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「買われる通貨」と「売られる通貨」 原油価格のリバウンドでこう変わる(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/16/hasan107/msg/688.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 4 月 21 日 08:08:19: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


「買われる通貨」と「売られる通貨」 原油価格のリバウンドでこう変わる
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48495
2016年04月21日(木) 安達 誠司「講座:ビジネスに役立つ世界経済」 現代ビジネス


■原油価格の動向をどう見るか


このところ、中国経済があまりマーケットの話題に上らなくなっている。


4月19日時点でみた中国株の最近1ヵ月のパフォーマンスをMSCI(モルガンスタンレー・キャピタル・インターナショナル)の指数でみると+3.19%で、世界全体の指数のパフォーマンス(+2.36%)を上回っている(ちなみに日本は+1.19%)。


世界のマーケットが混乱していた2月に上海で開催されたG20で、大統領選を控えこれ以上のドル高を回避したい米国と、資本流出と人民元安のスパイラル的な危機を止めたい中国との間で、「ドル高・人民元安阻止」の方向で政治的利害が一致したとの噂がまことしやかに流れて以降、人民元安の動きは止まっている。


ちょうど時期を同じくして、今度は日本円の上昇とドル安が始まったことから、「円買い」が海外の投機筋の短期的な投資戦略として選択された可能性も否定できない。真偽のほどはわからないが、日本円、もしくは日本株はとんだ「とばっちり」を受けたのかもしれない。


ところで、このような中国市場の落ち着きにともなって、世界経済の不安定要因の一つであった原油価格も落ち着きを取り戻しつつあるとの指摘がある。例えば、原油価格の代表的な指標の一つであるWTI先物価格は、現在、1バレル=40ドル近辺で推移している。


1月終わりから2月中盤にかけて、WTI先物価格は1バレル=30ドルを割り込み、約25ドル程度にまで下落した。すなわち、現在の値は、最安値から約60%近い上昇を示したことになる。「後出しじゃんけん」的にみれば、原油先物への投資はかなりの収益を上げたことになる。



■「世界生産指数」では正当化できない価格変動


当たり前の話だが、原油価格の動向は、世界的な原油の需要動向に強く影響を受ける。そして、「世界的な原油の需要」を示す指標として、度々用いられるのが、「世界生産指数」である。


かつては「世界生産指数」なる指標は発表されておらず、主要国の生産指数をGDPのウェート等で集計して独自に算出したデータを使うケースが多かった。だが、最近では、主要国の生産指数と2ヵ月程度のタイムラグがあるものの、オランダのCPB(Central Planning Bureau、中央経済計画局)から毎月発表されており、非常にありがたい。


その「世界生産指数」をみてみると、直近時点(2016年1月)は、前年比+1.6%であった。確かに、この「世界生産指数」の伸び率は徐々に減速しているが、同時期の原油価格は「-32.9%」という大幅下落であり、「世界生産指数」の減速ではとても正当化できない。また、最近のリバウンドも同様に説明できない。


原油価格急落の理由について、多くの識者は、中国経済の減速による需要の減退を指摘してきたが、ここまで急激な落ち込みを需要の減退だけで説明するのは無理がある。


もし、過去における「世界生産指数」との関係から単純に考えると、現在の1バレル=40ドル近辺の原油価格は、世界生産がピークからリーマンショック期並みに減少しないと発生しないという計算になる(ここでは触れないが、イラン等の原油生産の増量についても同様である)。


一方、原油等の国際商品は、金融資産の一種とみなされる場合も多い(年金等の資産運用では、「代替(オルタナティブ)投資」といわれている)。そして、金融資産価格は「流動性」が大きな影響力を持つことが多い。その意味で、「米ドル」の供給量が原油価格に大きな影響を与えた可能性も考えられる。


■米国マネタリーベースとの関係はどうか


現在、「米ドル」の供給量を意味する米国のマネタリーベース残高は、約3.9兆ドルで、3月時点での対前年同月比伸び率は-1.2%となっている。米国のマネタリーベースは2015年6月以降、前年同月比でマイナスになる月が増えている。


また、大きく減速し、前年同月比で一桁台の伸び率になったのは、2014年11月からであるため、原油価格の急落と平仄が合っていると考えられなくもない(ちなみに、日欧の量的緩和拡大が米国のマネタリーベースの減少を相殺するという議論があったが、残念ながら、過去、日欧のマネタリーベースは原油価格と何の関係もなかった)。


しかし、マネタリーベースの伸び率の減速もそれほど急激なものではなく、やはり今回の原油価格の急落を正当化できるほどの変化ではない。もし、マネタリーベースの減少で原油価格の低下を説明しようとすれば、FRBが量的緩和局面で供給した超過準備をゼロにするくらいの減少が必要という計算になる。


多くの識者が、世界経済の減速や米国のさらなる利上げを予想しているが、リーマンショック並みの世界景気の落ち込み、及び、超過準備がゼロになるほどの極端な金融引き締めは想定していないだろう。そのため、現在の原油価格の水準をファンダメンタルズに基づく客観的な数値で正当化することは難しいと思われる。


