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惨敗でも変わらぬ朴大統領(Wedge)
http://www.asyura2.com/16/asia20/msg/253.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 5 月 10 日 13:11:20: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

              4月26日昼、青瓦台で中央言論社編集・報道局長昼食懇談会(YONHAP NEWS/アフロ )


惨敗でも変わらぬ朴大統領
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160510-00010002-wedge-int
Wedge 5月10日(火)12時20分配信


 朴槿恵大統領は、軍事独裁を批判されながらも韓国に高度成長をもたらした朴正煕大統領の娘である。逆境に見舞われても決して膝を屈しようとしない強い姿勢は、やはり父親譲りなのだろうか。与党セヌリ党の惨敗に終わった4月の総選挙を受けた朴槿恵大統領の言動を見ていると、そんな思いにとらわれる。総選挙で負けたことへの反省など全く見せず、自らの信念を貫く姿勢ばかりが目立つからだ。

 日本での関心はといえば、慰安婦問題を巡る昨年末の日韓合意への影響に集中している。「日本との再交渉」を公約に掲げた野党の勝利で合意履行が難しくなるという見方もあるが、それは単純すぎる。

 合意の履行は、もともと簡単なものではなかった。そうした意味で、韓国側の事情は総選挙の前後でそれほど大きく変化していない。世論の反発は強いけれど、朴大統領は強行突破しようとしている。ただし、限界はある。大まかに現状を見れば、そういうことだ。

■「これからも変わらない」と宣言した

 朴大統領は総選挙から2週間ほど後の4月26日、韓国メディア46社の編集局長や報道局長を昼食に招いて懇談会を開いた。出席者からの質問に答える、事実上の記者会見である。

 細かく紹介するよりも、翌日の韓国各紙の社説を見ると内容が分かるだろう。

 最も保守的で朴大統領よりの姿勢が目立つとも言われる朝鮮日報は、「選挙結果に対する責任問題には一言も言及しなかった。(中略)国民が期待したのとは距離がある選挙結果への評価だと言わざるをえない。このように他人の話をするかのようにしていたのでは、どれだけの国民が納得したか疑問である」と苦言を呈するとともに、「国会と妥協しないという従来の態度に大統領が固執するならば、際限のない摩擦と衝突が繰り返されることになる。国政の混乱は避けられない」と懸念を表明した。

 同じく保守系の東亜日報も、「惨敗しても大統領の考えに大きな変化が見られないのは憂うべきことだ」と指摘する。

 進歩派の各紙は、当然のことながらさらに厳しい。ハンギョレ新聞は「何も変わっていない。大統領は独善と傲慢という部屋に高い壁を作り、そこから出てこようとしない」と指弾。京郷新聞は「朴大統領は(総選挙のあった)4月13日以降も変わっておらず、これからも変わらないということを公開の場で宣言した」と指摘し、「民意を最後まで否定して変化を拒否するならレームダック(死に体)が前倒しでやってくることを知らねばならない」と主張した。

 筆者は、朴大統領が4月18日に初めて選挙結果に言及したことを受けて「朴大統領の姿勢はすべてにおいて何も変わっていない」という趣旨のコラムを書いた(月刊「アジア時報」5月号所収)。この懇談会を見ると、やはり朴大統領は何も変わっていないのである。

■少女像に関する発言は変わったか

 日本ではこの時、慰安婦合意に関する発言が報じられた。朴大統領は懇談会の出席者から合意について聞かれ、こう答えたのだ。

 「被害者の方たちが1人でも多く生きている間に問題を解決し、日本から謝罪を受け、さらに、その方たちの生活に助けとなる支援を行う。そうしなければならないのではないか。それで先般、難しい合意をみた。安倍晋三首相と会談した際、このように難しい状況下でなしとげた合意について話をした。本当になぜこの合意をしたのかという、その精神、趣旨、そういったものに反することのないようにしながら、財団の設立などという後続の措置を誠実に履行する。

