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英国のEU離脱、未曾有の世界同時景気後退の兆候…欧米各国、自国第一主義で協調崩壊(Business Journal)
http://www.asyura2.com/16/hasan110/msg/386.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 6 月 29 日 00:41:45: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

             イギリス、欧州連合離脱で国際金融市場が大荒れ(「AP/アフロ」より)
  

英国のEU離脱、未曾有の世界同時景気後退の兆候…欧米各国、自国第一主義で協調崩壊
http://biz-journal.jp/2016/06/post_15674.html
2016.06.29 文=真壁昭夫/信州大学経法学部教授 Business Journal


 6月23日、英国の欧州連合(EU)離脱を問う国民投票が382の選挙区で実施された。その結果、52%の有権者が離脱を支持し、EU離脱=ブレグジットが決まった。経済力・文化、言語などが異なる多くの国の共同体を目指したEUにとって、離脱を選んだ国が出たのは初めてだ。これは、欧州が新しい時代への扉を開いたことを意味し、明るい将来よりも、EUの崩壊につながる扉になるかもしれない。

 一方、国民投票の結果、英国も新しい歴史のページをめくったことになる。それは大英帝国の終焉につながる危険な扉だ。EU残留が過半数を占めた北アイルランドとスコットランドでは、ともに英国からの独立を目指す考えが表明されていた。今回、英国のEU離脱が決定したことをきっかけに、北アイルランドとスコットランドの独立の機運が高まると考えられるからだ。

 そうした状況を映して、当面、世界の金融市場は不安定に推移する可能性が高い。すでにキャメロン首相は10月までに辞任することを表明し、EU離脱交渉は新政権にゆだねられることになった。どのように英国が離脱交渉を進めるかは不透明だが、英国、EUの政治が大きな転換点に差し掛かっていることは確かだ。

 歴史的にみても、英国は欧州の中でも視野が広く国際政治の経験も長い。国民投票で移民問題への不満を主な理由に英国が離脱を選んだことは、欧州全体にとっても大きなマイナスだ。世界経済の足を引っ張る可能性も高い。日本経済にも無視できない影響をもたらすだろう。先行き不透明感が高まる中、欧州の政治動向は世界経済の主要なリスクファクターのひとつと見るべきだ。

■国民投票実施までの経緯

 2013年1月、キャメロン首相はEU離脱を問う国民投票の実施を公約に掲げた。首相は、国民投票の実施を通して、反EU派の反発を鎮めるとともに、EUから有利な条件を引き出そうと考えたのだろう。EUに加盟することで得られる関税などの恩恵が大きいだけに、国民は残留を選択するという目算もあったはずだ。

 しかし、欧州経済の低迷、中東などからの難民問題が深刻化するにつれ、英国内ではEUに対する不満や反発が強まった。かねてより移民が雇用機会を奪っているとの批判があっただけに、難民問題は対EU感情の悪化に火を注いだ。こうして、当初英国の世論調査では残留派が優勢だったものの、徐々に離脱派への支持が増えた。そして、6月10日の世論調査の結果、離脱派が残留派を10ポイント上回った。

 その結果は、「英国はEUに間違いなく残留する」と楽観視していた市場関係者を慌てさせ、リスク回避の取引が急速に進んだ。英ポンドの売りヘッジ取引、欧州銀行株やイタリアなど南欧諸国の国債売却が進んだ。

 6月16日には英国の地方都市で、残留を呼びかけていた下院議員が離脱支持者に銃撃され、命を落とした。これは英国内外に衝撃を与え、以降の世論調査では残留への支持が優勢とみられた。ブックメーカー(賭け屋)のオッズでも80〜90%の確率で残留が示され、金融市場参加者は「やはり残留で間違いない」と、リスク回避のポジション(持ち高)を手じまい、英ポンドや銀行株の買戻し、米独国債の売却を進めた。オッズ(賭け率)には掛け金がかかっているだけに、世論調査よりも信頼度が高いといわれていた。投票直前の世論調査でも残留への支持が離脱を上回り、多くの投資家はEU残留を楽観視していたと考えられる。

■国民投票のEU離脱決定の背景

 国民投票の争点は、難民・移民問題だ。EU離脱を求める世論は難民・移民への怒り、不満に駆られていた。特に、高齢者や貧困層を中心に、難民への批判は根強かった。そして、英国のエリート階級の中にも、国境管理の難しさなどを理由に難民問題を批判するものが多かった。

 ボリス・ジョンソン前ロンドン市長など離脱派の政治家は、国民投票で離脱が決定された場合、即時にEU離脱のシナリオは描いていなかったかもしれない。それよりも、離脱派の政治家は難民・移民問題への不満などを煽ることで、自らへの支持を取り付けたかったのかもしれない。その上で、英国の離脱決定をEUに突き付けることで、ドイツ等に妥協を迫り、より英国に有利な条件を引き出すことを離脱派の政治家は目論んだとも考えられる。一部国民の不満と、自らの利害に駆られた政治家の思惑が一致した結果、英国は自国優先に流れEU離脱を選択した。

