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中国の原発大開発路線 現場技術の日中交流重要 設計・製造で日本に先行も 
http://www.asyura2.com/16/genpatu46/msg/418.html
投稿者 あっしら 日時 2016 年 9 月 04 日 03:01:08: Mo7ApAlflbQ6s gqCCwYK1guc
 


中国の原発大開発路線 現場技術の日中交流重要
設計・製造で日本に先行も 

渡辺搖 海外電力調査会特別研究員

 中国は世界最大容量の水力発電、風力発電、太陽光・熱発電を擁する再生可能エネルギー大国であり、石炭火力発電も世界最大だ(表1参照)。エネルギー資源に恵まれているが、現在は原子力発電の開発に力を入れている。8月15日時点で32基の原発が営業運転中で、24基の原発が建設中だ。本稿では、中国の原発の現状と課題を紹介したい。


 中国は必要な時に必ず供給できる電源を重視している。リアルタイムの給電指令に従えない風力や太陽光に対し、原子力発電は確実に供給できる非化石電源として重視されている。通常運転時には原発よりも石炭火力発電所の方が周辺地域住民の被曝量が多いという事情も指摘される。

 中国は建国直後から1970年代前半まで原子力軍事利用の道を歩んだ。85年には原発の自主設計に乗り出し、主要機器・設備は海外調達ながらも自力で建設する秦山原発(30万キロワット級)に着工した。87年には設計から建設、試運転指導までを一括して請け負うターンキー方式によりフランスから技術導入する大亜湾原発(100万キロワット級)に着工。わが国に遅れること約27年、大亜湾原発は94年に中国最初の商業運転を開始した。

 2007年からは設計、製造、建設の自主化路線を掲げて第2世代炉を推進し、原発の国産化を一層強化した。さらに米国やフランスから第3世代炉の原発技術・設備を導入する方針も決めた。

 07年に決定された「原子力発電中長期発展計画」では、20年末の運転中原発の発電容量4千万キロワット(16年8月時点で約3千万キロワット)、建設中原発の発電容量1800万キロワット(同約2700万キロワット)という目標を設定した。

 計画期間中の11年3月には東日本大震災と福島第1原発事故が発生した。これに中国政府は素早く対応し、すべての国内原子力施設の安全性の厳格な検査を実施するとともに、必要な安全補強工事の実施を要求した。さらに今後の新規建設施設についてはより安全性の高い第3世代炉と同等以上のものとし、一層の原発安全性を求める国の研究開発の方向性も定めた。

 中国政府は12年10月、福島原発事故から1年7カ月を経て、一時凍結していた新規原発の建設許可を出した。さらに地球温暖化対策には大規模な原発開発が必要として、14年11月に「エネルギー発展戦略行動計画」を決定。同計画では、20年末の運転中原発の発電容量5800万キロワット、建設中原発の発電容量3千万キロワットへと目標を大幅に引き上げた。達成されれば、日本の原発の発電容量を上回る。

 中国は昨年2月、福島原発事故後初となる新規原発開発プロジェクトの実施を許可した。中国で原発開発を進める場合、最初に国務院の原発開発プロジェクト実施許可を受け、次に環境保護省国家核安全局の新規原発建設許可を受ける必要がある。福島原発事故後約4年の歳月を経て、原発大開発路線に復帰した。さらに中国は原発の海外展開にも取り組み始めている。

 世界で60年代後半から本格的商業用原子炉として開発されたのが第2世代炉で、わが国の運転中原発の大部分が相当する。これを改良することで先進的な安全技術開発成果も加味し、第2世代炉よりも重大事故発生確率を大幅に減らしたものを第3世代炉と呼ぶ。1年間の原子炉運転で、炉心溶融などの炉心損傷事故発生確率を100万分の1未満に、86年のチェルノブイリ原発事故や福島原発事故のように大量の放射性物質の放出を伴う大事故発生確率を1千万分の1未満にするものだ。

 表2に中国で運転・建設中の第3世代炉を示した。すべて加圧水型軽水炉(PWR)だ。わが国では90年代後半から世界に先駆け第3世代炉の改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)である柏崎刈羽原発6、7号機の運転を開始。浜岡原発5号機、志賀原発2号機も続いた。最近は英国で日本メーカーによるABWRが導入されようとしている。

 中国が福島原発事故後、「今後の新規建設プラントはより安全性の高い第3世代炉と同等以上のものとする」方針を決めたことは、大きなインパクトを世界に与えた。しかし中国で運転されている原発の大部分は第2世代炉だ。確率論的リスク評価で第3世代炉よりどの部分で安全性が劣るかを評価して、それを補強したり、バックアップの外置き設備や機器を施設内に常備したりして、安全性を確保して運転を続けていく方向だ。