 そして、未来の世代にもこのようなことを教えていかねばならない。(安倍晋三首相と)そのような話をし、そういった内容を確認した。少女像の撤去と(日本政府による財団への10億円拠出が)つながっているとか、なんだとか言われているが、これは本当に合意で全く言及もされていない問題だ。そのようなことをもって扇動したらいけない。被害者の方たちの助けにならない。それは、まったく事実ではない。そのようなことで混乱を引き起こしてはならない。日本も努力して早く後続措置が行われ、その過程で被害者の方たちや関連団体とコミュニケーションを取り続けながら、早くしようと思っている。さらに遅れて良いことではない。もう既にとても遅れているのだ」(聯合ニュースによる)

 これをもって朴大統領が態度を変えたということはできない。他の国政課題はすべて従来路線に固執しているのに、慰安婦問題だけ変わるなどということはありえない。慰安婦問題でも従来路線を突き進むけれど、少女像の移転はそもそも約束されていないということを改めて確認したにすぎない。

 朴大統領は、野党や世論の反発が鎮まらなくても合意履行の次のステップである財団設立へと突き進もうとしている。この発言を正確に読めば、そういう意味になる。韓国政府は実際、5月中に財団設立の準備委員会を作り、6月末か7月初めには財団を立ち上げようとしているのである。

■少女像移転は「逐条的に確認しあったわけではない」

 安倍政権も、そんなことは理解しているということだろう。萩生田光一官房副長官は翌27日の記者会見で、「今回の合意において韓国側は日本政府が大使館前の少女像に対して懸念を持っていることを認知し、韓国政府も適切に解決されるよう努力をすることとなっている。他方、合意の前提かというと、そういった細かいことを逐条的に確認しあったわけではない」と述べた。(質疑は「動画」の4分30秒目くらいから)

 萩生田氏は「やはり、この問題を最終的かつ不可逆的に次世代に引きずらない。お互いに日韓新時代の新しい関係を築いていこうというのが日韓合意の大きな意味だから、そういう意味では細かいことの一つに含まれていると私は認識している」とも述べている。

 日韓新時代を築こうという合意の意味を考えれば少女像移転は当然やってもらいたいが、確実な約束になっているわけではない。歯切れの良くない萩生田氏の発言趣旨をまとめれば、こんなところだろう。

 ちなみに質問をした記者は、朴大統領の発言について「財団の出資金の前提条件という意見をけん制した」ものだという自らの考えを示した上で、日本政府の受け止めを聞いた。「意見をけん制」というのはユニークな表現である。

■「日本との再交渉」公約には重みがない

 日本では今回、日本との再交渉を公約に入れた最大野党「ともに民主党」が勝利したことで、慰安婦合意の履行に大きな影響が出るのではないかという懸念が語られた。

 だが、韓国の政界関係者は「総選挙での野党の公約なんて誰も気にしない」と口をそろえる。中には、「だから韓国の政党政治はまだまだなんだ」と憤る政治学者もいた。

 それに、今回の総選挙では政策は一切と言っていいほど争点になっていない。与野党とも来年末の大統領選へ向けた党内の陣取り合戦に忙しく、与党の方が「より多く負けた」だけというのが実相である。経済や北朝鮮といった喫緊の課題すら争点にならなかったくらいであり、ましてや慰安婦問題を含む対日政策を気にする人など誰もいなかった。

 だからこそ、「ともに民主党」の選挙戦を指揮した金鍾仁・非常対策委員会代表が選挙期間中に慰安婦合意について「国家間の合意であり、修正できる状況にはない」と述べたり、選挙後に別所浩郎大使と会って「履行を急がねばならない」と話したりということが起きるのである。別所大使に対する発言の時には党の広報が「党の立場には変わりない」と釈明をしたが、それ以上は問題にならなかった。

 ただ、金鍾仁氏の場合は党の路線から外れても仕方がないとも言える。氏はもともと全斗煥政権で社会福祉政策を担当した穏健保守であり、金大中・盧武鉉両氏の流れをくむ党のカラーとは異質だからだ。

 金鍾仁氏は、次期大統領選へ向けた思惑含みで昨年末に党が分裂するという危機に陥ったことを受けて、総選挙へ向けたイメージ一新のために外部から迎えられた。韓国政界でも「ウルトラC」級の手ではあるが、それでも特に問題視はされない手法だ。今回の選挙で政策が争われていないことの傍証とも言えるだろう。

