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金融市場とオリンピックの呪い 新興国での開催が告げる「転換点」、本番はまだこれから(Financial Times)
http://www.asyura2.com/16/hasan111/msg/750.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 8 月 11 日 00:37:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

ブラジル・リオデジャネイロのマラカナン・スタジアムで行われたリオデジャネイロ五輪の開会式で掲揚されたブラジル国旗と五輪旗(2016年8月5日撮影)。(c)AFP/OLIVIER MORIN 〔AFPBB News〕


金融市場とオリンピックの呪い 新興国での開催が告げる「転換点」、本番はまだこれから
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47598
2016.8.11 Financial Times


(英フィナンシャル・タイムズ紙 2016年8月6/7日付)

 今年は「オリンピック停戦」が必要だ。世界の関心がリオデジャネイロに集中するなか、4年に1度のスポーツの祭典は、高まる怒り、不安、恨みからの解放になるはずだ。

 西側世界では、格差と停滞する生活水準をめぐる緊張が激化して国家主義者やポピュリストへの支持に転化している。

 発展途上国世界も静かではない。中国とロシア、そして軍事クーデター未遂の後に弾圧が行われているトルコでは、権威主義が息を吹き返している。一方、オリンピック開催国であるブラジルでは、街頭で暴動が起き、大統領が弾劾される可能性がある。

 往々にしてオリンピックに伴う政治の駆け引きとスキャンダルがあるにせよ、試合は気分が高揚する瞬間や、不快な社会的ムードからの逃避を与えてくれるだろう。

 また、オリンピックはそうしたムードの指標も提供してくれる。社会のムードの産物である金融市場は、人間の感情の波によって動かされる。楽観主義のクライマックスは市場の高値を伴う一方で、深い絶望感は買い場の合図となる傾向がある。

 オリンピックの場合、新興国の都市に開催権が与えられることは概して、大きな転換点に達したことを意味する。リオはオリンピック招致に成功した4番目の新興国の都市だ。1968年のメキシコ、1988年のソウル、2008年の北京と同じように、リオも長期にわたって持続的な成長を遂げた後に開催を勝ち取った。

 オリンピックはその成長を認識した。そして、どのケースでも、開催決定は成長が行き詰まるか減速する合図となった。韓国とメキシコでは、オリンピックの大会の後に危機が起き、中国では、危機を回避するための必死の対策のように見えるものが続いた。

 スポーツ・イラストレイテッド誌の表紙に登場することがスポーツ選手が全盛期を越えたことを意味するように――ビジネス誌に株価が取り上げられることも同様――、投票でオリンピック開催が決まることは、この成長期が「株価に織り込み済み」で、下落に転じる時期が来たという合図を送っている。

 ブラジルの場合、2009年10月にオリンピック招致レースに勝ったときに呪いがかけられたように見える。これはブラジル株式市場が最高値をつけたのとほぼ同時だった。

 それまでの7年間、ブラジルの株価指数のボベスパ指数は、FTSE全世界指数を300%以上アウトパフォームした。開催決定からの6年あまりは、コモディティー(商品)価格が下落に転じ、ブラジル経済の非効率性が残酷なまでにあらわになるに従い、ほぼ70%アンダーパフォームしている。ブラジル国民が抱く今の怒りは、カタルシスと市場の大底を示唆している。

 だが、もし市場と社会の楽観主義の関係がリオで普段通りに作用しているのだとしたら、よそでは調子が狂っている。特に著しいのが米国だ。極端な悲観主義と怒り、不安が渦巻いているにもかかわらず、米国株は史上最高値をつけている。世間のムードが、否定主義から生まれた買い場の合図を送っているように見えるときに、なぜ市場がこれほど繁栄できるのだろうか。

 コンサルティング会社ファイナンシャル・インサイツで社会のムードと市場の関係を研究しているピーター・アトウォーター氏は、2つの答えがあるのではないかと考えている。

 1つは、金融の世界が現実世界から切り離されたというもの。中央銀行の金融政策は、意図した通りに資産価格を押し上げるはずであり、市場はそのえも言われぬ計算を材料に上昇を演じているというわけだ。

 この状況は、融資や投資を受けられない人を大して助けることなく豊かな人をさらに豊かにし、それゆえ怒りを一段とあおることになる。

 もう1つの説明は、市場に再びズレが生じたというものだ。米国では、1960年代後半との類似点がたくさん見られる。人種をめぐる不和が渦巻き、街頭では暴動が起き、広く不信感を抱かれているベテラン政治家が勝つ可能性の高い大統領選が行われている(リチャード・ニクソンがヒラリー・クリントンだと思えばいい)。

 長年続いているミシガン大学の調査で測った消費者の信頼感は1966年にピークをつけ、その後、長い下落局面が始まった。市場も1966年に最高値をつけたが、ウォーターゲート事件と1973年の石油禁輸措置のさなかに下落する前に、さらに2度高値を更新している。

 安心材料とはほど遠いこの類似性が再び当てはまるためには、市場がなぜ今回、これほど長期にわたって浮遊し続けたのかという説明が必要になる。

 アトウォーター氏は、2000年という年があまりに極端な信頼感のピークだった――米国人は、歴史は終わった、新たな経済パラダイムが開けたと考えていた――ことから、作用が一巡するまでに時間がかかったのではないかと考えている。ミシガン大学の指数はあれ以来低下しており、直近の反騰局面は1年以上前に終わっている。

 この信頼感の低下は、金融市場と社会全体の浮かれた行動にも反映されている。1960年代の狂ったような雰囲気のなかでさえ、ドナルド・トランプのような人物が大統領候補に指名されることはなかったし、金融市場が過去16年間のような極致に達することもなかった。

 社会的なムードと市場の隔離に対するどちらの説明も、決して心強いものではない。どちらの場合も、やがて調整が必要になる。もし調整が西側経済の再起動と一般市民の再活性化を通して起きるのであれば好ましい。だが、リスクは依然として、市場が社会不安の大底を探る結果になることだ。

 停戦を利用し、ブラジルとともにオリンピックの栄光にひたるのが一番いい。

 

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