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33万人企業・トヨタ、複雑怪奇な組織体制へ異次元改造始動…なぜ機能する?(Business Journal)
http://www.asyura2.com/16/hasan108/msg/135.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 4 月 30 日 00:25:45: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

                  トヨタ自動車本社(「Wikipedia」より/Koh-etsu)


33万人企業・トヨタ、複雑怪奇な組織体制へ異次元改造始動…なぜ機能する?
http://biz-journal.jp/2016/04/post_14908.html
2016.04.30 文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント Business Journal


 トヨタ自動車の新組織が4月18日に発足した。今回注目されるのは、同社としては初めて導入されたカンパニー制だ。カンパニーといっても法人という意味ではない。子会社なども取り込んでいる「社内カンパニー」のことである。

 社内カンパニーには2種類あり、「小型車」「乗用車」「商用車」「高級車(レクサス)」という車のタイプごとの4カンパニーと、「先進技術」(自動ブレーキ、自動運転など)、「パワートレーン」(エンジン、トランスミッションなど)、「コネクティッド」(カーナビ、ネット対応など)の技術分野ごとの3カンパニーだ。

 新体制では、上記社内7カンパニーのほかに地域別事業責任主体として「第1トヨタ」(日本、北米、ヨーロッパなど先進国担当)と「第2トヨタ」(中国、東南アジア、中南米など新興国担当)が置かれた。
 7カンパニーと第1トヨタ、第2トヨタにはトップとして「プレジデント」(これも法人の社長という意味ではなく社内肩書きである)が置かれた。7カンパニーにはトヨタの専務が、第2トヨタには常務が任命された。第1トヨタのみトヨタ初の外国人副社長としてディディエ・ルロワ氏がルノーから移籍、着任した。
豊田社長、3度目の最大の組織改造


 豊田章男は2009年に社長に就任した。それ以降、大きな組織改造は今回が3回目でもっとも大きい。豊田氏が大胆な組織改造を行うようになったのは、トヨタ製車両の突然の加速問題をめぐり10年2月、米議会の公聴会に召喚されて証言をしてからのことだ。

「転機となったのは公聴会です」(「週刊東洋経済」<東洋経済新報社/4月9日号>より)

 こう自ら認めているように、修羅場くぐりを果たした経営者は、この大企業を自信に満ちて取り回すようになった。11年には取締役を27人から11人に削減し、意思決定の迅速化を図った。13年には第1トヨタ、第2トヨタという世界地域別のビジネスユニット制を導入している。

■事業部別組織と地域別組織

 2回の体制変更を経ての今回の新体制は、トヨタという巨大企業におけるいくつかの組織軸に沿って構成されているので、外部からは一見して理解しにくい。

 新設されたカンパニーから解説していく。前述した車のタイプごとの4カンパニーは、「事業部別組織」だ。それぞれのカンパニーという名前の事業部には製造子会社も含まれ、チーフエンジニアが複数いる。これは特定の車種について全権限を持つとされる。つまりパッケージ・グッズの会社におけるプロダクト・マネジャーである。

 短中期の新車種開発はもちろん、人事や調達などの機能も各車種別カンパニーが担う。プレジデントは年間60万台から500万台を販売する車メーカーの経営者の役割を果たしていくことになった。

 一方、技術分野ごとの3カンパニーは機能別組織ということになる。今回の新体制では、さらに以前から存した第1トヨタと第2トヨタという市場別組織がある。この2組織は当該地域・国別でのマーケティング上のアプローチに意を尽くすという役割だ。「地域別組織」としておく。

■グルーバル大企業で避けられない複層構造

 さて、トヨタは日本を代表する製造業企業として世界中でビジネスを展開している。その場合、各国でのビジネスは3種類の組織にどのように管掌されるのだろうか。答えは「全部が絡む」ということになる。

 マーケティングあるいは販売という切り口でみると、たとえばある国における小型車のビジネスは小型車というカンパニー、つまりプロダクト別の事業部に統括される。それぞれのモデルについては車種別カンパニーのなかにいるチーフエンジニアがその車の仕様について、また製造や生産においても権限と責任を持つ。

 ところが一方、その特定国をマーケットと見ると、「第1トヨタ」か「第2トヨタ」に分類される。

 このように、ある国でのあるビジネスについて複数の責任組織が介在するのを「マトリックス組織」という。「組み合わせ組織」または「交差組織」と理解すればいい。

 私はビジネスマン時代、米誌「フォーチュン」が毎年選ぶ優れた500社、いわゆるフォーチュン500社のうちの1社、社長時代にあっては別の同様企業や蘭フィリップスなどでマトリックス組織のなかで働いた。

 正直に言って、組織の内側で働く立場になると、マトリックス組織は面倒で不効率に思えた。というのは、レポート先が2つ存在するからだ。そしてとあるビジネス・イシューで見解が分かれると、両者の上層での合意、調整に時間を要することになる。場合によってはどこにも進めない事態に陥る。

 しかし、トヨタのように全世界で33万人もの従業員が働く巨大企業になると、マトリックス組織のように一見複雑な組織形態を採用しないとかえって不効率となり、組織運営そのものが円滑に進まないということは予想できる。

■さらに機能別カンパニーまで、社長の求心力とのバランスはどうなる

「組織は戦略に従う」という有名な言葉がある。経営史学者のアルフレッド・チャンドラーが1962年に著した書籍の翻訳タイトルから有名になった。これをもじって、「組織は規模に従う」という傾向を指摘できる。

 初動段階の企業は、その組織形態としては自然発生的に「機能別組織」をとる。業容や規模が拡大していくと事業部別組織を選択することがある。さらにトヨタのように大きくなるとマトリックス型組織に進む、という傾向が観察できる。

 しかし、組織形態はあくまで経営者の選択によるものだから、このステップを必ずしも踏むわけでもない。トヨタを見ても、メーカーとしてのトヨタ自動車工業からトヨタ自動車販売が1950年に分離設立されたのは機能別組織を強化する動きだったが、82年には自工・自販の合併により現在のトヨタとなった。

 そして大トヨタのなかで、豊田章男社長指揮下ですでに3回目となる今回の組織大変更だ。組織の変更が経営者の意思表明だと私は解説しているが、その時々の状況においての対応最適を目指すのなら、組織体制は停滞していてはならない。

 それにしてもこんな大企業を率いていく組織形態というのは一筋縄ではいかないもので、その証拠に前述のマトリックス構造に加えて、トヨタは技術分野別の3カンパニーを設置した。これらのカンパニーは、機能別組織となる。

 トヨタの新体制は、こうしてみると「あれやこれや」で代表的な組織構造を3つまでも混在させようとしている。このような新奇で大胆な組織体制が機能するのか、貢献するのか、大いに注目されるところだ。

 さらにトヨタの場合、特異的な経営要素としてみておかなければならないのは、豊田社長の存在だ。同氏は米国公聴会を契機に「吹っ切れた」(前出・週刊東洋経済記事)と自認しており、外部から言わせると「一皮剥けた」という表現ができる。創業家出身という出自も踏まえて、その求心力を大きく強めてきた。大トヨタを率いるヘッドオフィス機構として今回は4人の副社長を配置し、磐石の体制を敷いたようにみえる。

 新体制をロールアウトしたトヨタは、そして豊田氏はどんな地点まで到達しようとするのか。できるならば「21世紀の松下幸之助」と言われるまでのレベルを目指してほしい。

(文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント)
 

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