子を受け継いだ割合も高く、日本人もこの遺伝子を欧米人の2〜3倍も高く持っているといわれる。つまり、日本人は日本食を食べるべきなのだ。 

 世界肥満度ランキングで上位を占めるのは、ナウル、クック諸島、サモア、トンガといった太平洋諸島で、それを説明する理由として倹約遺伝子説が使われる。つまり、長い航海を耐え生存して島にたどり着いた人たちは、脂肪のかたちで十分なエネルギーを保存することができたのだ。そういった代謝システムを持った遺伝子を受け継いでいる子孫が、伝統的に島で取れる食物だけを食べていた頃はよかったが、西洋から伝わった肉や甘いものを口にするようになると肥満が寿命を縮めるようになった。

■なぜ太るとわかっていても食べるのか

 現代人が高カロリーな食品に抵抗できないことを説明する説はたくさんある。たとえば、日本語でも「別腹」という言葉があるように、欧米でも、どれだけ満腹でもデザートのためには「第二の胃」があるという言い方をする。甘いものに含まれる砂糖には、胃の反射神経を刺激して胃壁を拡張させる作用がある。そういった意味では、フルコースの食後に甘いものを口にすることは、胃の満腹感を和らげるので理にかなっている。問題は、つい食べ過ぎてしまうことだ。

 甘いもののなかでもチョコレートにはPEA(phenethylamine/フェネチルアミン)が多く含まれている。PEAは快楽感をもたらすドーパミンが脳内に放出されるのを促進する性質がある。そのため、1600年代には媚薬とみなされ、修道士などが口にするべきものではないと禁止されていた。

 報酬系を活性化してハイになる(快感を得る)覚せい剤や麻薬が依存症や中毒をもたらすように、甘いものも次第に食べる量が増え、食べないとイライラする症状をもたらす傾向がある。その結果、甘いものを食べれば太るとわかっているのにやめられなくなる。

 このように、飢餓の時代に必死になって食べ物を探す動機づけをするためにつくられた脳の仕組みは、今では健康を妨げるものになっている。

■本能的欲求としての食欲

 米国の心理学者アブラハム・マズローは、人間の欲求を5段階の階層に分け、生命維持のための食事・睡眠・排泄などの本能的・根源的な欲求を第1段階として、そういった欲求が満たされると次に安心で安全な環境を欲求する第2段階に移るとする理論を、1943年に発表している。

 マズローの「欲求5段階理論」は、ピラミッドの形で説明されることが多いので、ご存じの方も多いだろう。

(1)生理的欲求 (Physiological needs)
(2)安全の欲求 (Safety needs)
(3)社会的欲求/所属と愛の欲求 (Social needs/Love and belonging)
(4)承認(尊重)の欲求 (Esteem)
(5)自己実現の欲求 (Self-actualization) 

 前回記事『世界一セックスレスでも食欲尽きない日本人…イオン社長「食しか楽しみない」は間違い』において紹介したフランスとイタリアの合作映画『最後の晩餐』における4人の登場人物やローマ帝国の貴族たちは、4番目の承認の欲求、つまり地位、名声、注目などを獲得し、自分が属する社会集団で価値ある人物であると認められるところまで到達した者たちだといえるだろう。しかし、それでも食欲という本能的欲求の力には勝てなかった。

 4番目から5番目の「自己実現」に移行するという欲求がそれほどない人たちは、3と4の段階をある程度達成すると、次に何をしてよいのか、人生を生きることへの動機づけがなくなってしまうようだ。実際には、大半の人が5番目に到達できないといわれる。

 また、テロや戦争に対する恐怖、地球温暖化による自然災害や地震災害、資本主義経済への信頼度低下といった不安度の高い社会においては、2番目の安全・安心への欲求すらおぼつかない。将来への確固たる希望が持てない不安定な情勢のなかでは、内向きにならざるを得ない。家でおいしいものを食べること以外に、快楽を求める欲求度は低いのかもしれない。それが、先進国の肥満度の増大につながっていると考えることもできる。

 最近は、自動車、住居、洋服などを所有せずにシェアする「シェアリングエコノミー」が広まる傾向にある。化粧品のような消耗品ですらシェアする人が増えている。

 しかし、食品はどうだろうか。大きな袋詰めの菓子を数人でシェアすることはできるだろうが、ケーキやアイスクリーム、ステーキなどの食べ物は食べれば消えてしまうし、生鮮度の問題もあり、シェアしにくい。

 モノを所有しないシェアリングエコノミーの時代になっても、あるいはある程度の裕福度を達成しようとも、食べるものへの欲望は減少することがない。好きな食べものへの中毒とまではいかなくても、依存度は強い。

 人類の究極の快楽は食べること。そのため、自動車や洋服などが売れなくなっても、おいしい食べ物だけは必ず売れるのだ。

(文=ルディー和子/マーケティング評論家、立命館大学客員教授)
 

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