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実燃費とカタログ燃費 「正義のアメリカと陰謀の日本」は正しいのか?(THE PAGE)
http://www.asyura2.com/16/hasan110/msg/518.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 7 月 04 日 00:52:29: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

実燃費とカタログ燃費 「正義のアメリカと陰謀の日本」は正しいのか?
https://thepage.jp/detail/20160703-00000004-wordleaf
2016.07.03 18:00 THE PAGE



[イメージ写真]混み合うガソリンスタンド。ユーザーにとって燃費の良し悪しは車を判断する材料の一つになってきている(伊藤真吾/アフロ)


 世間を騒がせた三菱自動車やスズキの燃費試験不正問題。あらためて自動車の「燃費」が注目されました。そこでクローズアップされているのが「カタログ燃費」や「実燃費」といった言葉です。しかし、たった一つの実燃費があると信じるのは「幻想」だと、モータージャーナリストの池田直渡氏は指摘します。シミュレーションテストの本来の目的や、アメリカで行われている再現テストの設定の非科学性などと合わせて、池田氏が解説します。


■科学的に一つの実燃費はあり得るのか?


 「カタログ燃費は詐欺だ!」という声が渦巻いている。加えて、「アメリカのカタログ燃費は実燃費に近い。日本のカタログ燃費だけが詐欺なのだ」と続くらしい。どうやらアメリカは正義の国で、日本は汚職官僚と吝嗇(りんしょく)な企業によって消費者が騙されているという構図で見てしまう人が多いらしい。


 陰謀論に陥ってしまうのは仕方がないが、科学的な話をしっかり押さえておきたい人のための解説もあるべきなので、今回はそれをテーマとしたい。念のために書いて置くが、不正は全く別の問題だ。ダメなものはダメだ。それとは別に、あくまでもカタログ燃費のあり方についての考察である。


 ポイントは3つだ。


(1)実燃費の定義
(2)シミュレーションテストとは何か?
(3)実験値と統計的中央値の違い


 まずは実燃費の定義からだ。そもそも「実燃費と言う確固たる数値がある」とする人は、実燃費データを再現可能な条件で定義できるのだろうか? そこがまずもっておかしい。すでにご存じの通り「ウチのクルマはカタログ燃費より良い燃費を出す」という人がたくさんいる。この人たちは自分が実際に走った経験で言っている。それを「例外だ」と誰がどうやって決めるのだろう。統計学では極大値と極小値は取り除くことになっているが、全てを極大値として扱うには、ケース数が多すぎる。


 定義できないなら、それは感情論に過ぎない。そこを定義できないのなら、科学的とはいえない。昔の人が言う「馬鹿の大足、間抜けの小足、ちょうど良いのはボクの足」というヤツだ。これ以上、恣意的な話はない。


 つまり科学的な話として扱うなら「誰かが実際に走って記録した数値は全て実燃費」だ。実験データは実燃費の一つである。ややこしいのは、この実燃費はケースバイケースで非常に振れ幅が大きい。諸条件によってリッター5キロにもなれば25キロにもなる。科学的に考えるなら、まずは実燃費という誰が乗っても出るたった一つの答えがあるという考え方を改めないと話が始まらない。


■本来は「排気ガスの測定」が目的


 次はシミュレーションテストについてだ。 シミュレーションとは再現テストのことで、カタログ燃費の根拠となる燃費テストはどこの国であれ、特定の走行パターンを想定したテストになっている。しかしながら、その前に説明しておかなくてはいけないことが一つある。



[イメージ写真]シミュレーションテストの本来の目的は排気ガスの測定だ(アフロ


 一般には燃費テストと言われているこのシミュレーションテストは、本来の目的は「排気ガスの測定」にある。これは日本だけでなく世界中どこでも同じだ。その副次的な測定結果として燃費という項目があるだけだ。あくまでも排気ガスのテストとして相応しい運転モードであることが最優先されるのは、その性質上仕方がない。そもそも運転モードの測定時間は最短のアメリカのEPA(US Environmental Protection Agency)高速モードの11分、欧州のNEDC(New European Driving Cycle )が20分、日本のJC08が20分、最長のアメリカ市街地モードですら23分程度しかないのだ。これは燃費テストを排ガステストと別に測定するルールに改めない限り改善できない。


 日本の燃費テストは、古くは60キロ定地燃費で計測されていた。平坦路をただ60キロで走る測定法だ。1976年には「10モード燃費」が制定され、甲州街道の走行を想定した、発進・加速・定速走行・減速・停止・アイドリングを組み合わせたシミュレーションが初めて採用された。この時は一般道路を前提としたため、最高速度は時速40キロに過ぎず、高速道路など空気抵抗の大きな走行を想定していなかった。


 1991年から、高速道路での走行パターンを加味した「10・15(ジュウジュウゴ)モード」に変わり、これにより測定中の最高速度は70キロまで上がった。空気抵抗は速度の2乗に比例するので、速度が上がると燃費は加速度的に悪化する。実際の路上で、多くのユーザーが速度40キロ上限で運転していたとは考え難いので、最高速度が70キロに上がったことで、従来と比べれば、実際の運転パターンにより近づいたと言える。



[イメージ写真]近年の新モデルは燃費性能を訴求することが目立つ(Natsuki Sakai/アフロ)


