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英EU離脱問題の「死角」 〜懸念されるのは、むしろユーロ圏の「バブル崩壊」だ あらわになる大陸ヨーロッパの脆弱性
http://www.asyura2.com/16/hasan110/msg/419.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 6 月 30 日 07:56:15: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


英EU離脱問題の「死角」〜懸念されるのは、むしろユーロ圏の「バブル崩壊」だ あらわになる大陸ヨーロッパの脆弱性
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49047
2016年06月30日(木) 安達 誠司「講座:ビジネスに役立つ世界経済」 現代ビジネス


■まさかの「離脱派」勝利


6月24日(現地時間は6月23日)に実施されたイギリスのEU離脱を巡る国民投票の結果は、事前の予想に反して離脱派の勝利となった。


ただ、あとから考えてみると不思議なことだが、当初は誰もが、さしたる根拠もなく、残留派の勝利を信じて疑わなかった。


強いて挙げるとすれば、投票の前日時点で、「賭け事サイト」で残留に賭ける人が全体の約9割を占め、離脱派を圧倒していたことくらいだったが、「お金を賭けた真剣勝負」のオッズなら信頼できるのであれば、競馬で万馬券が出るということもないはずだ。


いかに多くの人が根拠なく残留という楽観論を信じていたかということだが、いくつかの現地メディアによる世論調査の結果がまちまちであったので、「結果は蓋をあけてみなければわからない」というのが冷静な判断だったと思われる。


いずれにせよ、投票終了後の現地メディアも、なぜか、「残留派が過半数を獲得した模様」と報じていた。


ところが、開票作業が進むにつれ、状況は一変していった。開票は、残留派が多数を占めると予想されていた北部から始まったが、残留派の票はなかなか伸びず、当初から離脱派がリードする展開となった。


途中、残留派がリードする局面もあったが、すぐに離脱派が逆転し、そのまま差が徐々に拡大、日本時間の昼過ぎには、離脱派の勝利がほぼ確定した。


ところで、どうも世間では、「離脱賛成派は知的レベルが低い」という扱いのようだ。ちなみに、先週の当コラムでも言及したように、筆者はイギリスのEU離脱には比較的好意的なので、やはり知的レベルが低いのかもしれない(「イギリス"EU離脱"の損得勘定〜経済的デメリットはむしろEU側にある」http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48985)。



■マスコミもマーケットはネガティブに反応


とはいえ、そんな筆者でさえ、本当に離脱派が勝利するとは夢にも思わなかった。


当日は、出張していたのだが、出張用の資料を作成する際、イギリスのEU離脱問題を含めるかどうかでずいぶん悩んだ。せっかく含めたとしても、EU離脱が否決されてしまっては無駄骨に終わるからである。


いろいろ考えた結果、5枚ほどの簡単なスライドを用意したが、顧客に対するプレゼンテーションでは、このスライドが大活躍したし、その後のディスカッションもこの話題に終始した。


ただ、不思議でならないのは、国民投票の結果が判明した後も、圧倒的大多数のメディア(現地も日本国内も)が離脱派非難に偏っている点だ。


テレビで見るイギリス国民の表情はみな非常に暗く、EU離脱後の暮らし向きの変化を懸念する声が圧倒的で、場合によっては、離脱派の巧みなプロパガンダによって善良な市民がだまされた、というような内容の報道もあった。


日本を含む海外企業の対応も、ほぼすべてがイギリスからの撤退をほのめかすものであり、挙句の果てには、国民投票のやり直しを訴えるロンドン市民のデモや署名活動が、あたかも正義を主張する運動のように報じられていた。


また、マーケットも、離脱派勝利の直後は、極めてネガティブに反応した。イギリスのEU離脱の直接的な影響をあまり受けないはずの日本の株式市場でも、ほぼ全銘柄が大幅安の展開となり、当日の日経平均株価は前日比で1300円以上も値下がりした。


これを受け、各メディアは、市場関係者の声として、リーマンショックの再来の可能性を指摘したし、多くの論者もマーケットの対応がリーマンショック時と酷似していると指摘した。


だが、筆者が顧客(地方の金融機関)とディスカッションした印象では、世間の喧騒とは異なり、みな極めて冷静であった。ある投資家は、イギリスのEU離脱決定によって株価が大きく下がる局面では、積極的に株式を買っていくつもりであるとおっしゃっていたし、実際そのように行動した顧客も少なからず存在したようだ。


