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消費増税延期から見えてきた「4つの瀬戸際」(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/16/hasan109/msg/562.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 6 月 08 日 08:17:40: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

消費増税延期から見えてきた「4つの瀬戸際」
http://diamond.jp/articles/-/92659
2016年6月8日 森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員] ダイヤモンド・オンライン


■踏みにじられた公約の行方
 消費増税延期で見えてきたこと



消費増税延期から見えてきた「日本の瀬戸際」を、4つのポイントにまとめてみた


 今回の安倍政権による消費増税延期から見えてきたことを、4点にまとめてみた。


 第一は、消費増税がまたも「政争の具」となったということだ。


 国民全員に負担増を求める消費税は、これまで多くの政権の基盤を揺るがせてきた。しかし、それでは我が国の社会保障の充実は図れないし、財政再建も進まない。そこで、民主党政権時の2012年、税・社会保障一体改革として「三党合意」が行われ、消費税率の8%、10%への段階的引き上げが合意された。


 安倍政権は、14年4月からの8%引き上げは行ったものの、10%への引き上げは17年4月に先送りし、今回それをさらに19年10月に延期した。ところが今回、10%への引き上げの延期を先に決断したのは民進党である。自民党より先に消費増税の先送り法案を出したわけで、自ら「三党合意」を踏みにじったということである。


 このことは「今後も消費増税は政争になる」ということを暗示している。結局選挙の前は引き上げない、引き上げられないということになり、平均1年半おきに選挙が行なわれる我が国において、消費税率10%への道は見えなくなった。


 第二は、そのこととも関連するが、民進党の戦略は全くの失敗だということだ。


「消費増税と社会保障充実をセット」で訴え、自民党と対立軸をつくるという政策がなぜ取れなかったのだろうか。そもそも消費増税は、直前の世論調査を見ても、国民の30%程度は「やむを得ない」として賛成していた(60%は反対であった)。この数字は民進党の支持率である10%強よりはるかに多い数値である。


 この層をうまく取り込み、参議院選挙の対立軸をつくることこそ、民進党の活路を開く道ではなかったのか。故高坂正堯先生のアナロジーではないが、世の中には、「冷淡軽税国家」と「親切重税国家」の2つしかないはずだから。


 民進党は消費増税を先送りしたことから、「赤字国債で社会保障充実を」と言っているが、それこそ最悪の選択である。自民党の「恒久財源を確保しながら社会保障充実を」と言う方が、本当に恒久財源の確保ができるかどうかは別にして、はるかにまともな政策だ。新たに選挙権を付与される18歳、19歳の若者に対して、将来世代への負担先送りを避けることの必要性・重要性を訴えるチャンスも逃してしまった。


 第三は、これで「2020年プライマリーバランス黒字化」という我が国の財政再建目標(いまだ世界公約)は、99.9%達成が不可能になったということである。


そもそも17年4月に消費税を10%に引き上げ、アベノミクスがうまくいったとしても(実質2%、名目3%)、2020年のプライマリー黒字化にはいまだ6.5兆円が不足する。そこで20年には10%を超えるもう一段の消費税率の引き上げが必要とされていたわけだが、19年10月に10%引き上げではその可能性は全くなくなり、公約が達成できないことが今回明らかになった。


 このことに関連して、消費税を引き上げても経済が落ち込み、かえって税収減が起きるということが、少なからぬ政治家・エコノミストから言われている。04年は消費税率を引き上げても法人税・所得税ともに増加しているので、1997年のことを指してのことであろう。


 97年の一般会計税収は53.9兆円、所得税19.2兆円、法人税13.5兆円、消費税9.3兆円である。10年経過した07年の一般会計税収は51.0兆円、所得税16.1兆円、法人税14.7兆円、消費税10.3兆円となっており、97年と比べると税収は2.9兆円ほど落ち込んでいる。この税収減の主因は、その間行われた所得減税・法人減税(いわゆる小渕減税)や、国から地方への税源移譲(小泉内閣)であって、消費増税のせいではない。


 07年の所得税収に小渕減税の0.2兆円(当初2.9兆円、うち2.7兆円は取り返し)、地方への税源移譲分の3兆円を加えると、97年とほぼ同じ水準になる。法人税についても、07年の税収14.7兆円に小渕減税分1.7兆円を加えると16.4兆円となり、97年の税収である13.5兆円をはるかに上回っている(この間法人税率を引き下げたが税収は増えている)。


 政治家はともかく、経済分析のプロである(はずの)エコノミストと称する人までこうした論を語っているのは、彼らの真贋を見極める判断材料というべきだろう。連載第23回で詳細に分析しているので参照されたい。


■もはや日本は本気で
 歳出削減を目指すしかない


 そして第四に、今後社会保障を充実させ、財政再建も目指すのなら、本気で歳出削減をすること(たとえば年金支給開始年齢の2、3年の引き下げ)しか残された道はないということである。


 国民の消費増税反対の論拠をたどると、「税金の使い道に問題がある」という声が圧倒的に多い。図表1は、先進諸国の財政バランスを表したものである。各国ともリーマンショック後の09年に財政バランスを大きく悪化させているが、その後急回復している。一方、赤線の我が国だけが横ばいとなっている。この違いは、税収ではなく各国の歳出削減努力によるものである。


◆図表1:主要国の財政の改善ペース(財務省資料)



 今回の増税延期でますますこのギャップが大きくなった。日銀が国債を大量購入しているうちは異常事態は生じないが、出口はいずれ必ず来る。来なければ、アベノミクスは永遠に失敗ということだ。インフレターゲット2%が達成され、日銀がノーマルな政策運営に戻った後の我が国の財政の姿(社会保障の姿、国債利払い費の姿)がどのようなものか、一度想像力を働かせてみる必要がある。


 

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