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タカタ「殺人」エアバッグ、あなたの車も搭載の可能性大…数百万台がそこら中を走行(Business Journal)
http://www.asyura2.com/16/hasan110/msg/407.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 6 月 30 日 01:05:20: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

タカタ「殺人」エアバッグ、あなたの車も搭載の可能性大…数百万台がそこら中を走行
http://biz-journal.jp/2016/06/post_15700.html
2016.06.30 文=清水和夫/モータージャーナリスト Business Journal


 いよいよ最終章を迎えたかに思えたタカタのエアバッグ問題だが、解決の糸口が見つからないなかで、またしてもリコール対象が増えた。

 タカタが2000年以降に製造したエアバッグには、硝酸アンモニウムという火薬が使われている。交通事故が起きた際にエアバッグを瞬時に膨らませるためには火薬とインフレーター(ガス発生装置)が必須なのだが、なんらかの条件が重なると、硝酸アンモニウムが異常爆発し、あろうことかインフレーターまでも破壊してしまう。その破裂の勢いたるや生半可ではなく、インフレーターの金属片は乗員の命までも奪ってしまったのだ。

 最初の死亡事故から7年。異常爆発の原因が特定できなかったことが、結果としてリコール台数をダラダラと増やすことにつながった。

 その詳細を見る前に、まずはタカタのエアバッグをめぐって何が起きたのか、これまでの事実関係を整理しておきたい。

・00年5月…タカタはアメリカワシントン州のモーゼスレイクにある元米軍に収める部品メーカーを買収。エアバッグに使われるプロペラント(火薬の推進剤)の量産を開始した。

・06年…タカタはメキシコにエアバッグのアッセンブル工場を持っており、ここでモーゼスレイクから送られてきたプロペラントを金属ケースに収めてエアバッグに組み立てる作業を行っていた。実は、この工場では06年に原因不明の爆発が数回にわたり発生している。外壁は吹き飛び、約1km離れた家の窓も壊れるほどのすさまじい爆発だったという。この爆発についてはタカタからの公式説明はないが、エアバッグに使われる硝酸アンモニムが原因だったのではないかとみる向きもある。

・08年11月…本田技研工業(ホンダ)は米国市場で起きたエアバッグの異常爆発を懸念し、第1回目のリコールを実施。

・09年5月…初めての死亡事故が発生。車種はホンダの01年式アコード。死亡原因はエアバッグの異常爆発で、火薬入りインフレーターの金属片が飛散し、乗員を殺傷した。

・09年6月…死亡事故を受けてホンダはすぐに2回目のリコールを実施。

・09年12月…2件目の死亡事故発生。この頃からエアバッグによる重症死亡事故とリコールの追いかけっこが加速し、完全に負のスパイラルに陥ってしまった。

■未来の製品すらリコールの対象になるおそれ

 エアバッグは人の命を救うための重要な安全デバイスである。それだけにエアバッグに起因する死亡事故は、タカタだけでなく世界中の自動車メーカーや政府関係者にとって想定外の出来事であった。原因は火薬の変質との見立ては早々に出ていたが、火薬が変質した理由は物性の問題か、設計・構造の問題か、製造工程の問題か、あるいは複合要因か、詳しいことがはっきりしなかったため、アメリカでは専門チームを組み調査に乗り出した。

 その調査結果が今年5月に公表された。アメリカ政府は3つの独立した機関に同じ調査を依頼していたが、結論はどれも同じような内容であった。それは「問題となっているタカタ製エアバッグに使われる硝酸アンモニウムが長期間にわたって温度や湿度の変化にさらされると、異常な爆発を起こす可能性がある」ということであった。

 これを受けて米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)は乾燥剤が使われていないエアバッグ4000万個を追加リコールとし、従来のリコール数と合わせると、その数は6000万個以上(クルマの台数ではない)となる。対象となったエアバッグは19年までに乾燥剤入のエアバッグに交換しなければならない。

 アメリカ政府と連携する日本政府は乾燥剤が使われていないタカタ製エアバッグを搭載する車両約700万台を追加リコールした。これまでに積み重ねたリコール車両1260万台と合わせると、トータルで約2000万台に拡大する。国土交通省は製造年などの条件で段階的にリコールするスケジュールを発表しており、18年3月末までにはすべてのリコールが完了する予定だ。さらに、これまでのリコール改修によって、乾燥剤が入っていないインフレーターを装着された車両については、19年度末までに再度リコールすることになっている。

 だが、今の時点で乾燥剤が有効だと言い切ることはできない。タカタは乾燥剤が入ったエアバッグが安全であることを19年末までに証明しなければならないのだ。それができない場合は、乾燥剤入りのエアバッグもリコールとなる。つまり、これから生産して市販する近未来の自動車さえもリコールの対象となる恐れがあるのだ。メーカーは慎重にならざるを得ないだろうし、賢明なユーザーならタカタ製エアバッグの有無を確認してクルマを購入したくなることだろう。

 日米政府がもっとも恐れているのは最悪の事態だ。すなわち、リコール対象の自動車のオーナーが、自分の所有する自動車が対象であると気づかず、エアバッグを修理しないままに使用を続けて死亡事故につながることが最大の心配事なのである。実際、アメリカではリコールしたエアバッグの数は840万個にすぎず、多くのオーナーがリコールの対象になっていることに気づかずに自動車に乗っている可能性がある。

 日本は車検制度があるので、中古車も含めてオーナーをトレースしやすいが、リスクの高いエアバッグを搭載する自動車が数百万台規模でそこら中を走っている現実に変わりはない。関係者も必死になって事故防止を訴えているので、本記事を読まれた方は知り合いにも伝えてほしい。自分の自動車がリコール対象かどうかは、国土交通省のホームページで確認できる。ディーラーやメーカーの相談窓口に問い合わせるのも良いだろう。悲しい事故がこれ以上重ならないことを切に願っている。

 タカタはこれからどうなるのか。日米政府は不安定になりやすい硝酸アンモニムの使用を控えるようエアバッグメーカー各社に通達しているが、タカタが他社と同じような火薬に切り替えるには多少の時間が必要かもしれない。

(文=清水和夫/モータージャーナリスト)
 

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