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「いつまでもあると思うなお金と余裕」 〜人口減少時代に「望んだ人生」を送る秘訣(NIKKEI STYLE)
http://www.asyura2.com/16/hasan112/msg/178.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 8 月 18 日 07:38:34: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

「いつまでもあると思うなお金と余裕」 〜人口減少時代に「望んだ人生」を送る秘訣
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160818-00000004-nikkeisty-bus_all
NIKKEI STYLE 8月18日(木)7時0分配信


 日本マイクロソフト会長の樋口泰行氏。普通のサラリーマンだったという同氏は、米国留学を経て3つの会社の経営トップを経験、プロの経営者の先駆けとなった。外資系のIT(情報技術)企業のほか、再建の渦中にあったダイエーなど流通大手も率いた。激しく経営環境が変化するなか、リーダーには何が求められるのか。樋口氏の連載2回目は「ダイバーシティー(多様性)・アンド・インクルージョン(多様性の受容)」(D&I)をテーマに語る。

 改めて書いておきたいのだが、この連載は「トップ養成」を目的としているのではない。人口オーナス(負荷)期におけるビジネス競争、つまり高学歴を背景にした知能労働戦が展開され、それに伴って(事業の構造的変革)やターンアラウンド(事業再生)が頻繁に繰り返されるなかで、変革を担っていくリーダーたちに求められる資質、基礎的なリテラシーをまとめてみようというものだ。

■そんな姿勢では望んでいる人生は

 しかしオーナス期の成熟した経済社会では、人の多様な生き方が実現される。だから「私はリーダーをめざして仕事をしているのではない」「会社の幹部になるとしんどそうで、そこそこ給料がいただけるならば自分の好きなことを実現したい」などと考える人が多くなる。

 私も、その価値観を否定するつもりなど毛頭ない。ただ一言だけ付け加えたいのは、「そうした姿勢では、望んでいる人生は保証されませんよ」ということ。なぜならば全員が個のレベルの幸せばかりを追求するようになれば、必然的に企業も社会も活性化せず、事業競争に敗退していくからだ。

 人口ボーナス期であれば必然的に社会は豊かになっていくので、それなりの学歴があり、給料ももらっていれば「仕事よりも趣味に生きる人生」を続けられるかもしれない。しかしオーナス期では、蓄積された富を食いつぶしていくだけなので、「いつまでもあると思うなお金と余裕」の状態が必ず出現する。そこがオーナス期の社会の厳しく怖い一面なのだ。

 砕けた言い方をすれば、人は他から刺激を受けていなければ活性化しない。自宅で浪人生活を送るよりは予備校に通って優秀な人たちに刺激を受けながら勉強している方が成績もよくなる。「でき得るならば最高に活力のある集団のなかに身を置いてこそ成長がある」という価値観が標準的で共有されているような社会や企業であれば、おのずと活性化していくものだ。

 前回、オーナス期への対策は「共・短・多」だと紹介した。老若男女が「共に働き」、生産性を高めて「短時間で稼ぎ」、そのために「多様な価値観」を認め合う。なかでも変革期のリーダーとして最も求められる資質が「多」、つまり多様性、ダイバーシティーだ。にもかかわらず日本企業で最もうまくいっていないのがダイバーシティーでもある。

 ダイバーシティーは、一義的には女性や高齢者が働きやすい環境を用意するとか、民族や宗教、文化を超えて協調してビジネス競争を勝ち抜くことだと言われる。

 実際、女性が活躍していたりダイバーシティーに熱心な企業は、世の中の変化にも感度が高い。コンシューマー商品を開発しているような会社であれば、需要家の半分は女性であるのだから気持ちを知る者が活躍しないのはおかしい。

 ただ女性の場合、出産と育児という大きな壁があった。だからこそマイクロソフトではワークスタイルの変革のためのICT(情報通信技術)ツールを開発したりしている。フェイス・ツー・フェイスにこしたことはないが、ICTツールで連絡を取りあったりオンライン会議に参加したりして力を発揮してもらう。

 「そんなシステムはいらないよ」というお客さまもいれば、「最先端の仕組みをどんどん使って会社を活性化しましょう」というお客さまもいる。本当にものの見事に2つに分かれる。

■日本に根付かぬダイバーシティー

 そもそも男中心の終身雇用、年功序列の事業体系のなかで、新しい商品は十分に発想されてこなかった。組織としてならば同質の人間が集まっていた方が心地よいし、体育会系のノリが許されることも多い。だからこそ日本ではダイバーシティーは根付かなかった。そういう発想を根本から変えなければいけない、というのが今の日本企業が置かれている状況だ。

 もう一つダイバーシティーで重要なのは、多様性という概念がオーナス期の企業の組織マネジメントに深く関わっているという側面だ。結論を先に書けば、「ダイバーシティー・アンド・インクルージョン」が胆になってきている。

 インクルージョンとは「包含」の意だが、多様性や異質性を認め合うのにとどまらず、多様性や異質性のマネジメントを通じて組織としての成果を生み出す手法の確立へと踏み込まなくてはならない。

