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砂川事件最高裁判決:違憲審査権を行使していない判決を「自衛権の行使」の合憲性に援用する安倍内閣の錯誤
http://www.asyura2.com/15/senkyo186/msg/599.html
投稿者 あっしら 日時 2015 年 6 月 13 日 06:09:55: Mo7ApAlflbQ6s
 


 「伊達判決」として有名な砂川事件一審判決(東京地裁:1959年3月30日)は、確かに憲法第81条に規定されている違憲審査権を行使しているが、跳躍上告で「伊達判決」を破棄し差し戻した最高裁の判決(1959年12月16日大法廷)は、違憲審査権を行使していないどころか放棄してしまっている。

 駐留米軍の違憲性を根拠に被告人たちに無罪の判決を下した第一審「伊達判決」は、米国政府に強い衝撃を与えた。それは、判決の翌日、マッカーサー駐日アメリカ大使が当時の藤山外相に「日本政府が迅速な行動を取り東京地裁判決を正すこと」を要求したという“迅速な対応”ぶりからも窺い知れる。

 米国サイドの要求を受けた日本政府は、跳躍上告に踏み切った。
 そして、当時の田中耕太郎最高裁長官が、公判日程や判決の見通しなどをマッカーサー大使に説明するという、司法権の独立どころか国家の主権や独立そのものが疑われるような前代未聞のプロセスを経てわずか9ヶ月足らずで出されたのが「砂川事件最高裁判決」である。

 このような経緯があるため、最高裁は、一審の無罪判決を破棄するだけでなく、日米安保条約と日米行政協定(現在は日米地位協定)の“有効性”を宣明する責務を負った。たんに被告人に対する無罪判決は誤りという判断をするのではなく、日米安保条約に基づき米軍が日本に駐留し続けることができるための“司法的理屈付け”を求められたのである。


■ 一審「伊達判決」の内実

 砂川事件裁判は、在日米軍立川基地の拡張に抗議するデモ隊の一部が基地内に立ち入ったことで、日米安保条約行政協定に伴う刑事特別法に基づき起訴されたことにより行われた。

 憲法第9条にかかわる名高い「伊達判決」も、検察が刑事特別法ではなく軽犯罪法を訴因として被告人たちを起訴していれば、世に出ることがなかった可能性が高い。

 というのは、一審が無罪とした根拠は、「軽犯罪法の規定よりも特に重い刑罰をもつて臨む刑事特別法第2条の規定は、前に指摘したように何人も適正な手続によらなければ刑罰を科せられないとする憲法第31条に違反し無効」というものだったからである。

 そのような主文でありながら、一審判決は、「安全保障条約及び行政協定の存続する限り、わが国が合衆国に対しその軍隊を駐留させ、これに必要なる基地を提供しまたその施設等の平穏を保護しなければならない国際法上の義務を負担することは当然である」とも述べており、米軍の駐留を違憲としつつも、条約に基づく現実状態は尊重すべきという考えを示している。

 このような判決内容から、違憲である日米安保条約をどうするのかは、司法の問題ではなく、政府(議院内閣制だから国会)の責任と考えていたと推察することができる。

 「伊達判決」を約めると、「米軍の日本駐留は憲法第9条に反するもので違憲だが、条約に基づき駐留している限り日本国は基地を提供し保護する国際法上の義務を負う。しかし、違憲であることから、在日米軍の平穏を破る犯罪があったとしても、同じ犯罪行為について規定している他の法令の刑罰よりも重い刑罰を科すことはできない。それゆえ、軽犯罪法よりも刑罰規定が重い刑事特別法を適用したのは検察の刑事訴訟法(手続き)上の誤りと言えるため起訴そのものが無効である。よって被告人を無罪とする」というものである。


■ 最高裁は砂川事件について違憲審査権を放棄

 民主党の枝野幹事長や日経新聞などは、砂川事件最高裁判決について、「個別的自衛権、集団的自衛権を区別していない。「自衛権」を認めているだけ」という見解を示しているが、それも誤りである。

 まず、憲法論的に言えば、憲法第81条の「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である」という規定は、独立した違憲審査の手続きを定めた法律もないことから、欧州大陸的な抽象的審査制ではなく米国型の付随的審査制と解釈するのが現在のところ妥当であり、在日米軍の施設に立ち入った犯罪をめぐる裁判で“抽象的に”自衛権(行使)の憲法適合性を審査すること自体が誤りになる。

 砂川事件裁判で違憲審査の対象にできるのは、在日米軍の駐留に関してだけであり、一般的な自衛権行使をその対象にすることはできない。

 このような違憲審査のあり様は、「警察予備隊違憲訴訟」で見せた最高裁1951年10月8日大法廷判決で確認することができる。

 今となっては、それでも!違憲論なの?という感慨を抱かせるような話だが、自衛隊の前身である警察予備隊の設置を巡り、社会党委員長の鈴木茂三郎氏が憲法第9条に反するという訴えを直接最高裁判所に対して行ったものである。

 最高裁は、「訴え却下。最高裁大法廷は全員一致で、訴えを不適法とした。すなわち、日本の裁判所が行えるのは司法権であり、司法権を行使するには具体的な訴訟の提起を必要とする。具体的な訴訟が提起されないのに憲法及びその他の法律等に判断を下す権限はない。また、司法権の範囲内において下級裁判所も違憲立法審査権を行使でき、逆に今回のような裁判はいかなる裁判所も裁判権を有しない」という判決を下した。

