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日本企業に資本主義の洗礼 「約束の地」でない海外市場(産経新聞)
http://www.asyura2.com/16/hasan109/msg/243.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 5 月 29 日 12:30:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

                アンサルドSTSの株価(写真:産経新聞)
 

日本企業に資本主義の洗礼 「約束の地」でない海外市場
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160529-00000508-san-bus_all
産経新聞 5月29日(日)10時45分配信


 イタリア北西部ジェノバに本社を置く信号大手アンサルドSTS(STS)は、欧州標準に対応した鉄道信号システム「ERTMS」で知られる日立製作所の連結対象会社だ。そんなハイテク企業の監査役会宛てに4月9日、物騒な手紙が届いた。

 手紙が糾弾したのは、STSの事業保護の不徹底▽一部取締役による利益相反の疑い▽不適当な外部意見が企業価値算定に影響を与えた可能性▽一部取締役の独立性への疑義−という4点。イタリア民法典に従って監査役会に調査を求める内容だった。

 差出人は、ニューヨークを本拠地とする米ヘッジファンド、エリオット・マネジメント。STS株を実質29%握っている。エリオットはこの手紙をイタリア証券取引委員会(CONSOB)にも送付していた。大株主が反乱を起こしたのだ。

 日立による欧州鉄道事業の拡大計画に不透明感が漂ってきた。経緯はこうだ。

 2015年2月、日立はイタリアの防衛・航空大手フィンメカニカ傘下の鉄道車両製造部門を担うアンサルドブレダ(ブレダ)の一部を除く事業と、フィンメカニカが保有するSTSの発行済み株式40%相当分を買収すると発表した。日立の企業買収としては過去最大規模だった。

 日立は、同年11月に買収が完了し、今年1月からはSTSの完全子会社化に向けた株式公開買い付け(TOB)を始めた。だが、1株10ユーロ(約1220円)に満たない買い取り価格に対し、エリオットなど残りの株主が「買い取り価格が安すぎる」と騒ぎ始めた。エリオット側はまた、類似企業の買収例を持ち出して「15ユーロの価値がある」と迫ったのである。結局、日立は3月にSTSの完全子会社化を断念すると発表。TOBで追加取得した株式は6・5%程度にとどまった。

 STSは5月半ばに株式総会を開催。日立は9人いる取締役のうち6人を押さえたが、エリオットは3人を送り込むことに成功した。これでは、STSを日立の欧州鉄道事業に完全吸収できない。

 日立が「獅子身中の虫」を抱えてしまった原因をたどると、非上場で赤字企業のブレダと、上場する優良企業のSTSが「セット販売」された取引に行き着く。

 M&A(企業の買収・合併)の世界では、買い手が株価実績に上乗せ(プレミアム)した値段で被買収企業を買うのが常だ。経営刷新や相乗効果によって高まった被買収企業の企業価値の一部を元の株主に還元するのである。

 フィンメカニカの立場からすると、60%の株式を他人に握られていたSTSよりも、100%を保有するブレダの方に、日立からプレミアムを払ってもらった方が得だ。

 仮説だが、公開情報をもとに算定する限り、フィンメカニカはSTSよりもブレダを割高に売りつけることで、日立が2社合計で支払うプレミアムを独占したのではないか−。実際、イタリアの現地報道によると、コンサルティング会社がSTS株を「1株14ユーロ」で査定したとされる。

 一方、STSの株主はブレダとは無関係にある。「本来ならばSTS株主に支払われるはずの価値創造分がフィンメカニカに流れた」とにらんで不思議ではない。

 エリオットは資本主義の権化だ。とにもかくにも高い買い取り価格を願った。とはいえ、「価格算定」という経済行為の妥当性を訴訟提起するのは難しいので、取締役の義務違反を問うと同時に、取締役を送り込む格好で揺さぶりをかけているのだろう。

 日本の鉄道事業は、海外に売り込みをかけるうえで通信システムが弱点だったとされる。この点、STSに注目した日立の戦略眼には二重丸をあげたい。STSを買いたたいたとしたら、それはそれで日立株主の利益となる。

 だが、STS株主の出方を見誤った。イタリアは外資には開放的でないお国柄なので「セット販売」が条件だったかもしれないが、少数株主保護やガバナンス(企業統治)の観点で隙をつくった。

 ヘッジファンドが回遊し、助言役の金融機関と弁護士は手数料を狙う。現地経営者は自己の権限拡大が主眼だ。ただでさえPMIと呼ばれるM&Aの統合作業が苦手な日本企業にとって、海外は必ずしも「約束の地」ではない。

 ちなみに、日立とエリオットはそれぞれ、産経新聞に対し、「ブレダ、STSともに適正価格で買収した。当社は常に厳格な行動規範に従っている」、「日立はブレダとSTSを同時に買う必要がなかった。法務戦略にはコメントできない」と回答した。(ニューヨーク駐在編集委員・松浦肇)

 

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