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マイナス金利、日本経済に「マイナス」の兆候…株価・不動産、急落が現実味か(Business Journal)
http://www.asyura2.com/16/hasan106/msg/803.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 3 月 25 日 00:26:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

マイナス金利、日本経済に「マイナス」の兆候…株価・不動産、急落が現実味か
http://biz-journal.jp/2016/03/post_14392.html
2016.03.25 文=真壁昭夫/信州大学経済学部教授 Business Journal


 2月16日、日本銀行はマイナス金利を開始した。1月29日に日銀がマイナス金利の導入を決定した時、金融市場の関係者はある種の驚きを持って受け止めた。金融専門家のなかには、マイナス金利政策を“黒田バズーカ第3弾”と評する向きもあった。

 その背景には、マイナス金利自体が日本にとって初めての政策だったことに加えて、1月21日、黒田東彦日銀総裁が参院決算委員会の場でマイナス金利の導入を否定したにもかかわらず、わずか8日後に突如、その導入を発表したことがある。ベテランディーラーのひとりは、「日銀がそこまで追い込まれているのか」と嘆息を漏らしていたことが印象的だった。

 問題は、マイナス金利がもたらすメリットと、副作用ともいうべきデメリットがどのようになるのかが読みにくいことだ。欧州諸国ではすでに1年以上前から、マイナス金利を実行しているが、消費者物価指数は低迷を続け、景気自体もなかなか改善の兆しが見えてこない。そうした前例にもかかわらず、日銀は臆することなく「物価上昇目標を達成するためになんでもする」との姿勢を変えず、マイナス金利の世界に足を踏み入れた。

 一方、マイナス金利実施の後、国債市場では10年までの期間で流通利回りがマイナス領域に落ちこんだ。それは、資金運用を行う投資家や金融機関にとって、収益機会が大きく減少することを意味する。そのデメリットは大きい。その意味では、マイナス金利政策はこれまでの金融市場の構造を大きく変える懸念もある。果たして、マイナス金利政策はうまく作動するだろうか。疑問符をつける専門家は多い。

■マイナス金利政策の効果と限界

 市中の金融機関が余った資金を日銀に預ける場合、これまで日銀は法定準備金を超える部分について0.1%の金利をつけてきた。マイナス金利政策では、その部分についてマイナス0.1%の金利を適用することで、市中での資金循環の活発化を促す効果を狙った。また、マイナス金利を実施することで全般的な金利水準を低下させ、お金を借りる人の負担を軽減することができる。住宅ローンの金利などはさらに下がり、住宅を買う人にとっては有利になる。

 しかし、今までも金利は十分に低かった。問題は、お金を借りる人が少なかったことだ。国内企業部門はかなり潤沢に手元にお金を持っており、借りる必要は低い。そもそも、お金を借りても、儲けられる事業がなかなか見当たらないため、金融機関からお金を借りる企業が少なく、資金需要が盛り上がらないのである。結果として、日銀が毎年80兆円もお金を印刷して市中に供給しても、なかなかお金がうまく回らない。

 一方、マイナス金利にはデメリットも多い。金利が下がることは、お金を運用する側にとってはまさに“拷問”のような厳しい状況になる。国債の流通利回りがマイナスになってしまうと、国債に投資して満期まで保有すると、利回りがマイナスになる。それでは投資の意味がなくなってしまう。銀行や保険会社などは、これまでのビジネスモデルが通用しなくなる。特に、運用手段の限られている中小の金融機関には、かなり厳しい状況だ。

■日銀の狙いと黒田総裁の強気の姿勢

 マイナス金利政策は、日銀がお金を運用する側のデメリットを考えても、金利水準を引き下げ物価目標の達成を目指すことを選択したということだ。問題は、その効果が読みにくい点だ。専門家の間では悲観的な見方も多い。特に中国経済の減速鮮明化などの状況を考えると、日銀が狙っている効果が短期間で顕在化するとは考えにくい。黒田総裁はそうした状況を十分に理解しているが、総裁としては強気な姿勢を崩すことができないのだろう。

 注目されるポイントは、マイナス金利の効果が顕在化するタイミングだ。実体経済に明るさが見えてくる時期が、金融政策の限界が露呈する前にやってくればよいが、そのタイミングが逆になったとき、マイナス金利のデメリットが際立ってしまう。それでは、日銀はさらに苦しい立場に追い込まれえることになる。

 もうひとつ、為替動向も気になる。昨年は円安傾向が進んでいたことは、国内企業、特に大手企業にとって業績を改善する大きな効果をもたらした。日銀も政府も、これからもできれば円安傾向を維持したいと考えていたことだろう。

 ところが、足元の為替市場では、むしろ円が強含みの傾向が見られる。ドル・円の為替レートを見ると、日銀のマイナス金利政策の実施にもかかわらず、FRB(米連邦準備制度)の金利引き上げの観測が後退していることもあり、ヘッジファンドなどの投機筋は円買い・ドル売りのオペレーションに動き始めている。今後円高が進むと、大手企業の収益に逆風が吹くことになる。それも、日銀にとっては厳しい状況だ。

■マネーゲームに冷静な対応が必要

 為替は2通貨間の交換レートである以上、日本の事情だけで決められるものではない。米国経済は今まで堅調な展開を示してきたこともあり、2011年11月以降、ドル高・円安傾向が続いてきた。しかし、足元で米国企業の業績が伸び悩みになっていることもあり、米国産業界からドル高に対する懸念の声が上がり始めている。そうした事情を勘案すると、日銀が金利を低下させても、なかなか円安・ドル高の方向には動きにくくなっている。その意味では、日本経済に円高の逆風が吹くリスクを頭に入れておくべきだ。

 足元の世界経済の情勢を見ると、なかなか楽観的になれない。むしろ、今まで世界経済をけん引してきた米国に減速の兆候が見えるようだと、経済回復のシナリオ自体が怪しくなる。実体経済の回復が見通せないなかで、中央銀行が潤沢な資金を供給すると、どうしても金融市場や不動産市場に投資資金が流れ込み、マネーゲームが展開される可能性が高い。株価や不動産価格が急上昇しバブルが発生することも考えられる。

 あるいは、上昇しすぎた資産価格が急落するケースも考えられる。われわれは身を守る手段として、実体経済や金融政策を冷静に見ることが必要だ。お金がありあまっているからといって、株式や不動産などの価格が急上昇することには十分に注意が必要だ。特に、日銀の思い切った金融緩和策に振り回されることなく、金余りのバブルに巻き込まれないように行動したほうが良い。

 一旦バブルの渦中に吸い込まれると、なかなか冷静な判断ができなくなる。1980年代後半のバブルとそれに続く厳しい経済環境をしっかり心に刻み込むべきだ。

(文=真壁昭夫/信州大学経済学部教授)
 

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