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中国主導のアジア投資銀に英参加 G7で初:豪首相、中国主導のインフラ銀「来週にも参加判断」:日米、英に不満広がる
http://www.asyura2.com/15/kokusai10/msg/266.html
投稿者 あっしら 日時 2015 年 3 月 16 日 05:21:51: Mo7ApAlflbQ6s
 


※ 参照投稿

「米中、日本抜きで握手:日韓は属国、中国は台頭著しい独立国だから当然:その自覚がないため危険で異様な国策が跋扈」
http://www.asyura2.com/15/senkyo181/msg/536.html

※ 参考記事

「中国主導のアジアインフラ銀「欧州勢も参加意向」 財政相が明言:日本が創設メンバーに加わる可能性もあると財政相」
http://www.asyura2.com/15/kokusai10/msg/234.html

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中国主導のアジア投資銀に英参加 G7で初[日経新聞]
2015/3/13付

 【北京=大越匡洋】英国財務省は12日、中国主導で今年末に発足するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加する方針を発表した。主要7カ国(G7)で参加するのは英国が初めてだ。国際金融機関として信認が高まり、カナダやオーストラリア、韓国なども追随する可能性がある。AIIBの構想に距離を置いてきた米国や日本の対応が今後の焦点となる。

 これまでにAIIBには東南アジアなど27カ国が参加を表明していた。最終的に1千億ドルとしている資本金の大半を中国が負担し、初代総裁のポストも中国が握る見通しだ。

 すでに英国は日米などG7各国にも参加の意向を伝えたもようだ。ロンドンを中国の通貨・人民元を使った金融取引の中心的な市場に育てる考えだ。AIIBを後押しし、中国との関係強化をテコに人民元取引の増大や中国・アジア市場での影響力の拡大を狙う。

 オズボーン英財務相は12日の声明で「英国が西側主要国で初めてAIIBの創設メンバーになることをうれしく思う。英国とアジアの連携強化は英国企業が世界で最も成長著しい市場でビジネスと投資の機会を得るための長期的な経済計画の柱だ」と強調した。

 英国は今月中にAIIBの設立協議に加わり、「AIIBの組織運営の透明性の向上などに重要な役割を果たしたい」(英財務省)としている。中国財政省は「英国の決定を歓迎する。ほかの参加国と協議したうえで、英国は早ければ3月末にAIIBの創設メンバーとなる」との声明を発表した。

 米国と日本は両国が中心となって運営してきたアジア開発銀行(ADB)と役割が重なるほか、組織運営に不透明さが残るなどとして、AIIBへの参加に慎重だった。米国が主導してきた国際金融秩序への挑戦と受け止める警戒感もある。英国の参加をきっかけに、米中間の国際金融の枠組みを巡る主導権争いが一段と激しくなりそうだ。

http://www.nikkei.com/article/DGXKASGM12H6D_S5A310C1EA2000/
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豪首相、中国主導のインフラ銀「来週にも参加判断」[日経新聞]
2015/3/15 1:02

 【シドニー=高橋香織】オーストラリアのアボット首相は14日、アジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加を「来週にも判断する」と述べた。地元テレビのインタビューに答えた。アボット氏は英国やニュージーランドによる参加表明の動きを「非常に注意深く検討している」と語った。

 同氏はAIIBへの関与には、月内が期限の創設メンバーになり、その上で最終的な機構の定款に賛同するかを決めるという「2段階がある」と指摘。英国などは内部から中国に働きかけるために参加の意図を表明したとの見方を示した。

 アボット氏は「特定の国の外交の一部門にすぎない機関に入るつもりはない」と従来の慎重な姿勢を繰り返し表明する一方、AIIBが「純粋な多国間機関となる可能性はある」と指摘。「もし中国がそのような機関を設立する用意ができているなら、私は米国や日本を含む多くの国の参加を率直に望む」と話した。