 冷静に考えれば、英国はEUに加盟し続けることで、経済上のメリットを享受していくほうが賢明だろう。EU域内では関税同盟が整備され、英国から大陸欧州への自動車輸出にかかる関税はゼロだ。金融機関であれば、どこかひとつのEU加盟国で認可を得れば、どのEU加盟国でも支店の開設など営業活動を展開できる。これを「単一パスポート制度」という。

 英国がEUから離脱すると、英国に欧州拠点を置く金融機関は、他のEU加盟国での業務に支障が出る恐れがある。これは、対英直接投資の減少につながるだろう。経済環境が悪化すれば、景気刺激のための財政支出も必要になる。それが英国の信用格付けの引き下げにつながるだろう。すでに、大手格付け業者は、EU離脱が英国の格付けにマイナスだと指摘している。

 キャメロン首相らEU残留を訴える政治家は、経済上の恩恵を強調し、離脱は英国にとってマイナスだと主張してきた。しかし、結果的にみれば、英国民は経済の合理性よりも、むしろ主権奪還を目指す感情に圧されて離脱を選択したといえる。

■国民投票の結果に対する金融市場の反応

 ロンドン時間の6月23日(東京時間の24日)、国民投票の開票が進むにつれ、想定以上に離脱への投票が多いことが判明した。これは市場には予想外の展開であり、多くの投資家が慌ててリスク回避に動いた。こうして、アジア時間の金融市場は大きく混乱した。

 特に大きく動いたのが英ポンドだ。前日比で、ポンドは対ドルで11%、対円では15%程度下落する場面があった。ドル・円の為替レートは東京時間の昼間に99円台まで急落し、米国の長期金利は一時1.4%台前半に低下した。ドイツの超長期国債の利回りもマイナス水準に落ち込む場面があるなど、急速なリスク回避が進んだ。

 欧州の金融市場では、英国の株式市場よりもイタリアやスペインの株価が大きく下落した。こうした南欧諸国では、国債の利回りも上昇(価格は下落)した。これは2010年半ば〜12年夏場にかけて、ユーロ圏のソブリン危機(財政危機)が発生した時の金利の動き方とよく似ている。

 おそらく、多くの投資家は英国の離脱を受けてEUの政治が不安定になることを危惧したのだろう。国民投票の結果、オランダやフランスなどでもEU離脱を求める動きが進んでいる。ドミノ倒しのようにEU加盟各国が離脱を模索し始めるなら、市場はこれまで以上にリスク回避に動く。

 その場合、欧州中央銀行(ECB)の量的緩和や資金供給によって景気をなんとか支えている欧州周辺国は、厳しい状況に直面するはずだ。再度、南欧諸国の信用格付けが引き下げられ、財政懸念が今以上に高まることも否定はできない。その懸念から、南欧諸国の国債や株式が売られたのだろう。長期的に考えると、オランダなどが本当にEUから離脱することになると、ユーロ圏の求心力は大きく低下する。その場合、ユーロの信認は大きく低下し、売り圧力は強まるだろう。その動きが進むことは、ユーロの崩壊につながるとも考えられる。

 足許の世界経済を俯瞰すると、中国経済の減速が進む中、米国も徐々に景気循環のピークを迎える可能性がある。そこに、英国、EUの分裂懸念が加わることは、多くの投資家をリスク回避に向かわせるだろう。

 注意が必要なのは、政治の動向だ。英国の国民投票から得られるインプリケーションは、世論が目先の不満解消などの感情論に流れ、政治が自国優先に走りやすいということだ。つまり、主要国間の協調は得づらい。

 米国の大統領選挙をみても、当初は予想されていなかったドナルド・トランプ氏が共和党の候補に残っている。その主張は単純明快で、米国第一、である。欧州では、ギリシャ支援への不満を背景に、各国でEUに対して懐疑的な考えを持つ右派の政党が支持を集めている。そして、英国の国民投票の結果、EU離脱を求める動きが連鎖反応のように広がる恐れがある。

 すでに、主要国の財政・金融政策は追加的な発動余地がないほどにまで手を打ち尽くした状況にある。今後のリスクに対応するためには、緊急時に各国の政府・中銀が協力して市場に流動性を供給するなど、協調が不可欠だ。協調がまとまらない場合、世界経済のリスク耐性は低下するだろう。

 世界経済は過剰な供給能力を抱え、一方で需要は低迷している。その状況を、主要国の低金利、あるいはマイナス金利政策や量的緩和などの強力な金融政策で糊塗しているのが実状だ。リスクオフが進めば、わが国のように為替レートの変動に大きく影響される国は、厳しい状況に直面する恐れがある。

 リーマンショック後の世界経済を支えた中国経済が減速する中、米国の景気回復がこれまでの世界経済を支えてきた。だから、中国の減速が進んでも、危機的状況は回避できた。もし、米中経済の減速懸念、政治リスクに端を発するEUの分裂懸念が同時に高まれば、世界経済はかつて経験したことのない厳しい状況に直面する可能性がある。英国のEU離脱決定は、未曾有の景気後退への門扉を開いたことと考えたほうがよいだろう。

(文=真壁昭夫/信州大学経法学部教授)

 

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