確かに、前述の原油価格上昇要因に即して考えると、中国の成長率の減速は続くため、「世界生産」の減速は今後も続くだろうし、米FRBによる利上げの継続は、今後も米国のマネタリーベースの削減につながる可能性が高い。よって、世界生産と米国マネタリーベースから算出される原油価格の予想値が大きく反転するとは考えにくい。


■新興国・資源国通貨への投資の妙味


だが、現時点の原油価格は、既にこれら2つの指標から計算される推定値を大きく下回っている。そのため、今後の原油価格動向を考える場合に、「ファンダメンタルズ要因(特に需給動向)」はあまり意味を持たないかもしれない。せいぜい、「当面、1バレル=100ドルまで上昇する可能性は極めて低い」程度のものではなかろうか。


そして、このような局面では、得てして、予期せぬ形でリバウンドする可能性がある。最近の原油価格の動きもその一環である可能性が否定できないし、その動きを「ファンダメンタルズ」で説明することも不可能である。


このことは、原油価格などの国際商品市況への投資には、株式投資でいうところの「リターン・リバーサル」が有効である可能性が否定できないことを意味している。


さらに興味深いことに、新興国・資源国通貨の中には、原油価格の動きとかなり高い相関関係があるものとそうではないものが存在する。


日本人の投資家(特に個人)は、90年代前半のバブル崩壊で日本株の上昇が見込めなくなって以降、基本的に新興国・資源国通貨が大好きである。そして、これまでに様々な通貨の投資信託が販売され、人気商品となってきた。


だが、新興国・資源国通貨はボラティリティ(価格の変動率)が高いため、結局、大きな通貨下落に見舞われ、大きな損失を被って資産価値を減らした後、次の商品に乗り換えるということを繰り返しているように思われる。


そして、ここ数年は、新興国・資源国通貨は大幅に下落しており、日本人に限らず、投資家に大きな損失を与えている。だが、マイナス金利政策の実施や日本株の下落で、投資家の新興国・資源国通貨投資に対する関心はいまだに高いようだ。


そのような経緯もあり、筆者は、新興国・資源国通貨に投資するのはリスクがかなり高いのではないかと思うのだが、ここでは、敢えて、原油価格がリバウンドする局面で、どのような新興国・資源国通貨がリバウンドするかを考えてみたい。


■通貨毎に異なった動きをする可能性


そこで、BIS(国際決済銀行)が発表している名目実効為替レートの変化率と原油価格の変化率の間の相関関係(名目実効為替レートと原油価格の動きがどの程度連動しているかを示す統計的な数値、数値が高ければ高いほど、連動性が高いとされる)を、統計が発表されている1994年1月から2016年3月までの期間で計算してみた。


ただし、ここでは、原油価格が上昇する局面と下落する局面に分けて考えてみた。原油価格が上昇する局面と下落する局面では、新興国・資源国の経済に与えるインパクトが異なるため、それぞれの通貨との相関関係も変わってくる可能性があるためだ。


その結果が次ページの図表2である。ここでは、原油価格が反転・上昇した場合、同時に通貨価値が上昇(下落)する可能性が高い国の通貨を相関係数の順に並べてみた。



「ベスト10」は、今後、原油価格が反転した場合に、上昇する可能性が高い通貨である。カナダドル、オーストラリアドル、ノルウェークローネといった資源国通貨が上位となっている。


逆に、「ワースト10」は、原油価格が反転・上昇した場合、下落する可能性が高い通貨である。中国人民元、韓国ウォン、フィリピンペソなど、どちらかといえば、「資源を使う新興国」の通貨が並んでいる。


さらに「その他」には、「ベスト10」、「ワースト10」に入ってこなかった国の中で代表的な国が含まれている。日本人投資家に人気がある通貨として、ニュージーランドドル、ブラジルレアル、メキシコペソ、インドルピーなどが「その他」に分類される。


これらのうち、「ベスト10」に入る国の通貨は、「原油価格の反転・上昇」というシナリオの下で投資するのに魅力がある国であり、「ワースト10」はない国ということになる。「その他」は、「原油価格の反転・上昇」と通貨変動に関連性が見られない国ということになろう。


また、図表3は、原油価格の上昇局面と下落局面での相関係数の関係をプロットしたものである。カナダ、オーストラリア、ノルウェーは、原油価格の上昇・低下局面ともに相関が高いが、その他の通貨に関してはバラバラであることがわかる。



すなわち、これは、原油価格の反転・上昇シナリオの下で、原油価格下落局面で下落率が高かった国の通貨に逆張りで投資するという単純な投資は、上述の3つの国の通貨を除けば危険であることを意味している。


このように、今後は、新興国・資源国通貨といっても決して同じような動きをするのではなく、通貨毎に異なった動きをする可能性が高まっている。これから新興国・資源国通貨に投資する際にはこのことに注意する必要がある。
 

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