 豪政権内ではロブ貿易・投資相やホッキー財務相が参加に前向きだ。ホッキー氏は「AIIBのガバナンスは改善した」との見方を示す。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM14H42_U5A310C1FF8000/
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日米、英に不満広がる 中国主導のインフラ銀参加で

 【ワシントン=矢沢俊樹】中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に英国が参加を表明したことに、米国や日本の当局間で怒りの声が広がっている。組織運営が不透明なAIIBに「協力する真意が不明だ」(米外交筋)といった声が聞かれる。一方で参加を逆手に取り、英を通じ経営の質を高めるようけん制したほうがよいとの見方も出ている。

 日米独など主要7カ国(G7)は当局間のきわめて緊密な連携と周到な根回しで知られるが、英のAIIB参加表明には「仰天した」(G7当局者)と驚きの声があがっている。キャメロン英政権が独断で発表に踏み切った可能性もある。

 米国務省のサキ報道官は12日の記者会見で、英の参加について「個々の国の判断だ」と論評を避けた。「我々は高い透明性を求め、詳細な内容を知りたいと言ってきた」と語り、参加の是非を判断する段階にも至っていないとの認識を示した。

 抑え気味の公式答弁とは裏腹に、米政府の本音は「AIIBがつまずけば、英自身がG7メンバーから厳しく責められるだろう」(米当局関係者)などと手厳しい。米が批判的な第1の理由は、AIIBの運営が圧倒的に中国主導となることが目に見えており「公正な経営統治は望めない」(米財務省筋)ためだ。

 国際金融筋によると、AIIBの出資比率の算定にあたり、中国側は各国の物価の違いを踏まえて通貨の交換比率を調整した「購買力平価」と呼ばれるモノサシを用いる案を打診した。購買力平価でみると、世界経済に占める中国のシェアは2014年に米を抜き世界一に躍進。そのためAIIBでも「中国は5割近い発言権を占める」との見方がある。

 米国の反発の背景には、中国の政策銀行である中国輸出入銀行の融資行動もある。アフリカやアジア地域では日米が主導するアジア開発銀行(ADB)が途上国融資などを巡り、中国輸銀に競り負けるケースが後を絶たない。

 中国輸銀の特徴を「環境保護が不足したり、当事者国の返済能力を上回るような巨額融資を短期間で通したりする」(世界銀行関係者)と批判する向きが西側諸国には多い。AIIBが「巨大な中国輸銀」と化せば、世銀などが戦後積み上げてきた開発金融政策が揺さぶられかねない。

 日本政府関係者も「現時点で検討に全く値しないという点で、日米は一枚岩だ」と言い切る。参加が取り沙汰される韓国やオーストラリアなどの動向には日米とも神経をとがらせており、水面下の外交的な駆け引きは一段と激しくなりそうだ。

[日経新聞3月15日朝刊P.1]
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日米、アジアの開発金融 中国主導に警戒感
英が参加、先進国の追随焦点

 中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に英国が参加を表明したことを受け、日米両国は他の先進国が追随することに警戒感を強めている。日米主導のアジア開発銀行(ADB)は融資枠を拡大させてインフラ支援を強化するが、AIIBに参加する先進国がさらに増えれば、アジアの開発金融の主導権が移る端緒になる可能性もある。

 「とんでもない」。日本の財務省幹部は13日、英国によるAIIBへの参加表明を受け、思わず声を荒らげた。主要7カ国(G7)でAIIBに参加するのは英国が初めてになる。

 英財務省は声明で「組織運営の透明性向上に役割を発揮する」と表明した。日米はAIIBへの参加に慎重な姿勢を示す最大の理由として不透明な意思決定などを挙げていただけに、英国の声明に、はしごを外された格好だ。

 英国からは事前に参加方針が伝えられたが、日米は翻意させることができなかった。資源やモノの貿易で中国への依存度が増す各国は日米の慰留を素通りする。

 「案件審査で環境への影響を考慮できるのか」。麻生太郎財務相は昨年9月、インドのモディ首相との会談でAIIBが国際基準に沿った審査体制が不十分な点を指摘し、参加を思いとどまるように訴えた。ところがわずか2カ月後、インドはAIIB創設の覚書に署名した。財務相会談を通じて参加を思いとどまらせようとしてきたオーストラリアも「止めるのは難しい」と、日本の財務省幹部は警戒感を隠さない。カナダや韓国も参加を検討する。