 2011年にはテスト方法がさらに「JC08(ジェイシーゼロハチ)モード」に変更される。JC08モードの特徴は、エンジンが冷えた状態からの走行や、細かい加減速が加わり、非現実的な部分が排除された点だ。これは実験時の制御の進歩も大きい。短時間に加減速を繰り返すテストは人が運転すると再現が難しいため、どうしても定加速、定速運転、定減速という、グラフにした時台形になるようなパターンになりがちだったが、車外から電気的に制御することが可能になって、もっと曖昧で複雑な制御を一定の再現性を持って行うことが出来るようになったのである。ただし、いまでもテストドライバーによるシミュレーションも行われている。


 この様に、燃費テストは運転パターンを実際の路上で走っているクルマの特定の運転パターンに近づけるテスト方法に改められてきた。もちろん、まだまだ再現性には様々な問題がある。一例とすれば、JC08ではエアコンは使用しない。ただこれもシミュレーションを目的とすれば、四季の変動をどう盛り込むかという話になり、誠実であろうとすれば、冷房、暖房、空調なしのパターンを別記しなくてはならなくなるし、乗員の快適温度差は個人差がかなり大きく、空調の設定温度も何度が正しいと簡単には言えない。エアコンの温度設定による諍いは誰もが経験しているはずだ。燃費の乖離問題の根源は「運転パターンの標準値はどう取るのが正しいのか」というところにあり、真実は「そんなもの人によって違う」ということに過ぎない。


 つまりシミュレーションは、どこまで行ってもテスト時のルールの取り決めで左右される。だから、シミュレーションに機械としての傾向を掴むこと以上を求めることは難しい。ただある程度現実的な運転パターンに沿ってシミュレーションしている以上、燃費のランキングが大どんでん返しでひっくり返る様なことは起こらない。カタログ燃費が近いモデル同士では順位が入れ替わることはあると思うが、10位のクルマが1位のクルマを抜くようなことは起きない。そういう大まかな序列参考として考えるなら、シミュレーションにも一定の意味はある。


■「マイナス7度、129キロ」でテストする米国


 「そうは言ってもアメリカの燃費が感覚値に近いのは動かしがたい事実だ」と主張する人が予想される。そうした感覚値の是非については冒頭で説明した通りだが、百歩譲って、そういうものがあるとして、アメリカEPAのシミュレーションパターンはどうなっているかを見てみよう。


 まず冷間時始動における外気温設定はマイナス7度である。最高速は時速129キロ。しかも、そうやって得られた測定値にマイナスの補正係数をかけるという操作が行われている。もし、シミュレーションがある程度ポピュラーと考え得る運転状況の再現であるとするなら、異常な設定である。「自分の感覚値に近い」と言う人は毎日マイナス7度でエンジンを掛けているのだろうか? そして20分に一度程度の頻度で時速129キロを出すのだろうか?


 常識的に考えて、初めに答えありきの実験方法を組んだとしか考えられない。さらに、測定値に根拠不明の補正係数をかけてしまう。つまり燃費を特定の値にするための実験方法を恣意的に決めたということだ。これは科学に対する不誠実である。


 そんなことになったのは、EPAが「カタログ燃費と実燃費の乖離」を理由に消費者から訴訟を起こされたことが背景にあると考えられる。推測だが、この時の判例で、適正な燃費の水準が裁判で示された。つまり科学的にはともかく、“政治的な適正値”が不幸にも決まったのだろう。とすれば、あとはそれに従った数値が出そうなテストパターンと補正値を作るだけだ。それが仮にマイナス7度や、時速129キロという、それこそ例外のような運転パターンであったとしても政治的には正しいことになる。


 もし、カタログ燃費をユーザーが信じるべき数値としたいなら、そもそもシミュレーションという方法自体に問題があると筆者は考えている。自動車メーカーは厳しい競争の中にいる。公平を期すためにテストの運転パターンが開示されれば、メーカーは良い成績を出すための“お受験対策”を始めてしまう。それにより、テストの信頼性は損なわれる。いたちごっこだ。メーカーはそれが分かっていながら、クルマの販売がカタログ燃費に左右される以上、特定パターンに特化した馬鹿馬鹿しい燃費競争を止められない。エンジニアは下らないカタログ燃費競争に疲弊して行くのだ。リソースの無駄遣いだ。


■ユーザーによる実燃費の積み上げも一案


 筆者はユーザーがカタログ燃費を重視し過ぎることが問題をややこしくしていると感じているが、そうは言ってもここまで書いたことを国民の常識として誰でも知っているべきとは思わない。


 だから、シミュレーションより格上の、かつ分かりやすい燃費データを新たに創出すべきだと思う。それは統計的手法だ。クルマが発売されて数か月もすれば、ユーザーによる実燃費がどんどん積み上がる。現在でもネット上に「e燃費」のようなサービスがあり、ユーザー自己申告によるデータの蓄積がされている。このデータは統計的に扱うことが可能なので、中央値でも様々な偏差でも自由に算出することができる。新車登場と同時は無理だが、数か月遅れでこの統計値による燃費をJC08燃費より大きく掲載するルール作りをすればいい。


 もちろん統計的中央値や標準偏差を出しても満足しない人はいるかもしれないが、少なくとも科学的に誠実であることは間違いない。それはシミュレーションテストではできないことである。


 有志による手入力投稿という現状では、ユーザーが正しい数値を申告しているという保証はできないので、これをIot技術によって自動収集するようにすれば、人の手による改ざんはある程度防止できるはずだ。そうなれば、メーカーもお受験対策の様な馬鹿馬鹿しいことにエネルギーを割く必要がなくなり、実際にユーザーにメリットになる低燃費技術がより重要になるはずだ。


(池田直渡・モータージャーナル)


 

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