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朴大統領は、三重苦に陥った韓国経済をどうするのか （ＡＰ）
【断末魔の中韓経済】窮地に陥った韓国経済 朴政権の死に体化で対応不能の可能性大
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160520/frn1605201140001-n1.htm
2016.05.20 夕刊フジ
★（４）
前々回、《韓国は経済の輸出依存度が高いため、少子化による人手不足環境下で、生産性を向上させるという経済成長の王道は進めない》と書いたが、その通りの展開になっている。
韓国の２０１６年１−３月期の経済成長率はわずか０・４％（対前期比、以下同）と、ＭＥＲＳ（中東呼吸器症候群）問題で景気が一気に失速した、１５年４−６月期以来の低成長に終わった。しかも、中身がよろしくない。
まず、民間最終消費支出がマイナス０・３％。何と、ＭＥＲＳの蔓延（まんえん）で消費低迷に襲われた１５年４−６月期（マイナス０・１％）を上回る、ひどい数字になっている。
民間企業設備はマイナス５・９％。韓国の設備投資はマイナス成長になったのは、１４年１−３月期（マイナス１・１％）以来である。
そして、問題の輸出だ。財（製品）の輸出はマイナス２・９％と、中国をはじめとする新興経済諸国の輸入減少の悪影響が表面化し始めている。
韓国の財の輸出依存度は４０％を超えているため、財の輸出が対前期比３％前後の減少が継続すると、年間のＧＤＰ（国内総生産）に４〜５％の下落圧力がかかる。しかも、現在の韓国は消費や設備投資までも減少しているため、政府による大規模経済対策以外には、景気失速を食い止める手段は見当たらない。
経済協力開発機構（ＯＥＣＤ）は１６年の韓国経済成長率の見通しについて、昨年１１月時点の３・１％から２・７％へと、０・４％ポイント引き下げた。とはいえ、現在の韓国の輸出低迷が続く限り、２％台どころか、１％台、０％台の成長すら難しいと予想する。
とにもかくにも、輸出依存度４割強の国が、世界的な貿易縮小という災厄に見舞われているわけだから、シャレにならない。
無論、政府が大々的に財政出動に踏み切り、成長率を底上げすることは可能だ。とはいえ、問題は現在の韓国がほとんど「政治不在」に陥ろうとしている点である。
今年４月の韓国総選挙では、事前の予想では有利とみられていた与党セヌリ党が敗北。過半数を大きく下回ってしまった。韓国が少数与党体制になったのは、何と１６年ぶりの出来事だ。
朴槿恵（パク・クネ）大統領の支持率３１・５％まで下がり、朴政権は完全にレームダック（死に体）化してしまった。朴政権が経済を下支えするために、補正予算を通そうとしても、国会で頓挫する可能性が濃厚だ。
「世界的な貿易の低迷」と「国内の民需の停滞」「政治不在」の、三重苦に陥ってしまった韓国経済は、１６年にマイナス成長に転落する可能性すらあるのである。
■三橋貴明（みつはし・たかあき） １９６９年、熊本県生まれ。経済評論家、中小企業診断士。大学卒業後、外資系ＩＴ業界数社に勤務。現在は「経世論研究所」所長。著書に『中国崩壊後の世界』（小学館新書）、『２０１６年 中国・ユーロ同時破綻で瓦解する世界経済 勝ち抜ける日本』（徳間書店）など多数。
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