子宮頸がんワクチンに関して一方的なレスがあるので中立的に掲載 詳細に関して各自でご判断を コピペして貼り付けただけのでリンクURLは貼っていません リンク先でご確認ください ポストさんてん日記
【HPV3】子宮頸がんワクチン、日本発『薬害騒動』の真相(メモ) http://icchou20.blog94.fc2.com/blog-entry-649.html#comment398 [ 2015/10/26 (月) ] 今回、WEDGE Infinity(ウェッジ)に掲載された村中璃子氏の記事が勉強になりました。 子宮頸がんワクチン問題については、既エントリー(【HPV1】、【HPV2】)で基本的なところを勉強してきましたが、この記事で理解が深まり、既エントリー作成時点のイメージがかなり変わりました。筆者に感謝です。 以下内容は、ブログ主が知らなかった事、曖昧な知識しかなかった事などを、記事からつまみ食いした単なる個人的な勉強メモです。引用箇所の選択や強調文字はブログ主の主観なので、ご興味の方は原典をどうぞ。 1.村中璃子(むらなか・りこ)氏のプロフィール 医師・医療ジャーナリスト 一橋大学出身、社会学修士。北海道大学医学部卒。都立高校中退。WHO(世界保健機関)西太平洋地域事務局の新興・再興感染症チーム等を経て、現在、医療問題を中心に幅広く執筆中。2014年に流行したエボラ出血熱に関するウェブ記事 は、読売新聞「回顧論壇2014」で論考三選の一本に。 出典:村中璃子オフィシャルサイト 2.勉強した内容 WEDGE Infinity(ウェッジ)に2015/10/20、21、23に掲載された、日本発「薬害騒動」の真相(前篇、中篇、後篇) で、個別のタイトルは、 ★あの激しいけいれんは本当に子宮頸がんワクチンの副反応なのか ★子宮頸がんワクチン薬害説にサイエンスはあるか ★子宮頸がんワクチンのせいだと苦しむ少女たちをどう救うのか 理解した内容は以下のとおり。 副反応といわれている診断に過剰なものがある。それにより、 ●このワクチンのリスクが過大評価されている ●ワクチン接種とは関係なく同じ症状に苦しんでいる思春期の少女にとっては、適切な治療の障害になっている。一方で、この症状に目が向いたこと自体は良かった。 (前篇) あの激しいけいれんは本当に子宮頸がんワクチンの副反応なのか 【1/3ページ】 去る9月17日、専門家らによる厚生労働省のワクチン副反応検討部会が行われた。子宮頸がんワクチンについて議論したのは1年2カ月ぶり。 部会は今回も「ワクチンによる重篤な副反応の多くは心的なものが引き起こす身体の症状」との見解は覆さなかったが、「積極的な接種勧奨の差し控え」という奇妙な日本語の判断も継続するとした。差し控えにより接種率はかつての7割から数%にまで落ち込んでいる。 【メモ】第15回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成27年度第4回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会 【2/3ページ】 口に出せなくなった大多数のまっとうな医師たちの考え ←原文の小見出し(以下同様) 多くの小児科医や精神科医によれば、子宮頸がんワクチンが導入される前からこの年齢のこういう症状の子供たちはいくらでも診ていた。しかし、今ではもう何でもワクチンのせいということになっていて、大多数のまっとうな医者の普通の判断を言うことがまるで「弱者への暴力」であるかのような雰囲気になっている。 「偽発作(Pseudo seizure)というんですが、心の葛藤やストレスが引き金となって手足をばたつかせたり全身をくねらせたりと、けいれんのような動きを見せる患者さんがいます。私が勤めていた頃も“けいれんは伝染する”と言いましたよ。決して詐病というわけではないのですが、一人がけいれんすると同じ部屋の子供は真似して皆似たような動きをする。隣の部屋でも同じことが起きて、部屋ごとに別々のけいれんが流行するんです」。ワクチン導入以前に、神経疾患や重症の心身障害の患者が全国から集まる専門病院に勤務していた小児科医は言った。 偽発作なのかけいれんなのかは、(中略)、脳波を見なければわからない。←後編から引用 【3/3ページ】 元々たくさんいた「アルプスの少女ハイジ」のクララ
