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中国製品が押し寄せる!?反ダンピング緊急緩和の怖い裏側(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/16/hasan107/msg/336.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 4 月 08 日 08:35:30: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

          政府が緊急決定した反ダンピング申請要件の緩和。この背景には看過できない重要な問題があった


中国製品が押し寄せる!?反ダンピング緊急緩和の怖い裏側
http://diamond.jp/articles/-/89292
2016年4月8日 鈴木貴博 [百年コンサルティング代表] ダイヤモンド・オンライン


 政府は反ダンピング課税についての政令を5月から変更・実施することを緊急決定した。このことで今後、海外から日本市場に不当に安いダンピング価格の製品が流れ込んできた場合に、日本企業が対抗措置として反ダンピング課税申請をしやすくなる。

 少々わかりにくいニュースに聞こえるかもしれないが、実はこのニュース、日本にとって大きな方針転換を指し示すビッグニュースだ。

 過去、日本製品は世界中の政府からダンピングの疑いをかけられて、何度も反ダンピング課税を宣告されてきた。その一方で日本政府は海外製品について、ほとんどと言っていいほどダンピング認定をしてこなかった。

 そのため日本はある意味で、海外企業が作り過ぎた商品をダンピングして売りさばくための、いいお得意先になっていた。被害が出ても何も言わないので海外企業にとっては都合がよかったのだ。それを今回、方針転換しようというのがこのニュースである。

■日本政府が重い腰を上げるほど 深刻なチャイナショックの実情

 なぜそれほど大きな方針転換がいま、起きているのか?大規模なダンピングの動きが実際に起きているからこそ、政府が緊急に重い腰を上げることになったというのが実情だろう。

 きっかけは昨年起きたチャイナショックである。最初は「どうやら中国経済はこれまでの2ケタ成長が持続できない低成長の時代に突入したらしい」くらいのニュースとして受け止められていた。日本は「中国も経済減速か。輸出の売上が大幅に減りそうだな」と思っていたところだったが、実情を調べると、それ以上にかなり深刻な状況にあることがわかってきた。

“深刻”とは、一体どのような状況か。なんと中国国内には経済成長できるだけの需要がないのにもかかわらず、それでも政府が高い経済発展目標を設定したために、中国全土で供給力だけが驚くほどのレベルで増え続けてしまっていたのだ。それこそがチャイナショックの本質である。

 たとえば自動車に関しては、主要な自動車メーカーが中国国内の生産台数を倍増させる工場増強計画を実施してしまったあとで、国内販売台数がマイナスに転じることが発覚した。鉄鋼メーカーも中国全土で需要の倍以上の生産能力を既に確保してしまっている。

 中国国内に需要がなくなってしまえば中国の経営者の選択肢はふたつしかなくなる。稼働を半分に落として適正な生産量にとどめるか、ないしは過剰生産を容認したうえで過剰部分を海外でダンピング販売するか。

 前者の場合は従業員の大規模な首切りが必要で、かつそれでも大きな損失が出るから、従業員からも株主からも(たぶん政府からも)「経営は何をやっているんだ!」という怒号が聞こえてくることになる。したがって、普通の経営者は自然と後者を選ぶことになる。つまり工場を稼働させて過剰に製品を作った上で、海外では製造コスト以下で商品を売りさばいて、少しでも損失を穴埋めしようとするわけだ。

 今の中国経済の状況をみると、今年や来年は、このまま放っておけばこのような考え方から、過剰生産した製品が日本市場をめがけて大量流入してきそうな勢いだ。

 これまではダンピング製品が日本に流入してきても、関係する業界団体の過半数の企業が課税申請をして、そのうえで日本政府が14ヵ月調査をしたうえで「本当に容認できないほどひどいダンピングが起きている」と認定しない限り、反ダンピング課税は発動されなかった。

 そのおかげで過去5年間、日本政府が反ダンピング課税を発動した回数はゼロ。同じ時期にアメリカは57回、中国ですら46回も外国企業に対して反ダンピング課税を認定しているのに、日本はゼロが続いていた。

 これを変更して、今後は日本企業の2社以上から反ダンピング課税の申請があれば政府は調査に着手し、その調査も短期間で終える方針だという。

■日本がこれまでダンピング認定をしてこなかった裏事情とは?

 ここでのポイントは「なぜ日本がこれまでダンピング認定をしてこなかったのか」ということだろう。基本的には反ダンピング課税は世界貿易期間(WTO)で各国政府に認められた権利なのだが、これを乱用すると不当な関税障壁競争が起きてしまう。

 ちょっと考えるとわかるが、たとえば日本がアメリカからの輸入製品に対して何らかの反ダンピング課税を発動した場合、アメリカ政府はその報復で自動車や工作機械など日本が競争力を持つ分野の商品に反ダンピング課税を宣言するといった対抗措置をとるはずだ。

 日本は輸出大国なので、そういった「争いが多い世界」になるよりも「おおらかな自由貿易の世界」の方が都合はいい。だから反ダンピングはなるべく発動しないで争いを避ける。これがこれまでの政策の前提だった。

 本当のことを言うと、実際はもう少しややこしい話がある。日本もダンピングに関して言えば「叩けばほこりがでてくる」業界が少なくないのだ。メーカーというものは巨大な工場をいったん建ててしまうと、たとえグローバルな需要が減っても減産するよりは、生産量を維持して作り過ぎた分をどこかで安値で売りさばいたほうが利益が維持しやすい。

 そのため国内では高値の価格を維持しながら、まだ日本製品のシェアが高くない国で、価格の安さを武器にシェア拡大の武器にダンピングを使う。そのほうが今の利益の確保にも、将来のシェアの拡大にも都合がいい。多くの経営者がその誘惑には勝てないものだ。

 アメリカはアメリカでそういう日本のやり方が頭に来ているようで、アメリカではダンピングの定義は「アメリカ政府が選んだアメリカ企業に仮に同じ製品を作らせてみて、そのコストよりも安い日本製品はダンピングと認定できる」というルールになっている。

 日本の最先端の自動化工場で非常に高い生産性で組み立てた製品(つまり製造コストは非常に低い)でも、同じ(ような)商品をアメリカの給料が高い労働者がいろいろとミスをしながら作るローテクな工場で組み立てた製品(つまり製造コストはとても高い)と比較して、それよりも安い製品が日本から輸出されてきたら、アメリカ政府はいつでも「ダンピングだ」と認定できる。

 こうしたレベルの争いが過去何十年もの間繰り返されてきた結果、日本政府は反ダンピング課税という伝家の宝刀を抜かないほうがいいという経験に基づいて、これまで海外製品の不当廉売に目をつむってきたわけである。

 それが今回、180度方針が変わったというのが冒頭のニュースなのだ。

 つまり、どこかの国に対して反ダンピング課税を発動させないとどうしようもないぐらい、何か恐ろしいレベルでダンピング製品が日本に押し寄せる気配があるというか、それが現実に近づいている――そんな認識を日本政府が持ったのだろう。ああ、怖い怖い。

 

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