米軍の空爆支援を受けたクルド民主軍と、ロシア軍の空爆支援を受けたアサド政権軍がISを駆逐し、シリア北部で双方が直接の戦闘状態に入った。

今後の焦点はロシアがどう出るかだが、クルド民主軍への空爆は控えると思われる。　ロシアはそこまでアサドに「義理立て」する必要を感じていない。　ロシアにとっては、中東にロシアの影響力を確保することが目的であって、クルド人勢力を弾圧しなければならない理由は存在しない。

これはアサド政権軍にとっては非常に不利に働く。　シリア北部にクルド人勢力の「国家」が形成される可能性が高い。
　

YPGの代表は米軍との結びつきを誇示しているが、ロシアとは接触しないともインタビューで答えているようだ。

http://aranews.net/2015/11/syrian-democratic-forces-official-we-fight-isis-in-coordination-with-u-s-led-coalition-no-contact-with-russia/

クルド問題というのは風が吹けば桶屋が儲かるという風にはいかない。
イラク北部のクルド勢力はトルコとのこれまでの付き合いを解消する気はないようで、イスラム国が同支配地域からいなくなれば、経済的にはトルコと組んでいたほうが旨味は大きいし、トルコのクルド人組織PKKとは一時戦略的にイスラム国を倒すために組んだこともあったが、もともとPKKとは敵対していたからいかにクルド人同士ではあってもトルコとの国境に支配権を持つPKKは敵であることは変わりがない。

YPGはPKKのシリア支部のようなものだが、一方でダイナモがリンクしたサイトにはサウジが音頭をとってリヤドで開催されたシリアの反体制勢力の統一化で、シリアのYPGがテロ組織認定されたことを批判した記事もアップされている。

http://syriaarabspring.info/?p=25096

まあ、リヤドで開催されたということを見てもろくなものじゃないことは言うまでもないが、要するにシリアはイスラム国亡き後を巡って、シリアと周辺国の仁義なき戦いが始まっているとみたほうが賢明だろう。
こうなったから次はこうなるだろうという期待は厳禁だ。

ない。

シリアを連邦国家にする以外は。