今週に入って日本株は落ち着きを取り戻しているので、利益が出ている投資家も意外と多いのではなかろうか。


■リーマンショックの再来とはいえない


さらに、まだ、投票日からそれほど日数が経過していないためかもしれないが、今回は、ヘッジファンド等の投資家(投機家といったほうがよいかもしれない)が破綻に直面するような大損失を被ったという話は、いまのところ聞かない。


これも考えてみれば、極めて常識的だが、どちらに転ぶか全くわからない国民投票で、どちらか一方向にベットして一攫千金を狙おうというようなバクチを、失敗すれば会社存亡の危機に立たされる規模で行う金融機関や投資家が多く存在するとは思えない。


そのため、今回のイギリスのEU離脱問題が、リーマンショックの再来になる可能性は極めて低いと考える。


リーマンショック時には、日々、マーケットが混迷の度合いを深めていく過程で、多くの金融機関や機関投資家が保有資産の値洗い(資産価格を市場価格にあわせて調整していくこと)を迫られた。


当時、筆者は、外資系証券会社にいたのだが、朝のミーティングでは、マーケット下落による損失見込み額が、自己資本をどの程度毀損しているか、そして、今後、株価がどの程度まで下がれば経営破綻するかを、自社も含め、主要顧客(機関投資家)ごとに試算して、早めに取引を清算する顧客をリストアップするなどの対応が日々なされていたように記憶している。


まだ、国民投票が終わって日が浅いが、今回は、さすがにそこまでの対応を強いられるような状況ではないと想像する(ただし、欧州の主要銀行株に限っては、下げが加速しており、今後も注意が必要である)。


■「Brexit」のデメリットはどこに?


ところで、このイギリスのEU離脱問題(いわゆる「Brexit」)は、イギリスのキャメロン首相が2015年の総選挙のマニフェストに国民投票の実施を盛り込んで以来、イギリス経済の大きなリスク要因として意識され始めた。


だが、英国のポンドが主要通貨に対して本格的に下落し始めたのは、2015年11月頃からであった。


キャメロン首相が国民投票の日程を決定したのは、今年の2月20日であったが、不思議なことにほぼ同タイミングでポンドは上昇に転じた。これは、当時、イギリスが主要先進国の中で一番先に利上げを実施するのではないかという期待がマーケットで発生したためだと推測される。


そして、再び下落し始めたのは、国民投票実施があらためて意識され始めた5月末以降であった(図表1)。



一方、株価に目を転じてみよう。


実は、イギリスの株価は他の欧州諸国と比較して堅調に推移している。例えば、年初からの主要指数を時系列で比較してみると(図表2)、イギリス、ノルウェーといった「非EU加盟国」の株価が堅調である一方、ドイツ、フランスといったEU加盟国の株価は相対的に下落幅が大きい。



次に、さらにもう少し、対象を広げて、カバレッジがより広いMSCI(モルガンスタンレー・キャピタル・インターナショナル)の指数で比較してみても、年初来、イギリス株の下落幅は世界全体で比較しても小さい。イギリスのEU離脱に揺れたこの1ヵ月間でみても、同様である(図表3)。



さらに、この図表3をみると、年初来の株式のパフォーマンスが相対的にいいのは、イギリス、ノルウェー、デンマーク、スウェーデン、スイスといった「非ユーロ加盟国」であることがわかる。


この事実は極めて興味深い。メディアでは、今回の「Brexit」について、イギリス経済のデメリットばかりが言及されている。また、IMF等の報告書(6月1日に発表)においても、「Brexit」は、イギリス経済に対してより大きな負のインパクトをもたらす一方、EUに対して与えうる負の影響は小さいと論じている。


すなわち、「Brexit」はイギリスに一方的にデメリットを与えることになるのでやめたほうがいい、というアドバイスなのだが、株価の推移を見る限り、世界の株式投資家の判断はそれとは全く異なっていると思われる。


■「不確実性」はEU諸国にこそある


6月28日には複数のメディアで、かの著名投資家で「ヘッジファンドの帝王」ともいわれるジョージ・ソロス氏(最近、「現場復帰宣言」をした)が、「Brexit」の台頭に際して、ドイツ銀行の株を大量に信用売りしたことが報じられた(6月27日にドイツ銀行株は、フランクフルト市場で約7%下落した)。


