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マイナス金利でデフレ深刻化の恐れ…フィッシャー方程式から読み取れる物価の行方(Business Journal)
http://www.asyura2.com/16/hasan107/msg/454.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 4 月 13 日 08:08:56: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

               日本銀行(撮影=編集部)
  

マイナス金利でデフレ深刻化の恐れ…フィッシャー方程式から読み取れる物価の行方
http://biz-journal.jp/2016/04/post_14674.html
2016.04.13 文=小黒一正/法政大学経済学部教授 Business Journal


 日銀はマイナス金利政策(NIRP)を今年2月16日から開始したが、同政策が物価上昇率に及ぼす影響は「フィッシャー方程式」から読み取れる可能性がある。

 フィッシャー方程式とは、「実質金利は、名目金利から期待物価上昇率を差し引いたものに等しい」というもので、投資や金融取引の根幹をなす重要な「恒等式」である。すなわち、数式で表現すると、「実質金利=名目金利−期待物価上昇率」となる。これは変形すると、「名目金利=実質金利+期待物価上昇率」とも表現できる。

 その際、フィッシャー方程式の見方や解釈でしばしば論争となるのは、「実質金利と名目金利のどちらが先に決定するのか」という問題である。

 まず、名目金利が先に決定するケースを考えよう。たとえば、名目金利が1%で、期待物価上昇率が▲0.5%のとき、フィッシャー方程式から、実質金利は1.5%(=1%−▲0.5%)となる。この場合、中央銀行が量的・質的金融緩和とマイナス金利政策で、たとえば名目金利を▲0.5%に誘導しつつ、期待物価上昇率を2%に高めることができれば、実質金利は▲2.5%(=▲0.5%−2%)となり、マクロ経済を刺激できる可能性がある。

 他方、実質金利が先に決定するケースを考えよう。たとえば、実質金利が1%で期待物価上昇率が▲0.5%のとき、フィッシャー方程式から、名目金利は0.5%(=1%+▲0.5%)となる。この場合、中央銀行が量的・質的金融緩和とマイナス金利政策で、期待物価上昇率を2%に高めることができても、実質金利は1%で先に決まっているので、マクロ経済には何も刺激を与えられず、名目金利が3%(=1%+2%)に上昇するだけである。

 以上から、「実質金利と名目金利のどちらが先に決定するのか」という問題は、短期・長期での調整メカニズムを含め、金融政策の効果予測に大きな影響を及ぼす。

●デフレを深刻化

 なお、通常の経済学の教科書などではあまり議論されないが、フィッシャー方程式は、「期待物価上昇率=名目金利−実質金利」とも表現でき、名目金利がゼロやマイナスに陥った場合は、この式の見方や解釈も重要となる。

 たとえば、実質金利が1%で、名目金利がゼロのケースを考えよう。この場合、上式は「期待物価上昇率=−1%」となる。これは、「名目金利がゼロの経済では、実物資産の収益を表す実質金利と貨幣保有の収益が一致する」ことを意味する。

 この理解を深めるため、少々極論だが、いま物価が100円で、生産する財・サービスは1種類の財Xしか存在しないとしよう。すなわち、物価は100円なので、この財の現在の価格は100円である。このとき、1万円の貨幣を保有する個人はどうするのが最適で、1年後の物価(財Xの価格)はどうなるだろうか。

 まず、1万円をすべて使い、いま価格100円の財Xを100個購入すると、実質金利は1%であるから、1年後に財Xは1個増加し、101個になる。よって、1年後の物価(財Xの価格)をPとし、101個の財Xをすべて売却すると、101×P円の貨幣を得ることができる。

 他方、名目金利がゼロで何も投資せず、1万円を貨幣として1年間保有する場合、1年後の貨幣はやはり1万円である。その際、もし「101×P円>1万円」であれば、いま財Xを購入する者が増えるので、1年後の財Xの供給が増加し、1年後の物価(財Xの価格)Pは下落する。また、もし「101×P円<10000円」であれば、いま財Xを購入する者が減るので、1年後の財Xの供給が減少し、1年後の物価(財Xの価格)Pは上昇する。

 以上のメカニズムから、最終的には「101×P円=1万円」が成立し、これは1年後の物価Pが約1%下落し、約99円となることを示唆する。これが、「期待物価上昇率=−1%」の意味である。

 量的・質的金融緩和やマイナス金利政策で実物資産への投資を期待する向きもあるが、名目金利がゼロやマイナスに陥った場合、貨幣を財・サービスの取引動機のみでなく、各経済主体が資産として貨幣を保有する動機も高めてしまう可能性もある。これが、いわゆる「流動性の罠」である。

 その際、たとえば実質金利が1%の経済で、中央銀行がマイナス金利政策を導入し、名目金利を▲0.5%とすると、上述と同様、フィッシャー方程式(期待物価上昇率=名目金利−実質金利)から、期待物価上昇率は▲1.5%(=▲0.5%−1%)となる。

 これは、マイナス金利政策でも貸出需要が増えず、金融仲介機能が弱体化し、むしろ各経済主体が資産として貨幣を保有する動機が高まってしまう場合、マイナス金利政策はさらにデフレを深刻化させてしまう可能性を示唆する。

(文=小黒一正/法政大学経済学部教授)  

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