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キリン、似たようなビールばかり売る業界と決別…多彩な驚きのビール販売に大転換(Business Journal)
http://www.asyura2.com/16/hasan108/msg/628.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 5 月 16 日 00:32:09: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

               キリンホールディングス社長の磯崎功典氏


キリン、似たようなビールばかり売る業界と決別…多彩な驚きのビール販売に大転換
http://biz-journal.jp/2016/05/post_15102.html
2016.05.16 文=中村芳平/外食ジャーナリスト Business Journal


 キリンビールがクラフトビールと本気で取り組むきっかけになったのは、14年にクラフトビール業界最大手のヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町、1996年設立、井手直行社長)と資本・業務提携し、生産の一部を受託することになったことだ。その立役者がキリンビールの持ち株会社キリンホールディングス(HD)現社長の磯崎功典氏である。

 磯崎氏は2012年3月にキリンビール社長に就任した。社長就任3カ月後の12年6月、セブン‐イレブンと連携してつくった「GRAND KIRIN(グランドキリン)」を発売した。「一本で満足できるスペシャリティ・プレミアムビール」をコンセプトに、国内最軽量の330mlワンウェイびんを使用した。店頭価格238円(税込)とやや高めの設定であったが、セブン店舗約1万4000店で先行販売、個性的でクラフトビール的なところが受けて、予想外にヒットした。

 キリンにとっては「小さな成功」であったが、これを引き金に「ラガー」と「一番搾り」の2本柱を中心とした従来の大量生産・販売型のビジネスモデルから、多品種少量生産型のクラフトビールも売るビジネスモデルへの転換を模索した。

 磯崎氏がクラフトビールへの参入を決断したきっかけは、ヤッホーブルーイングとの資本・業務提携が水面下で動き出したことだった。ヤッホーブルーイングは一時期、経営不振で破綻の危機に直面したが、楽天市場に通販サイト「よなよなの里」を出店、インターネット販売で顧客を掴み浮上し、06年から15年まで9期連続で増収増益を達成している。

 12年には看板の「よなよなエール」がモンドセレクション最高金賞を受賞し、14年10月にはローソンとコラボして開発した「僕ビール、君ビール。」(350ml缶、288円)が累計150万本を突破、ローソンの店舗売上でビール大手4社を追い抜くようになった。売上高は小さかったが、ヤッホーブルーイングはビール大手5社に次ぐ第6位に躍進したのだ。

■ヤッホーブルーイングとの提携

 そのヤッホーブルーイングは増収増益が続き生産が間に合わなくなってくると、資金のかかる自社工場を増設せず、ビール大手と資本・業務提携して自社製品を委託生産しようとした。同社は複数のメーカーに話を持ちかけたようだ。

 ここでポイントになったのが、ヤッホーブルーイングの親会社の星野リゾート社長・星野佳路氏の人脈だ。星野氏は慶應義塾中等部入学、以来卒業するまでアイスホッケーに明け暮れた。1983年に慶大経済学部を卒業後、84年〜86年に超名門の米国コーネル大学ホテル経営大学院に学び、修士課程を修了している。留学中に飲んだクラフトビールの味わいが忘れられず96年にヤッホーを設立した。

 星野氏とキリンHD長の磯崎氏は非常に親しい関係にある。磯崎氏は77年に慶大経済学部卒業、キリンビールに入社後、88年8月から米国コーネル大学ホテル経営学部に留学した。星野氏は大学院で磯崎氏は学部だが、両者は慶大、コーネル大で同窓である。日本にはコーネル大学卒業生の同窓会組織があり、ホテル、食品、外食産業など錚々たる面々が名を連ね、定期的に交流を行なっている。星野リゾートの軽井沢のホテルが会場になるケースが多いといわれる。

 これは推定だが、磯崎氏と星野氏の親しい関係から見て、キリンのヤッホーブルーイングへの出資、資本・業務提携は比較的早い時期に決まっていたと思われる。キリンにとっては渡りに舟のビッグ案件だった。というのも、キリンは全国に9工場を展開しているが(業界トップのアサヒビールは8工場)、ビール類戦争でシェアを減らしていくなかで、工場が稼働率を落として苦しんでいたからだ。

 9期連続増収増益中のヤッホーブルーイングと提携し、15年から同社の製造の4割を受託することで、工場の稼働率は上がる。そればかりでなくキリンは今年4月、クラフトビールを代表するブランド「よなよなエール」の大樽を製造、飲食店向けに販売を始めた。クラフトビールやビアパブ・ブームが広まるなかで、人気のある「よなよなエール」は飲食店が欲しがる商材である。キリンは飲食店開拓の武器に「よなよなエール」の樽生を持つことになったのだ。

 キリンはヤッホーブルーイングとの提携を引き金に、自らもクラフトビール市場への参入を決断した。

 もともとキリンは横浜工場内にマイクロブルワリー併設の店舗を保有し、古くからクラフトビールを製造・販売してきた。

 小規模の醸造施設は、大型商品を開発する時の実験的な施設にもなったからだ。キリンは15年3月に横浜工場内に「スプリングバレーブルワリー横浜」を開業、15年4月には東京・渋谷区代官山にスプリングバレーブルワリー東京を開業した。これによってキリンはクラフトビール業界のリーディングカンパニーに躍り出た。