こうした症状が、大人にとってトラブルの少ないいわゆる「いい子」に多く見られるのは、決して不思議なことではない。背景には「過剰適応」と呼ばれる精神状態がある。期待に応えたいという思いや認められたいという思いが強く、自分の欲求や不満を適切に言葉で表現することが出来ない少女たちは自覚のあるなしにかかわらず、身体でそれを表現することもあるのだ。 「メディアで騒いでいる症例の多くは、いわゆる、クララ病。『アルプスの少女ハイジ』にクララという車椅子に乗った綺麗な女の子が出てきますよね。 (中略) それがハイジに出会って立てるようになる。 心因性かどうかの判断は、脳波などに異常がないのを確認した後、訴えや症状に矛盾があるかないかで行います。 ワクチンが薬害のように騒がれ、ある病気の患者が世間の認識以上に存在することが知られるきっかけとなった事例が過去にもある。ワクチン史上最大のスキャンダル、MMR(はしか・おたふくかぜ・風疹)ワクチンと自閉症だ。1998年、英国の医師が一流科学誌「ランセット」にMMRワクチンと自閉症との因果関係を示す論文を発表した。 (中略) 結局、論文のデータを医師が捏造していたことがわかり、2010年になって論文は撤回。捏造データを世間が信じたのは、自閉症の子供が数多くいることが世間に認識されていなかったからである。 子宮頸がんワクチンは、我が国において「思春期の少女だけ」に接種されることになった初めてのワクチンだ。「ワクチンによって患者が生まれた」のではなく「ワクチンによって、思春期の少女にもともと多い病気の存在が顕在化した」、そう考えるのが自然ではないだろうか。 →少しわかりにくい。顕在化はなるほどだが、一方で、ワクチンの副反応が原因でないという主張なら、その根拠がほしいが、それは悪魔の証明なのか? 少女たちが苦しんでいることは事実で、少女たちは決して悪くない。騒ぎの責任は大人たちにある。しかし、少女たちの苦しみの原因がワクチンにあると断定する科学的裏付けは一体どこにあるのだろうか。 (中篇) 子宮頸がんワクチン薬害説にサイエンスはあるか
【1/5ページ】 2014年9月に長野で行われた一般社団法人・日本線維筋痛症学会の“子宮頸がんワクチン”セッションの会場に、医師の姿はまばらだった。大半を占めるのはメディアと被害者連絡会の関係者たち。西岡久寿樹理事長(東京医科大学医学総合研究所)による“HANS(ハンス)”についての説明に頷く記者や涙ぐむ被害者連合会の関係者らしき人たちもいる。しかし、ここから医学的なディスカッションが生じる気配はない。 本文中に登場する横田俊平氏(元日本小児科学会長)は副理事長 仮説に仮説を重ねて「病気」をつくる医師たち HANS:Human papillomavirus vaccination associated with neuropathic syndrome←小文字は別資料から引用とは、14年に入ってから西岡氏らが提唱している「子宮頸がんワクチン関連神経免疫異常症候群」の略称で、子宮頸がんワクチンを接種した人に起きたと“考えられる”免疫異常を指す。痛みや疲労感、神経・精神症状、月経異常や自律神経障害、髄液異常などありとあらゆる症状を引き起こしており、今の検査技術では証明できないが脳内で起きている異常と“しか考えられない”病態だという。 すなわち、HANSという「免疫異常」の存在も仮説なら、その機序も仮説。実体のあるものが何もないのだ。世界の医学界が科学的エビデンスに基づく医療を原則とする中、この議論を鵜呑みにする専門家は少ない。 しかも、HANSの定義は「接種から経過した時間は問わない」とされ、接種後3年以上も経って症状が出てきた患者なども含めるのでさらに戸惑う。