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10万年眠る「核廃棄物の墓」:フィンランド最終処分場 世界中が探している答えは見つかったのか? バルト海に浮かぶオルキル
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投稿者 軽毛 日時 2017 年 1 月 26 日 12:49:28: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

10万年眠る「核廃棄物の墓」:フィンランド最終処分場
世界中が探している答えは見つかったのか?
バルト海に浮かぶオルキルオト島では、同国の主要原子力発電会社2社が主要貯蔵室となる地下トンネルの掘削に着手した
バルト海に浮かぶオルキルオト島では、同国の主要原子力発電会社2社が主要貯蔵室となる地下トンネルの掘削に着手した PHOTO: JUUSO WESTERLUND MOMENT/INSTITUTE FOR THE WALL STREET JOURNAL
By ZEKE TURNE
2017 年 1 月 26 日 11:28 JST

【オルキルオト(フィンランド)】地下100階相当の深さにある10億年前の岩盤――。世界中が探している答えをフィンランドはそこに見いだしている。高レベル放射性廃棄物の埋設場所だ。

 米国や英国、ドイツ、日本が高レベル核燃料棒の処分場を作ろうとしているが、政治的な障害にぶつかったり、有害廃棄物が持ち込まれるのを望まない地元住民の反発に遭ったりしている。

 そんな中、フィンランドは地下深くで静かに歩を進めている。

 バルト海に浮かぶオルキルオト島では、同国の主要原子力発電会社2社が主要貯蔵室となる地下トンネルの掘削に着手した。2020年までに完成が予定されているこのトンネル「オンカロ」は、今後10万年にわたって6500トンの使用済みウランを安全に保管するために使われる。

バルト海に浮かぶオルキルオト島の地下トンネル「オンカロ」
バルト海に浮かぶオルキルオト島の地下トンネル「オンカロ」 PHOTO: JUUSO WESTERLUND MOMENT/INSTITUTE FOR THE WALL STREET JOURNAL
「オンカロ」では10万年にわたって使用済みウランが保管される
「オンカロ」では10万年にわたって使用済みウランが保管される PHOTO: JUUSO WESTERLUND MOMENT/INSTITUTE FOR THE WALL STREET JOURNAL
 地下最終処分場の建設は、エンジニアや科学者にとって挑戦しがいのある仕事というだけではない。フィンランドは財政的な優遇措置を使い、処分場の受け入れは地元住民にとって脅威ではなく利益であると提示し、計画をめぐる難しい局面を切り抜けたという点でも際立っている。

 米サンディア国立研究所の上級科学者ピーター・スウィフト氏は「ここまでたどり着いたフィンランドに祝辞を贈りたい」と話す。「フィンランドはどの国より先に進んでいる」


 世界では、数千年にわたって放射能を持ち続ける使用済み核燃料のほとんどが原子炉施設の冷却用プールで貯蔵されるか、いったん冷却された後に鉄製容器に入れられ、さらにコンクリートで覆われて保管されている。しかし専門家や環境保護団体は、いずれも長期的な解決法ではないと主張している。冷却用プールはいっぱいになりつつあり、数十年使用するうちに故障する可能性がある。しかもいずれの方法についても、災害や起こり得る攻撃から守るコストが高いことや安全性について懸念が示されている。

 科学者らは高レベル放射性廃棄物を処分するには、地下深部への埋設が最も安全との考えでおおむね一致している。ただ、適切な地質を探すのは費用がかさみ、多大な時間も必要になると考えている。使用済み燃料棒を慎重に埋設した後は、フィンランドで建設されているようなハイテク地下トンネルは埋められ、そして封鎖される。

 しかし掘削が始まる前に政治的に計画が頓挫することも多い。

‘難しいのは人間の信頼を得ることだ。’
—スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社のハンス・フォルストローム氏
 例えば米国では、ネバダ州ラスベガスから約145キロ離れたユッカマウンテンに最終処分場を建設する計画があったが、2010年にストップした。同州選出で上院民主党の指導者だったハリー・リード氏が歳出法案に含まれた計画の予算を握りつぶした結果だ。リード氏は当時、使用済み燃料棒を「あらゆる物質の中で最も有害な物質」だと述べていた。

 ドイツでも、ゴアレーベン岩塩鉱を貯蔵施設として活用する案があったが、連邦議員が地元住民の理解を得られずに頓挫した。日本では政府が何年もかけて地方自治体に処分場の受け入れを要請してきたが断念、有識者に候補地の選定を依頼した。

 英国ではイングランド北西部に位置するカンブリアの州議会が2013年に高レベル放射性廃棄物の埋設受け入れを拒否すると、政府は仕切り直しを余儀なくされ、ウェールズ、イングランド、北アイルランドの13の地域に受け入れを要請して回っている。英放射性廃棄物管理(RWM)の報道担当者はこの状況について、「コミュニティー主導のプロセス」と述べた。

 スウェーデン核燃料・廃棄物管理会社(SKB)のコンサルティング部門、SKBインターナショナルで上級顧問を務めるハンス・フォルストローム氏はフィンランドの計画について、「地上の人間に影響しないように」注意深く設計されていると話す。「難しいのは人間の信頼を得ることだ」