 AIIBの創設は日米が招いた結果でもある。中国はADBの出資比率を上げるように訴えてきたが、影響力の維持を狙う最大出資国の日米は増資に反対を貫いてきた。2017年から実施する自己資本の改革でも、増資は棚上げした。ADB総裁は1966年の創設以降、9代続けて日本の財務省と日銀の出身者。不満を募らせた中国は独自の銀行創設に動いた。

 英国のような先進国が参加すれば、AIIBが発行する債券は高格付けを得やすくなり、資金調達コストを抑えられる。これまで日本の財務省幹部は「AIIBは新興国が中心で資金調達コストが高く、採算が合う案件は限られる」として、最上位の格付けを持つADBの優位性は揺るがないとみていた。
 「AIIBがなぜ問題なのかは改めて言うまでもない」。麻生氏は13日の閣議後の記者会見で、参加に慎重な姿勢を改めて示した。

 だが主要国がAIIBへの参加を検討する事態を目の当たりにすると、日米がアジアの開発金融の主導権を保つことが一段と難しくなっているように映る。


[日経新聞3月13日朝刊P.5]

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どこまで盾突く気?中国主導のアジアインフラ投資銀行に日本は参加せずの報道に「招待していない」「うぬぼれているな」の声―中国ネット
配信日時:2015年3月15日(日) 13時20分

14日、中国メディアの新浪は、麻生太郎財務大臣が、中国が設立を提唱しているアジアインフラ投資銀行に日本が参加するのは難しいとの考えを示したことを伝えた。これに対して中国のネットユーザーからさまざまなコメントが寄せられた。資料写真。
2015年3月14日、中国メディアの新浪はロシアメディアの報道を引用し、麻生太郎財務大臣が13日の記者会見で、中国が設立を提唱しているアジアインフラ投資銀行に日本が参加するのは難しいとの考えを示したことを伝えた。

【そのほかの写真】

新浪は「われわれが重要と考える融資に関する規則などが明確になるまでは、日本がアジアインフラ投資銀行に参加することは難しい」と麻生大臣が述べたと伝えた。

このニュースに対して中国のネットユーザーからさまざまなコメントが寄せられた。

「来るなよ。来ても迷惑だ」
「参加したいと思っても入れてあげないよ」
「日本に参加してもらいたいとは思っていない。参加してほしいのは韓国とオーストラリア」

「中国は最初から日本を招待していませんけど」
「最初から日本を呼ぶつもりはないんだよ。麻生大臣は何をうぬぼれているんだ?」
「(日本は)米国の犬だからな。加入しないのが一番だろう。中国も歓迎しないし」

「何を言っているんだ。米国が参加させないんだと直接言えばいいじゃないか」
「金持ちクラブには参加したくないということですね」
「歴史を見ると、日本はいつでも誤った判断をしているよね」

「中国政府は中国人旅行者が小日本に行って買い物をすることを制限すべきだ」
「日本鬼子(日本人の蔑称)が中国の益になることをすると期待してはいけない」
「中国は大国としての度量を示してすべての国の歓迎し、どの国も排斥すべきではない。そして各国の決定を尊重すべきだ」(翻訳・編集/山中)

http://www.recordchina.co.jp/a104266.html

 

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コメント
 
01. 2015年3月16日 08:27:05 : jXbiWWJBCA
歴史が如実に示す中国・ロシアの危険度
民主主義化することは決してなく、それを期待すれば大きなしっぺ返しを食らう
2015年03月16日(Mon) 樋口 譲次
 ロシアによるクリミアの併合・ウクライナへの介入、中東におけるイスラム国(IS)の暴力と破壊の蛮行、中国の海洋進出による地域覇権の野望の顕在化など、危機がグローバルな広がりを見せ、国際社会は激動の時代に入ってきたようだ。

