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天からの新札? ヘリコプターマネーは日本に恩恵をもたらすか  
http://www.asyura2.com/16/hasan108/msg/401.html
投稿者 軽毛 日時 2016 年 5 月 09 日 00:48:13: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

(回答先: 世界唯一のインフレファイター、ロシア中銀総裁語る 政府系金融機関の勢力拡大は異常事態との認識示す  投稿者 軽毛 日時 2016 年 5 月 09 日 00:46:26)

天からの新札?
ヘリコプターマネーは日本に恩恵をもたらすか
2016.5.9(月) 浜田 宏一
(写真はイメージ)
(東京より)

 世界経済は行き詰まっている。ユーロ圏は通貨統合によって自由になることはなく、かえって足かせをはめられている。日本はアメリカの金融正常化政策の減速によって苦しんでいるし、世界の新興国市場は中国の経済政策の失敗によって苦しんでいる。

 しかし世界経済の状態が悪いからといって、各国の中央銀行は、いまだ試されたことのない政策をそのリスクを無視して実行することはできない。とりわけ、多くの者が提案する「ヘリコプターマネーのばらまき」については。

*  *  *

 1969年にミルトン・フリードマンが(実際の提案ではなく)思考実験の一環として考え出した、「ヘリコプターマネーのばらまき」は、頭上でビューンと音を立てて飛ぶヘリコプターからお札をばらまくという夢のような光景から名付けられた。

 しかし、この「ヘリコプターマネーのばらまき」理論の要点は、単純に新札を(戻し減税などの形で)消費者に配れというものである(元アメリカ連邦準備制度理事会の議長であったベン・バーナンキは、最近「理事会に残された手段は何か?」という寄稿の中でこの施策を「マネーによる財政プログラム(MFFP)」と呼んでいる)。

 この50年以上の間、各国の中央銀行は度々、MFFPの実行を却下していた。しかし現在、総需要の低迷が長期化し、インフレが目標を下回り、経済成長の伸び率が減速している中で、世界の経済学者たちは血眼で「救いの手」を求めている。そして彼らの中には、「救いの手」すなわち「ヘリコプターマネー」を求めてヘリポートへ向かうという者もある。

 MFFPの著名な支持者、アデール・ターナーの新刊に『債務と悪魔の間』というものがあり、この本ではヘリコプターでばらまく貨幣の使い方に関して洞察力に富んだ思考実験をしている。ターナーと彼のMFFP支持者仲間たちは、一般市民の手の中により多くの貨幣を置くことは常に事実上歓迎される状況になると信じているようだ。

 彼らの見方によると、これは真の需要を後押しするための直截的な方法であるのみにとどまらない。国債を背負った政府の政治的制約や、経済全体の支出に対するMFFPのもっと直接的で効果的な影響力のために、この方法は国債で資金調達する景気刺激策にも効果があるだろうという。

*  *  *

 しかし、MFFPは大きすぎる需要を簡単に作ってしまいかねない。このシナリオにおいて、インフレが高まったときに残された保証は、政策担当者の慎重さしかない。

 だが、彼ら政策担当者がインフレを制限する動機は取り立てて大きくはないだろう。実際、歴史を振り返ると、政府は財政赤字を紙幣増刷で穴埋めするための強い動機があり、債務負担(そして効率的に差し押さえる借入預金残高)を減らすためのインフレはその結果として起こってきた。これが、なぜ歴史上、インフレはデフレに比べてより広く行き渡ったかの理由だ。

 それにもかかわらず、MFFPの提案はどれもこの傾向すら認識しておらず、ましてやこの傾向を回避するための条件を盛り込んでいるものはない。

 もちろん中央銀行は政府から独立しており、その政策は派閥政治によって方向づけられるものではなく完全に実用主義に基づいている、ということがはっきりと保証された機関である。しかし現実には、こういった運用は度々骨抜きにされてきた。今日、誰が、元アメリカ連邦準備制度理事会の理事長アラン・グリーンスパンを、賢明な判断を下せる模範であるといっていまだに支持し続けられるだろうか?

 大きな財政リスクは、いまだに政治的配慮に強く影響される傾向のある財政当局によってもたらされている。残念なことに、MFFPは、金融緩和を財政拡大に適応させることで、効率的に、財政当局に通貨当局を上回る権力を与えている。

*  *  *

 ターナーは、「ヘリコプターマネーのばらまき」は特に日本に恩恵をもたらすと考えている。彼の見方によると、MFFPは日本の債務負担をこれ以上増やすことなく需要を喚起する理想的な解決策であるという。

 しかし日本の巨額の公債負担は、公債の貨幣化を通じてインフレを刺激する潜在力ゆえに危険なのである。よって、この状況によると、MFFPを導入することは危険であるように見える。MFFPは物価をさらに不安定にする政策だからである。

 日本は過去に同じ間違いを犯したことがある。1931年、高橋是清蔵相は、国内経済再生のために国債で資金調達する財政拡大の政策をとった。

 しかし、高橋蔵相は、財政支出を抑える時期を分かっていた。そして1934年、彼は支出を抑えようとした。彼は軍事支出を減らそうとしたが、軍部からの強い反対に遭い、1936年に暗殺されて終わった。彼の後任者は新札発行によって軍事費を膨張するままにした。これが急激なインフレを刺激し、インフレは第2次世界大戦後の復興期まで制御されないままだった。

 今日、安倍晋三首相は日本経済再生のための「アベノミクス」の中心計画として金融緩和策をとり、特に労働市場において有益な成果を上げている。有効求人倍率は1.28と、1991年以来最も高い倍率に達している。パート従業員の給料の増加率は、日本の歴史上初めて、フルタイム従業員の増加率を超えた。

 それだけではない。食料品価格は上がり始めた。日本企業は大きな利益をあげ始めた(日本の株式は過小評価されているようだが)。そして、国内総生産(GDP)の成長率はとても緩やかであり、時にマイナスに転じるとはいえ、国民総所得は徐々に上がっていっている。日本はインフレを引き起こすリスクを冒すより、この前途有望な道をたどっていくべきであることは明らかだ。

 そして、実際に、ターナーでさえもこのシナリオに適応するような代替案を提案している。彼は、日本が現在の金融緩和の方策をとり続け、来るべき消費税増税を延期することを推奨している。それによって、インフレに対する予防措置を維持しながら需要が刺激されると彼は言う。

 財政刺激策と金融緩和が常に連携できるとは限らないが、現在の日本の状況に鑑みると、この提案にもうなずける。

(本稿は英語で書かれた原稿を日本語に翻訳したものです)

© Project Syndicate, 2016.
www.project-syndicate.org

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46783
 

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コメント
 
1. 2016年5月09日 08:30:38 : nJF6kGWndY : n7GottskVWw[1420]

>ヘリコプターマネーは日本に恩恵をもたらすか

トータルで言えば、短期的には雇用や企業利益、CPI2%達成にとってプラス、

長期的には企業や政府の改革意欲の阻害、愚民化が加速してマイナスといったところだ



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