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米GDPと欧州ストレステスト(在野のアナリスト)
http://www.asyura2.com/16/hasan111/msg/442.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 7 月 31 日 00:13:41: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

米GDPと欧州ストレステスト
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52825117.html
2016年07月30日 在野のアナリスト


米国の2016年第2四半期GDP速報値が、前期比で年率1.2%増となり、市場予想である2.6%増を大きく下回りました。これがFRBの年内利上げ観測を後退させ、ドル安円高になっていますが、中身をみるとやや気がかりな点がうかがえます。個人消費は4.2%増と好調、家計の可処分所得はインフレ調整後で140億$の増となっており、年初から加速する勢いです。在庫は減少、輸出は増加、一見すると絶好調です。一方で設備投資は3.5%減、構造物の投資は7.9%減です。シェールオイル関連が軟調で、このあたりは改善傾向もありません。

問題は個人消費で、フィアット・クライスラーが新車登録で飛ばしをしていたのではないか? との報もあります。日本でいうと軽自動車で、スズキの会長が「お行儀の悪い売り方」と述べていた販売店で登録し、そのまま中古車店に売却してしまう手法です。これで販売台数を嵩上げしていたのではないか? とされている。一社だけの問題か、続報はありませんが、米国の新車販売が各社同じように嵩上げされている可能性もある。そうして溢れた中古車を、日本のように海外に流す、といった戦略に転じたのなら、輸出の増というのも何となく肯けます。勿論、シェールオイルの輸出にも舵を切りましたが、輸出する産業の減少には懸念もある。また米国経済にも何となく不安が漂うのは、絶好調だった住宅投資が6.1%減と9四半期ぶりの減少となっており、いよいよ住宅バブルにも翳りか? とみられる点です。金融センターとしての英国の変調、中国の住宅投資抑制策などもあり、世界の住宅バブルが今後、どう推移して行くかは警戒しつつ見て行く必要もあります。

そうした動きとも密接に絡むのが、ECBにより発表された欧州銀行のストレステストです。イタリア銀行大手のモンテ・パスキが、中核的自己資本(コアティア1)比率が2.44%、アライド・アイリッシュ銀行が4.31%、この2行が昨年の基準5.5%を下回りましたし、7%を維持できなかった銀行も3行ありました。しかも、モンテ・パスキは急に再建案を発表、50億ユーロの増資と92億ユーロの不良債権の売却。これで破綻懸念を回避し、市場の売り叩きを回避するのと、取り付け騒ぎを起こさないように、といった工夫もされています。

ただ問題は、いくら厳しいシナリオを適用した、といっても、このストレステストに対して信用もない点です。目安にはなりますが、それ以上の金融不安に巻きこまれると、自己資本すら毀損して行くのであって、国債でさえ今や安全資産とは言えない、しかも低金利という問題を抱える中、運用面を重視すれば必然的にリスク投資を増やさざるを得ない。中核的自己資本を手厚くしていけば、それは収益性を犠牲にしていることにもなり、どちらを優先するか、という話になりかねない。今はその線引きが非常に難しいのです。

日本も、超優良の安定株とされていた東電が、東日本大震災で一気に破綻懸念を生じたように、安全とされる株や社債とて一寸先は闇です。特に、世界全体が低成長に陥ると、突然死する企業が必然的に増えてきます。無理に設備投資などを行う、企業の買収に走る、低下する収益性を補おうとして動く。そうした企業が増えるためです。これは国でも同じで、公共工事を増やすために国債を大量に発行し、価値を低下させることで、さらに利払いに苦しむといった構図もでてくる。米国でも設備投資が減少しているのは、こうした今は無理する時期ではない、との判断が雑じるのなら、世界全体が自粛モードに入りつつある、とも言えます。

それでも金融機関が破綻するのは、その国が支えきれなくなったときだけです。イタリアなのか、ECBなのか、EUなのか、経済に与える打撃を考えて救済するか、破綻させるか、を判断します。なので、金融機関の破綻によってトラブルを生じるのは、むしろ金融や政治の担当者が「大丈夫」と楽観していたのに、予想外に影響が拡大して、混乱を生じるようなときなのでしょう。なので、尚更ストレステストの位置づけは曖昧でもあります。

ただし、今の市場はこうした報道に一喜一憂し、またそれを利用して自身を利することを常に考えています。金融機関の収益性の低下、それがもたらす先は破綻にかける取引ともなるのでしょう。伊藤忠が企業の不祥事に投資する米のグラウカスに狙われ、売り叩かれていますが、これからの企業は不誠実なことをしているだけで、リスク資産の位置づけにもされてしまうのでしょう。世界が陥りつつある低成長の時代、これまでと違って少しの判断ミスも命取り、それは国も含めたものであり、尚のこと経営者や為政者選びに失敗したところは、市場からの退場を余儀なくされるケースが出てきてしまうのでしょうね。

 

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