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アングル：大量失業による中国社会不安は杞憂か
６月２４日、中国で大量の失業が発生し、社会不安を引き起こすのではないかとの見方は杞憂なのか。写真は求人情報を見る男性。河南省で２０１４年２月撮影（２０１６年 ロイター/Jason Lee/File Photo）
６月２４日、中国で大量の失業が発生し、社会不安を引き起こすのではないかとの見方は杞憂なのか。写真は求人情報を見る男性。河南省で２０１４年２月撮影（２０１６年 ロイター/Jason Lee/File Photo）
［聞喜（中国） ２４日 ロイター］ - 中国政府の統計によると、中国国内における１６歳から５９歳までの労働力人口は２０１２年以降縮小が続き、１４年は３７１万人、昨年は４８７万人それぞれ減った。農村部から都市部に働き口を求めて流入する労働者の数も以前ほどではなく、彼らは仕事が見つけやすくなっている。
これは何を意味するのか。つまり製造業が過剰設備削減を進めるとともに大量の失業が発生し、社会不安を引き起こすのではないかとの見方は、杞憂なのかもしれないということだ。
ある３４歳の男性は、北部の山西省の製鉄所の仕事を失った。その後１０００キロ離れた電子機器工場で職を得たという友人の話に励まされて沿海部の蘇州市まではるばる職探しの旅に出かけたところ、いとも簡単に再就職できた。「初日に健康診断を受け、２日目には働き始めた」と話す。
昨年の中国の経済成長率は７％弱と２５年ぶりの低い伸びにとどまり、政府は製造業の過剰設備圧縮と消費・サービス主導型への経済構造転換を進める中で、失業者が増えると警鐘を鳴らしている。
３月には複数の関係者が、今後２─３年で国有企業の従業員５００万─６００万人が解雇されるとの想定を明らかにした。
ただノムラの中国エコノミスト、チャン・チュン・フア氏は、労働市場が当面、失業増大圧力に対処できるとみている。
労働力人口がどんどん減ってきているのと同時に、今年１─３月には新規雇用者数が５７７万人と予想以上の規模になった。フア氏は「全体として現在の失業増大圧力は中国政府にとってまだ管理可能な範囲内だ」と述べた。
政府統計からは、中国全体で見ると農村部からの出稼ぎ労働者の数が伸び悩んでいることも分かる。
昨年、本籍地から他の地域に移動した労働者の数はほぼ横ばいにとどまった。ナティクシス（香港）のシニア新興アジアエコノミスト、Trinh Nguyen氏は「賃金上昇圧力と労働力人口減少を踏まえると、こうした労働者の交渉力は強まりつつある」と指摘した。
＜難しくない仕事探し＞
中国政府が公表している失業率は、経済成長の急速な下振れにもかかわらず、何年も４％近辺で推移してきた。だが多くのエコノミストは実際はもっと高いのではないかと疑っている。
調査会社ファゾム・コンサルティングは６月に発表したリポートで、本当の中国の失業率は昨年が１０．１％で、今年は１２．９％に上昇する可能性があると推計した。
もっとも別の調査会社ガベカル・ドラゴノミクスのエコノミスト、Cui Ernan氏は「重要な問題は労働者がどんな職業に就けるか、また新たな職場の賃金水準はどれぐらいかにある」と述べた上で、職種や賃金への期待値を下げれば仕事を見つけるのはそれほど難しくないとの見方を示した。
鉄鋼市況の回復で操業を再開した山西省のある製鉄所に４月に再就職した男性は、近くのコークス炭製造施設から移ってきた。製鉄所がまた閉鎖されても、すぐそばにいくつもあるコークス炭製造施設で働けば良いと話し、雇用に関して特に不安を感じていないようだ。
（John Ruwitch記者）
http://jp.reuters.com/article/china-labour-employment-idJPKCN0ZA0GU?sp=true
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