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「新幹線効果」北陸で急降下、地方経済に暗雲 上野泰也のエコノミック・ソナー 地域別短観の業況判断指数をチェック
http://www.asyura2.com/16/hasan107/msg/809.html
投稿者 軽毛 日時 2016 年 4 月 26 日 00:27:20: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

「新幹線効果」北陸で急降下、地方経済に暗雲
上野泰也のエコノミック・ソナー
地域別短観の業況判断指数をチェック
2016年4月26日(火)
上野 泰也

2015年3月の金沢への延伸開業から1年が経過し、消費者の関心が薄れてきたほか、中国など新興国のインバウンド消費の陰りもあり、「北陸新幹線効果」への期待値は下落した
 各地域を代表していると考えられる業種を1つずつ選び出した上で、日銀の主要支店から公表されている地域ごとの短観(企業短期経済観測調査)の「業況判断指数」(業況判断DI、景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた指数)をチェックする作業を、筆者は以前から行っている。
 主力業種として筆者が選んだのは、北海道と東北、それに四国が「建設」、東海と中国が「自動車」、近畿が「電気機械」、北陸と九州・沖縄が「宿泊・飲食サービス」である。
 このコラムでも1年ほど前に、地方経済の状況をチェックするため用いたことがある(2015年4月21日公開「建設・自動車業界に漂う先行き不透明感」を参照ください)。
公共事業関連やインバウンド消費関連で失速感が顕著
 この地域別短観の直近3月調査で同じ手法を用いたところ、浮かび上がってきた最大の特徴は、先行き(6月予測)に漂う「失速感」だった。
 公共事業関連に加えて、インバウンド消費の関連でも顕著になっている。
@「建設」の業況判断DIは、北海道と四国に加え、東北でも基調は右肩下がり
■図1:日銀短観 各地域で特徴的な業種の業況判断DI@

注:2016年6月は同年3月調査における先行き(6月予測) (出所)日銀札幌支店、仙台支店、高松支店
 北海道と四国では、「建設」のDIが2015年12月調査〜16年3月調査で水準を切り上げた。15年度補正予算(災害復旧・防災・減災事業に5169億円を計上)への期待感が押し上げ要因になったのかもしれない。だが、先行き(6月予測)はマイナス圏への急低下である。
 心配なのは、東北の「建設」の業況判断DIが、このところほぼ一本調子で下がってきていることである。14年12月調査の+37がピークで、16年3月調査ではほぼ半減の+19。先行き(6月予測)は+6となっている。
復興予算9兆円の4割が未執行
 国の予算措置と被災地の需要がかみ合っていないため、東日本大震災をうけて国が交付金などの形で支出した約9兆円のうち約4割にあたる約3兆6000億円が未執行になっていると、会計検査院が国会に報告した。人手不足や資材高騰によって公共事業の進み具合がはかばかしくないことに加え、そうしたベースの事情も影響を及ぼしているだろう。
A「自動車」の業況判断DIは、東海が引き続き水面下。中国は先行きが急低下
■図2:日銀短観 各地域で特徴的な業種の業況判断DIA

注:2016年6月は同年3月調査における先行き(6月予測) (出所)日銀名古屋支店、大阪支店、広島支店
 東海では、15年9月調査で「自動車」のDIが▲1に沈んだ後、2四半期連続でマイナス幅が拡大し、16年3月調査は▲6になった。先行き(6月予測)は▲5である。
 中国の「自動車」のDIは、東海よりもかなり高い水準を維持してきており、16年3月調査では+47に上昇した。ところが、先行き(6月予測)は+14への急低下である。円高ドル安が進行したことによる米国向けなどの自動車輸出の採算悪化が、部分的に見込まれている可能性がある。
 この間、近畿の「電気機械」のDIは、15年12月調査では+11だったが、日本の部品メーカーも発注を受けている米大手メーカーの新型スマートフォン販売台数が会社の計画を下回る中で、16年3月調査では▲10に急落した。先行き(6月予測)は+4になっている。しかし、日本経済新聞が4月16日に報じたところによると、このスマートフォンの前年同期比3割程度の減産は4-6月期も続けられる。近畿の「電気機械」が6月調査でマイナス圏を脱するのは、どうやら難しそうである。
B「宿泊・飲食サービス」の業況判断DIは、北陸で急低下。新幹線効果薄れる
■図3:日銀短観 各地域で特徴的な業種の業況判断DIB

注:2016年6月は同年3月調査における先行き(6月予測) (出所)日銀福岡支店、金沢支店
九州は観光客減少の可能性
 九州・沖縄では、15年9月調査で「宿泊・飲食サービス」のDIが+30まで上昇した後、15年12月と16年3月はともに+26になった。だが、先行き(6月予測)は+12への低下である。しかも、4月中旬には熊本・大分で大きな地震が何度も発生して被害が出ているため、韓国や中国から九州に向かう観光客が減少する可能性が高くなっている。
 北陸では、15年9月調査でピーク(+67)をつけた後、12月調査はほぼ同水準(+66)だった。ところが、16年3月調査では+41に水準を切り下げ、驚くべきことに先行き(6月予測)は+9まで急低下した。北陸新幹線の開業から時間が経って観光客の誘致効果がそろそろ薄れてきた可能性のほかに、中国など新興国の景気減速を背景にインバウンド消費の陰りが予期されていること、北海道新幹線が開業したのでそちらに観光客の関心が移った可能性も指摘できる。
 日本経済は成長力が弱く、しかも「力強く持続的なけん引役が不在」という弱点を内包している、不安定な状態である。円高急進行といった強いショックが加わると、景気はたちまち後退局面に陥るだろう。
 各地域を代表する主要業種の業況判断DIの直近のベクトルからも、日本経済のリスクがダウンサイドにあることが浮かび上がっている。


このコラムについて
上野泰也のエコノミック・ソナー
景気の流れが今後、どう変わっていくのか?先行きを占うのはなかなか難しい。だが、予兆はどこかに必ず現れてくるもの。その小さな変化を見逃さず、確かな情報をキャッチし、いかに分析して将来に備えるか?著名エコノミストの上野泰也氏が独自の視点と勘所を披露しながら、経済の行く末を読み解いていく。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/042200049/?ST=print

   

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