■合意非難の国会決議は採択される可能性も

 そうは言っても、与党が過半数を割り込んだのだから朴大統領への打撃は大きかろうと思う読者も多いだろう。ただ、現在の韓国国会では過半数には大きな意味がない。2012年に改正された国会法(通称・国会先進化法)によって、予算案以外の法案処理には5分の3(180議席)の同意が必要とされたからだ。

 李明博政権が数に頼んだ強行採決を繰り返したことへの批判が強かったため、同年末の大統領選をにらんで朴槿恵氏が主導して行った法改正だった。当時から、韓国の政治風土と選挙制度の下では一党で5分の3を占めるのは不可能に近いと見られており、だからこそ与野党が落ち着いた協議を尽くして法案処理するようになるという理想論が語られた。

 しかし実際には、重要法案になればなるほど与野党は激しく対立する。朴大統領が妥協をよしとしない対決型の指導者であることもあって、2013年に発足した朴槿恵政権下の国会は「植物国会」と揶揄されるような状態が続いてきた。与党は過半数を超えていたが、5分の3は持っていなかったからだ。おかげで朴政権は、内政でまったくと言っていいほど成果を挙げることができていない。

 今回の選挙で第1党となった「ともに民主党」は123議席、与党セヌリ党は122議席で、どちらも過半数(151)にすら遠く及ばない。第3党である野党「国民の党」が38議席。「ともに民主党」とセヌリ党が協力しなければ5分の3というハードルをクリアできないが、1年半後に大統領選を控えているという時期的な問題だけを考えても、それは非現実的だ。国会がスムーズに動けない状況は何も変わっていない。

 ついでに言うと、韓国の国会は年間100本近い決議を採択しているので、「決議には重みなど全くない」(与党関係者)。国会決議は過半数でいいから、野党が過半数を占めるようになる国会で慰安婦合意の「無効決議」くらいは採択されるかもしれない。だが、それは基本的に朴槿恵政権への嫌がらせにすぎない。過去に繰り返されてきた対日非難決議の場合、日本で大騒ぎになっているのに韓国では全くニュースになっていないということも珍しくなかったのである。

■最大の眼目は「ゴールポストの固定」

 さて、最後に合意の中身を改めて確認しておきたい。昨年12月28日に日韓両国の外相がソウルの韓国外務省で記者会見し、明らかにした合意内容は次のようなものである。

 すべての前提となる認識は、▽当時の軍の関与の下に多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、日本政府は責任を痛感している▽安倍首相は、日本国内閣総理大臣として心からおわびと反省の気持ちを表明するーーというものだ。

 さらに両国の約束として、▽韓国政府が元慰安婦を支援するための財団を設立する▽日本政府が財団に10億円を拠出する▽国連など国際社会において相互非難をしない▽合意がきちんと履行されることを前提に、慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認するーーことが明示された。

 そして、前述したようにソウルの日本大使館前に建つ少女像について、韓国政府は「適切に解決されるよう努力する」と表明したのである。この項目は、日本側が「少女像に言及しないと国内がもたない」とねじ込んだもので、韓国側は最後まで抵抗を示していたという。

 慰安婦問題が日韓関係の中心課題となったここ数年の間に、少女像は日韓両国において正反対の意味合いを持つシンボルと化してしまった。いくら朴大統領が剛腕だといっても、簡単に突っ走れるのは財団設立までだろう。少女像の移転は極めてハードルが高い。それが、専門家の多くが当初から抱いてきた見立てだ。

 そもそも合意の意義は、両国が外交交渉を通じて「最終的かつ不可逆的な解決」という合意に達したことを国際社会に発信したことにある。米国や欧州諸国などから歓迎されたことで、合意内容をいじることは日韓ともに難しくなった。「ゴールポストを動かせなくする」ことに最大の眼目があるのだから、少女像問題の解決に時間がかかるのは目をつぶらざるをえない。それが、慰安婦合意の枠組みである。

 日本側で一部の人たちが喧伝した「少女像移転も近い」という考えは、もともと幻想にすぎない。韓国総選挙における与党惨敗で日本側の期待値が下がったとしたら、それは合意履行には悪いことではないのかもしれない。

澤田克己 (毎日新聞記者、前ソウル支局長)  

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