極端なことを言えば10代でワクチンを打った少女が60代で自律神経障害を来した場合、それもHANSということになってしまうからだ。 【メモ】HANSの診断予備基準案がこちらにある。→ある小児科医が伝えたいこと。2015/1/18 HANSというばかげた概念 筆者は西岡氏のオフィスに取材に行き、HANSの発症機序を直接尋ねた。 「責任病巣は脳の中枢神経。原因は基本的にはアジュバントしか考えられない。これが強ければ、脳血管関門を津波のようにブワッと越えていくわけですよ。脳内に存在するミクログリアが活性化して、免疫のシステムが全部狂っちゃうわけです」 【2/5ページ】
「HANSは脳症であり、その4大症状は中枢神経由来である」「思春期に特有の症状? ちがうよ、と僕はいった」(西岡氏)。 「心身反応だという人がいたら、その人はそこで思考停止していると思う」(横田俊平・元日本小児科学会長)。 「視床下部の異常でしか説明できない」「画像検査などにはあくまでも補助的な意味しかないという立場にいます」「人類が経験してきた視床下部の症候とはちょっと違う」(黒岩義之・日本自律神経学会理事長)。 そして、これらの仮説を主張する根拠は、科学的エビデンスではなく、豊富だという臨床経験だ。 「長年難病に携わってきて、こんな子供たちに出会ったことがない」(西岡氏)、「私は一人の臨床医として話をします」「長年小児科医をしているが、朝から頭痛が続くという子供を診たことがない」(横田氏)。 悪魔の証明に乗り「被害者」と共依存する「専門家」
「患者さんたちは本当に気の毒だと思います。けれど、HANSはワクチンを打った後に起きたというだけで、接種からどんなに時間が経っていても、脈絡のないすべての症状をひっくるめて一つの病気だというんでしょ? それなら便秘でも発熱でも、ワクチンを打った後で起きたら何でもHANSだということになってしまう。しかも、エビデンスはないけどワクチンのせいだと言われたら、ただ黙っているしかないですよ。ないことを証明する『悪魔の証明』はできませんからね。横田先生は悪い人ではないのでしょうが、かなり迷惑しています」小児科学会理事のある医師は言った。 「そんなに危ないというのなら、小児科学会や理事会に来てお話ししてくださいと何度も言ってるんですが、絶対に来ません。一般人やマスコミは納得させられても、同僚の小児科専門医たちを納得させる自信がないからでしょう。横田先生の医局の人たちも恥ずかしいとか言っていますよ。マスコミはそれなりの肩書の人が自信をもって言えば、言われたとおりに書いてしまいますよね」 筆者が「(西岡)先生はなぜ小児科学会などもっと多くの専門家が集まる学会でお話しされないのですか」と尋ねると「小児科学会、アレは日本最大のワクチン利益団体だからね」と笑顔で答えた。 【3/5ページ】
「僕は横田先生とは専門が違うので考え方が違うのかもしれませんが、ワクチン外来に来たからといってその患者さんが全員ワクチンのせいで病気になったと考えるのはさすがにどうかと……」と言葉を濁らせる横浜市立大学の医局員もいる。 しかし、例えば、世界の精神医療のスタンダードDSM-W(米国精神医学会発行の「精神障害の診断・統計マニュアル」第4版)に掲載されている身体表現性障害の症状も実に多彩だ。 異なる部位の体の痛み、下痢・嘔吐・便秘などの消化器症状、月経不順を含む性的症状、運動麻痺・平衡障害・麻痺・脱力・けいれんなどの転換性障害、記憶障害などの解離性症状、意識喪失・幻覚などの偽神経学的症状などがあり、HANSで中枢神経(脳や脊髄のこと)に由来する症状として挙げられているものとよく重なる。 DSM-Wが出されたのは94年。06年に子宮頸がんワクチンが登場する10年以上前から、このような症状の患者はいたことがわかる。 「漢字を書く脳領域」だけに起きる障害? 「ワクチンのせいで漢字が書けなくなってしまったという子がよく紹介されますが、あの子はきれいなひらがなで言いたいことを全部書けていますよね。言語や文字をつかさどる脳領域の障害はあっても、漢字をつかさどる領域だけの障害が起きるというのは極めて稀です」と小児神経を専門とする医師は言う。 確かに、子宮頸がんワクチンが漢字をつかさどる脳領域だけを選択的に障害 することは考えがたい。 【4/5ページ】