冷戦終結とリベラルな理想主義型の世界観

親露派が東部の要衝制圧 ウクライナ大統領、平和維持軍派遣を要請
ウクライナ東部デバルツェボから撤退する政府軍の兵士ら(2015年2月18日)〔AFPBB News〕

 勢い、飛び込んで来る様々な事象・事件に振り回されがちになるが、このような時にこそ一歩退いて、歴史的あるいは長期的な視点で世界の動向を見極めることが重要であろう。

 冷戦が終わり、米国の意識を代弁するかのように、フランシス・フクヤマ氏の『歴史の終わり』(渡部昇一訳、三笠書房、1992年)が発表された。社会主義陣営が瓦解し自由・民主主義陣営が戦いの最終勝利者となったいま、もはや本質的に「対立や紛争を基調とする歴史」は終わったという主張であった。

 それと符合するように、欧州でも、英国の外交官であるロバート・クーパー氏の『国家の崩壊』(北沢格訳 、日本経済新聞社 、2008年)に代表される脱近代(ポストモダン)の思想が現れた。

 マーストリヒト条約の調印による欧州統合(EU)の進展とグローバル化の動きがこれを後押し、日本を含めた欧米先進国において持てはやされた。

 脱近代の思想とは、概ね、(1)国家対立、民族紛争などを、またそもそも国民国家とか国家主権という概念を近代(モダン)世界のものとみなし、(2)グローバル化が進み、近代を乗り越えた今日の脱近代の時代においては、国家とか主権という観念そのものが過去のものとなり、(3)リアリストが唱えた国家や軍を中心とした伝統的な安全保障システムも過去のものになった。

 これからの国際関係は、道徳が重要で、国際問題は話し合いや国際法に従って解決でき、国際司法裁判所などの国際機関が画期的な意味を持つ、というものである。

 顧みれば、これに類する思想や考えは、過去幾度となく現われ、国際政治の現実の前に打ち消された。第1次世界大戦後、平和回復の歓喜とともに、国際連盟が創設され、国際協調が高々と謳われた。

 しかし、わずか20年後には第2次世界大戦が勃発した。終戦とともに、ベルサイユ体制の反省を踏まえて、国際の平和及び安全の維持を目的とした国際連合が創設された。間もなくして、東西冷戦が激化したが、国連は冷戦の解決には無力で、国家に代わってその役割を果たすことはできなかった。

 冷戦終結から20数年が経ち、冒頭に述べた今日の国際安全保障情勢は、国家主権を基本とした伝統的な国家観をもって力による対立や紛争が生起している現実をありのままに描写している。

 これらは、いわゆる「近代」の事象をあまねく示すものであり、『歴史の終焉』や『国家の崩壊』を完全に否定する動きとしか捉えようがない。

 日本を含む欧米先進国が、近代を脱して新たな「脱近代」の時代に入ったという主張を頭から否定するつもりはない。

 しかし、近代圏にとどまっている中国、ロシア、韓国、ASEAN(東南アジア諸国連合)など、また混沌(カオス/プレ・モダン)圏の中東やアフリカなどの存在を度外視したリベラルな理想主義型の世界観は、人類が繰り返してきた歴史の検証に耐え得るものではないだろう。

『文明の生態史観』からの警告

 元京都大学教授で、日本の代表的な民族学者・比較文明学者であり、文化人類学のパイオニアである梅棹忠夫氏の『文明の生態史観』(中央公論社、1967年)は、古典的名著として今日においても多方面に大きな影響を与えている。

同氏は、従来の東洋と西洋という見方に対し、文明の生態史観の立場から新しい比較文明論の世界モデルを提示した。

 旧世界を横長の長円にたとえ、その東の端と西の端を「第一地域」とし、あとのすべての部分を「第二地域」に区分した。

 すなわち、日本と西ヨーロッパを「第一地域」に挙げ、それ以外の中国文明圏(T)、インド文明圏(U)、ロシア文明圏(V)、地中海・イスラム文明圏(W)などを「第二地域」と呼んだ(上図参照)。