「グローバル・マクロ」と呼ばれるヘッジファンドマネージャーにとっては、自らが先行してポジションを作った後、他の投資家が後追いで「追随」しやすい、わかりやすく、かつ、説得力のあるシナリオを提示することができる投資戦略を策定することが成功の秘訣であると考えられる。


そういう見方で今回のソロス氏の投資戦略をみると、もし、ソロス氏が「ドイツ銀行株売り」で利益を上げることができたとするならば、それをサポートするわかりやすいシナリオが背後に存在するはずである。


そして、筆者は、このソロス氏の逸話は、「Brexit」はイギリスよりも、大陸ヨーロッパ、特にユーロ加盟国にとって負のインパクトが大きいということを、マーケット参加者が感じ取っていることを示唆しているのではないかと考える。


別の機会にあらためて言及したいと思うが、イギリスにとっての負の影響は、前提条件を設定すれば、ある程度定量的に把握可能であり、現に、IMFをはじめ、いくつかの研究結果が発表されている。そして影響を決める前提条件は、今後、イギリスとEUの交渉で決まってくるものである。


つまり、多くの投資家は交渉の行方に注意すれば、ある程度リスクをコントロールすることが可能な問題のように思われる。一方で、他のEU諸国にとっての負の影響は、政治的、もしくは地政学的な要因が複雑に絡む「不確実性」であり、コントロール不可能である。従って、冷静になって考えてみれば、排除すべきは、大陸ヨーロッパの「不確実性」の方であると思われる。


より具体的には以下のようなことではなかろうか。


大陸ヨーロッパの金融機関は、主に1990年代後半から米英型の投資銀行業務に力を入れ始めた(これは、本国である大陸欧州の低成長による伝統的商業銀行業務の収益悪化による)。特にユーロ加盟国の大手金融機関は、アジアを中心とした新興国で積極的な投資銀行業務を展開してきた。


だが、中国経済の大減速によって、このところ、新興国の成長神話の陰りが顕著になっている。いや、それどころか、米国の金融政策の転換(利上げ)にともなう新興国通貨や株式の下落で損失を抱えつつあり、急ピッチで新興国でのエクスポージャーを落としつつある。


それに加え、ギリシャ危機によるユーロ圏経済の停滞、ECBによるマイナス金利政策による債券業務の収益低下もあり、投資銀行業務自体の見直しを迫られている。


■大陸ヨーロッパの脆弱性


今回の「Brexit」問題では、イギリスがEUの金融市場へのフリーパスポートの権利を失うことで、金融機関の撤退によるロンドンの落日シナリオが当然のように語られている。


だが、筆者の個人的な印象では、ロンドンから撤退し、大陸ヨーロッパ(パリやフランクフルト)に拠点を構えたところで、金融ビジネスが有利に展開できるとは思えない。


一概に「金融業務」といっても、様々な機能が細かく連関しており、それをいったん壊して、他の地域に移管させる作業にはかなりのコストがかかる。そして、このようなコストをかけて大陸欧州に新たな拠点を構えたところで、そこでのビジネスに収益機会を見出せないのであれば、全くのお金の無駄遣いになるのではなかろうか。


イギリスのEU離脱が決まった直後に、米大手金融機関が、ロンドンの人員削減見込みについて言及したが、これは、どちらかといえば、ヨーロッパでの金融ビジネスの収益機会の減少によるリストラに過ぎないのではないかとも考えている。


このように考えると、「Brexit」問題とは、1999年のユーロ発足以降の、「ヨーロッパが米国に次ぐ第2の経済圏になる」という過大な幻想を打ち砕くきっかけとなりうるものであり、懸念すべきは、イギリス経済への負のインパクトよりも、ユーロ圏を中心とした大陸ヨーロッパの「バブル崩壊」ではなかろうか。


その「地雷原」は、欧州大陸内にあるかもしれないし(例えば、スペインやポーランド等での極右勢力の台頭)、難民受け入れ問題を通じた中東との連関かもしれないし、中国経済の問題かもしれない。


いずれにせよ、「Brexit」問題によって、他地域の問題を含めた今後のイベントリスクに対する大陸ヨーロッパ(特にユーロ圏)の脆弱性があらわになったのではないかと考える。
 

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