 筆者は95年4月20日付当欄で、中国の原発安全保守管理技術がわが国よりも20〜30年遅れているとして、中国への安全技術協力を急ぐべきだと訴えた。その後09〜15年には中国の原発現場の安全管理協力事業に携わる機会を得た。その経験からいえば、中国の原発現場での安全管理水準はかなり進歩したと感じる。

 それでもまだ問題はある。11年ごろの日中の現場技術者同士の技術交流で、中国側の管理技術の急速な向上を実感する一方で、部品調達の品質確保について意見交換したところ、残念な部分もあった。

 また12〜13年には中国で、「熱成層」と呼ばれる事象とその変動による配管溶接部での損傷の発生・進展によるものとみられるトラブルが発生した。20年余り前に同様のトラブルに見舞われたわが国は中国に情報を提供した。

 しかしその後も同一原因のトラブルが発生し、再び情報提供を求められた。この時、同様のトラブルが発生しそうな部位が数カ所あり、それらをチェックすべきだと提案した。これが効果的だったようで、それ以降同様のトラブルに関する問い合わせはない。このようにわが国には中国より20年以上長い原発運転経験があり、それだけ先行事例として参考となることがある。

 その一方で、より先進的な原発の設計、製造、建設に関しては、中国でわが国の技術レベルを上回るものが出てきているのも事実だ。例えば溶融炉心を受け止めるコアキャッチャーや、水素爆発を防止する水素酸素結合装置、溶融炉心のメルトスルーを防ぐ爆破弁付き格納容器内用水タンクなどの設置が挙げられる。

 中国の原子力の安全規制は総勢1千人余りで構成する環境保護省国家核安全局が担っている。わが国の安全規制当局である原子力規制庁の職員(今年7月で総勢約920人)に匹敵する規模となった。

 海外から技術導入した原発での安全管理については提供国の技術基準を参考にしながらも、国際原子力機関(IAEA)基準を原則に中国独自の原子力規制法規を形成している。国家核安全局の李幹傑(リ・ガンジエ)局長は、原子力安全条約締結国会議の議長を務めた。このことからも中国の安全規制は国際的にも遜色ない水準と考えられる。

 中国では、放射線安全監督員、溶接監督・施工員、非破壊検査員、原子力施設運転操作員、原子力安全工事士について国家資格を設けたほか、要員数を公表するなど、原子力安全業務に関わる人員の資質管理にも力を入れている。

 中国はPWRではわが国に先駆け第3世代炉の運転をしているし、原子力発電規模も膨大だ。しかもわが国の原子炉等規制法では運転年数の目安を40年としているのに対して、中国では設計耐用年数60年の原子炉を建設しようとしている。こうした現実を見つめ、官民ともに原発の現場技術での日中交流を推進することが望まれる。

ポイント
○福島事故後4年で原発大開発路線に復帰
○日本に先駆け第3世代PWRの運転開始
○中国の安全規制は国際的に遜色ない水準

 わたなべ・はるか 51年生まれ。北海道大院修了、通産省へ。元海外電力調査会北京事務所長

[日経新聞8月29日朝刊P.18]

 

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コメント
 
1. 知る大切さ.[10] km2C6ZHlkNiCsy4 2016年9月06日 19:15:26 : twqKK4Ct3o : OSZgtLxb5kU[3]
中国、韓国、台湾の原発があるので西日本は危険です。

逃げるなら松本しかありません

[12初期非表示理由]:管理人:騙り

2. 2016年9月09日 21:59:08 : LY52bYZiZQ : i3tnm@WgHAM[-8365]
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World | 2016年 09月 9日 18:03 JST
中国の原発安全対策、改善みられるが一段の努力必要=IAEA

{上海 8日 ロイター} - 国際原子力機関(IAEA)は8日、専門家チームの10日間にわたる中国での核の安全に関する調査を踏まえ、同国は過去5年間で原子力発電所の安全規制を強化したものの、廃棄物管理や老朽化した原発の扱いなどでは「一段の努力」が必要との見解を示した。

中国では現在32基の原子炉が稼働し、24基が建設中。2020年末には、原子力発電能力を今年7月末時点の30.7ギガワットから58ギガワットまで拡大することを目指している。

化石燃料依存度の低下に加え、利益が見込める原子炉市場での主導権を確保したい考え。

チームを率いたラムジ・ジャマル氏は、中国の核安全当局は核および放射能の効果的な管理のため、さらに努力と人材をつぎ込む必要があると述べ、長期的には老朽化した原発が最も高いリスクになり得ると指摘した。

http://jp.reuters.com/article/china-nuclear-iaea-idJPKCN11F127
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