しかし、ワクチン後の少女には「心因性」と言われて傷つき、怒り、症状が悪化するケースも多い。そんな少女たちにはどんな精神科医よりも「ワクチンによる脳神経障害」だと断じ、一緒に戦ってくれる医師たちが「いい先生」なのだろう。そして、彼らにすがる少女たちもまた「新しい病気を見つけた」と主張したい医師たちにとって、欠かせない存在なのかもしれない。 高齢者に使う認知症薬を少女に使う危険性 昨年の線維筋痛症学会で衝撃を受けたのは、「十分な治験が行われておらず危険なワクチン」との主張を繰り返している西岡氏らが、10代の少女たちにメマリーやアリセプトなど高齢者の認知症治療に用いられる薬を多用していると知った時だ。 (中略) 治験に合格したワクチンで薬害が起きたと訴えておきながら、思春期の患者での治験をしていない薬を用いる矛盾。なぜ、子宮頸がんワクチンは危ないが、少女たちに認知症の薬を飲ませることは安全だと思うのか。 (中略) 認知症の薬だけではない。「免疫異常」と決まったわけではないのに、静脈に大量の点滴をする、極めて作用の強いステロイド・パルス療法や免疫グロブリン療法などを選択するのもいかがなものか。報告書や書籍によれば、これらの治療の後、症状が悪化する少女もかなりいるようだ。もし、これらの治療法が不適切で体調が悪化したのだとすれば、それこそが薬害ではないのか。 中にはワクチン接種後、たまたまこれらの治療法が効く別の病気を発症した少女たちもいるだろう。もちろん、ワクチンのせいで病気になった特殊なケースもあるだろう。しかし、HANSの概念はあまりにも広く、被害者≠フ数え方には疑問が残る。 そして、こうした少女たちを苦しめるものの「正体不明さ」に乗りたがる大人たちは他にもいる。 【5/5ページ】 ワクチンがあれば必ず現れる宗教・サプリ・民間療法
例えば、昨年の線維筋痛症学会では、「世界日報」の腕章をつけた記者が最前列で写真を撮るなど目立つ行動をとっていた。「世界日報」は統一教会の広報紙である。全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会神奈川県支部は、今年8月30日、日本ホメオパシー医学協会から講師を招いて勉強会を行っている。 2012年には、婚前の性交渉を否定する同教団との関係が噂される女性国会議員が、「性の乱れを助長する」としてワクチン導入に猛反対。この議員は以前より、避妊を含めた性教育にも反対していた。 ステロイド・パルスならぬビタミン・パルス療法なるものを提供するクリニックも登場した。ビタミン剤を大量投与すると脳の血流が改善するのだそうで、黒川祥子著「子宮頸がんワクチン、副反応と闘う少女とその母たち」(集英社)に登場する「ワクチンのせいで化学物質過敏症と電磁波過敏症になった」という少女の母親によれば「ビタミンの点滴が1回1万5千円、パルスで入院すると10万円」。少女の場合、月4回のビタミンの他に様々なサプリも飲んでいるので月10万円はかかる。 その他、人気があるのは、酵素ジュースや酵素風呂、整体、カイロプラクティックなど。副腎を鍛える整体(1回1万円)もあり、核酸・水素サプリ(月3万円)、ミドリムシ・ビタミン(月1万円)、マコモ茶・麦茶(月1万円)やデトックス水(1本5000円)にたどりついたケースもある。 そして、最近口コミで患者が殺到しているのが、喉の奥(上咽頭)を綿棒で刺激するだけで、なぜか少女たちの症状が改善したという「Bスポット療法」だ。簡易な治療法だが、遠方からの患者は入院させて様子を見るらしい。先日行われた学会発表の演題は「内科疾患における上咽頭処置の重要性:今、またブレイクスルーの予感」。