 なお、梅棹氏は、自著で「イスラーム」と表記しているが、論旨の展開上、「イスラム」に表現を統一した。

 「第一地域」は、乾燥地帯の砂漠から生じた遊牧民による<暴力と破壊>から逃れ、比較的安定した社会秩序の中で、政治体制として封建制を持ったことによって、ブルジョワジーが形成され、それによる政権運営と資本主義が結実した地域で、高度の文明国になった。

 日本と西ヨーロッパのたどった歴史の型は、非常によく似ており、両者の歴史の中にはたくさんの平行現象を認めることができる。そして、日本は、地理的には「極東」に位置しているが、生態史観的には「極西」である、と見ている。

 他方、「第二地域」は、乾燥地帯の砂漠から生じた遊牧民による<破壊と征服の歴史>を繰り返し、いずれも安定的な封建制を持ったことがないという共通項がある。

 その結果として、専制君主(絶対王政)による支配が続いてブルジョワジーを生み出せず、そのため資本主義が育たず、成熟した文明圏として発展することができなかった。

 また、「第二地域」は、もともと巨大な帝国である中国世界、インド世界、ロシア世界、地中海・イスラム世界とその衛星国(植民地支配)という形式を持った点が特徴的である、と分析している。

 それぞれの民族が固有の風土に根差し、周辺からの摩擦や影響を受けながら長い年月をかけて育んだ文明は、そこに住む人間の生態のコアとなって安易な変容を拒むものであろう。

 今日においても、皇帝が専制支配を続けた中国は、共産党一党独裁の強権支配の国家で、自由、民主主義、人権、法の支配に背を向けている。同じくツァーリ支配のロシアは、ソ連の崩壊後いったんは民主化に傾いたが、強権支配体制に後戻りしている。

 ウラジーミル・プーチン政権になってその傾向は顕著となり、国民もそれを甘んじて受け入れていると言われる。

 部族中心の地中海・イスラム世界は、国家の体をなさない国が多い。それもあって、本地域は「世界の火薬庫」として紛争の収まる気配はなく、テロリズムの世界への拡散基地と化している。原理主義の「イスラム国」は、暴力と破壊の限りを尽くしている。

 この中で、唯一の例外はインド世界である。インドは、1858年から1947年までの約1世紀に及ぶ英国の植民地支配を受けたが、粘り強い反英・民族独立運動を展開し、世界最大の民主主義国家となって「第二地域」からの脱出に成功した。インド国民には、日本が民族独立運動を側面から支援した歴史の記憶も残されている。

 しかし、同地域のその他の世界は、冷戦終結からわずか20年余の今日、再び激動期の主役となって世界を揺るがしている。

 そして、『文明の生態史観』は、将来、これら「第二地域」の国家群が、「第一地域」の日本・欧米が望むような脱近代化へ向かうとの楽観的な見通しを立てることは甚だ疑問である、との警告を発しているのではないか。

 世界には、日本・欧米の先進国と、異質の文明、異質の国家体制が存在し、同じ物差しで測るのは危険極まりないという現実を強く暗示しているのではないか。

 この文脈からすると、わが国が警戒し続けなければならないのは、国境を接し、新ユーラシア主義によって東方への関心を強めているロシアと中華思想を背景に地域覇権の確立を急ぐ中国、この2つの大国の今後の動向であることは疑う余地がないのである。

先進国の油断がもたらした世界の混迷

 NATO(北大西洋条約機構)は、ロシアのクリミア併合において、明らかにロシアに出し抜かれた。ロシアは、標識を付けない特殊部隊や民兵を送り込んで官庁などの要所を占拠した。

 そして、大規模な正規軍を国境付近に集結して圧力をかけながら、宣伝戦やサイバー攻撃、経済的脅迫などを組み合わせ、「民族自決」と称して住民投票を敢行し、一方的に独立宣言させた上で領土を併合した。