 簡略化すると、「具体的な権利義務や法律関係がない訴えについて裁判所の違憲審査権は及ばない」と「門前払い」に処したわけである。判決は、警察予備隊の違憲性についてはまったく触れていない。


 それはともかく、最高裁は砂川事件の判決文のなかで、日米安全保障条約は、「主権国としてのわが国の存立の基礎に極めて重大な関係をもつ高度の政治性を有するもの」であり、「違憲なりや否やの法的判断は、純司法的機能をその使命とする司法裁判所の審査には、原則としてなじまない」と説明している。

 続けて、「従って、一見極めて明白に違憲無効であると認められない限りは、裁判所の司法審査権の範囲外」であると結論付けている。

 さらに、「第1次的には、右条約の締結権を有する内閣およびこれに対して承認権を有する国会の判断に従うべく、終局的には、主権を有する国民の政治的批判に委ねられるべきもの」と述べ、一審が米軍駐留の違憲性を根拠に無罪判決を出しているにもかかわらず、「このことは、本件安全保障条約またはこれに基く政府の行為の違憲なりや否やが、本件のように前提問題となっている場合であると否とにかかわらない」と、違憲審査を放棄し「統治行為論」で逃げている。

 砂川事件最高裁判決は、違憲審査の最高裁判例に反するうえにとってつけたような抽象的自衛権論を語っているだけで、米軍の駐留が合憲とも違憲とも言っていなければ、自衛隊が合憲かどうかも判断していないのである。

 といいつつも、最高裁としては米軍駐留継続のお墨付きを付与しなければならない。

 そのため、「(アメリカ合衆国の)駐留軍隊は外国軍隊であって、わが国自体の戦力でないことはもちろん、これに対する指揮権、管理権は、すべてアメリカ合衆国に存し、わが国がその主体となってあたかも自国の軍隊に対すると同様の指揮権、管理権を有するものでないことが明らかである」と、憲法第9条で規定されている「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」とは“無関係”の存在と認定することで、米軍駐留は政治的判断にのみ委ねられる問題と位置づけ駐留継続を“正当化”している。

 私に言わせれば、最高裁のこのような判断は、日本はアメリカ合衆国の「保護国」なので、日本政府が口を挟むことさえできない米国(外国)軍隊を駐留させることも致し方ないとする「非独立国宣言」とも言える哀しいものである。

(おかしな褒め方だが、やすやすと日米安保条約=合憲論を示さなかったのは、さすが田中耕太郎さんともいえる。米軍駐留の継続については、政治すなわち国民の判断に委ねたのである)

 10日の衆議院安保法制特別委員会でも、共産党宮本徹議員の質疑に対し、横畠内閣法制局長官が、砂川事件最高裁判決は「集団的自衛権について触れていない」ことを認めたうえ、安倍首相がドイツで新安保法制合憲の根拠とした部分についても、「裁判で結論を出すために直接必要な議論とは別」の「傍論」に過ぎないと答弁している。

※ 安倍首相は国会の憲法審査会で新安保法制=違憲論一色になったことを受け、ドイツで会見し、法案が合憲との根拠について砂川事件最高裁判決をあげ「わが国の存立を全うするために自衛の措置を取りうることは国家権能として当然のこと」と指摘したうえ、「他国の防衛を目的とするのでなく、最高裁判決に沿ったものであるのは明白」と述べた。


 一方、左派から高い評価を受けてきた「伊達判決」は、日本が望むことで米軍が駐留しているのだから日本にとっての戦力に他ならないと判断している。

 伊達判決は、「わが国が安全保障条約において希望したところの、合衆国軍隊が外部からの武力攻撃に対してわが国の安全に寄与するため使用される場合を考えて見るに、わが国は合衆国軍隊に対して指揮権、管理権を有しないことは勿論、日米安全保障条約上合衆国軍隊は外部からのわが国に対する武力攻撃を防禦すべき法的義務を負担するものでないから、たとえ外部からの武力攻撃が為された場合にわが国がその出動を要請しても、必ずしもそれが容れられることの法的保障は存在しない」と最高裁の見解と変わらない内容を示しつつ、「日米安全保障条約締結の動機、交渉の過程、更にはわが国とアメリカ合衆国との政治上、経済上、軍事上の密接なる協力関係、共通の利害関係等を考慮すれば、そのような場合に合衆国がわが国の要請に応じ、既にわが国防衛のため国内に駐留する軍隊を直ちに使用する現実的可能性は頗る大きいものと思料される」として、米軍駐留が憲法第9条に反するものと判断している。


 今話題になっている砂川判決を知る一助になればと思い、かいつまんだ内容で投稿させてもらった。

※ 参照投稿

「新安保法制で安倍政権の憲法論と近いのは「合憲」論の百地氏や西氏?それとも「違憲」論の長谷部氏や小林氏?」
http://www.asyura2.com/15/senkyo186/msg/582.html

「安倍首相は、奇妙なかたちで「戦後レジームからの脱却」をめざし、自ら“しばかれ隊”を買って出ている変態」
http://www.asyura2.com/15/senkyo186/msg/533.html


 

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コメント
 
1. 2015年6月13日 06:29:45 : YxpFguEt7k
横畠裕介氏
「(判決は)集団的自衛権について触れていない」

中谷元氏
「指摘も踏まえて、今後さらに勉強していく」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-06-11/2015061101_01_1.html

安倍晋三氏のデタラメが、また明らかになりました。勉強し終わってから、法律を作りましょう。とりあえず、廃案で。


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