Bスポットという名称も学会演題も週刊誌を彷彿させる。 →お馴染みの“トンデモ”から保険適用の医療行為まで、十把一絡げになっている(らしい) ワクチンをめぐり、こうした人々が登場するのは日本に限ったことではない。医学専門誌「Vaccine」に掲載された分析によれば、反ワクチンを謳うウェブサイトには、ホメオパシーなど代替医療の紹介や広告、宗教的・倫理的に許されないといった言説、データや統計のない主張などが溢れている。 しかし、海外には日本のように、いったん導入された子宮頸がんワクチンの接種が、事実上滞ってしまっている国はどこにもない。国際学会も世界保健機関(WHO)もこのワクチンが安全で有用であるとの結論を覆していない。 では、日本だけがなぜ接種を停止し、専門家が再度検討を行い結論を出した後でも再開できていないという事態がおきているのだろうか。 (後篇) 子宮頸がんワクチンのせいだと苦しむ少女たちをどう救うのか
【1/4ページ】 驚いたのは、世間がまだこれほどまで子宮頸がんワクチンに関心を持っていたということだけでない。医療関係者だけではなく、多くの一般読者が私の記事に共感してくれたことだ。 中でも印象的なのは、これまでの記事で何度も触れてきた、若い女性の心身の揺らぎについて、女性たちから寄せられたコメントだった。2人とも子宮頸がんワクチンのない時代に思春期を過ごした女性である。 (中略) 中学生や高校生と言えば、どんな子も自分が「普通の子」であることに気づき、失望する年齢だ。受験も控えている。もちろん、心因性と言った医師を恨み、ワクチンのせいとしてくれた人たちに感謝することを通じて治った少女もいるだろう。しかし、「新しい病気だ」という医師、代替療法、宗教、サプリ、健康食品、そして薬害を示唆するメディアの言説により、結果として病気に向き合う機会を失ってしまった少女や、適切な治療を受けることのできなくなってしまった少女たちもいる。 【2/4ページ】
子宮頸がんワクチン導入以前からこうした少女たちを診察してきたある小児科医はこう語る。 「治療を一言で言うのは難しいのですが、丁寧に子どもと向き合い話を聞いていくこと、その中で抑圧されていた不安や不満が徐々に表出されるのを待つことです。決して原因をほじくりだすような作業ではなく、寄り添い続けることで子どもが抑圧していた気持ちをふと語り始めることがあります。一方、身体に表現されている症状について否定したり『心因性だから』と片付けたりするのも問題です。こうした対応を行うと、大抵の場合は症状が悪化します。大事なのは今、彼女たちが置かれている環境が身体的な表現しか許していないと考え、その状態に付き合い続けることです」 科学的に正しいことを伝えても治療の助けにならない場合がある
そして、その医師は私にこうも告げた。 「科学的に正しいことを『これが正しい診断です』と患者さんや家族に伝えたとしても治療の助けにならない場合があることについてはしっかりと胸に刻んでおかなければなりません」 例えば、アメリカでは大統領選で共和党から立候補したこともある女性議員のミシェル・バックマンが2011年9月、「子宮頸がんワクチンは精神遅延を引き起こす危険なワクチンだ」と発言して波紋を呼んだ。公開討論後、見知らぬ女性がバックマンの元にやってきて「ワクチンを打ったら娘が精神遅延になった」と泣きながら訴えたからだという。 (中略) ただし、アメリカが日本と違ったのは、バックマンの精神遅延発言の翌日には6万人の家庭医が所属する全米小児科学会が「発言には科学的根拠がなく、子宮頸がんワクチンは安全である」との声明を発表したことだ。それでも子宮頸がんワクチンのイメージは傷つき、接種率は下がったが、日本のように国が定期接種に定めたまま接種推奨を差し控えるという奇妙な事態には至らなかった。アメリカでは国民を「病気にさせないこと」に国や専門家が大きな責任を持つ。 もちろん、どんなに厳しい治験を経たワクチンでも後から思わぬ副反応が分かることもある。そのため日本でも「子宮頸がんワクチンには重篤な副反応が疑われる」との見解に対し、改めて専門家が集まって検討を行った。「重篤例の多くは心因性である」との結論が得られ、その後、結論は変わっていない。 【3/4ページ】 「WHOは何もわかっていない」「少なくとも僕たちは因果関係を否定していない」