 これは、その後、「あいまい・ハイブリッド攻撃」、「影の攻撃」などと呼ばれるようになったが、一種のグレーゾーンの戦いである。

 これまで正規軍の侵略を主に想定してきたNATOは、軍事的にどこまで対応できるのか、戦術、戦略面での対応策はこれからの重要な課題であると分析したように、この新戦法によって予期せぬ不意打ちの奇襲を受けた。

 すなわち、ロシアがこのような行動を起こすことを想定せず、備えを怠ってきた事実を計らずも世界に晒す結果となったのである。

 ロシアのクリミア併合・ウクライナ介入は、核戦力や正規軍の圧力を背景として、国境を越えて見えない形で浸透する様々な力が戦争遂行の有効な手段として用いられるようになった、今後の防衛のあり方を左右する戦例である。

強気貫くプーチン露大統領、「経済は2年で回復」
ウラジーミル・プーチン露大統領〔AFPBB News〕

 わが国も、中国や北朝鮮が非対称戦としてかねて追求している戦争形態であることを忘れるならば、取り返しのつかない国難を招くことになる。

 ロシアは、ロシア・グルジア戦争(2008年)での南オセチア・アブハジの「ロシア領化」やクリミア併合・ウクライナ介入(2015年〜)に見られるように、ロシア国境沿いに緩衝地帯を確保することに執心している。

 そして、旧ソ連地域を自国の「勢力圏」と考えるプーチン大統領は、「ユーラシア連合構想」の下、「民族自決」を旗印に親露勢力を糾合し、大国ロシアを中心に旧ソ連諸国を再結集して強いロシアの復権を図ると見られている。

 「イスラム国」の伸長の背景には、特に米国の責任が大きいと指摘されている。対テロ戦としてのイラク戦争において、同国の民主化による脅威の排除を目指したが不徹底に終わった。

 欧米型の民主化を求めたこと自体、失敗だったとの指摘もある。また、シリアのバッシャール・アル=アサド政権が化学兵器を使用したことに対して、米国が実力行使を躊躇ったことが、情勢を一段と複雑かつ悪化させた要因になっており、中東地域の混沌のみならず、国際社会全体がテロの拡散にともなう不安定化の影響を受けている。

 「イスラム国」は、イラク戦争において政権を追いやられたスンニ派、バアス党政権の残党が組織の中心を構成して、従来の国境を跨いで戦っている。

 そして、東西はアゼルバイジャンからモロッコに至り、南北はイエメンからウクライナ、ハンガリー、チェコスロヴァキアに至る広大な領域に及んだオスマン帝国を、預言者ムハンマド以降のカリフ制国家として復活すると広言している。

 中国は、すでに1970年代からソ連との国境画定のための協議・交渉を続け、80年代に入り、海洋進出に向かって大きく動き出していた。

 米国は、中国の高度経済成長に伴う軍事力の強化を警戒しつつも、経済的受益展望を優先し、一貫して(1)中国の開放を促し、グローバルなシステムに統合することと、(2)中国が国際社会において責任ある大国としての役割を果たすよう働きかけることの2点に要約される対中政策を採り続けてきた。

 しかし、中国は、米国の意図に反し、過去の最大版図の失地回復を見据えつつ、国家目標として「中華民族の偉大な復興」を掲げている。その目標に奉仕するべく、「富強大国の建設」を推進し、すでに半世紀近くにわたり海洋覇権の野望に向かって東・南シナ海にける力による現状変更を試みている。

 さらに、その成果を西太平洋からインド洋の支配へと拡大するとともに、欧米主導の現行国際秩序を覆し、中華的国際秩序に置き換えて世界的影響力の拡大を目指している。

 このように、現在、われわれが遭遇している世界の混迷は、複雑な国際的要因の係わり合いによるものであるが、文明史的違いを背景に、冷戦終結後に日本を含む欧米先進国で持てはやされた脱近代(ポストモダン)の思想から決別できず、それを引きずってきたことが大きな要因であると指摘せざるを得ない。