 キリンはクラフトビール市場への本格参入に合わせるように15年10月、全国47都道府県ごとに味の違いや個性を楽しめる「47都道府県の一番搾り」を、16年の春から夏にかけて順次発売すると宣言した。「47都道府県の一番搾り」は、クラフトビール感覚でつくられるビールだ。これまでの日本の単品大量生産で効率を追求するビールづくりとは異なり、非効率でコストがかかる。だがキリンは、ビールの多様化戦略に舵を切ったのである。

■クラフトビール市場に活路を求めた理由

 キリンが「ビールの復権には長期的戦略で取り組むべきだ」と、クラフトビール市場に本格参入した15年度は、「クラフトビール元年」だといわれる。

 国内のクラフトビール(地ビール)市場は、15年度で醸造所数が250カ所、銘柄数が累計で564点。資金的にも余裕の少ない小規模醸造所が乱立し、廃業に追い込まれるところも多い。クラフトビール市場は15年度でビール類全体のシェアは出荷ベースで0.7%程度、金額ベースで1.4%程度と推定される。一方、クラフトビール先進国の米国では14年度で出荷ベースのシェアは7.8%、金額ベースで14.3%もあるといわれる。日米のクラフトビール市場の差が大きいのは、酒税法の規制によるところが大きい。

 米国では家庭用ビール醸造キットで自らビールをつくることが許可されている。手づくりでビールをつくることで、クラフトビールの良さを理解し、ファンになっていく。このような底流が米国のクラフトビール人気を高めている理由だ。これに反し日本では梅酒や甘酒などつくることはともかく、自宅でビールをつくることは酒税法で禁じられている。このため手作りのクラフトビールの人気もなかなか高まらなかった。

 そんななかで近年、輸入ビールを30〜50種類くらい取り揃えたビアパブ、クラフトビールが若い人たちの人気になっているのは、若い人たちが海外旅行などで世界のビールやクラフトビールを飲む機会が増えてきたからだ。海外で魅力的なビール体験をした人たちは、帰国後も海外で飲んだビールを求めるのが常だ。グローバル化の進展や訪日外国人2000万人時代などの新しい現実が、日本のビール類市場にピルスナータイプ一辺倒のビールだけではなく、新しい魅力的なビール、つまりビール類の多様化を求めているのだ。

 キリンが市場規模の小さなクラフトビール市場に本格的に参入、一方では「47都道府県ビール」というクラフトビール的な地域密着型ビールの新発売に踏み切ったのは、まさに「歴史的な出来事」であった。100年以上続くビール業界の歴史は淘汰再編の歴史であり、キリンの「ラガー」、アサヒビールの「スーパードライ」など単品大量生産、稼働率向上、効率化追求の歴史であった。キリンはあえてクラフトビールと「47都道府県一番搾り」のコスト増、非効率化を選択した。

 裏を返せばキリンにそれだけ危機感が強いということだ。少子高齢化、人口減少社会のなかでビール類市場がこのまま縮小していくのは確実だ。そんななか、ABインペブが日本市場に参入する。国内ビール4社のどこが買収されてもおかしくはない世界のビールの巨人の出現だ。もはやこれまでのようにビール4社が生き残る時代は終わったように思える。ビール類業界の関係者が語る。

「たとえば九州にはアサヒの博多工場、キリンの福岡工場、サントリーの熊本工場、サッポロの大分県九州日田工場があります。ビール類市場がこれからも縮小していくのが確実ななかで、九州だけでみても4工場もあるのは多すぎると思います。2工場もあれば生産量は十分間に合います。ビール類事業は装置産業です。生産量が減って稼働率が損益分岐点を割れば、工場閉鎖は避けられないでしょう。今後、工場閉鎖問題とビール4社の再編問題が再びクローズアップされるのではないでしょうか」

 キリンはビール類市場が04年から11年間減少続けるなかで、それと歩調を合わせるように長期低落を続けてきた。しかしながら、磯崎氏がキリンのリーダーシップを執り事業モデルの転換に踏み切ったことで、前向きな変化が生まれてきたような気がする。

 磯崎氏は「ビール市場が11年連続で減少してきた以上、ビールの復権には10年以上の長期戦で取り組むべきだ」と腹をくくったのではないだろうか。磯崎氏が推進したスプリングブルワリー(SVB)東京が、今年4月、開業1周年で年間約26万人を集客した意味は決して小さくない。なぜなら「年間26万人の集客を10年続ければ260万人集客」することになる。つまり「10年経ったら新しいビアカルチャーが育ち、10年経ったらキリンさん」という時代がやってくるということだ。

 キリンは「47都道府県の一番搾り」についても長期戦略で取り組む構えだ。それが市場に受け入れられるのか、受け入れられないのか。「47都道府県一番搾り」が市場に受け入れられるようであれば、2〜3年後にキリンの大逆襲に発展するかもしれない。

 キリンがビール類市場に地殻変動を起こせるのか。今年は正念場だといえる。

(文=中村芳平/外食ジャーナリスト)
 

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コメント
 
1. 2016年5月17日 20:31:02 : pqOmvGCP9A : Z1yCzvOh8N0[241]
地域性 餌に身内で 出来レース

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