HANSを提唱する西岡久寿樹・一般社団法人日本線維筋痛症学会理事長(東京医科大学医学総合研究所)は筆者の取材に対してこう言った。「WHOは何もわかってない。僕も知り合いがいるから聞いてみたけど、ちゃんとやってない」 さらにはこうも言う。「子宮頸がんワクチンはB型肝炎ワクチンに酷似している」 かつて、子宮頸がんワクチンと同様、アジュバント(免疫応答を高めるために添加される微量のアルミニウムなどのこと)による免疫異常がおきると言われたワクチンがあった。マクロファージ筋膜炎(MMF)を引き起こすと言われたB型肝炎ワクチンだ。 しかし、世界中の専門家が各国で調査を行い、データを検討した結果、病気とワクチンの間に因果関係があることは完全に否定。それでも、ワクチンの安全性を疑う声は収まらず、WHOは99年、02年、04年と3回にわたりそれを否定する羽目になったが、現在、日本含む世界中で広く接種され、先進国の多くでは定期接種となっている。 (中略) 「海外でも日本でもB型肝炎ワクチンとMMFの因果関係は否定されていませんか?」と筆者が問うと、西岡氏はこう答えた。 「いや誰もしてないですよ、少なくとも僕たちは」 西岡氏は線維筋痛症という難病の研究に尽力してきた人物でもある。こうした医師がHANSという新しい難病を掲げることで、思春期の少女たちを苦しめる症状に目が向いたこと自体は良かったともいえる。しかし、ワクチンに心身の反応を起こす少女たちがいることと、ワクチンの良し悪しは別問題だ。もちろん、100%安全な風邪薬がないように100%安全なワクチンもない。よって、ワクチンによる重篤な副反応が例外的に生じることはある。 しかし、「ワクチンのせいだ」とする少女たちの訴えすべてにそのまま同調し、エビデンスなしに「新しい薬害を見つけた」と主張することは、本当の意味で彼女たちの苦しみに向き合うことなのだろうか。 「ワクチンのせいかもしれない」と思う。「ワクチンの被害者だ」と周りの大人たちが言えば、やっぱりそうなのだと思う。中には、一度、ワクチンの被害者になってしまったがために、ワクチンの被害者でなくなるきっかけを失って苦しんでいる少女もいるに違いない。 (子宮頸がんワクチン導入以前、思った通りに身体を動かせなくなったBさんは、心因性との診断を受け、その後症状は自然に治ったという) いま、日本はワクチンを否定しなければ少女たちが救われないというようなドグマに陥っている。しかし、ワクチン接種による多くの女性たちの病気の予防と、症状に苦しむ少女たちの治療や救済は両立する。 ←最後の部分は、なんとなくは分かるが、このワクチンのリスクとベネフィットの量的な関係が明確にならないと、明言できないのでは?(ブログ主が知らないだけかも) 【4/4ページ】 日本に似た理由で子宮頸がんワクチンの接種率が低迷している国もある。しかし、オーストラリアではすでに約10年の定期接種の実績があり、男子への定期接種も始まった。日本人だけに副反応の多いワクチンや、オーストラリア人だけに副反応の少ないワクチンなど本当にあるのだろうか。 最後に筆者のもとに医師たちから寄せられている数多くのメッセージの一部を紹介したい。 医療界の片隅にいるひとりとして書いたこの記事が、専門家が考えていることをはっきりと口にし、政策担当者が専門家の科学的意見に基づいて意思決定をするきっかけとなることを願う。そして、症状に苦しむ少女たちが1日も早く正しい方向で救済されることを。
[32初期非表示理由]:担当:アラシコメント多数のため全部初期非表示
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