〔混迷ウクライナ　首脳会談の行方は〕
　ウクライナは予断を許さない状況だ。親ロシア派は、交通の要衝デバリツェボに通じる道路を制圧、政府軍の兵士数千人を包囲したと主張。これに対しウクライナ国防省は、親ロシア派による包囲を否定している。
　１１日の４か国の首脳会談の実現をを目指して１０日に、ウクライナ政府、親ロシア派、ロシア、ＯＳＣＥ（ヨーロッパ安全保障協力機構）の代表が停戦の条件・東部の地位などについて事前の協議を行うことにしている。
　こうした中、戦果を強調する親ロシア派は、交渉を有利に運ぶ狙いがあるとみられ、駆け引きがすでに始まっている。

〔停戦実現なるか　各国の思惑〕
　迫る４か国の首脳会談だが、各国の動きが活発になっている。９日、オバマとメルケルがホワイトハウスで会談。１１日の首脳会談で、停戦に向けた具体的な成果が得られなかった場合、ロシアへの圧力を強める方針を確認した。
　メルケル「軍事的な解決は考えていない。外交的な解決を目指している」
　アメリカがウクライナ政府軍に武器を供与することは戦闘をさらに拡大しかねないとして反対する立場をオバマに伝えたものと見られる。オバマも武器の供与については慎重に検討していく考えを示した。
　同じ９日、ＥＵの外相会議が開かれた（ブリュッセル）。ロシアに対し新たな制裁を科すことを決定したが、適用は首脳会談の結果踏まえて最終判断することに一致した。

　一方、プーチンはエジプトの新聞インタヴューで欧米を強く非難した。
　プーチン「ウクライナの危機はロシアのせいではない。欧米が自分の考えを押し付けた結果だ」
　４か国の首脳会談の行方は予断を許さない情勢である。

〔ウクライナ和平合意なるか　プーチン大統領の”野望”〕
　親ロシア派への軍事支援が疑われるロシア、何を狙っているのか。
　先月末、ギリシャは総選挙で、ＥＵと距離を置き緊縮財政に反対する急進左派連動が議席の過半数を取った。このことでギリシャは資金調達の先行きが不透明になり、ＥＵとの関係に摩擦が生じ始める。そこにロシアは急接近した。
　カメノス国防相（ギリシャ）「（支援を頼るのは）ロシアかもしれないし、中国や他の国かもしれない」と。

　また、プーチンは先日、クーデターによりアメリカからの軍事支援が受けられなくなったエッジプトを訪問。
軍事面での支援はもとよりエジプト初の原発建設に協力の方針を表明した。欧米とは一線を画した選択をし続けるプーチン大統領、その先にあるものとは。
　プーチン（ソチで）「ロシアの発展をさまざまな手段で阻止する試みがある。ソ連崩壊後に作られた世界秩序を維持するためだ。そんな世界秩序をロシアは決して認めない」

　古舘「西側の分断狙いか、版図の拡大ねらいか？」。(番組ここまで）

　停戦合意したようだが、停戦ラインも東部の地位も宙に浮いたままだから、４首脳の顔をしばらく立てた後、戦闘が再開する可能性が高いと思う。
　一つ思うのは、東部親ロシア派の短兵急な対応である。何をそう急ぐのか、一気にやらないとウクライナ政権に飲み込まれてしまうなどという危機感でもあるのだろうか。プーチンも困っているのではないか。
　一旦、ウクライナ内で強い自治権を獲得し、その間力を蓄え独立は次のステージで、とい選択肢もあるのではないかと素人軍師は考えてしまう。

　恵村順一郎「合意の背景に経済問題があると思う。ロシアもウクライナも経済が大変だ。ロシアだが欧米の経済制裁が利いている、そこに原油安が影響を及ぼしている。クリミアを併合したこともあり、そこに水、食料その他インフラの支援をしなけらばならず、これが結構きついようだ。
　そこにウクライナ東部まで丸抱えするとなると、ロシアにとって困る面があると思う。東部の公務員の給料や年金の支給を止めていることも響いているし、戦禍で破壊された炭鉱や基幹産業の工場などを復興する余裕は今のロシアにはないので、ロシアにとって望ましいのは、そういう負担はなくして、親ロシア派を通して影響力だけ行使するというスタンスが一番いいのではないか。
　一方ウクライナも経済危機の寸前にあり…（以下略）」

（ロシアの民族主義政党「祖国」が東部を焚き付けているのかも知れない）
・http://www.asyura2.com/14/warb14/msg/197.html#c12

〔ウクライナ東部で戦闘激化　停戦合意後のなぜ〕
　停戦合意したが、ウクライナ東部の銃声は止んでいない。その理由は停戦の開始時間とその内容だ。停戦の合意は１２日の昼（現地時間）だったが、停戦の開始時間はおよそ６０時間後。今回の合意で親ロシア派に求められたのは、前回停戦で合意した９月１９日の停戦ラインまでの撤退。これに対しウクライナ軍に求められたのは、現在の戦線より後ろへの撤退であった。今行われている戦闘は両者が１５日の午前０時までの間に前線を少しでも自分たちに有利な位置にずらすためのものだ。
　戦闘はウクライナ軍６０００人が包囲されたとされるデバリツェボで激しい。ウクライナ軍報道官は１３日、「過去２４時間で政府軍の兵士８人が死亡」と発表した。両者にとってデバリツェボの存在は大きい。交通の要衝であり発電所もあるこの町を支配下に置くことは、停戦後の交渉にも大きく影響する。
　前回と同様、今回の合意についても両者は懐疑的だ。停戦開始目前の陣取り合戦が停戦そのものを破壊してしまう危険性が高まっている。

（昨夜のＮ９）
　安間英夫デスク「今回の合意では外国兵士の撤退が盛り込まれているが、ロシアからこれまで何の制限も受けずに入った人員が”はいそうですか”と撤退するとは思えない。
　今回の合意でも”独立したい”、”独立を認めない”という両者の基本的立場は変わらない。ひとつの国としてやっていくにはどうすればいいのか、双方がこれから政治的な交渉に真剣に取り組まなければ戦闘状態から逃れることはできないと思う」