「オンカロ」内の壁に書かれた図
「オンカロ」内の壁に書かれた図 PHOTO: JUUSO WESTERLUND MOMENT/INSTITUTE FOR THE WALL STREET JOURNAL
「オンカロ」内の送風パイプ
「オンカロ」内の送風パイプ PHOTO: JUUSO WESTERLUND MOMENT/INSTITUTE FOR THE WALL STREET JOURNAL
 フィンランドでは1987年に成立した原子力法に基づいて、原発を受け入れている郡には処分場プロジェクトに対する拒否権が与えられた。これによって、いかなる自治体も最終処分場の受け入れを強制されることはないという明確なメッセージが送られた。

 その後、1992年に同国の核廃棄物会社が5つの候補地を検討していると発表。タンペレ大学の原子力政策専門家マッティ・コヨ氏によると、各候補地の政治家は最終処分場の受け入れと廃棄物会社からの固定資産税の徴収をめぐって争った。

 原発2基があるオルキルオト島を管轄するエウラヨキ市は、ほとんどの土地を廃棄物会社に提供し、フィンランドの放射性廃棄物のほとんどが既にこの地に中間貯蔵されていると説明して受け入れ地に選ばれた。最終処分場の建設は2004年に始まった。

 フィンランドの環境活動家の中には、最終処分場の建設を進める前にさらに研究を行うべきだとして懸念を示す人もいる。

 環境保護団体グリーンピースのフィンランド支部で広報を務めるユハ・アロマー氏は「フィンランドには地球上で最も硬い岩盤がある」が、今後10万年の間に予想される氷河期には「それもひび割れるだろう」と話す。この間に「廃棄物が地下水といっしょにバルト海に漏れ出さないとは言い切れない」という。

 一方、フィンランド自然保護協会でオルキルオト島があるサタクンタ県の支部責任者を務めるカリ・ユリコスキ氏によると、一部の反原発派は原子炉の新設阻止に力を注いでいる。ユリコスキ氏は処分場について「われわれが解決しなければならない問題への最良の解決策」と語った。

日本からは数えきれないほどの訪問団

 エウラヨキ市は原発と最終処分場の固定資産税として原子力業界から年間1600万ユーロ(約19億5000万円)を受け取っている。年間予算が6500万ユーロの自治体にとっては大金だ。

 9300人の地元住民は最終処分場の受け入れに懸念を抱いていたかもしれないが、この税収がその多くを和らげた格好だ。タンペレ大のコヨ氏の調査によると、核燃料棒を地下で安全に保管することはできないと考える住民の割合は1984年には60%だったが、2008年には34%にまで低下した。

 原子力業界からの税収で新しい図書館や高齢者用施設、2つのデイケアセンター、ハイキングコース、ホッケーの競技場、野球場が整備され、学校や自治体所有の歴史的な邸宅が改修された。さらにエウラヨキ市は所得税率をフィンランドで3番目に低い18%にまで引き下げた。

 海外の政治家や原発企業はエウラヨキ市にヒントを見いだそうとしている。フィンランド経済省の首席エンジニア、ヨルマ・アウレラ氏は「日本からは数えきれないほどの訪問団を迎えた。おそらく数百になるのではないか」と話す。

使用済みウラン燃料は26万6000トン

 ただ、フィンランドの当局者らは、地元の承諾を金で買ったというだけの話ではないと強調する。原子力安全規制当局(STUK)のユッシ・ヘイノネン廃棄物・物質規制局長は、原子力業界の専門家や政府に対する国民の信頼度が高いという点でフィンランドは他国と一線を画すと語る。

 フィンランドでは、ドイツを悩ませ続けているような原発への政治的反発が起きたことはない。ドイツでは1970年代の反原発運動から環境保護を掲げる「緑の党」が誕生した。2011年には東日本大震災による福島第一原発の事故を受け、アンゲラ・メルケル首相が2022年までの原発の段階的廃止を決定した。

 フィンランド産業電力(TVO)の広報担当者、パシ・トゥオヒマー氏は「フィンランド国民はおそらく気候のせいだと思うが、非常に現実的だ」と語った。

 ドイツ議会は2031年までに最終処分場を選定することになっている。米国では、トランプ政権がユッカマウンテン計画の復活と新しい調査のどちらを選ぶのか、科学者たちが判断を見守っている。

 そうこうしている間にも、世界では使用済み核燃料が増え続けている。国際原子力機関(IAEA)によると、2015年末の段階で中間貯蔵されている使用済みウラン燃料は26万6000トンに上った。最終処分場が建設されるまで、納税者も企業も多額のコストを負担するリスクを抱える。

 スイス放射性廃棄物管理共同組合の調査開発担当ディレクター、イリーナ・ガウス氏は「技術的な解決策はおおむね整っている。フィンランドがそれを示している」と指摘した。「社会は放射性廃棄物をどう扱うかを決めなければならない」

原子力発電所の所在地を示す地図
原子力発電所の所在地を示す地図 PHOTO: JUUSO WESTERLUND MOMENT/INSTITUTE FOR THE WALL STREET JOURNAL
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