 ちょっとビジネススクール的な言い方になるが、事業には「ストラテジー(戦略)」と「エグゼキューション(実行)」という2つのステージがある。たとえばマイクロソフトのソフトウエアなどは、他社と差別化できる要素がたくさんあるのでストラテジー、戦略性が非常に大事になる。

 また創薬のように直接材料費はきわめて少ないがR&D(研究開発)に巨額の費用を要するビジネスでは、R&Dの方向性や開発のプライオリティーを間違えると多額の損失につながる。それだけ戦略性が高い。

 一方、コモディティー(日用品)の小売りなどではエグゼキューション、つまり組織の実行力が業績を大きく左右する。接客態度、お店の清潔度などベーシックなものの積み重ねで競争力を維持している。組織力そのものと言ってもよいかもしれない。

 ところが現代は、ストラテジーもエグゼキューションも両方を転換しなければならない事態が頻発している。変革期のリーダーにとって最も難しい課題だ。

 例えば、ディスラプション(破壊)と呼ばれるが、利益の大きな部分を稼いでいるビジネスモデルが急激に崩れていっている場合には、事業のポートフォリオ戦略を大きく変えると同時に、その組織のスキルや動き方、すなわち、エグゼキューションも転換しなければならない。

 実は戦略性の高い人と実行力・現場力が高い人では求められる能力は二律背反だ。現場力が高い人は、現場が大好きで義理人情に弱く、「俺についてこい」で人を導く。一方、戦略性の高い人は現場との親和性が低い。

 しかし相矛盾する両方が一人のリーダーのなかで自己完結していないと変革は進まない。なぜならば戦略を理解して現場に入り、「あの人の言うことならばやってみよう」と信頼してもらえなければ大規模な変革は実を結ばないのである。米国ならばトップダウンでガツンとやりきってしまうだろうが、日本の場合は、現場の人が「腹落ち」しないと絶対に動いてもらえない。

■ダイエー再建「腹落ちしないと」

 ダイエー再建の現場がそうだった。ダイエーはまさにエグゼキューションの職場であり、そこで戦略的な取り組みを理解してもらいながら再建を加速するのは容易ではない。しかもお店は北海道から沖縄まであり、本部から遠いお店ほど取り組みに対しても距離感は大きかった。しかし遠い現場こそ腹に落ちて動いてくれないと再建は進まない。

 小学校のときの放課後の掃除で、先生がいなくなるとサボり出す子が必ずいた。ダイエーも同じで、本部から遠いと「まぁ、いいんじゃないの」となってしまう。そうではなく、「なぜこれをやらなければならないのか」「何のためにやるのかを」を説明して腹落ちさせ、自律的な行動へ移し替えていくのがマネジメントの重要課題になっていた。

 オーナス期には大学卒業者の数が増えるように平均学歴が高まりインテリジェントな仕事も増えている。となれば「お前はネジだけ回し続けてくれていればよい」とはならない。仕事の意味、戦略性、実行の重要性が腹に落ちていないと変革は進まないし、インクルージョンが狙うところの多様性を起爆剤にした新たな価値の創造は実現しないのである。 企業のダイバーシティー・アンド・インクルージョンを世の中はしっかりと見ている。監視していると言ってもいい。今でも「ダイバースなカルチャーにしたらなぜ企業は強くなるんだ」と腹に落ちていない経営者はたくさんいる。株主総会などでステークホルダー(利害関係者)が「御社はどうなんですか」と聞くたびに、一応は「社会の情勢も十分に承知しており、対応を検討しています」と答えるのだが、本音では「なぜ、そんなにこだわるのかなぁ。うちみたいな会社では、女性が活躍できる場はさほどないのだけど」などと考えている。

 それはつまり、ビジネス環境の変化に対して経営者がマクロ的でもミクロ的でも時代観や文明観を持っていないことの証左なのだ。

 オーナス期にあったとしても社会背景や文化の違いによってダイナーシティーをどこまで許容するかには差がある。そこに着目してできる目いっぱいまでダイバーシティーへの取り組みを遅らせる。そういうガバナンスの効かせ方もあるだろう。

 しかしそれは、「ある」というだけの話であって、変革のためのマネジメントにも競争優位にも企業の信頼にもつながらないガバナンスであるにすぎない。

 たとえばスポーツの世界では、かつては監督の選手への体罰は当たり前として受容されてきた。しかし時代が変わり、今は許されない。体罰で人を育てるという考え方自体が許されないのだ。そうなれば必然的にリーダーシップのスタイルも変わらざるを得ない。

 ダイバーシティーは、多様性の受け入れから多様性をバネにした価値の創造へと変わっている。変革期のリーダーにとって、ダイバーシティー・アンド・インクルージョンへの理解、さらにそれを自身にとっては当たり前のものとする努力が絶対に欠かせない取り組みだ。

樋口泰行氏(ひぐち・やすゆき)1980年阪大工卒、松下電器産業(現パナソニック)入社。91年米ハーバード大学経営大学院修了。2003年に日本ヒューレット・パッカード社長。ダイエー社長を経て、08年日本マイクロソフト社長に。15年より現職。

(撮影:有光浩治)
 

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