 まさに、人類が幾度となく辛酸をなめた平和の到来に酔いしれた油断から発したものに他ならないのである。

現実主義への回帰

 中国の公表国防費は、名目上、過去10年間で約4倍、過去25年間で33倍以上の規模となっている。


ロシアと中国の国防費の推移

しかし、1989年度以来、毎年二桁の伸び率(2010年度を除く)を示している公表国防費は、実質的に軍事目的に支出している額の一部に過ぎないと見られている。米国は、中国の実質国防費を公表国防費の概ね1.5〜2倍程度と見積もっている。

 「冷戦の敗戦国」となったロシアでは、資本主義化による経済の再建が推進されたが、これが裏目に出てロシアの経済は悪化した。特にアジア通貨危機後の1998年にはロシア財政危機が起きて一層悪化するなど、一時期、欧米の経済援助に甘んじた。

 しかし、2003年頃より原油価格高騰の恩恵により経済は好転し、
それを背景として、国家統制型経済に戻りつつ急激な軍事力増強を図っている。
最近10年間における欧米先進国と中国、ロシアの防衛費(国防費)の変化(上図参照)をみると、各国の取り組みには大きな差があり、その傾向は歴然としている。

 特にわが国では、冷戦後、欧米先進国と同じように「平和の配当」が声高に叫ばれ、中国(そして近年のロシア)の軍拡に逆行するように、一方的に軍縮を行ってきた。脱近代の到来を真に受けたのか、あるいは政府と財務省が防衛費削減のために、それを隠れ蓑として利用したのかもしれない。

 リベラルな理想主義型の世界観が、国際社会の現実を前にしては無力であることは、歴史の教訓としてすでに述べたところであり、むしろ、平和を破壊する危険性すらを内包している。

 平和は、国際社会を本質的に力の関係とみる現実主義を基礎として、地道な努力の積み重ねによって構築・維持されるものであり、その考えへの徹底した回帰がわが国そして欧米先進国に求められる。

 わが国は、中国の脅威の顕在化によって、戦後最大の危機に直面している。

 それを抑止するためには、自分の国は自分の力で守る自助自立を基本とした防衛力・防衛体制の整備を急ぐとともに、その足らざる所は日米同盟の深化によって補完し、また、オーストラリアやインドおよび自国のみでは平和と安全を守ることができない共通の困難に遭遇している台湾やASEANとの戦略的協力・連携を強化しなければならない。

 そして、その力を行使する用意があることに加え、中国に対してわれわれの決意を悟らせることが必要である。それがどのような時代に在っても現実主義的対応として重要なことは、論を俟たない。

 統一した統治機構としての世界政府が存在せず、本質的にアナーキーな国際社会ではあくまでも力の関係が中心であり、国家の生存と安全は自助努力を基本として確保しなければならない。

 それが否定できない現実であり、楽観的にリベラルな理想主義型の世界観に寄り添った安全保障・防衛政策は、国家・国民を危機の淵に立たせることになる。油断大敵、備えあれば憂いなしは古くて新しい言葉なのである。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43160


02. 2015年3月16日 08:45:36 : nBbJNDnPdg
新しい植民地主義のようなものだからイギリスとしては乗り遅れたくないというところだろう。今は日米が入っても財布代わりにされるだけだから様子見で正解。
でも、中国が主導。そのうちボロだすよ。資金のほとんどがお偉いさんの懐に消える。日本が参加しないのを怒っているのは財布を潤してくれる国が欲しいからだ。韓国では潤わないから。韓国も吸われるだけ吸われた後は歴史が示す通り属国にされる。

03. 2015年3月16日 11:10:21 : Dwz5NnN3Hk
参加国は、それぞれにしたたかであろうと、相手は共産国
何れけつの毛まで抜かれるだろう

04. 2015年3月16日 12:29:44 : aDsnAysliA
>>03
その共産国と言う国に依存しなければ生きていけない国はどこだ?
大バカ野郎だねw


[32削除理由]:削除人:言葉使い

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